ネット販売の巨人・アマゾンの「体力勝負」戦略

米アマゾンがSECに提出した年次報告書によると2012年における日本での売上は78億ドル(直近のレートで約7300億円)と、日本でのネット販売業では最大であることが判明した。以前からアマゾンの躍進振りは伝えられていたが、それが証明された格好だ。

同社の何が凄いのか。2月24日(日)のNHK「Biz+サンデー」ではその秘密をかい間覗かせてくれた。番組で映していたのはその巨大な物流センターの内部。業者が預けたりメーカーから仕入れた品物を発送前に一時的に在庫し管理するのに、いちいち商品カテゴリーごとに仕分けしたりはせず(その時間が惜しいから)、商品バーコードに続けて置き場所のバーコードを読み取る。それだけでコンピュータでひも付けされる。その品に注文があって探す際には、ピックアップ係のうち最も近くにたまたまいる人間に、コンピュータから自動的に指示が飛ぶ。

とにかくコンマ数秒でも短く作業が完了するよう、従業員からも「こうしたほうがよい」という提案が常に上がってくるそうだ。日常的に「カイゼン」が行われているのである。アマゾン・ジャパンのチャン社長が自社の戦略として「品揃え、低価格、利便性」の3つを常に追求することを挙げていた。アナリストたちが解説していたようにこれは小売の王道であるが、それ以上に強者の戦略、Operational excellence leadershipの戦略だと感じた。

その戦略追求のために彼らはITと物流を自ら手掛け、多大な投資をしている。そしてどんどん効率的になっているのである。しかも送料無料などを仕掛けている。競合の通販業者からすると体力勝負に巻き込まれて非常にやりにくいはずだ。「どこまでやるんだ、アマゾンさんよ」といった気分だろう。この戦略は当初アナリストたちから批判の的となっていたが、ドイツ証券アナリストの方は「今では株式市場もその戦略を理解し、好意的に評価している」と解説していたのが印象的だった。一見、死角がないようなアマゾンだが、こと日本に関してはまだ発展途上であると小生は感じるが、如何だろうか。

ちなみに番組の中では、アマゾン・ジャパンの社員が地方の業者のところまで足を運んで特産品を売ってもらうよう働き掛ける営業活動が紹介されていた。一昨日このブログで、「セコムの食」が同じことをしているのを(ただし違和感も)紹介したが、まさに小売の巨人が地道に営業活動をしているのを観て、小売の競合たち(特に楽天)は油断ならないと感じたのではないか。

米国ではまさに小さな地方業者がアマゾンの仕組みを使ってロングテイルの商売を拡げている。日本では米国から5年ほど遅れる感じでオンライン通販市場が拡大しているので、そろそろ日本もそうした段階に突入しようとしているのだろう。地方の零細業者も全国に販路を拡げる手段がどんどん拡がっているのだから、面白い時代になってきたものだ。
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個人が気軽に店を開設する時代がやってきた!?

2月12日(火)の『ガイアの夜明け』はある意味衝撃的だった。題して「あなたも繁盛店を作れる!」。冒頭は東急ハンズでのノンプロ作品の販売コーナーの紹介で、軽いジャブ。しかしこのあとが面白かった。

吉祥寺の商店街で週末だけ鮮魚を売る吉川仁さんは「iPad魚屋さん」と呼ばれる。店に魚は置いていない。あるのはタブレット端末のiPadだけ。小樽の鮮魚店(こちらはiPhone)と生中継でつながっており、客は小樽の店とやりとりしながら新鮮な魚を注文する。夕方までに頼めば翌日には東京の自宅に届く。この仕組みは鮮魚店経営者・〇さんが考えたようで、吉川さん(週日はトラック運転手)には売上の15%が入るという。

東京・三軒茶屋の洋品店「三恵」は近所にオープンした大型店に押され、売上は年々低下している。3代目の飯島琢久哉さんは、低コストで客と店をつなぐ「iPad魚屋さん」の評判を聞き、見学したうえで自分もできると思い立つ。そして「昔の常連さんに売ってみたい」と、老人ホームとの生中継に挑む様子が番組では紹介されていた。

練習段階では店員がうまくカメラを操作できないのだが、本番では老人ホームに引き籠る昔の常連さんが懐かしそうに画面を覗き込み、店内を映してもらって買い物を楽しむ姿が印象的だった。客に感謝された飯島さんが涙ぐむ場面は感動的ですらあった。ここには超高齢化社会・ニッポンの小売が挑む未来像のヒントがある。

実は個人的に凄いと思ったのは、むしろこのあと。「ストアーズ・ドット・ジェーピー」という、「2分で簡単にインターネット上に店が持てる」というサービスである。従来難しかったオンライン店舗の開設が実に簡単にできる。しかも1ヵ月の出品は5品までは無料(6品以上は月980円)と衝撃的に安い。

会社から早期退職を迫られた61歳の元管理職の男性が、このサービスを使って自分の店をネット上に立ち上げた様子が紹介されていた。退職当初はショック状態だったというが、今は趣味で作り始めたアクセサリーを販売するようになり、やりがいを見つけたという。値段は一つ5000円前後であるが、立ち上げてから1ヵ月程で既に15個売り上げている。

