ゼミOB会にて思ったこと

本日は2年振りにゼミの同窓会に出席した。

山澤先生は引退生活も楽しんでおられること、最近もAPAC関係で招待されてモスクワとカザンを訪れたついでに各1週間滞在されて、なんと「地球の歩き方」を参考に歩き回わられたそうな。75歳とは思えぬ、大したお元気さである。

出席者は20名前後だったが、さすがに少しずつ平均年齢が上がっており、もう定年になったか間近という人が2割近かったかと思う。中堅クラスでさえ、もう大企業またはその関連会社の部長・本部長クラス、中小企業クラスだと経営者層(小生もその一人にカウントされてしまうのでいい加減な話だが)も何人かいるのだから。

大学関係のOB会でよく思うのは世間とのギャップである。世の中、大変な不況だとか経営難で苦しんでいる中小企業が多い中、またはベンチャーの人達は寝る間も惜しんで悪戦苦闘している中、一橋のOB、特に既に引退されている世代や、大企業の顧問あたりに再就職された方々は非常に恵まれた状況にあるようだ。

そういえば一橋出身でベンチャーの成功例はあまり多くないなぁ(楽天は例外だが)と、ふと思った。大半のOBにとって安定した大企業の会社員生活を続けていれば、なかなかそういった波乱の人生を選択する「もの好き」は多くないのだろう。しかし米国ではまさにこのくらいのインテリ達があえてベンチャーを興す文化があるから経済の厚みが違うと思うし、それこそが称賛される生き方なのである。

そうした精神を育むためには、世の中央官僚にはもっと規制緩和などで日本が立ち直るように危機感を持ってもらいたいところだが、普段こうした恵まれた境遇の人達(官僚同士を含め)とばかり会っているから世間知らずになるのではないだろうかと心配してしまうのだが、さてどうだろう。
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生レバー狂想曲

7月1日から生レバーを飲食店で出せなくなることに伴い、ちょっとした駆け込み需要が発生しているそうだ。食べ納めとばかりに焼肉屋では生レバーの注文が殺到し、店もここぞとばかり仕入れた生レバーがどんどん売り切れになり、一種のバブルである。

「生レバー禁止例」に対する反対署名運動も展開されているそうである。いわく「新鮮な生レバーであれば問題ないので、管理を厳しくすればよい」とか「食文化に政府がくちばしを挟むのはけしからん」とのことらしい。

ちなみに、「生レバー禁止例」の理由は、新鮮でない生レバーの腐食による食当たりの危険ではない。いくら新鮮なものでも生レバーにはO-157などの細菌がある程度含まれているのである。その量と、食べた人の体力によって、食中毒が発生し、場合によっては生命の危険もあるのである。したがって「新鮮な生レバーであれば問題ない」というのは単純に認識不足の間違いである。

小生は基本的に、たとえ生命の危険があっても当人のリスクに収まる分には自己責任と考える。だからフグの肝については当人が「店の責任を問いません」という承諾書を事前に書けば、店で提供してよいと考える。

しかし生レバーに関しては少し事情が違う。まず親が子供を連れて焼肉屋へ行って、生レバーを注文し食べることが多い。するとつい子供も食べる可能性が高い。たとえ親が平気でも、体力のない子供には微量のO-157で致命的なことがあるのだ。大半の生レバー好きの親にこうしたリスクの認識があるとは思えない。

たとえその場で食べなくとも「巻き込まれリスク」はある。店で生レバーを食べた誰かが保菌状態のまま家庭に帰り、子供や老人に2次感染させる危険も十分ある。食べた当人が食中毒で死ぬのは構わないが、その家族まで巻き込む権利はないだろう。だから小生は生レバーの提供には反対なのである。

