美容室向け「格安通販」は合理性を追求したビジネスモデル

3月28日に放送された経済情報番組「Mプラス」(テレビ東京)では、先月東証に上場したビューティガレージが、「デフレはやめられない」という短期シリーズで紹介されていた。

番組では創業以来二桁の伸びを続けているその躍進の主な理由を、独自ブランドを海外で生産し、中間マージンを排除した通販で、従来品の半分~4分の1程度の価格で商品を提供していることにあると分析。要は、プロを相手の通販ビジネスなのである。

しかしただの通販業者ではないのはその徹底した合理化の度合いであり、同社の流通センターにその秘訣を観た。30万点の商品在庫から毎日800箱を発送するというから、大したスピードである。

それができるのは、業務の流れを標準化・簡素化した上でITをうまく活用しているから。例えば商品のピッキングの指示書は遠いところにある商品からリストアップされており、最後に梱包材の近くに来るように設計されている。また商品の棚にはわざと種類の違う商品を隣り合わせにしており、ピッキング作業者が躊躇せずに済むように工夫されている。しかも商品は全てバーコードがすぐ読めるように裏向きになっている。

なんとも心憎い気配りであるが、こうした工夫で毎時毎日の積み重ねでは膨大な作業時間が短縮されるのである。お陰でこのセンターでは従来の半分の人数で倍の発送業務を行っているという。

また、売上の2割を占めるという独立開業支援のコンサルティングサービスも、それ自体は格安なので足が出るだろうが、結局同社で機材を買い揃えることになるのでペイするのだろう。同社の野村秀輝CEOは、「開業したい美容室オーナーらを対象に経営支援をすることで、今後も20%台の成長を維持したい」と語っていた。注目の企業である。
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低迷経済・スペインの小売企業に企業経営の神髄をみた

3月28日に放送された「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)の「GLOBAL WATCH」コーナーで、世界から経済が不安視されているスペインの2社が紹介されていた。低迷経済にあっても、企業戦略次第で好調な企業も存在しているということだ。

1つはバレンシアにある大手スーパー「メルカドーナ」。同社は1年前に比べ7%の伸びを記録するなど順調そのもの。この店が行っている商品開発はかなりの顧客志向。来店客を片っ端から開発室に呼び込み、開発中のPB商品を使わせて、その感想を聴く。

同社は客を「BOSS」と呼び、そのニーズを最優先するよう店員に指導している。客の感想も、店員の接客態度のよさや気づき具合を褒めるものが紹介されていた。

同社では74000人の従業員が他社より賃金が高く、全員正社員!そのうち4000人はなんと欧州危機の最中に採用されたという。同社は人件費にはコストを掛けるが、宣伝広告費には一切使わないという。これはまさに「経営戦略」である。このあたり、日本の多くの小売業にも見習ってもらいたいものだ。

もう1社は30代から60代をターゲットにしたファッションブランド、「ダンダラ」を展開するメルレッティ社。番組では接客のうまい店員を表彰する様子が紹介されていたが、それはいわば当たり前。

同社の特長ある戦略は、社員の「モチベーション向上」。「社員が大事にされていると感じ、ハッピーなことが重要なんだ」と強調する店長会議の様子が紹介されていたが、日常的にこの方針がそこかしこで伝えられているのだろう。この戦略を打ち出してから売上は2割増えたという。

また、中国にシフトしていた生産体制も、中国の人件費アップに伴い国内に工房を戻しつつある。ユーロ安・元高も大きく影響していよう。これにより国内雇用にも貢献できるとのコメントもあり、彼らは欧州危機をしたたかに生き抜こうとしている。

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“究極のリサイクル装置”に賭ける親子の夢

3月24日放送の「夢の扉+」は「“不可能を可能に!”ゴミが資源に変わる~親子の絆が起こすリサイクル革命!」と題して、富山県の小さな会社が挑んだ“究極のリサイクル装置”開発の経緯を追ってくれた。

主役は富山県滑川市にあるエムダイヤの会長・森誠一さんと、その息子で社長の森弘吉さん。光ケーブルや携帯電話、小型家電やタイヤなどの異素材の混合物は、これまで分離が難しく、埋め立てや焼却処分されてきた。それらを1台の機械で、しかも一度の工程で破砕して素材別に分離できるという究極のリサイクル装置を開発したのである。しかしこれは生半可な苦労でできた製品ではない。