それ以外にも面白い事例が紹介されていた。市川市に住む妻沼大介さんはインターネット店「1012 TERRA」を立ち上げ、それだけで生計を立てている。ガラスを使ったサボテンの水耕栽培の容器を自作し、1個1万円から3万円で販売している。多いときには60万円を超すこともあるという。

大田区の橋本未来さんは大学で空間デザインを学んでいたが、就職氷河期ゆえにデザイン関係の会社には就職できず、卒業後は父親の町工場を手伝ってきた。工場の隅にある端材を使ってアクセサリーを作ることを思いついたが、フリーマーケットでは全く売れず、落ち込んだという。しかしストアーズ・ドット・ジェーピーと出会って、mkという店をインターネット上に立上げた。売り上げはまだ5万円程度だが、今後はこちらを本業にしたいと考えているそうだ。

どの人も、自分の店を低コストで開設できたこと、自分の作る作品が直接消費者に評価されることに、とても生き生きとした表情を見せていた。ストアーズ・ドット・ジェーピーのようなサービスがどんどん出てきて、特殊な縁や資格がなくともやりたいことができる世界が拡がる、そんな素敵な世の中になりつつあるのかも知れない。

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地方の海産物を新鮮なまま届ける、流通の革新

2月19日(火)の『ガイアの夜明け』は、「“絶品の味”が身近に!~ここまで来た、凍らせる技術~」。独自の技術や取り組みで地方の隠れた名品を冷凍またはそれに近い形で輸送することで、日本の食の流通を変えつつある(大手冷凍食品メーカーや小売企業ではない)異色の企業の挑戦を追う。

1つ目は、異業種から参入しヒット商品を生み出ている警備会社のセコム。冷凍食品の宅配「セコムの食」の利用者は年々増加し、現在10万人を超えているという。「但馬牛の煮込みハンバーグ」や「比内地鶏の水炊き」など、地方の人気店が作る総菜や菓子など約500種類、地方の小さな生産者が生み出した食材を、冷凍させることで都市圏の消費者に美味しいまま届けることを可能にし、ヒット商品に生まれ変わらせる取り組みを番組は追っていた。

セコムの食の主任・猪口由美氏は、そこでしか食べられない一品を探して全国を飛び回る(さすが儲かっている大企業!余裕が違う)。番組で取り上げられていたのは、熊本・阿蘇市にある「菓心 なかむら」の「ふかふかロールケーキ」(「セコムの食」No.1人気だそうだ)、青森県・弘前市にあるレストラン「オステリア エノテカ ダ・サスィーノ」の「笹森シェフのまかない馬肉カレー」。どれもさすがに美味しそうである。

ただ、番組を観て思ったのは、「なぜセコムなのか?」。確かに「安全、安心」が彼らの事業キーワードではある。しかし本来、こうした仕事はそうした美味しい食材に対し目利き能力があるはずの食品加工メーカー、小売企業、そして飲食業者が先んじて行うべき通販事業ではないだろうか。そうした会社が既存事業の枠組みに捉えられ過ぎて、ビジネスモデルを工夫できなかったから、(本業で無闇に利益が上がるために素人担当でも手間暇を分厚く掛けることが許される)異業種のセコムが手掛けたら凄く評判がよくなってきた、という構造ではないかと類推できた。

 もう一つ、群馬県にある従業員わずか6名のベンチャー企業「マーズカンパニー」がその技術と頑張りによって地方活性に貢献する姿が取り上げられていた。彼らは「シースノー」を作る機械のメーカーであり、その特許を保有する。塩分濃度1%の氷を作ることにより、氷の温度は-1度になる。その「シースノー」という氷で包んで全国に魚を発送すると、驚くほど鮮度が保たれるのである。

彼らが開発したもう一つの驚異、特殊な冷蔵庫「蔵番」では、庫内の温度がマイナス2度にも関わらず、食品内部の粒子を振動させることで完全には凍ってしまわない状態にすることを可能にした(この原理は、以前別の番組で取り上げられていたアビー株式会社の冷凍技術” CAS=Cell Alive System”と同じかも知れない)。2週間前に冷蔵庫にしまったきゅうりやニシンでも新鮮なままである。

この「シースノー」と「蔵番」を組み合わせることにより肉や魚などを2週間程度長期保存でき、北海道で獲れた魚を沖縄・那覇市にある居酒屋「吉崎食堂」でも新鮮な刺身で食べることができるようにした(つい「どうして沖縄の居酒屋で北海道産の魚を出すんだよ!それじゃ地方の味の意味がないだろ!」と突っ込みを入れてしまったが…)。宮古市は震災で被害を受けたが多くの漁業が再開しており、宮古市役所は地元で獲れる深海魚・どんこを関東に輸送したいという。

番組の中では、松井社長はシースノーを使ってどんこを詰め、蔵番のある埼玉県深谷市へ向かう。鮮度計でどんこの鮮度を計測すると値は17.0と最高レベルだ。そして群馬・高崎市に運ぶ。スーパー「食の駅 ぐんま 前橋店」で販売したところ、馴染みのなさと見た目のグロテスクさから中々売れない。結局、松井の必至の接客により1尾だけ売れたところまで番組では紹介していた。

地方の味を都会で味わいたいという消費者は多く、こうした食産物の冷凍輸送ニーズは高い。是非、アビーのCASと同様、地方の水産業・畜産業を活性化させるのに役立って欲しいものだ。

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パンクの心配が大幅に減る「エアハブ」。アジアに売り込み!?