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「政治家が今すべきこと」

政治テーマを続けよう。最近ビジネス雑誌で読んだ、さわかみ投信会長・澤上篤人氏の「政治家が今すべき5つのこと」に大筋で賛同する。

1.消費税は社会福祉税に切り替えて、毎年2%ずつ引き上げて15%にまでもっていく
これにより少子高齢化による社会福祉関連費を賄う。食料などは軽減税率を適用。

2.国民共通番号の導入を急ぐ
これにより税の徴収漏れや生活保護の不正受給などを一掃。クロヨンと呼ばれた税負担の不公平感も解消できる。

3.法人税を20%に引き下げ、代わりに既得権益化している税優遇を大幅に抑制する
起業を促進、事業者には適者生存を徹底させる。

4.規制の大幅緩和と民営化を推し進める
結果として行政の簡素化と地方分権化を実現する。

5.社会福祉税を15%に引き上げ、年金など社会保障費の財源を恒久的に確保する
現行の国民年金保険積立制度と運用事務は全面的に廃止でき、厚生労働省関係省庁の人件費など財政負担を大幅に削減できる。現有の公的年金資産(170兆円前後)は国庫に入れて財政赤字解消に(現金は予算に組み入れ、国債は一挙に償却、株式は5年程度かけて売却)。

方向性としては全くその通り。敢えてコメントすれば、次の通り。

1の重要なポイントは目的税化するところである。へたに消費税という安定財源を今の政治家や官僚に与えれば、またぞろ整備新幹線や農業者戸別所得補償制度に代表される選挙目当てのバラマキにまい進するに違いない。

2の「国民共通番号」(マイナンバー)のために新しい番号やシステムを導入する法案が今国会に提出されている(審議入りはしていない)。しかし本当に必要なのだろうか。なぜ住基ネットで使われている住民票コードと既存カードじゃだめなのか、誰も答えてくれない。特定産業だけが喜ぶ、全国での壮大な2重投資は阻止すべきだろう。

4だけでは役所の関連団体がむさぼっている利権構造はなくならない。かといって政治家主導の「事業仕分け」では、力量不足を露呈済だ。やはり役人の手口をよく知る元役人を敢えて「事業仕分け」プロジェクトにアサインして、2年ほどかけて根本的かつ強制的に行政の無駄を切って欲しい。その過程で「規制緩和(撤廃)」が車の両輪になろう。

5は原則賛成だが、年金機構の職員や厚労省の役人が株式売却をうまくやってくれるとは思えないし、その委託先に厚労省のOBが選ばれて私腹を肥やすだけに終わるのが怖い。さて「伝説の天才ファンドマネージャー」みたいな人はいるのでしょうか、澤上さん?

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「民主党の現状」への「人びとの感想」に思う

消費増税法案が衆院を通過したこと、そしてその際に大量造反者が出たことに伴い、報道では人びとが民主党への失望感や先行き不安を語っている姿が目立つ。それを見て聞いて思うことは、「みんなそんなに民主党に期待して投票していたんだ」という驚きであった。

小生は先の総選挙では民主党に期待も投票もしなかった(もっとも、自民党にも期待できなかったが)。彼らのマニュフェストがあまりに嘘臭かったし、財源についてあまりにいい加減な希望的観測をぶち上げているのを聞いて、呆れていたからだ。小泉自民党政権といい、鳩山民主党政権といい、世間的なウケだけを考えているような政府に人気が集まるのは嘆かわしい限りだ。新聞などのマスメディアの責任が大とは思うが、有権者もあんな安請け合いを真に受けるほうがそもそもおかしいのである。

普段の生活において親兄弟でも親友でもない連中が「お宅(ウチでも会社でもよい)の借金は自分達に任せてもらえばたちどころに解消するし、それどころか皆さんに追加で一杯お小遣いをあげますよ」と言ったとしたら、さて信じるだろうか。むしろ胡散臭い奴だ、本当は騙そうとしているんじゃないか、その根拠を示せ、と口うるさいのではないか。

普段、政治家は信用できないといっていながら、いざ選挙になると世間の風向きや気分次第で投票しておいて、期待外れに終わると、「だから政治家は信用できねえ」とクダを巻く。これではいつまでたっても日本の政治の後進性は変わらない。その意味で「消費増税反対を旗印にすれば次の選挙を戦える」というのが見え見えのOグループの政治家や、政治的信条などそっちのけで人気のあることを理由に橋本氏にすり寄ろうとしている政治家連中は、選挙民をバカにしているとしか言いようがない。

おいしいことだけを言う政治家、信念のない政治家に投票しない、という当たり前の行動が次の選挙時に実行されるための教訓になれば、この数年の迷走も全く無駄にはならないと、あえて前向きに思う。

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「BPMプロジェクト企画ワークショップ」を終えて

5月から隔週で実施していた、全3回コースの「BPMプロジェクト企画ワークショップ」が完了した。
https://bpm-j.smartseminar.jp/public/seminar/view/96