前身の会社の経営者である誠一さんは根っからの技術屋、その血が騒いだのだろう。多くの会社が断念した、とてつもなく難しい装置の開発に挑んで試行錯誤を続けるうちに開発費用がかさみ、3億円もの借金を重ねた。専務として資金繰りに奔走した奥さんの苦労も報われず、2001年に会社は倒産。

全てを失った誠一さん夫婦を支えてくれたのは友人の経営者。立ち直るよう励まし、再起の機会を与えてくれた。遂に装置を完成させる。そして長男の弘吉さんも立ち上がる。『もう母親を泣かせなくない。父親のコア技術をこのまま捨てるのはもったいない!』と、大手工作機メーカーを退職し、(「技術者としては凄いけど経営者としては尊敬できない」)父に代わって経営者として新会社「エムダイヤ」に参画する。その体当たりの営業の様子も素敵だった。

多くの展示会にも出展し、色んなメディアにも採り上げられるようになり、同社の破砕分離機は評判を呼んだ。日本産業機械工業会の「優秀環境装置表彰 中小企業庁長官賞」も獲得した。社長の弘吉さんのブログ(http://emudaiya.blog27.fc2.com/)でもそうした栄誉に対する喜びが伝わる。今や国内の通信、家電、自動車などの主要業界がこの装置を導入しており、同社の取引先リストにはそうそうたるところが名を連ねている。
http://www.m-dia.com/company/

中国への納品が決まり、欧米市場での展開も視野に入ってきており、富山から世界に飛躍する段階に入っている。こんな誇れる中小企業が増えることをニッポン人として望みたい。

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「臭い」の解決アプローチに専門家の意地とセンスを観た

「消臭」や「臭い対策」を巡る2つの別番組をたまたま続けて観て、そのアプローチの違いを楽しんだ。

一つは3月23日(土)に「アジアの風 ~小さな挑戦者たち」(BSジャパン)で紹介された、株式会社ライフリングの消臭製品「ブリーズブロンズ」。靴下やタオル、さらにベッドシーツや肌着まで幅広く展開しているこのシリーズ、汗の臭いや体臭といったアンモニア臭を短時間で分解、減少率99%以上を誇る圧倒的な消臭機能を備える。

その驚異の能力の秘密は、消臭効果を持つ特殊な繊維を織り込んでいるのだが、「カルボキシル基」という有機化合物を練り込んだその原糸はむやみに弱く、ほとんど「しつけ糸」程度。しかしそれを「何とかならないか」と、ライフリングの梶谷社長は今治のタオル職人、三光産業の尾崎今男会長(84歳)に頼み込む。尾崎氏は丸三年かけ、強度のある綿糸と消臭糸を混ぜ合わせ、とうとう消臭効果と強度を両立させる。まさにこれは技術屋の意地だ。

ライフリング社は2002年にシーツとタオルケットの販売を開始、介護業界から大きな反響があった。その後、靴下や帽子、赤ちゃん向けのオーガニックコットンを使ったシリーズなど、次々に新しい製品を展開中である。価格は少々高めだが、驚異の消臭効果が徐々に話題を呼んでいるようだ。番組では今後目指すベトナムと中国という2つの市場への攻略法がコンサルタントからアドバイスされていた(ちょっと思いつき的な話もあったが…)。

続いて観たのは、3月24日(日)に放送された、スパニチ!!「可能商店」 どんな悩みも解決する…職人&企業&科学者集団!!(TBS)というちょっと怪しい番組の録画。新戸部女子中学の剣道部が存続の危機に瀕しているという。新入部員が集まらない原因は防具の臭い。特に小手の臭いが洗っても落ちずに手に染み付くため、現代の乙女からは敬遠されてしまうのだ。気を使って電車の手すりも触れないほどだという。

「ニオイのマスター」大同大学・光田恵教授は面白いアプローチを示した。臭いを消す代わりに、バニラとペパーミントをつけた上新粉を手にまぶして小手を嵌めることで、何と不思議、チョコミントの甘い「匂い」に変わってしまう!さすが目のつけどころが違うと感心した。