2月9日のBSジャパンの日経スペシャル「アジアの風 小さな挑戦者たち」は、自転車最大のトラブルを解決した中小企業の話。その主人公は株式会社中野鉄工所の社長、中野隆次(なかのたかじ)氏。ハブ(車輪と車体を繋げる部品)に画期的な機能を加えることに成功、大手自転車メーカーに提供し話題を呼んだ。

自転車は乗っても乗らなくても極小の穴からタイヤは空気が漏れるが、ハブに空気入れの機能をつけた「エアハブ」であれば、一日に約200メートル走るだけで自転車のタイヤは適正気圧を維持する。これにより自転車最大の悩み、パンクの大半が解決される。パンクの主な原因は、空気圧が低い状態で段差のある箇所を通る瞬間、道路(または縁石など)とリムとの間にタイヤのチューブが挟まれて生じる。それが適正気圧を維持してくれるエアハブをつけることによって、パンクの可能性が劇的に減るのである。

番組では日本の自転車産業が辿った衰退への道が紹介されていた。1990年には国産自転車が800万台に対し中国からの輸入車は66万台。それが20年後には全く逆転してしまい、今では日本の自転車の約9割が中国製という。10社あったハブメーカーも1社(=中野鉄工所)だけになり、起死回生の策として開発されたのがこのエアハブなのである。

2004年に完成したエアハブは日本の大手自転車メーカーに採用され、販売台数は7万台を突破。その技術力は高く評価され、2005年には第一回ものづくり日本大賞に輝いている。当時のニュースでもかなり取り上げられており、注目されたのが分かる。しかし日本での現在の普及率は今一つなのだろう(これは日本が先進国らしからぬ構造を持っているからだが)。そして今、中野氏はアジア市場を目指すという。

番組では台湾(世界的メーカーが集積する生産拠点でもある)および韓国市場をターゲットに、各市場に詳しいコンサルタントに見通しを尋ねていた。両コンサルタントからは将来性があるとのコメントが寄せられていた。しかし小生は番組およびコンサルタントのロジックのチグハグさに、素朴に疑問を感じた。

そもそもエアハブを付ける自転車はある程度の高機能製品である。使い捨て感覚のママチャリやアジア庶民の足がターゲットではない。むしろエコを重視するがために通勤・通学で自転車を使う、欧米および日本といった先進国の比較的若い層の消費者である。するとそうした市場に強い(または強化したい)先進国のメーカー(および先進国の小売企業)に売り込むべきではないか(台湾メーカーも含んでよいが)。少なくとも自転車が重視されていない韓国市場は的外れだろう。

折角の高い技術力なのに、支援する側がよく考えていないために足を引っ張ることになるのは惜しい限りである。あーあ、こんな話、そこらじゅうにあるのだろうなぁ。

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スーパーコンピュータがもたらす産業革命

あるプロジェクトの関係で知人から教えてもらったのが、スパコンの産業利用の話。様々な産業のR&Dプロセスが様変わりするかも知れない。

特に注目を浴びているのが、理化学研究所が所有する富士通製スパコン「京」。既に昨年の9月から利用が始まっている。稼働時間の50%ほどは国が指定する5つの戦略分野(バイオ、新物質・エネルギー、地球変動予測、次世代ものづくり、物質と宇宙の起源と構造)に使われているのだが、30%程度は一般企業に開放されており、申請し認められれば利用できるのだ。
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201201/3.html
http://www.aics.riken.jp/jp/use/sangyouriyou.html

「京」ではないが、それに準ずるスパコンの産業利用オプションもある。産学連携研究や実践的な企業技術者の育成を推進することを目的に、計算科学振興財団(FOCUS)では国の補助金によって整備した産業界専用のスパコンFOCUSを、民間企業に有料で活用させている。この趣旨に対し設置場所の神戸市が支援し、企業に広く紹介しているそうだ。
http://www.j-focus.or.jp/focus/

実はこうしたスパコンの産業利用には先駆者がいる。それがNEC製スパコン「SX-9」を運用する東北大学サイバーサイエンスセンターである。7%が民間企業などとの産学連携であるとのことで、既に水力発電機のタービンの設計や垂直磁気記録装置、地雷探知地下レーダーの開発といった「ものづくり」の分野で成果が生まれているそうだ。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1110/28/news008.html

スパコンの産業利用により、特に期待されているのがシミュレーション。これまで数年かかっていた作業を僅か1日でこなすことができるので、これまで実験の繰り返しで成り立っていた研究や開発のプロセスが、コンピューター上の精緻なシミュレーションに置き換わる可能性が高いからだ。例えば自動車産業では、実験で把握できなかった走行時の複雑な空気の流れをコンピューター上で再現。試作をせずに空気抵抗や車の乗り心地を確認しあれこれとデザインを試行錯誤できるようになる。

この産業的意味がピンとくる人は限られるだろう。確実に各種製品の開発期間が短縮される。そしてメーカーによっては、素早い「手戻り」が可能になるため、デザイン工程からの一貫VR設計が本当に可能になるかも知れない。以前、ある自動車メーカーでのデザインプロセスの改革をお手伝いしたことがあるが、その際には越えられなかったボトルネックも解消されるかも知れない。