今回は全く新規にプロジェクトを立ち上げる未経験者だけでなく、部分的(または非公式)にBPMプロジェクトに取り組んでいた方が含まれており、苦労話も少し聞けたのが参加者としては新鮮だったかも知れない。

いずれにせよ、社外の人と特定プロジェクトを立ち上げるための「秘策」を相談したり、失敗要因を避ける工夫を聞いて「自分のとこだとどうだろう」と考える機会は少ないだろう。しかもファシリテーション方式で進めるセミナーもしくはワークショップというのも珍しいと、主催者の事務局から言われている。

またBPMの失敗事例、成功事例ともそれなりに集めて分析しているコンサルタント自体が珍しいのも事実だろう。世間に多い「BPM事例紹介」や「手法紹介」は海外事例だったり伝聞事例ばかりだったりするが、当方は手持ちの体験・実績例(失敗事例はヒアリングしたものだが)をベースにしているので、「実は…」的な話もこういう場だとできるのである。

ただ所詮、こうした事例紹介は他者の経験に過ぎない。自社が進めるとなれば全く違う具体的な障害や抵抗が出てくると覚悟しなければいけない。

そのような「応用問題」を解くための基礎となる「理解・分析のフレームワーク」を併せて解説しているのだが、さて実践の場で受講者のみなさん使っていただけるだろうか。一緒にやれば色々とアドバイスできるのだが、リモートでは限界があるのも事実。こういうのは少しばかり隔靴掻痒の感あり。

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いまだローカル?日本の大企業

昨夜は20数年振りに会うUT-Austinのビジネススクール時代の同級生夫婦と食事をした。彼らは当時クラスメート同士で付き合っており(こうした例は稀)、卒業後に結婚し、今や2人の高校生の父親・母親である。

ダンナが経営する会社が比較的最近、日本企業に買収されたのだ(名誉なことである)。それで時折日本には来ていたが、今回初めて夫婦揃って来日したので、久々に会おうという話になったのだ。小生以外にも、当時の日本人クラスメートが奥さん(当時Austinに居住)を連れてきたので、計5人でヤキトリなど食べて楽しい時間を過ごした。

しかし会話の中では幾つか驚かされたことがある。

あまり詳しく書くと当人に迷惑を掛ける可能性があるので控えるが、会社を買収したその大手有名日本企業に関し、ミーティングでの様子などをダンナのほうが面白おかしく語ってくれるのだが、かなりなローカル企業振りなのである。そもそもダンナの英語が早口過ぎるせいで日本側のスタッフ(超エリート揃いだそうだ)が理解できないのに曖昧にうなずいている様子や、肝心な部分が伝わらないのを懸念して通訳を使うように要請したのに、自分達の英語力が足らないことを認めたくないため拒否されたことなど、プライドばかり高くてちょっと情けない島国根性が伝わってきた。

もっと問題なのは、経営上必要と考える幾つかの提案を常日頃しているのだが、その決裁をすべき「ボス」は5人もいて、稟議を回すのに最低数か月、長いものはもう1年店晒しにされているとのこと。競合の韓国企業との比較がその場でも話題になったが、いくら技術力で上回っていると自負してもこれでは逆転必至である。当該の事業部門は、その大手有名日本企業の中でも日本市場依存度が高いため、こうした「田舎企業振り」が特にひどいのだとは思う。それにしても、グローバル化しているといわれるその企業においても、こんな経営が許されているのかとあきれた次第である。

もう一つ驚かされたのは彼らの住環境である。もう10年ほどチェコに住んでいる彼らは、湖のほとりに家を買って将来(子供達の独立後)も含め定住を決めている。その写真をiPhone上で見せてもらったのだが、本当に素晴らしい自然に囲まれているのである。それでいながら、会社まで歩いて10分の職住接近である。東京近辺に住まなければ仕事がない身としては、うらやましいばかりである。

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LINEのポテンシャル

Facebookのことを書いたので、ついでにLINEについても書いてみたい。使っている人も多いと思うが、スマホで使える無料通話・通信のためのアプリである。

Facebookと同様に急成長中であり、しかも珍しく日本発で世界に広がりつつある。開発者はNHNジャパン、旧ライブドア社を吸収合併した韓国企業の日本法人である。つまりあのポータルlivedoorやlivedoor blogなどの運営会社でもある。その意味で開発力やインターネット上でのビジネス展開センスを持ち合わせた企業だといっていいだろう。