番組の後半では、東レが宇宙服用に開発した消臭素材「ムッシュオン」を小手用に応用した生地を開発、表地と中地に提供。中綿には抗菌消臭力のあるコスメルという綿を提供。それらを使って防具職人が本当に「臭わない」小手を作ってしまった。ハイテクと伝統工芸のマッチングである。

「消臭」一つとっても、実に色々なアプローチがあるものだ。

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「チャーハン専門店」のアイデンティティと地方展開

3月22日(金)に「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で紹介されたチャーハン専門店「チャーハン王」。東京・新橋の新橋駅前にあるビルの地下、(目に付きやすいよう)わざと人気行列店の隣にオープンしたという。

主なメニューとして提供しているのはチャーハンとスープがセットになっている「チャー王セット」だけという拘りがいい。ラーメン専門店などはもうフランチャイズが幾つもあるが、チャーハンはない。だからこそ先行者利益を享受できると考える、その戦略的発想がよい。運営会社、SRDの社長・黒瀧将史氏はリヴァンプのコンサル出身だという。

黒瀧氏は(全国展開の際に使用する食材を探すため)静岡市の清水魚市場を訪れたついでに、(地方へのフランチャイズ店開拓を目指し)コメダ珈琲店のフランチャイズを展開するトークインコーポレーションの小林享嗣社長と面会する。そこでの会話は微妙。小林氏は「地方ではチャーハン一本のメニューでは無理。他のメニューも幾つか欲しい」と要請。

しかし主メニューをチャーハン・セット以外に拡げるのはかなりリスキーである。「チャーハン専門店」というアイデンティティを失わないようにしなければいけない。要請に対応するためにはチャーハンとスープの各種類を増やすことが一番だろう。さらに餃子などのサブメニューを幾つか開発することまでは大丈夫だろう。しかし天津丼や牛丼、ラーメンやカレーなどと増やしていけばいくほど、どこにでもある「大衆食堂」との違いは希薄になる。オペレーションも複雑になり、提供が遅くなり、食材の無駄が出てコストも抑えられず、魅力的な価格づけができなくなるだろう。なんといっても「地域で一番美味しいチャーハン」を謳えなくなっては元も子もない。

さて、最終的に黒瀧氏がどう考えて対応するだろうか。この「チャーハン専門店」が地方にフランチャイズ展開するのが楽しみだ。

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ドラマ「メイド・イン・ジャパン」が教えるもの

1月最終週から3週連続で放送された、ドラマ「メイド・イン・ジャパン」を録画でまとめて観た。脚本・井上由美子、原作はないことになっているが、「メイド・イン・ジャパン 驕りの代償」(井上久男著)が発想のベースになっているとは思う(内容は直接には無関係)。

あらすじは次の通り。日本を代表する家電メーカー・タクミ電機の業績が悪化し、倒産の危機をのりきるため、会長が社長(会長の息子)にも内緒で再建戦略室というプロジェクトチームを結成する。リーダーは元営業部長・矢作、メンバーは財務・製造・法務などから寄せ集めた「現在、つま弾き組」である。数千億円の出資を検討してもらうべく提携候補(30社ほど)に打診するが、ドイツのメーカーを除き全て断られる。その独社の提携条件は「現会長と社長の退任」だけだが(「そんな甘い…」とツッコミをつい)、取締役会での会長自らの緊急動議にもかかわらず流れる(「そんなアホな」と思ったが、意外と実際にもあるかも)。

代わりに取締役会で対応策として求められたのは、同社の命運を握る自動車用電池の技術を盗用してヤマト自動車との取引を奪った中国メーカー・来生(ライシェ)を提訴することだった。その技術は元々タクミの技術者で矢作の同期で親友の迫田が開発したが、矢作の進言により開発を凍結したものだった。迫田は退社し、来生に拾われて製品として完成したのだ。タクミの提訴により契約を躊躇するヤマトに直談判すべく、迫田を先頭に日本に乗り込んだ来生の一行は自らの正当性を訴える記者会見を開く…。ここからの展開は「それはないだろう」クラスのものだった。

それはさておき、このタクミ電機のモデルは、幾つかのブログで囁かれるような「パナソニック、シャープ、ソニー」ではないかも知れない。会長・社長が親子で、電池に将来を賭ける家電メーカー。しかも最後に中国企業との提携に命運を賭けるときたら、むしろパナソニックに吸収された、今は亡き三洋電機(Sanyo)を思わせる設定である(そうなると行く末は不吉だが)。