この産業利用とその課題についてはNHKの「クローズアップ現代」でも「超高速計算が起こす“新・産業革命”」と題して取り上げており、世間の注目も高まっているのだと感じる。http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3290.html
番組ではスパコンを利用する人材・ノウハウが限られていることが課題だと指摘していた。確かにそうだ。

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世界を救う!“反骨”の科学者による『カイコのワクチン』開発

TBS「夢の扉+」2月17日の放送は「新型インフルウイルスに挑む!」と題して、ウイルスそして不合理と闘い続ける “反骨の科学者”のワクチン開発最前線に迫るものだった。

今、人類が直面する脅威が「高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)」。その新型ウイルスは強い毒性を持ち、もしパンデミック(大流行)が起きれば、 日本だけで最大約60万人が死亡すると言われる。 このウイルス用ワクチン生産の技術を確立しようとしているのが、名護市の生物資源研究所所長、根路銘(ねろめ)国昭さん、73歳。第一線を走り続けてきた、日本のウイルス研究の権威だ。

彼が目をつけたのは、「カイコ」。従来の鶏卵を使う方法では、有精卵1個につき作ることができるワクチンは数人分。しかも新型ウイルスのように毒性が強いと取り扱いが難しいため、開発に膨大な時間を要する。だが、カイコは1匹で最大数百人分ものワクチンを作ることができ、従来の3分の1の時間で生産できるという。

さらに根路銘氏は、毒性の強いウイルスそのものを使うのではなく、遺伝子組み換え技術により安全性を高めたウイルスを使ってワクチンを作ることに挑戦。低コストで量産できる方法を編み出そうと心血を注ぐ。

『途上国の人々にも、安全で有効性の高いワクチンを、科学者として提供したい』という彼は、「カイコワクチン」実用化に向けて、「鳥インフルエンザの本場」インドネシアを訪れる。ウイルスを封じ込めるため、まず鳥用のカイコワクチンを開発。鳥での効果が認められれば、世界のワクチン開発を前進させる大きな一歩になる。

番組中で最も感動的なのは、根路銘氏が世界的遺伝子学会の権威達を説得する箇所。政治的な思惑から効果の劣る米国産のワクチンを標準にしようとする彼らに対し「君たちは政治家か、それとも科学者か」と迫り、10対1の決議をひっくり返してしまう。まさに信念の人である。こういう人、好きだなぁ。

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日本の田園都市を輸出するモデルケース

昨日BS11で放送された「未来ビジョン 元気出せ!ニッポン!」は、題して「世界にはばたく東急多摩田園都市」。 BECAMEX TOKYU社長の星野俊幸氏がゲストだった。
http://www.bs11.jp/news/960/

東急電鉄がベトナム南部のホーチミン市郊外で投資額1000億円規模の都市開発に乗り出し、2020年を目標に現地では着々とインフラ作りが進行している。日本の街づくりを丸ごと輸出する事業というスケールの大きい話で、日本の「インフラ輸出」政策にも合っている。
http://www.asahi.com/housing/news/TKY201210030829.html

ホーチミン市(HCMC)の北に隣接するビンズン省(この地は、小生が関与したHCMCの地下鉄1号線沿線ではないようだ)の工業団地開発会社・BECAMEX社から声を掛けられたのがきっかけだったそうだ。同社は世界の主な都市を多く、日本でも幾つかの都市開発事例を視察・研究し、「多摩田園都市」の開発実績により東急電鉄が最もパートナーに相応しいとアプローチしてきてくれたそうだ。

声を掛けられた東急電鉄社内ではしかし、相当な議論になったそうだ。なにせ渋谷の再開発はまだまだこれからが本番(東急東横線の地下化に伴う渋谷駅ビルと東横店の建て直しなど)で、リソースに限りがある。それに過去の海外事業展開はことごとく大失敗に終わっている。

しかし多摩田園都市は既に切り売りはほぼ終わっているし、東急沿線開発のネタは限られている。何といっても国内は人口減少社会だ。今後伸びるのはやはりアジア、わけても東南アジア。その中でも有望なベトナムである。

会社としても、ここで成功すれば、今後の東急電鉄のインフラ輸出モデルが確立できる。ハイリスクには間違いないが、うまくリスクをマネッジできればハイリターンを生む事業である。戦略的判断としても「やろう」となったのは妥当である。とはいえ、ベトナムでは韓国や台湾、シンガポールの企業が既に都市開発を手掛けており、資金や推進・運営主体の問題などで計画段階で中断しているものも少なくない。それだけ難しい事業なのだ。

しかし海外事業の清算を率先してきた星野氏本人が「この事業に東急の将来を賭けよう」と先頭に立つことを決断したとのことだ。急成長都市・ホーチミン市の隣に広大な敷地が「白いキャンパス」として絵を描かれるのを待っている。これは「男のロマン」だろう。日本人として、そしてベトナムに縁のある人間として応援したい。

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脱花粉症の切り札『無花粉スギ』の開発ストーリー

昨日TBS系で再放送された「夢の扉+(プラス)」は、弊社メルマガでも今月のお薦めとして紹介したもの。題して「花粉症を防ぐ切り札に! 花粉を飛散させない『無花粉スギ』開発」。
http://dogatch.jp/news/tbs/12522