何よりこの無料アプリ、登録者同士の通話・通信がタダになるという分かりやすさがまず耳目を引きつけるが、とにかく使いやすい。登録もアプリダウンロードも、使用法も全て簡単である。聞いた話ではスマホを持っている大学生では使っていない例を探すのが難しいくらいだそうだ。ちなみに我が家でも女性陣は使っている。

登録すると、スマホ自体に登録されているアドレス帳をLINEサーバーに読み込むかどうか聞いてきて、了承するとアドレス帳の中で既にLINEに登録している人達が友達としてすぐに通話可能相手として表示される。たとえこちらがアドレス帳を読み込まなくても、あなたの電話番号をアドレス帳に登録しているLINEユーザーには、あなたがLINEに登録したことによってあなたが通話可能相手として表示される。とにかく無料通話の「輪」がどんどん拡がる仕掛けになっている。もちろん口コミが一番強力で、どんどん拡がりつつある。

無料通話・通信のためのアプリといえばskypeが世界で一番有名だったし、日本でも使用者が多かったかも知れないが、使い勝手が悪いのが難点だった(その意味でFacebookと同じ)。このLINEはスマホに限るとはいえ圧倒的に使いやすいので、スマホの普及に合わせて加速度的にユーザー層が広がるだろう。

Facebookでもその人気度に目をつけて企業がマーケティングツールとして様々なキャンペーンやファンクラブなどを展開しているが、このLINEでも幾つかの企業が取り組みを始めている。典型的なのはローソンやすき屋のようにスマホ向けクーポンを配布する手段にしているものだ。メルマガなんかより開封率が高いという評価があり、これが主流になりそうである。

この調子でいけば世界での普及度は、日本発アプリとしてはダントツになりそうだが、その時には膨大なサーバーコスト負担を正当化ならしめる新たなビジネスモデルが必要(発展途上国でクーポンを配布するには地元スポンサーに対する営業網が必要ゆえ)となろうし、通信キャリアが自分達のビジネスモデルを破壊しかねないLINEに対し法的対抗措置を仕掛けるだろう。それはそれで面白い展開である。

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Facebookはどこへいく?

相変わらずFacebookでのfriend requestがよく来るのだが、半分以上は全然知らない人である。過去所属した学校や会社などでかぶっていた人たちのようである。

もちろん大学院や大学の同窓生からのコンタクトは嬉しく、昔一緒に仕事をした人達とコンタクトが再興するのも、Facebookならではの有難さである。だからこそ退会はしないだろう。今後もこうしたconnectionsが増えるのを期待したい。

とはいっても、たまたま同じ会社にいたことがあるけど同僚として面識がない人や、同業というだけの人、そして人材会社からのfriend requestは、(Facebookを使い始めた5年?以上前ならともかく)昨今はあまり有難い訳ではない。そうしたrequestsで残ったままなのが随分増えているため、ちゃんとしたrequestでもうっかり放っておくと埋没してしまうほどである。

それに小生の場合、あまりに昔に(まだ日本版がない時期に)登録したため、いまだに英語版のままである。だからpokeとかいうよく分からない機能の呼びかけがあったり、怪しげなgame softの誘いが英文で時折届く(無視しているが)。一方、connectされたはずのfriendsを探す方法がいまだに時折分からなくなる。それと特定の人によるつぶやきが煩わしいので、表示されないようにしたいが、方法が分からない。はっきりいって使いにくいサービスである。小生はミクシィもGreeも使わないので比較できないが、まだLinked-inのほうが目的がはっきりしている機能が大半なので、使いやすい。

最近、功成り名を遂げた大先輩とFacebookやTwitterについて話す機会があったが、その人はいろんな人から勧められているが、全く使いたくないそうだ。自分にとって懐かしい人の大半がこうしたSNSを使う年齢でないことと、積極的にコンタクトを求めてくる人の大半が利益のためだと感じるから。つまり今更メリットもない割に、うっかり書いたりつぶやいたことがお世話になった会社のマイナスに働きかねないというリスクが大きいからだそうだ。もっともな言い分だ。

