小売“専売”ビールの動きは「弱者のビジネスモデル」

ウェブで別情報を追っていたところ、「広がる“専売”ビール」と称してサッポロビールが小売と手を組んで販売量を確保する動きが報じられているのに気づいた。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_30949/

イオンとは新ジャンルのビール(いわゆる「第3のビール」)『サッポロ みがき麦』を「共同開発」し、全国のイオン1,700店舗すべてで展開するとのこと。いわゆるPB(プライベート・ブランド)商品ではなく、サッポロブランドを表に出すがイオンだけでしか売っていない、というのがミソである。

その直前には同じ小売大手のセブン&アイ・ホールディングスと共同開発した『セブンプレミアム 100%MALT』を11月じゅうに売り出すと発表している。同グループだけで販売するプレミアムビールである。こちらも商品にはセブン&アイのブランドと共にサッポロブランドを表示し、PB商品とは一線を画している。

実はサッポロがこうした小売“専売”ビールを売り出すのは時間の問題と見られていた。小売大手は少し前から酒類販売コーナーの強化を食品売り場戦略の一つにしており、そのためにワインやビールの品揃え強化を打ち出していた。特にビールは目玉商品にしやすく、ナショナルブランド(NB)商品だけでなく、割安な輸入品とPB商品(作っているのは韓国メーカーなど)に各社は力を入れているが、NBの品質や味に対する消費者の信頼感が強固な壁となって伸び悩んでいた。そのため大手小売数社が大手ビールメーカーに対し共同開発を持ち掛けていたが、それに応じるとしたら販売力に劣るサッポロビールだろうと見られていたのである。

サッポロの視点からすると、商品開発力には自信はあるが(プレミアムも発泡酒も第3のビールも同社が先駆者)、プロモーションの体力や、量販店や自販機での販売で上位3社に対抗できる資本力・営業力がもうないことは自覚している。したがって大手小売の懐に飛び込んで彼らの販売力を借りて、(「共同開発」という名は一部渡すが)実質的には自社商品を開発・製造するのが賢いと開き直ったのである。

当然ながら純粋な自社商品に比べ粗利益率は相当落ちるはずだが、マーケティング・営業コストも大幅に削減できるので、利益率としてはかえって改善するかも知れない。それ以上に大きいと思われるのは、工場の稼働率を維持できることである。従前は、その役割はスタンダード品、そして発泡酒や第3のビールといった普及品に期待されていたのだが、それらは既に「レッドオーシャン化」しており、特に体力のないサッポロの出荷数量は年々減少していたと見られる。

これはバリューチェーンでみればマーケティングの一部と販売を小売に肩代わりしてもらう、大手ビールメーカーにとって新しいビジネスモデルなのである。しかも弱者たるサッポロだからこそ割り切れるモデルである(小生はこういうのが個人的には好きである)。なお同社は、従来の垂直統合方式のバリューチェーンを完全に放棄した訳ではなく、プレミアムビールである「エビス」を中心に経営資源を集中することで、サントリーに奪われた主導権を取り返そうとしている模様だ。この新戦略の帰趨に注目したい。
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交流会が伝えるBPMの最新動向

昨日(11/28)午後、日本BPM協会の第10回交流会に参加した。
https://bpm-j.smartseminar.jp/public/seminar/view/114

内容は横川事務局長からの「BPMの動向、日本BPM協会の最近の取組」の紹介、続いて経済産業省の平本CIO補佐官による「経済産業省におけるBPMへの取組み」の紹介、最後に岩田研究所長・岩田氏による「BPMの先端的取組みに見るBPMの将来」であった。

横川氏によるBPMの動向の解説は、経産省の取り組みと総務省での「マイナンバー制のプロセスにBPM機能が組み込まれる」という見通し、さらにいくつかの事例紹介であった。ようやく世間的にBPMに対する認知が上がってきたことを喜ぶ気持ちが滲んでいた。