今や国民病とも云われる花粉症。春が憂鬱な季節になってしまう人は少なくない。今回の番組は、脱花粉症の切り札とされる『無花粉スギ』を開発した人、富山県森林研究所・斎藤真己氏(41)の挑戦ストーリー。

富山市内で花粉が全く飛ばない1本のスギの木が偶然発見され、斎藤氏が所属していた大学院の農学研究室に共同研究が持ちかけられたことから始まった。斎藤氏は「花粉症患者の未来を変える」と直感。しかし学会での発表は「1本だけ見つかってもしょうがない」と無視された。そして彼は決意する。「絶対に世の中に役に立つ。何としても実現してみせる!」と。

そこからの斎藤氏の努力にはホント、頭が下がる。全国各地からスギの優良品種の花粉を330品種も取り寄せ、無花粉スギと1種ずつ交配。そして、遂に「無花粉になる遺伝子」を持つ品種を発見。9年の年月をかけて、運命の1本にたどり着く。そして林業にも適した優良で且つ無花粉のスギを、種子から大量生産する技術を全国で初めて確立。昨秋、植林にこぎ着けた。

その過程では、最初の発見者・平氏がこつこつと全国10万本のスギを調べて、15本の無花粉スギを発見した努力に背を押された、と斎藤氏はコメントしていた。お2人とも凄いとしか言いようがない。決して諦めることのない、“真の研究者としての尊敬に値する。斎藤氏は「やらなければ、何も変わらない」と短くコメントしていた。

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「東南アジア進出セミナー」を終えて

本日2月14日、前から企画・告知していた弊社主催の「東南アジア進出セミナー ~リスクを見極める、戦略を立てる、地元人脈を掴む」を実施した。
http://www.pathfinders.co.jp/seminar/s20130214p.pdf

今回のセミナーでは、安易な現地進出で手痛い失敗や詐欺的手口に遭うパターンや個別事例をかなり紹介した。その上で、特に気をつけなければいけないリスクと対処法をお話しした。日本にいては想像できないような、そして呆れかえるような陥穽が待っていることを実感していただけたと思う。有力な現地人脈を持ち、日本企業の現地進出を支援してきた我々だからこそ伝えられた話だと思っている。

事前準備に相当な手間を掛けて事例を収集・整理した甲斐があって、聴講していただいた参加者からは高いアンケート評価をいただいた。この点は、やってよかったと思う。

10名のご予約をいただき、うち突発のトラブルで欠席した1人を除き、9人の参加者を迎えた。有料かつ高価な受講料なので厳しいとは思っていたが、やはり定員には満たなかった。(セミナーの中で小生自身が話したことだが)日本の中堅・中小企業は独自情報に対する対価を支払うことに前向きでないことを実感した。残念である。

幾つか学んだこともある。知人に薦められたファクスDMによる告知は残念ながら大して効果がないことも判明した。むしろ知人に対するメール告知や海外進出支援サイトによる誘導にそれなりに効果があること、他の有料セミナーの値ごろ感なども学んだ。コーディネイトと少しスピーチしてもらうことを当てにしていた知人が直前に辞退するという事態もあり、色々と考えさせられる経験でもあった。

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超格差社会・韓国の衝撃の実態

2月11日放送の「未来世紀ジパング 沸騰現場の経済学」は「日本人が知らない衝撃の韓国!」と題して、超格差社会・韓国の実態を伝えるものだった。「沸騰ナビゲーター」は経済ジャーナリストの財部誠一氏。

グローバル市場での躍進が続く韓国勢。中でもサムスン電機とヒュンダイ自動車が目立つ。特に日本の家電御三家「ソニー、パナソニック、シャープ」が業績悪化に苦しむ中、世界市場でサムスンの勢いが止まらない。テレビにスマホにと、今や「世界トップの家電メーカー」へと成長した。

番組は、そのサムスンが虎視眈々と狙う「世界制覇への野望」に迫る。全米の流通大手(コストコなど)の店頭でサムスンの液晶テレビが圧倒的に目立ち、ダントツの市場シェア(22%以上)で売れている。しかし財部氏は日本の家電トップの言葉として、「液晶テレビで利益を出している企業はない。たとえサムスンでも」と伝える。つまり店頭で圧倒的な物量でサムスン製品を目立たせ、割安な価格で他社の利益を奪う。実際にはアップルが値を吊り上げてくれるスマホで利益を稼いでいると断定する。いわば肉を切らせてライバルの骨を断つ戦略だ。

サムスンが全米を自社のショウルーム化する作戦の舞台は量販店だけではない。派手な街頭広告宣伝に加え、ホテルや空港など多くの人目につく場所でサムスンのテレビばかり目立たせるため、圧倒的に安い価格(もしくは無料)で納入し展示してもらう。お陰で若いアメリカ人は「テレビはサムスン」と既に刷り込まれている。正々堂々ではないかも知れないが、何とも徹底したマーケティング策だ。

アジア金融危機を思い切った経済改革で乗り越え、今や世界市場で勢いづく韓国だが、国内では怒りと絶望が爆発している実態を、番組の後半では伝えていた。知識では聞いて知っていたが、映像で見ると衝撃的だ。