Facebook自体はまだまだ利用者・コミュニケーション量とも益々増えるだろうが、本当に役立つコミュニケーションなのか疑問を感じさせる局面にまで到達したのだろう。上場後、株価がじりじり下がる状況に面し、PC利用よりスマホ利用が増えつつあることでの広告単価の低下など同社の成長性に対する疑問を呈する声を聞くが、本当に役立つ(または楽しく感じる)度合いが増えていないことが同社の本質的な問題ではないか。

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大局観と後講釈

先週の木曜、BPIA主催による第6回 The業務革新セミナーにて「ビジネスモデルを変える大胆な業務改革プロジェクト」を講演した。同じ日本に本社を置く精密機器メーカーだがサイズも背景も全く違う2つのSCM改革事例を詳しく説明したものである。

A社は中堅メーカー。故障・欠品・在庫過多といったSCMの問題オンパレードという事態。因果関係分析を切り口にバリューチェーンに沿っての全社的な「悪循環の構造」を明らかにした上で、一つひとつ優先課題に極めてオーソドックスな解決策を打っていったものである。

それに対しB社はグローバル会社。個々の日常的なSCMのレベルは高いのに、ほぼ全ての販売現法が独自に抱えた過剰在庫がモデルチェンジ期に棄却損となって全社利益を吹っ飛ばすという構造である。初期仮説に加え、別の製品設計改革プロジェクトとの協業によりブレークスルーが生まれ、抜本的な収益改善と顧客サービス向上が実現したものである。

お陰さまで参加者からは「非常に具体的な説明があったので、よく分かった」とか「背景も課題もピンときた」「なるほどという打ち手だと思った」などの好意的な反応をいただいた。

幾つかの質問もいただいたが、「なぜそんな事態になるに至ったのか」「元々KPIの責任者への持たせ方が悪かったのではないか」という微妙なものもあった。Yes & Noなのである。質問者は各事例メーカーが抱えていた問題の全体構造が小生の解説で分かっているからこそ、「そんなバカな状況になるなんて、経営者は何をしていたのか」とかいう反応を示すのだが、それは後講釈の理論なのである。

本来なら経営者は事業全体が見えているべきだろう。しかし小生の経験で言わせていただけば、最初から全体像が見えている人なんて実際にはまずいない。それに事業の戦略マップを明確に持っている人も極めて少数派である。この2つの事例でも、プロジェクトチームとしてヒアリングと調査・分析をやっているうちに全体の構造が見えてきたに過ぎない。それで初めて適切なる手の打ちどころが判断できるという段取りなのである。こんな話は、会社経営経験者じゃないとピンとこないかも知れないが…。

ちなみにこのセミナーはいやに当日欠席者が目立った。今回は事例を詳しく、しかも対比させたので、かなり手間を掛けて用意した。その分「役立つ」と参加者に言ってもらえたのは嬉しいが、欠席された方々にとっても有用なものだったと確信するだけに残念なことである。

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「SIerのビジネスモデルとしてのBPM」考

今週、ある大手SIerの幹部と意見交換をした。BPMを本格的にやりたいそうだ。でも現在は、リソースほぼゼロ状態である。そこでどうすればよいかを考えるにあたって小生に意見を求めたのである。

実は同様のことを考えているSIerは1社や2社ではない。こうしたSIer向けセミナーが成立するくらいである。
https://bpm-j.smartseminar.jp/public/seminar/view/25

しかもその大手SIerの幹部はBPMソリューション提供をしなくてもいいと仰る。これにはびっくりした。よくよく聞いてみると、要は「IT構築屋」というレッテルから脱却したいようなのだ。そして業務コンサルによる業務改革と、ITコンサルによる目利きを一体型で提供できること、しかも継続的な改善サイクル確立の支援を目指したいということだ。この認識自体は正しい。少なくともBPMコンサルティングにはこの両方が求められる。小生は前者は得意だが、後者については独立系かSIerに所属するITコンサルタントと組んでBPMコンサルティングを提供してきたので、よく分かる。