平本氏による経産省での取組みは面白いものであった。BPMN ver2.0(プロセス記述法の国際規約)は十分役立つという認識を持っておられるようで、前半は熱心にBPMおよびBPMNの良さを解説され、後半でIBMのBPMツールなど合計8つのツールの相互連携などを検証されたとの報告があった。同じBPMN ver2.0をサポートしていても他社ツールとの互換は完全ではないことが改めて確認されたが、それでもデータ交換後に少し手を入れることで十分使える程度だという証言があった(ただし、あくまで報告を受けたとのことである)。

岩田氏による米国国防総省(DoD)の取組み内容の調査報告は非常に興味深いものであった。氏はDoDのWeb上の公開情報を頼りにかなり詳細までDoDの取り組み内容を調査し分析しており、感銘すべきものだった。国内・海外事例ともに外部から探れることは限られているのだが、DoDは相当オープンにしてくれているので、これからも是非参照したいところである。氏の「フリーのモデリング・ツール」を使ってユーザー主導でプロセス設計をするという方法論には小生も全く同意で、Q&Aセッションにて確認の質問をした。

講演後は懇親会にも参加し、幾人かの有志の方々と意見交換もでき有意義であった。

さて、小生も来週火曜から3週をまたいで「BPMプロジェクト企画ワークショップ」の講師役を務める。ここまではご好評をいただき、これで3回目になるが、今回からはSIerやツールベンダーさんにも参加いただけるようにしている(コンサルタントはご遠慮願っている)。彼らもBPMプロジェクトの立上げに苦労しているのは同じだろうということで、開放した次第である。ご興味のある方は協会にお問い合わせいただきたい。
https://bpm-j.smartseminar.jp/public/seminar/view/112

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日本企業こそ「オープン・イノベーション」を取り入れよ

テレビ東京のWBSで「ヒットの種は“社外”から」と称して、幾つかの「オープン・イノベーション」例が紹介されていた。日用品大手のP&G、オフィス家具メーカーのイトーキ(オープン・イノベーション」専用拠点と会員制)、制御・計測器メーカー最大手の横河電機(必要な技術を公開して社外の提案を求める)が取り上げられており、興味深いものだった。

とりわけ凄かったのはP&G。2000年から“コネクト&デベロップ”というキーワードで「オープン・イノベーション」に積極的に取り組んでいることは有名である。自社でも約9300人の技術者を抱えながら、何と最近の新製品やサービスの50%が外部からの技術やアイディアによるものだという。

紹介されていた商品は、例えば「ファブリーズ アロマ」。芳香剤を少しずつ空気中に染み出させるためイタリアの浸透材メーカーの技術を使ったという。驚いたのはほこり取りのモップ。ベースの技術はライバルであるユニチャームから買っているのだという。利益率は下がるが、早く商品化するため(平均5年が1~2年に短縮するという)敢えて競合からの技術導入に踏み切っているのである。

さすが世界のP&G、ちっぽけなプライドに拘らず、外にあるアイディアや知見をどんどん活用しようという姿勢がよく伝わった。きっと外部からのアイディアや技術の持ち込みも凄くあるだろう。それだけP&Gには色々な情報がもたらされているのではないか。そうした外部からのアイディアや技術と、自社の技術および世界一といわれるマーケティング力と販売網を組み合わせることで、逸早く新しいタイプの商品を開発することができるので、強者の戦略でもある。ちょうど医薬のグローバル大手が、自社開発(これは確率が低い)に加え、医薬ベンチャーが既に開発した新薬を買収・提携して製品化する(これは確率が高い)方向にシフトしつつあるのと同様だ。

それにつけても世の中の大半の大手日本企業が未だに「すべて自社で」というスタイルに拘っている状況は随分マズい(そういえば経営コンサルに頼むのを恥だと思っている日本の経営者がいまだ多いが、同じ文脈かも知れない)。「オープン・イノベーション」は自社の強みを否定するものでは決してない。むしろ逆だ。ちゃんと強みがあるからこそ、それ以外の部分では社外の力をうまく使って速く確実な事業展開をできるのである。

経営が危機的な状況になってはじめて外部との提携に積極的になる(シャープのような)ケースが多いが、そうした段階になって近寄ってくる連中には「ひさしを貸して母屋を乗っ取ろうとする」輩も混じってくるので、却って危険である。経営が健全な段階から、外部の知恵や経験をうまく取り込む「柔らかさ」が欲しいものだ。