自殺が多発し(世界一の自殺率)、低賃金に不満を募らせる非正規労働者のデモやストライキが各地で起きている(世界で躍進するヒュンダイの最大工場でさえ)。そして江南(カンナム)スタイルの大ヒットで知られるセレブの街・江南の一角には凄まじい貧民街があり、日本の1/7程度の年金で肩寄せ合って暮らす高齢者が、日雇いの職探しに今日もあぶれる姿が映し出されていた。一度失敗したら這い上がれない、しかもどん底まで落ちる社会。これは今の米国社会であり、かっての小泉改革が目指した日本社会の将来図だ。日本はこんな社会にだけはなってはいけないと思った。

ナビゲーターの財部氏が最後に伝えた「テレビを捨てて復活せよ」という日本メーカーへのメッセージは重要だ。基礎技術への過去の投資による分厚い蓄積を活かせ、過去の栄光にこだわることなく独自の強みを活かせる分野に絞って新しいビジネスに果敢に挑戦せよ、ということだ。

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日本の水産業を成長産業に

1月26日(土)のBS11チャンネル「未来ビジョン 元気出せ!ニッポン!」の「日本の水産業を成長産業に」を録画で観た。ゲストは宮城大学副学長の大泉一貫氏。「世界の英知を復興へプロジェクト」のリーダーでもある。

大泉氏が目指すのは、水産業を儲かる産業にすること、それにより若者が水産業を目指すようになることである。そのためにも漁業権の問題を解決し、漁業のやり方を変えるべきだ、徹底して合理化・機械化することで輸出産業にもなれる、豊かになれる、と主張している。その具体例として、漁業先進国・ノルウェーの視察を主導した際の映像が流された。

その様子は全く日本の風景とは異なる。日本だったら漁から帰った漁船が水揚げした魚は人手で市場に集められ、そこでセリに掛けられ、セリ落とした卸業者が引き取っていく。そして彼らが水産加工場へと改めて輸送する。その度に人手で魚を運ぶ、人海戦術そのものである。

ところがノルウェーでは全く違う。漁船は帰る途中で無線により、インターネット上での「洋上オークション」の結果、どの加工業者が最高値でセリ落としたかを知り、その加工場のある港に直接運ぶ。船からは自動ポンプで魚を吸い上げ、短時間で加工場の所定の場所に送り込まれ、どんどん加工される。完全に「近代工場」の世界である。

養殖への取り組みも進んでおり、世界食料危機時代にも備えているという。両国は船の大きさも快適さ(部屋の広さ、綺麗さ、料理や娯楽等々)も格段に違い、観ていて恥ずかしいくらいの、近代産業と封建時代の家内工芸とでもいえる格差がある。

この差は企業と個人の差でもある。漁業権という既得権に守られている既存漁民のエゴにより産業の近代化が阻まれてきた結果でもある。その枠組みを変えることさえ許されれば、やり方を工夫することは日本人の得意とするところである。宮城県の「漁業特区」の試みが、この衰退産業体質に風穴を開けてくれるのを期待したい。

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ふるさと再生に懸ける

1月29日の「ガイアの夜明け」の「ふるさと再生に懸ける」を録画で観た。安倍政権は公共事業を中心とした大型補正予算案を編成した直後であるが、 この番組では中央政府のサイフに寄生する代わりに何とか自力で再生しようという地方の動きを追う。

財政破綻の一歩手前に立たされている大阪府・泉佐野市、6年前に財政破綻した北海道・夕張市をとり挙げ、その再生に取り組む挑戦に密着する。

泉佐野市は、関西空港開港という絶好の機会に、箱モノ公共投資に頼って借金を増やすだけ増やして後世の世代にツケを回してしまった、情けない地方自治体の代表である。

最近、市長に就任した千代松氏は、しがらみの無さを活かし、思い切ったリストラ策、税収増加策を主導している。まずは市長自らの報酬をカットし、職員の給与カットも要請。そして市が所有する資産のうち稼働していないものを積極的に売却し、市のキャッシュ状況を改善。市長の覚悟が伝わってくる。

市長の意を受けた担当部署が取り組むのは、新たな発想で税収以外の財源を生み出すこと。要はアイディア勝負。地元出身で別の地に住んでいる人たちのふるさと納税を促進するべく、特産品を活かした高級カニ飯をお礼の品に加えた。税額控除の関係で、ふるさと納税をした人の実質的負担は数分の一となる。

また地元の産業を活性化する動きの一つとして、それまでコストを掛けて集めて捨てていたギンナンを使った名物づくりに取り組んでいる様子が伝えられた。地元の工業高校生に殻を取除く方法を考えてもらい、それで集めたギンナンを料理に使うように薦めてきたのである。他にも同市では、市長車などに広告ステッカーを張り付けるという、いじましいくらいの積極策が紹介されていた。

一方、6年前に財政破綻した元炭鉱の街、北海道・夕張市では、バブル時代に箱モノ投資に失敗した上に、人口が急減し一層高齢化・過疎化が深刻化している。税金や公共料金の値上げはもちろん、市職員の削減により市民サービスは低下の一途を辿った。東京都職員の立場から派遣されていた経験を踏まえて、同市の財政再建に名乗りを上げた31歳の鈴木市長は、大胆な街の再編に挑んでいた。