このドラマのキーワードは「技術流出」である。日本の大手家電メーカーが、長引く円高やアジアの競合との戦いに敗れ、数度にわたるリストラを繰り返し、多くの技術者の流出を招いた。その中でも実績のある人たちは好待遇で主に韓中の競合企業に引っ張られ(最近は仙台のアイリスオーヤマが積極的だが問題視はされない)、様々なレベルの技術が持ち出されたことは今や常識である。

確かに中には違法な盗用もあったろうが、本ドラマにもあったように、そうした技術者の頭脳や身体にしみ込んだノウハウを応用して改めて開発された技術も少なくなかったのではないか。日本の技術者がどんな心情で、韓中の競合企業のお世話になるという決断をしたのか(辞めた技術者の次の職場に心を砕かないというのは、経営陣や人事担当者たちがあまりに迂闊だったと言わざるを得ない)。そして今も日本の技術者たちが日中韓台の企業に分かれて戦っており、「メイド・イン・ジャパン」とは何だろうと考えさせられる。

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電動三輪車を巡る戦いがアジアで始まる

3月16日放送のドキュメンタリーWAVE「電動三輪車で飛躍せよ ~フィリピン 新市場をめぐる攻防~」は、フィリピン政府が取り組む一大プロジェクト、庶民の足トライシクル(三輪タクシー)のEV(電気自動車)化を取り上げ、そこに挑む日台中比のベンチャー企業の動きを追っていた。

背景にあるのは、フィリピンの危機感だ。IMFによると、2012年のフィリピンの推定人口は約9700万人。17年には約1億700万人まで増える見込みだという。出生率が比較的高く、若い労働力が豊富に確保できる「人口ボーナス」を享受するフェーズに入っている。だが2015年の市場統合を機に、域内での競争環境は飛躍的に高まる。

最も裾野の広い自動車産業はタイに、収益性の高い金融業はシンガポールに、石化など素材・プロセス系はシンガポール・マレーシア・インドネシアに、繊維・軽工業系はベトナム・カンボジア・バングラデシュ・ミャンマーあたりに押さえられよう。中途半端に工業化されて賃金が安くないフィリピンに比較優位があるのは、英語を使うコールセンターや(事務処理など顧客企業の業務を請け負う)ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)くらいだ。それだけでは雇用を維持できない。大量の雇用を創出する輸出型の製造業を、喉から手が出るほど欲しいのである。それがEVである。自動三輪から始め、いずれは自動四輪までという思惑である。

アジア開発銀行はフィリピン政府などと共同で、5億ドルを拠出。昨年、比政府がEVトライシクル参入業者の入札を実施した(入札結果は未公表)。落札した企業連合が2013年に1万台程度を生産し、16年までに10万台を普及させることが目標だ。この入札には日本からも2社のベンチャー企業が参加した。

その1社、電動バイクのテラモーターズは直前に第3者割当増資を行って資金を確保した上で、他の入札参加者と組んで展開しようと、めまぐるしい動きを見せていた。特に台湾の電池モーターメーカーとの提携に興味津々であったが、その台湾メーカーはうまくいけば全メーカーへのサプライヤーになろうと虎視眈眈という感じであった。

大手の自動車メーカーによる世界市場占拠競争が報じられて久しいが、アジア新興国から始まったハイテクとローテクの合いの子が世界市場席巻の先駆けとなったら、とても愉快である。

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ロボット革命はパンドラの箱を空けるのか

3月17日(日)に放送されたNHKスペシャルの「ロボット革命 人間を超えられるか」では、世界で急速に進行しているヒューマノイドと呼ばれる人型ロボットの開発・活用状況が紹介されていた。

ヒューマノイド人間に細かく操作されなくても自分の判断で行動して、階段を上り道具を扱うことが特長で、これまで本格的な開発は、日本でしか行われていなかった。さすが鉄腕アトムの母国である。その適用対象としては工場などで動く産業用ロボットばかりだったのが、福島原発事故により想定外の緊急事態において人間のように判断し、さまざまな作業ができるヒューマノイドの意義が世界で認識されたという。

現在世界最高のヒューマノイド・アシモが番組前半に詳しく紹介されている。そのセンサーや人口知能技術のレベルは凄いものである。人と会話して判断し、案内し、飲み物をサービスできる。身体能力も高く、バランスを保ちながら歩くことも走ることもできる。