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「三方会」に出席して

知人に誘われて「三方会」なる交流会に昨日出席した。知人というのは元ampm取締役、現SBSスタッフ社長の山口さん。元々は山口さんがampm時代からお付き合いがあった人たちを中心に勉強会をしようとしたのが始めだと聞いている。

隔月開催で既に7回目、つまりちょうど一年経過したところで会員で80名ほど、出席で50~60名規模と意外と大きな集まりなので大したものだと思う。やはり会場確保とメンバー増には苦労されているようである(小生もOB会などの幹事をしているのでよく分かる)。会長も、サントリーコーポレートビジネスの岡村社長(当初から一年だけの約束で引き受けされたとのこと)から國安前特命全権大使にバトンタッチとなるタイミングであった。

1年の総括に続いてはジャーナリストの蟹瀬誠一氏の講演。メディアでも露出している氏は、途中脱線気味の発言もあったが、現地リポート体験なども通しての現場感覚を交えての国際経済・社会に関する軽快な語り口は楽しめるものであった。「食料自給率がカロリーベースだ」というのは新しい発見だったし、TPPに関する視野の広い積極姿勢には頷けるものがあった。「櫻井よし子ほどじゃない」といいながら中国に対する批判的なニュアンスが言葉の端々からにじみ出ていたのは少し笑えた(ちなみに小生は、櫻井よし子氏は中国嫌いというより権力嫌い、筋が通らないことに対する反骨心が強いのだと尊敬している)。元気が出る会社例として日立が真っ先にあがったのは意外だったが、確かに家電御三家の苦境を思えば大したものである。

会場は目黒のホテル・プリンセス・ガーデン。懇親会は狭い会場をごった返したような状態で、巨大な柱がど真ん中にあって全員が見渡せない、すぐにグラスもフォークも足らないなど、色々と問題はあったが、こういう交流会にはつきもの。半分程の人しか名刺交換はできなかったが、それなりに会話もできたし料理も少しはつまめたし、それまで付き合いのない業種の人達と知り合えたので、結構楽しめた。特にこの会は長いこと続けるという主催者の意思がはっきりしているので、こちらも長くつきあっていきたいと感じた。

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東南アジア進出が過剰なブームになりつつある

最近の会合や個別ミーティングで感じるのが、日本企業の間で生じている東南アジア進出ブームである。なかでもタイが過剰気味で、数年前にあった中国進出ラッシュを彷彿とさせる。

日本市場がこの先も伸び悩むとみられ、一方で中国のカントリー・リスクの大きさが表面化し、「次は東南アジアだ」ということで一斉に進出を検討する中小製造企業とサービス系企業(各業界では大手)が増えたのである。中国の反日デモ暴動のひどさに驚き、では東南アジアだ、その中で親日的な国はどこかというのでタイが真っ先に挙がるようだ(続いてはインドネシア、ベトナムといったところ)。

特に製造系にとっては既にインフラと産業集積ができているタイは、生産移管先として安心感があるようである。昨年の洪水騒ぎで一旦取りやめや様子見をしていた企業が、今年になって進出を改めて検討しているという側面もあろう。ただしある程度の実力・規模がある製造系は既に進出済なので、今から出てくる製造系企業は下請けの中小企業が大半だ。「親会社(元請)の工場が海外にどんどん出てしまい、このまま国内に残っていても展望が開けない」という消極的な理由での進出が多いとみられる。「みんなで渡れば怖くない」という心理も働いているかも知れない。

こうしたパターンでの進出には幾つか大きなリスクが伴う。①既に進出済の元請は地場の下請けを確保しており、遅れて進出しても仕事を確保できる保証はない、②新工場の立上げのために国内工場の中核人員を投入すると国内工場の操業に支障が生じる、③バンコック郊外の工業団地に通える地域の人たちは既に「奪い合い」状態で、労賃は今後も着実に上がる、④日本との間で原材料や製品の物流を行う必要がある場合、生産リードタイムは一挙に長くなり、機動的な生産は難しい、等々。よくよく進出戦略を考えておかないと、経営を傾かせることになりかねない。