問題は、大半のSIerにはITコンサルタントは結構いるが(十分とは言わないが)、まともな仕事をできる業務コンサルは極端に少ないことである。BPM領域に限っていえば、大手会計系コンサルティング会社ですら殆どいないのが実態なのだ(ついでに云えば、そうしたコンサル会社の大半はITコンサルタントかSEである)。それだけ特殊な、狭い市場だったということもできるし、その人材の少なさが市場拡大のためのボトルネックだったともいえる(ニワトリとタマゴの関係である)。

その大手SIerの幹部にも伝えたのだが、社内だけで人材を育てることも難しいだろうし、業務コンサルをできる既存コンサルティング会社を買っても失敗するリスクは意外と高い。ましてや同社には特殊事情がある(ここでは明かせない)。ハードルは高いと断言した。本気なら協力することは吝かではないが、それでもやりますか、と覚悟を問うたのである。さて、1年後にはこの話、どうなっているだろう。

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「飼い犬に手を噛まれた」?コジマ創業家

最近の記事で、家電小売の大手・コジマがビックカメラの傘下に入るという報道があったが、経緯を聞けば聞くほど不可解である。

両社の社長が提携交渉を3年ほど続けた結果であり、両社長がにこやかに記者会見している写真が大手新聞やTVにて報道された。しかし一方で、創業家で最大株主である代表取締役の小島章利会長は取締役会の直前まで「つんぼ桟敷」に置かれたままだったという。実際、小島会長はこの資本提携に今でも反対だという。

寺崎社長は90年に鹿児島銀行からコジマに途中入社し、その後経営企画畑を歩んで順調に出世し、創業者の息子である小島章利氏の後継として2年前に社長になっている。つまり創業者である小島章利氏の父親・勝平氏に寵愛され、近年経営が不調になったコジマに対する融資を継続する条件として章利氏が社長職を譲る相手として、メイン銀行である足利銀行に多分最も信頼されたのであろう。

小島章利会長と寺崎社長の役割分担は小島会長の言によれば、前者が営業、後者が管理・M&Aだということで、越権行為ではなさそうだが、言い換えれば「商売は自分のほうが分かっている」という会長の自負が透けて見える。いずれにせよ、幾ら寺崎社長が自分の役割としてM&A交渉を進めていたとしても、もう一人の代表取締役であり会長であり、創業家であり最大株主である小島章利氏に途中報告もせずにいたことは経営者の行動として望ましいとは思えない。

取締役会で反対したのが小島会長1人だけだったということから、既に外堀は埋められていたのだろう。メインバンクもこの「身売り」に賛成していた可能性が高い。多分、途中段階での取締役会で議論しても小島会長は猛反対したろうし、それは少数派だったかも知れない。つまり結論は同じかも知れない。しかしながら、これほど重要な経営判断にはプロセスが重要だという小島氏の言い分はもっともである。

このやり方は「だまし討ち」といえ、まるで数十年前の三越・岡田会長追放クーデター事件のようである。しかしワンマンで名を馳せた岡田氏と違って小島氏は(小生も少々存じ上げているが)全くそんなことのない紳士である。もちろん経営トップとしての頑固さや創業家としての利害はあったろうが、人の意見を聞かないタイプではなかったと思える。社内でまともに戦略を議論できなかったのだろうか。残念である。

創業家から経営を委託されたはずの寺崎社長が創業家を裏切って、自らの地位保全を条件に会社を身売りした、という世間にある批判に対し、寺崎社長は何と応えるのだろう。何より、単純に「寄らば大樹の陰」的にビッグカメラのグループ入りするだけでは、家電量販というビジネスは先細りになる可能性が高い。新しいビジネスモデルを構想することこそ、経営のリーダーシップであろう。是非、寺崎社長にそのあたりを聞いてみたいものだ。

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グローバル化、合成の誤謬、そして競争力の源泉

NHKスペシャル、日本新生「"雇用の劣化"を食い止めろ!」を録画してあったのを観た。

基調講演的に藻谷浩介氏が最初に考えを披露している。曰く、日本経済が劣化したのは、企業が総人件費を削る→各世帯の給与が低下→国内消費が低迷→企業業績が悪化、という悪循環のせいであると。しかも2000年~2010年にかけての日本企業の総人件費がマイナス7.7兆円減少している一方で、内部留保は5.5兆円増加し、配当金もなんと5.5兆円増加していることも明らかにされた。そのうえで彼は、日本経済復活のためには「人件費を上げることができる企業から始めていくことで悪循環を解消できる」と訴えたのである。