しかしホンダは福島原発事故の際に投入できなかったことに忸怩たる思いを抱き、災害現場に対応できるロボットの開発を急いでいる。まずはアーム型ロボットで現場の隅々までカメラ撮影する。しかし技術陣が目指すのはアシモの進化版の自走・自己判断型である。元々平らなオフィスしか想定されていなかったアシモにとっては、かなり高いハードルである。匍匐前進もする。この技術開発に成功すると、足場の悪い作業場でもアシモ型のヒューマノイドが「サービス」(アシモのレベルは作業ではない)を提供できることになる。

米国防総省では、大規模災害に対応できるヒューマノイドに急速に期待し、過酷な戦場で蓄えたノウハウ(油圧式稼働部分など)を動員する。二本足の「アトラス」や、四足「チーター」、運搬用「LS3」等々。開発コンペのプロジェクト「ロボティクス・チャレンジ」もスタートさせ、世界の企業や研究機関の頭脳を集結している(有効な研究ごとに最大4億円の補助を出す)。でも彼らのホンネは兵士の代わりをさせるという軍事転用に間違いないだろう。

実際に福島原発に投入されたのはアメリカの軍事用ロボット「パックボット」で、マイクロ戦車みたいなものだ。人口知能による自走式ではなく遠隔操作であるからヒューマノイドではない。災害対策用なら別段その必要もなく、カメラによる視認ができるようにしてあれば遠隔操作で十分なはずだ。

このあたり、「アシモ投入」を要望した一般人はもちろん、東電も多くの論者も混乱している気がする。専門家ですら一見して判断に迷うような状況を正しく人口知能が判断できるようにプログラムすることは、現時点では難しいだろう。

今、注目すべきはやはり産業ロボット。ここからの内容は、これは1月半ばの日経ビジネス誌に「人型ロボットと働く日」と題して掲載されていた内容と近い。Rethink Roboticsの「バクスター」は低価格と簡単指示法をウリに世界で売り出そうとしている。面倒なプログラミングなしに、「手取り足取り」すれば作業指示ができるのである。人件費を考えれば数カ月で投資が回収できるという。現在、生産が追いつかないほどの注文があるそうだ。

日本ではグローリー等で採用された、川田工業が100台を超えるヒューマノイド「ネクステージ」を累積出荷しようとしている。これは「バクスター」より細かい作業が正確にできる。少しゆっくりではあるが人間の作業者と並んで作業を黙々とこなし、仕掛品を人間と受け渡しする。

ヒューマノイドは休憩を必要とせず24時間働く。いずれ人間の作業者は企画などのより高度な「知的な仕事」にシフトし、先進国の工場で補充される大半はヒューマノイドになるかも知れない。それでも工場自体が海外新興国に移転されるよりは雇用全体にとってはよいはずだ。

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綺麗な水とBOPビジネスを作りだすニッポンの技術

3月19日放送の「ガイヤの夜明け」は「世界の子供を救う!ニッポンの技術」というタイトル。水事情の極端に悪い途上国での取り組みを続ける水の浄化剤メーカー、日本ポリグルとその会長、小田兼利氏(72歳)の活動を紹介していた。

安全な水を利用できない地域では川や池の汚れた水を飲用水として利用しているせいで、感染症などの病気になる確率も高くなる。そうした国では平均寿命は低く、子供の死亡率は高くなる。5歳未満の死亡率が世界で最も高いのが、無政府状態が続くソマリアである。

難民キャンプでは飲み水が不足し、飲食に使う水は近くの川の泥水を使用している。しかし、その川は汚濁し、しかも近隣の工場廃液も多く混じって気味悪く光る泡さえ浮いている。そのせいで病気になる子供も後を絶たない(大人も同様)。国連機関、IOM(国際移住機関)の依頼により、日本ポリグルの小田会長みずから、いまだ銃声の飛び交う現地へ乗り込み、手造りの浄水設備を作ったのである。

日本ポリグルの製品は納豆菌などから作った浄水剤である。汚れた水であっても、その浄水剤を混ぜてかき混ぜると、余計なものを凝固・沈殿させ、残った水はほぼ透明で安全なものとなる(この様子を見た現地の子供達が「アラ不思議」という顔をするが、番組を観ている我々も同様だ)。それをろ過すれば「おいしい水」になってしまうのである。