こうした事情は非製造系にも共通する。工業団地のようなインフラが整備されている製造系より、むしろハードルは高い。日本でやっているようなオペレーションがすぐにタイでできるとまではさすがに安易に考えていないはずだが、「とにかく出てみりゃなんとかなる」と安易に進出しようとする企業は後を絶たないようだ。小生はこの1ケ月だけで、「とにかく現地法人を設立したばかりです」という経営者に6人も会った。

現地の社長は経営者本人が兼任していて実務的には息子さんが派遣されていることも多いのだが、特にパートナー探しを行き当たりばったりで行うのでは、とても戦略的とはいえないし、思わぬ怪我を負うことにもつながる。何かというと、現地に巣食うペテン師(地元在住の日本人が窓口になっているケースが多い)の餌食になりやすいのだ。現地に進出したばかりのときは日本人ネットワークの恩恵は有難いものである。そんなときに紹介される「在住ウン十年」の日本人コンサルタントにころりと騙されるケースが後を絶たないのである。

現地でたまたま知り合った人(日本人、タイ人の両パターンがある)からの紹介で提携パートナーを決めるという例は実は少なくない。一部の人から聞くだけで随分の数なので、全体は相当なもののはずである。それが詐欺的なものとしてすぐに表面化する場合もあれば、「被害者予備軍」として例えばJVがうまくいかなくなった段階で法的問題が露呈するものもある。そこまでいかなくとも、そんな安易な方法で最適なパートナーと巡り会う確率はごく小さいことは合理的に考えれば理解していただけるだろう。

安心社会・日本にいる人間からすると理解しがたい行動だろうが、現地で心細い境遇に置かれていると、優しい言葉で(しかも日本語で)親身に相談を受けてくれる人がいると人格まで信じ込んでしまうようである。くれぐれも「自社は大丈夫」と高を括らないで欲しい。「振り込め詐欺」と同様で、被害者は「自分は餌食になるはずがない」と思い込んでいるものだから。

それより、精神的に追い込まれていない進出前の段階から、有用な現地情報を(日本人に閉じないネットワーク経由で)仕入れ、信頼できるパートナーを確保してから現地進出して欲しい。そのための有効な支援をハンズオンでできるところは実は多くないので、よく見定めて欲しい。

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BPIA公開講演会を拝聴して

ご案内を受け、昨日はBPIAの公開講演会に参加した。
http://b-p-i-a.com/?p=929

少し遅れたので、日本IBMの河野英太郎さんの著作『99% の人がしていないたった 1% の仕事のコツ』に関する話はほとんど聴けなかった。

続けてあった8つの研究会の紹介を拝聴した。研究会の年間実施回数は実に56回と、皆さん精力的だと感じた。Webビジネス、モチベーション、電子マニュアルなど、多岐にわたるテーマ(かなり拡散気味にも思える)が各モデレータから紹介されていた。

その中でも老舗である「The業務改革研究会」は「BPMを人事制度、組織経営など企業活動の全体から捉える」と銘打ち、真正面からBPMやプロセス改革を捉えており、好感が持てる。小生が6月に講演した「ビジネスモデルを変える大胆な業務改革プロジェクト ~精密機器メーカー事例」も、簡単ではあるが紹介されていた。
http://b-p-i-a.com/?p=757

しかし当該2事例の改革のポイントが「意識改革」だとされていたのには少々苦笑した。確かにハードルが高い案件だったので、クライアントのプロジェクトチームは「意識改革」を余儀なくされたかも知れないが、小生達はプロとしてゼロベース発想によるブレークスルーを成し遂げたと思っている。いずれこの事例は世の中に広く紹介したいとも思う。

講演会の最後は山鳥経営戦略研究所所長のお話。「中三トリオで誰が最初に人気を失うか」「ピンクレディーはあと何年持つか」などをズバリ当てたというのは面白く、今の選挙対策にも使われている事例も興味深いものだった。膨大なトレンドデータをベースに、経営者の仮説を検証することで、高精度に将来を予測し、経営意思決定を支援する手法というのは魅力的であった。何より山鳥氏の迫力が凄かったのが最も参考になった。