それに対し(賛成派は諸手を挙げていたが)「中小企業にはそんな余裕はない」「競合が人件費を抑制して低コスト/低価格攻勢を仕掛けてくるのに対抗するためには仕方ない」などの批判とも愚痴ともつかない個別の反論が出た。「理屈では分かるけど、ウチではできない」というのが本音だろう。結局、個々の企業や個人が合理的な行動を執りながらも、全体ではどんどんマズイことになる「合成の誤謬」の典型的事象なのである。

番組ではあまり明らかにされていなかったが、そもそもこの問題の出発点はグローバル化にある。グローバル化の進展に伴い、特に製造系の企業では新興国との企業レベルでの競争および製造拠点との従業員レベルでの競争が一挙に顕在化したのだ。それを円高が加速しているのだ。そして大企業のコスト抑制の要請が下請けへの値下げ圧力となり、それが手っ取り早い手段として中小・零細企業から始まった賃下げ・首切りとなって表面化したのである。

したがってその根本原因に対応しないままの給与増の要請は画餅である。結局、人件費を上げると同時に企業競争力がアップするという対立要素の両立を図るしかない。実はここにこそ日本企業復活の鍵がある。

そもそも給与抑制が競争力アップにつながるという発想自体が、外資系の人事コンサル会社と再生ファンドの後ろ盾となっていた外資金融の「大嘘」なのである。実際、10数年にわたって給与総額を下げ続けた日本企業は人材流出を招き、世界での存在感を急速に薄めてしまったでないか。

今日本企業がやるべきは、自社の競争力の源(コアコンピタンス)と「顧客に選ばれる理由」を知恵を振り絞って考えて、戦略とビジネスモデルの組み立て直しに貢献する人材に、権限とやり甲斐を与えて、体を張って挑戦させることである。ちまちまと互いに給与を削ることに窮々としていては決して、ダイナミックに動く新興国にも、ブランド・技術力を背景に着実に浸透する先進国の競合企業にも太刀打ちできない。日本企業の強みであるロイヤルティ(忠誠心)を失わないためにも、企業経営者には勇気を出してもらいたい。

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ブログの消失と新たな立ち上げ

新たなブログ立ち上げである。今まで持っていたブログが消滅したからである。

従来、ITmedia社のITmediaエグゼクティブというウェブサイトがあり、そこに「BPMとビジネスモデルを考える」というビジネス・コミュニティを持っていたのだ。しかし今週になって気づいたら、ビジネス・コミュニティのコーナーが消滅しているではないか。最初は何が起きたか全く分からなかったが、事態が判明してみるとかなりのショックである。

何せ、(一時期こそ数週間空くことがあったが)ほぼ毎週1回程度は投稿していた(多い時には2回)。1回あたり、かなりの文字数の記事だった。テーマはBPMとビジネスモデルをメインに、BPMの勘所や考え方、ビジネスモデルに関する目の付け所など、または色々なビジネステーマもときにはシリーズ化して盛り込んだし、海外出張でのエピソードや出席した会合やセミナーでのトピックなど、小生の思索を盛り込んだものだった。そのうちに抜粋してビジネスエッセイ本にでもしようかと考えていた。今やアーカイブ(ITmedia社にあるかどうかも不明だが)から引き出す手段もなく、大いなる知的資産の喪失である。まったくひどい話である。

それに小生も最近は自らの個人事務所のHPやメールの署名にもこのビジネス・コミュニティのURLを入れていたし、セミナー講師などの際には自己紹介の一部にやはりこのURLを入れていたくらい、依存していたのである。実は経営する会社のHPにも載せようと準備していた。その分、戸惑いも大きい。

とはいえ、ITmedia社という「ブログをサービスとして提供している」意識すらない会社のブログ機能を、それほど頼っていた当方にも問題があると反省している。「当てにすべきでない連中を当てにする」愚かさは小生も過去に痛い目に会ったことがあり、肝に銘じていたはずなのに…。

とにかくこうした経緯で、こちらに新たにブログを立ち上げたのである。これをきっかけに、従来より短い記事でいいので、頻度を上げてアップしていこうと考えている。知人の方がこれらの記事を目にしたら、メールでも出していただくか、またはお会いしたときに話題にしていただければ嬉しい限りである。

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