夕張の再生を担う核はコンパクトシティ計画である。高齢が加速的に進む地域を再生・維持するためには、10年掛けて地域毎に集落を集約した上に、次の段階では地域の駅周辺に集約することを目指している。

この計画が有望なのは、市が提供する団地に移住してきた住民が互いに訪問し合い、地域コミュニティが復活しつつあることである。この試行が成功したら、いずれは日本での教訓・ノウハウを活かしてアジア新興国各地で展開できると期待できる。その前途は平坦ではないが、高齢化の最先端を行く日本、急速な高齢化を控えているアジア中進国・新興国にとっての福音になるかも知れない。

いずれもまだ目立った成果を生んでいるわけではないが、こうした試行に取り組む地域のパワーにはさらに期待したいし、できれば協力したいものである。

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ニッポンの「快適空間」を世界へ売り込め

2月5日(火)放送の「ガイアの夜明け」は 『ニッポンの快適空間を世界へ!』。きれい好きなニッポン人。日本でおなじみの"スーパー銭湯"と"ビジネスホテル"の海外市場への挑戦を追った映像。

手ごろな料金で様々な風呂が楽しめ、マッサージや飲食もできる"スーパー銭湯"。その業界トップ「極楽湯」が中国・上海への進出を決めた。責任者が現地を視察すると、中国の銭湯は不衛生なところが多く、きれいなお湯にゆっくりつかるところに差別化のポイントを見出した。

高性能のろ過装置により、1時間に何度も水をろ過して汚れを取り除き、常にきれいなお湯を供給する。硬水で水事情が悪い中国、工事レベルも低く漏水に悩まされるなど遅れに遅れた模様。また「温泉」も「掛け湯」も知らないスタッフに体験させて指導するなど、悪戦苦闘する姿が描かれていたが、オープン時の関係者の表情は輝いていた。

番組後半は経済成長著しいインドへ進出したニッポン式のビジネスホテル。現地には極端な高級ホテルか、設備・サービスが貧弱な安ホテルしかない。国内でビジネスホテルも展開している日立のグループ会社「日立ライフ」が首都デリーにビジネスホテルを開業。一泊8000円程度で、行き届いたベッドメイキング、ゆったり入れる大浴場、朝食は和定食など、ニッポン式を完全に実現。

同ホテルは評判を呼び、現地のホテルの富豪オーナーがニッポン式の運営を任せたいと申し出てくる。従来の2倍の規模のホテルだ。土地を所有せずに運営だけをしたい同社にとって願ってもないチャンス。張り切って経験済の方式でオープンしたが、人気のあったのは当初だけ。一週間後には予約がかなり下がり続けてしまった。

巻き返しの秘策はニッポン式の地下大浴場だった。スズキなどグローバル企業の現地担当者を集め、ホテルを宣伝。数日後には内覧会の効果もあって外国人ビジネスマンが増え始め、1ヶ月先まで予約が入り始めた。日本円で9500円ほどという値段はまだまだ高いと思われたが、相対的にはこれでも割安で快適だということで評判を呼び、今や予約状況が70%程度に回復したという。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

「氷見の寒ブリ」と「富山―神奈川の交流」と掛けて何と解く

このタイトルだけで両者に共通するテーマを当てられる方がいたら、相当なオタクである。実は浅野総一郎という旧浅野財閥の創設者である。昨日、その功績を称え氏に縁のある地域をつなぐ交流会に小生も誘われ、その催しに参加して知ったばかりである。

氏の生まれが富山県の氷見で、地元の名産物が「氷見の寒ブリ」という高級食材。それをみんなで食しながら浅野総一郎の足跡や関連する地域(富山、神奈川、群馬・渋川など)や企業の交流を促進するというのが趣旨。

主催はNPOで、「九転十起の会」という。浅野総一郎氏は浮き沈みの激しい人生を過ごされたようで、『九転十起の男』という、氏を主人公にした映画が2006年に公開されているところから、この名が付いたそうだ。映画の原作となった人物伝『浅野総一郎の度胸人生』を書いた作家・新田純子氏とは名刺交換させていただいた。

交流会の場所はテレビ神奈川のロビー。公の催しではないのでウェブサイト等には全く情報公開されていなかったが、60~70人くらいは集まっていた。驚くことに林・横浜市長、黒川・神奈川県知事、石井富山県知事など錚々たる方々が来賓挨拶をされた。

そのあとは寒ブリ丸ごと1頭の解体ショー、そして参加者へ何皿も配られた。実際、その氷見の寒ブリは非常に脂が乗っており、刺身、しゃぶしゃぶ、そして初めて食べたぶり大根(富山の郷土料理)も、とても美味しくいただいた。

昔からの知人(渋川市の方)に招待されて参加したのだが、こういうところから地域興しのネタを考えるという動きもありだと思った。やっぱりその地方にしかないユニークなものが価値(小生が唱える「選ばれる理由」)として観光客や投資家を惹きつけるのである。その訴求対象は国内だけではなく、アジア新興国の観光客や投資家をこそ呼ぶべきだというのが小生の持論である。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