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アジア会議2012「徹底解説タイ」に参加して

日経ビジネス主催による「アジア会議2012 徹底解説タイ」に参加した。
http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbsemi/asia/121116/

日経ビジネス誌の前宣伝によると「本セミナーではタイに進出する際に、事業の責任者・担当者がおさえておきたいタイの基礎指標から、消費者動向、販売チャネルなどの最新事情、パートナーの探し方、人材戦略、財務・会計などのファイナンス戦略...のポイントを実践的に学びます。日系企業の成功事例を紹介しながら、その市場戦略を分析、タイ参入への戦略と実践ノウハウを先行する企業の担当者や現地事情に精通する専門家達に語っていただきます」とのことだった。

結論からすると、幾つかの点で期待外れだった。

まず第一に、ミネベアやファミマなど、大企業、しかも随分前に進出している企業のみが紹介され、今進出を検討している企業、中小企業には参考にならないのではないか。なんといっても日経BP社の選ぶ講師は(大田区のOTP以外)大企業向けに偏りすぎている。

次に、成功事例ばかりが取り上げられている。失敗例や気をつけなければいけないことについて、あまりに触れなさ過ぎた。そのためタイ未進出の多くの方々が誤解したり甘く考えた恐れが大きい。現地採用の従業員や幹部社員に横領や使い込みをされる話も一部の講師から出たが、あたかもごく例外であるかのような言い方だった。親日的で「微笑みの国」ではあるが、中国や他の東南アジア諸国と基本的には同じで、従業員の何割かはチャンスがあれば個の利得を図るため罪を犯す。それだけダブルチェックが必要なのだ。また、ミネベアの現在の離職率は平均よりも1桁低い。あれをすぐに達成可能だと誤解すると失敗する。大概の日本企業が手間暇かけて幹部候補生に教育投資をした挙句、いざこれからという段になって転職されてしまい、ほぞを噛んでいる。こうした事実があまり語られないのはなぜだろう。

3つめに、成功要因として「適切な現地パートナーの重要性」には言及されていたが、ではそうした「適切な現地パートナー」をどうやって見つけるのか、または逆に「こういう連中には気をつけないといけない」という肝心な情報はほとんど伝えられていなかった。小生はアジア進出をサポートする側なので、そうした情報を入手する術がある。しかしこの会議に参加している大半の企業担当者はそうした情報をこそ求めているのではないだろうか。

最後に、会議のあとの(追加有料料金での)懇親会こそが最も大切だと思って参加したのに、これまた少々期待外れだった。「進出済の企業」がむやみに多かったこと、時間が短かったため十分に名刺交換ができなかったこと、アルコールなしで料理も少なく凄く割高だったこと、等々。

今後、日経BP社のこうしたイベントには慎重になろうと思っている。

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米中日の政権抗争における「乾坤一擲」

政権抗争の生々しさを、最近の米中日の3国で続けて見た。いずれも既存権力者が放った「乾坤一擲」として。

最初は米大統領選におけるロムニー候補との公開討論会でのオバマ大統領である。第1回目でお上品に振る舞い過ぎてロムニー候補に大きくリードを許したオバマ氏は、入念な準備をもって第2回目と第3回目においてロムニー氏の政策矛盾や曖昧さをあからさまに攻撃する方針に大転換した。時にはロムニー氏の説明を遮って一方的に主張(または糾弾)するといった、「まるで挑戦者のよう」とまで批評されたスタイルであった。政権維持への執念を見る思いであった。これが功を奏し、しかも土壇場でのハリケーン災害での陣頭指揮という幸運を呼び込み、最後は地滑り的な勝利を収めた。

ミドル層の再興を図るオバマ民主党政権のほうが、米国社会にとって正しい方向へと是正するのだろうが、短期的には大統領・上院は民主党、下院は共和党という権力の「ねじれ」が続くため、「財政の崖」危機が象徴するように米国の意思決定構造が機能しない状態が続くのではと危惧される。特に米共和党のベイナー下院議長に党内をまとめる力量がないことが、オバマ大統領にとっては大きな阻害要因となり続けるのではないか。

2つ目は中国共産党大会における胡錦濤(フー・チンタオ)総書記の完全引退である。江沢民の「院政」の前例を否定すべく、自ら政治局常務委から外れるばかりか即座に軍事委主席も退くというカードを切ったといわれる。江沢民・前総書記のこれ以上の影響力を排するため、いわば身を捨てての「刺し違え」である。

この動きは周近平氏にフリーハンドを与える代わりに、一方では自らが周近平政権の後ろ盾となることすら拒否したものである。政治局常務委には江沢民派といわれるメンバーが多数派を占めるので、本当に江沢民氏の影響力を排することができるのかは不明である。とはいえ、胡氏は政権にあったときの功績としては大したものがないが、もし本当に権力の二重構造が解消されるなら、これが胡氏の最大功績かも知れない。

そして最後に我らが泥鰌首相・野田氏の、国会での党首討論における「奇襲解散」発言である。ずっと自民党から「嘘つき」呼ばわりされてきたことに業を煮やしたのか、衆議員総定数の大幅削減の言質を安倍氏に要求し「やりましょうよ。約束してくれるなら16日に衆議院を解散する」と明言したやり取りである。

明らかに虚を突かれた安倍氏はその場で明快な返答をできず、ピント外れの反応を繰り返した。明らかに両者の覚悟の度合いには大きな差があった。あれで民主・自民の支持率の差が少し縮まるのは間違いない。混乱する党内の動きに足を取られてずるずると解散時機を失ってしまう(先延ばししているうちに何かの拍子に内閣不信任案が提出・可決されれば、なすところなく民主は惨敗するだろう)より、少しでも主導権を取り戻して解散したいという野田首相のほうが政局センスがあるように見受けた。

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米国と中国:その進路決定への違い

先週は世界の方向性を決める2つの大きなイベントがあった。米国大統領選挙と中国共産党大会の開催である。

周知の通り、前者はオバマ氏を、後者は周近平氏をそれぞれ選出した。前者は半年以上にもわたる、国を挙げてのキャンペーンの結果であり、後者は密室での党上層部の暗闘の結果である。

前者についてはいずれ考察したいが、先週時点で最も驚いたのは、周執行部の顔触れが、この時点になっても決まらないことである。その背景として前々から指摘されているのが、「院政」を狙って自らの影響力保持を図る胡錦涛氏が推す有力候補に対し、隠然たる影響力を維持・復活させた江沢民氏のグループが抵抗・対抗している形勢であり、両者が綱引き状態にあることが実証された訳である。中国の長い歴史上、何度となく繰り返された醜い権力闘争である。その歴史が示すのは、こうした動きが国が傾く前兆でもあることである。

世界に向けて非常に開かれた米国の大統領選挙のプロセス(中身には問題も相当あるが)を見た直後だけに、余計にその「密室政治」ぶりが目立つ。この開放度の差はいかんともしがたく、いかに中国が(米国に対抗して)政治・経済上の影響力を拡大させていこうと画策しても、先進国はもちろん、民主的な意識を持ち始めた途上国の多くでも、中国の意思決定の不透明さの根幹を否応なしに意識させられているはずだ。

小生の最近の仕事にはクライアント企業に対し脱・中国を支援するような側面があるが、だからといって中国の動きを無視してアジア展開の戦略を考えることなどできない。経済規模的に日本を抜くまでになり、日中の経済的結びつきが近年急速に強まり、しかも日本は地政学的に大国・中国と対峙せざるを得ない位置づけにあり、中国がどこに向かうかを常に意識せざるを得ない。

明らかに中国内部に民衆の不満というマグマが大きく溜まっている中で、上層部のこうした暗闘・対立は、同国の政治リスクを拡大すると共に、海洋政策に現れているように対外的強硬姿勢に結びつきやすい。東アジアは再びきな臭い時代を迎えようとしていると思わざるを得ない。

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異業種交流会にて

今夜はnetworking-88という交流会に参加してきた。
https://sites.google.com/a/networking88.net/networking88/

事務局の八木さんに薦められて顔出ししたのだが、随分沢山の人がいた。こういう場で会いそうな人に1人、前に別の交流会でお会いした(知人が共通する人が)1人、随分昔に短期間だけ同僚だった人が1人、と特に多くもなく、初めて会う人が大半だったので、交流会らしいといえよう。実際に名刺交換できたのは10人前後に過ぎず、精々10分の1程度だが、数人とは面白い話ができたので、まあよしとしよう。