メディカル・イラストレーションが医療現場を変える

TBS「夢の扉+」1月27日の放送は「人体の臓器や細胞を3DのCGで超リアルに再現!」と題して、科学的根拠に基づいた正確な3D CGを作画する“天才”サイエンスCGクリエーターの活躍を追う。彼の名は瀬尾拡史、27歳。現役の東京大学医学部附属病院の研修医である。

“心臓の周りには、どのように血管が張り巡らされているのか?”“肺への空気の通り道、『気管支』はどんな構造をしているのか?”日本では最近でも、平板な2次元の医学書でしか人体構造を描けず、医師はそれで座学をしているのが実態だ。瀬尾氏は国内では“未発達”の、メディカル・イラストレーションの分野に革命を起こそうとしている。CGの可視化により医療技術が飛躍的に進むと期待されている。

番組の冒頭で見せるのは、細かく枝分かれする『気管支』。瀬尾氏が自らの肺のCT画像450枚を基にCG化に成功した気管支が、ディスプレイ上で自由自在に動き、多角的に検証できる。普段、気管支を見慣れている現役医師たちによる検証で、実用化に耐えるとのお墨付きを得た。

瀬尾氏は「150%努力」の人。東京大学入学後、医学部で学ぶ傍ら、バレーボール部もやりながら、CGの専門学校へも通ってスキルアップに励む(スーパーマンのようだ)。さらには、大学に自分を留学させるよう嘆願書を出し、説得の際にたんかを切る。「僕を今、留学させないと、東大医学部はきっと後悔する」と。そしてアメリカ・メリーランド州のジョン・ホプキンス大学へ留学し、大学の医師と一緒に現場で造形を学び、最先端メディカル・イラストレーションを身につける。

帰国した彼は「細胞の世界」というCG作品を発表し世の注目を浴びる。専門的正確性はもちろん、音楽なども組み合わせ、素人でも楽しめるものだ。そのモットーは“サイエンスを、正しく、楽しく” 。その後は国内唯一の専門家として活躍を続ける。

彼が一躍注目を集めたのが4年前。初めての「裁判員裁判」の時に、専門用語が並ぶ鑑定書の内容を、裁判員も理解できるようCG化して欲しいとの依頼が最高検察庁から届いた。そして彼が再現した、死因をめぐる法医学CGは審理に採用される。画期的な瞬間である。

瀬尾氏は単純なCG化だけでは満足しない。3Dプリンターにより実物大の気管支を造形した。その上でCG画像と連動させてナビゲーションもできるようにしてある。これで現役医師たちがこの気管支模型を使って内視鏡操作を「練習」できるのである。内視鏡を素早く動かし、問題の部位に素早く辿りつき、手術する。患者の体力が持つ間にこれらの動作を素早く行い、焦りによる失敗を減らすには、内視鏡操作の「訓練」が一番。これは分かりやすい「お役立ち」である。

最先端技術に注目し、自らのスキルと知恵を使いその使い方を進化させ、世の中に役立つ。技術者らしい生き方である。

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タイ・ミャンマーに挑む日本の中小企業

1月26日放送の「アジアの風 小さな挑戦者たち」(BSジャパン)は自慢のスゴ技をアジアに展開したい!という中小企業を番組で応援、海外事業の可能性を診断するという楽しみな企画。今回は、タイ・ミャンマーに事業展開する中小企業が成功する秘訣を探るべく、専門家に聞く特別編の第一弾。

7000社と見られる日本企業が、タイには進出していると云われる。自動車産業を中心にサプライチェーンが完成し、中間消費者層が急成長しているため、生産拠点としても市場としても有望視され、チャイナ+ワンの最有力地だからである。既にエンジニアや中間管理職の人件費が中国と方を並べるほど高くなっていることも福田コンサルタントが指摘し、安易な進出に警告を出す。

中小企業が参考にすべき成功企業例として、大田区にある中堅メーカー・冨士ダイス社をまず取り上げている。「富士ルロイ」という自動車部品やピールの缶の製造に使われる金属用金型製品でシェアNo.1を誇る。特殊な金属で「硬さ」を徹底追及したその金型は高い耐久性を持ち、技術革新が進む現地企業からニーズが高まっている。

消費市場としても豊かになりつつあり、狙い目が食品という。福田コンサルタントはニッスイの「魚肉ソーセージ」の販売方法に着目。現地の人々に受け入れてもらうためにショッピングモール等でのロードショーで関心を集めていた。

労働集約型の生産拠点としての役割は、今ミャンマーに移り始めている。そのような時代の流れを掴え実際に輸出を始めている例として番組が取り上げたのが、千葉市にあるアポロインターナショナル。ヨーロッパなどから中古の大型機械設備を輸入し、日本でチューンアップし、東南アジアに販売をする、新たなビジネスモデルを構築。同社は「ミャンマーはポテンシャルが高い国」と大きな期待を寄せる。立ちあがろうとする同市場で先行するのは、確かにこうした製品だろう。

個別企業以外に新情報はなかったが、中小企業を元気づけようという意図は伝わる。福田氏の「何を海外に出し、何(どの機能)をコアとして日本に残すのかの選択が重要になる」という指摘は常に言われることではあるが、当然正しいと思う。そして東南アジアに出る際には、(日本と異なる部分があるため)どういうビジネスモデルを組むのかも、同様に重要である。

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