幾人か、東南アジア絡みの仕事をしている人がおり、これも時代の流れかと思った次第。一昔前なら「猫も杓子も」中国一辺倒だったのが、様変わりである。昨今の状況からはそれもむべなるかな、といったところである。そういえば最近聞いた話だが、以前には中国進出ビジネスで荒稼ぎしていたコンサル会社の幹部の方が「これからは中国からの撤退コンサルティングで稼がせてもらう」と豪語していたそうだ。大した商売人だが、小生は真似したいとは思わない。今の状況は2年前の「尖閣諸島中国漁船衝突事件」で予想できたので、中国進出を考えている企業には思い止まって、むしろ東南アジアに目を向けるよう、アドバイスしてきた自負がある。

それにしても、こういう立食パーティでは小生はいつも食事を取り損なってしまう(飲み物はそこそこ手に取るのだが)。気づいたらもう殆ど平らげられており、タコの切れ端を幾つか食べただけだったので、その面では元は取れない。カミさんには「あんたはおっとりし過ぎよ。みんなちゃんと食べるのよ」と毎度笑われている。皆さん、ちゃんと食べるって、そうなのか?次回は少しはちゃんと食べるよう、挑戦します。

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誰も語らなかったアジアの見えないリスク

『誰も語らなかったアジアの見えないリスク 痛い目に遭う前に読む本』出版記念シンポジウムに参加した。
http://pub.nikkan.co.jp/html/asiarisk20121106

本の趣旨は「中国・アセアン地域を中心にはびこる不健全な実態やビジネス・リスクに無防備な日本企業の実情を明かし、対応策を提案する本。マクロ経済の動向に伴うリスクや法務など、業種共通のリスクを取り上げ、リスクの洗い出しによる管理手法を解説している」とのこと。興味があったので仕事の合間に出席した。

ビジネスプロセス革新協議会からの案内で知った催しだったが、主催は「株式会社せおん」という編著者・越純一郎氏の会社であった(氏は事業再生で著名な方で、NHKドラマ、映画にもなった小説『ハゲタカ』のモデルらしい)。出版記念シンポジウムということで本の販売もしていたが、基本的には著者たちの宣伝イベントだったようだ。

編著者である越氏はアジアでのリスクを幾つか挙げて、「安易なアジア進出で騙されないように」という警告を発したかった、とコメントされていた(でも今年には「いま進出しないでどうするアジア!」と煽るセミナーも開催されていたようだ)。特にジェトロ・商工会議所・大手日系銀行などに相談しても意味がないこと、日本企業の甘さが法務リスクへの対処に現れていること、現地での日本人コンサルタントに騙されるパターンなどを指摘されており、その通りと感じた。ご本人は自身のビジネスをこれからアジア展開されるそうだが、その際には安心して組める相手がいる分野、自分達しかできない強みがあることなどを条件に挙げており、「アセアン投資ファンド」(多分、氏の次のビジネスなのだろう)への期待を示していた。

次に講演されたのがタイ在住のコンサルタント・楠本隆志氏。この方も正体がよく分からない感じがしたが、「私に頼めば皆金持ちにしてあげる」と豪語するなど、越氏のいう「現地での日本人コンサルタント」そのものにあてはまる胡散臭さはあったが、確かに迫力はあった。幾つか日本企業の進出の失敗・成功事例を挙げていた。例えば現地採用の経営者に金を持ち逃げされたり会社を乗っ取られたり、出入り業者に騙されてぼったくられたり施設工事に延々と時間と費用が掛ってオープンできなかったり、25.5%以上握られている現地パートナーに増資を邪魔されて結局乗っ取られたり、といった「怖い」事例が幾つか出ていた。「こんな羽目に陥らないためには現地事情に通じた自分に相談しなさい」という訳である。日本の中小企業のオッサン達に対しなかなか説得力があったのではないか。小生のように友人である現地人の人脈で筋のよいパートナーを探してあげるというのと似た文脈であると感じた。

他の講演者は、アジアでの電力投資ファンドの井上氏、GCAサヴィアンの福谷氏、元投資銀行で現・アジア戦略アドバイザリー・杉田氏、ビジネス・アドバイザー・高木氏(元サービサー)などの金融マンばかりであった。こうした日系金融マン連中に海外進出の戦略コンサルができるとは思えないのだが…。でも現地での法人設立手続きだけで法外な料金をふんだくる連中よりはましなのだろうとも思った。少なくともブームに押されて(戦略なしの)安易な進出をすることのリスクを感じてくれるだけでもよいことである。

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「反日暴動に負けない!~平和堂 45日間の全記録」を観て

ガイアの夜明け【反日暴動に負けない!~独占取材!平和堂 45日間の全記録」を観た。
http://www.dailymotion.com/video/xupy23_yyyyyyy-yyyyyyyyy-yyyy-yyy-45yyyyyy-2012-10-30_shortfilms

何ともやるせない光景が何度も展開されていた。理不尽な反日デモにおける暴動の矛先は現地に根付いている日本企業にも向かった。その1社が滋賀県を本社とする地方スーパー、平和堂である。同社は中国進出した日本のサービス企業の中でも成功事例としてよく紹介されていたものだ。進出後約16年、特に内陸部まで入り込んで、それまでほとんど現地に無かった「サービス」「おもてなし」といった概念を形にして定着された先進事例として。

しかしながら「日本」を象徴するだけに今回の暴動、そして略奪の真っ先の対象になったのである。綺麗だった百貨店内が「ここまでやるか」というほど破壊、略奪されていた。その惨状の映像を観て息を飲み、平和堂の人達の心情を思い、心が痛んだ。番組の中で平和堂社長が「子供が病気になったようだ」とか「我が家が台風で破壊されたようだ」と言っていたが、本心は「自分の子供が暴行を受けた」ような気がしたのではないか。心底腹が立ち、それまでの日中協力のために尽くしてきた日々が否定されたようで情けない思いがしたろうに、感情を押し殺しているのが画面から伝わってきた。

それでも夏原社長は従業員の思いを汲んで、店の再開を、従業員全員と顔を合わせたその場で決めた。その場で店の閉鎖に不安を抱く従業員の顔を見て再開を決めた夏原社長は、番組に対し「止めるとは云えませんわ」とコメントしていた。

店の再開を決めたとはいえ、経営陣は大きなリスクを感じていたはずだ。1)テナントが戻るのか、2)客が再び来てくれるのか、3)再び暴動によるターゲットにならないのか、というリスクだ。テナントの多くは無保険で、まるまる今回の損害をかぶることになり、3)のリスクに対しての不安が大きいことが示唆された。それでも番組の中で、有力テナントが平和堂との今までの取引に感謝して再開することを約束してくれるなど、苦労が実っていく様子が伝えられていた。そして悪戦苦闘後の店の再開時には予想外に多くの客が再び来てくれ、復活へ向けて明るい希望が感じられた。

平和堂関係者の勇気と努力には称賛の思いが募るし、一旦再開を決めたからには是非復活してもらいたい。しかしながら3)のリスクに関しては今後とも払しょくできた訳ではない。以下、あえて厳しい話を述べる。

中国が独裁で人治国家であり格差が大幅に縮まらない限り、底辺層の不満は今後とも日本企業と日本製品に向かう。その矛先は再び同社にも襲いかかるかも知れない。今回の暴動は半分は官製であり(民衆の不満のはけ口とする手口である)、同社の店舗が襲われた際に現場にいた警察官達は暴動を押さえようとはしていないのが、映像でも確認できた。地方政府は再開にあたって同社に対し「今後は再発させない」と約束したそうだが、そうした約束が守られないのが中国という国である(多くの発展途上国に共通するのだが)。

中国での政治リスクは決してピークとは云えない。むしろ今後景気が悪化すれば、そのしわ寄せは底辺層に向かい、さらに暴動は激化する可能性が高い。中国に進出済みの中堅以下の企業では、撤退により屋台骨が傾かないところは、多くが真剣に撤退を検討しているというのもあながち誇張ではなかろう。

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