ポンプで川の水を汲み上げ、第1の水槽を満たす。そこに日本ポリグルの浄水剤を加えかき混ぜる。その水を石や砂を詰めた第2の水槽でろ過し、最後に第3の水槽で塩素を加え、そこの蛇口から出る水は立派な飲み水になっている。

安全が十分確保できないソマリアの難民キャンプでは、当面は日本政府が日本ポリグルの浄水剤を無償供与することになっている。しかし先行するケースでは、BOPビジネスとして自律的に回り始めているものもある。

2008年のハリケーンの被害で水事情が悪化したバングラデシュを支援するためボランティアで乗り込んだ小田会長は、やはり現地に手造りの浄水設備を作った。しかしその半年後、現地を再度訪れると、浄水設備は全く使われなくなっていた。なんと金属でできた蛇口が盗まれたからだ。

管理する人間がいないことが主な原因だと見抜いた小田氏は、単なる水の支援ではなく、水ビジネスとして成立させ、現地スタッフに給料を支払う仕組みにする必要があると考えた。設備の管理人兼運搬人(ポリグルボーイ)として男性社員を、そして料金回収人として女性社員を雇い、現地の人でも払える値段で安全でおいしい水を提供するBOPビジネスを開始したのだ。

それから4年以上が過ぎ、今ではポリグルの水システムはすっかり現地に定着。ポリグルの社員は現地製造業以上の給料をもらえ、人数もどんどん増えている。県知事の要請で地域も県全体に拡大しようとしている。最初の取り組みを始めた村では、村人から口々に小田氏への感謝が伝えられた。ニッポン人として誇らしい限りである。日本の技術が求められ、BOPビジネスとして現地から感謝されながら継続できる、こんなケースはまだまだ他にもあるに違いない。

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6次産業化とマーケティング

3月5日放送の日経スペシャル「ガイヤの夜明け」(テレビ東京)「甦れ!三陸の水産業~漁師と企業の新たな挑戦~」は全国の農水産業および中小企業の課題を浮き彫りにしていた。それは最終需要者へのマーケティングである。

津波で壊滅的な被害を受けた宮城県女川町を「ガイヤの夜明け」では三度も訪問取材している。今回はカキの養殖地、宮城県・牡鹿半島の狐崎浜(きつねざきまは)。この地のカキ養殖は震災で壊滅的被害を受け、18人の漁師のうち5人が廃業。個人では立ち直れないと考えた漁師8人が集まり、漁協を通さず「漁業の6次化」を目指す株式会社を作った。自分たちでカキを育て(1次)、加工し(2次)、消費者の元へ直接届ける(3次)という仕組みだ。

最初、彼らは「岬焼きかき産直セット」(10数個のカキ詰め合わせ、道具付き、缶ケースを直接火に掛けられる)という産直ギフトを考え出し、通販でヒットさせた。仙台市の杜の市場での牡蠣の実演販売も行い、会社としては上々の船出となる。しかしやがて売れ行きは鈍り、社員の給料さえ支払えない事態となる。

そこでの起死回生策は、従来の養殖業者が面倒で避けていた『耳釣り』。ドリルでカキに穴を空けて紐を通し、2つずつ吊るす方式である。これにより養殖中のカキが密集せずに済み、プランクトンを沢山食べて身が太る。その肉厚カキを消費者に直接売ると同時に、仙台の居酒屋チェーンに売り込みを掛ける…。こうした努力を番組は伝えていた。

ここでの教訓は、震災直後は同情と物珍しさで売れるが、それだけでは関心は長続きしないということである。消費者は飽きっぽく、通販利用者が三陸のカキをシーズン中毎月食べてくれるわけでもない。そもそも味覚的拘りはあまりなく、他の地区のカキとどれほど違って美味しいかなんて実は分からない。だから有名料理家とか有名料理店が使っているといった「お墨付き」が必要なのだ。もちろん、見た目の違いである「肉厚」というのはアピールしやすい。6次化のカギは、いかに「分かりやすく」し、「継続的に買ってもらうか」なのである。

同様の問題は全国の農水産業および中小企業にも共通する。最終需要者へのマーケティング(商品企画~コミュニケーション)が難しいのである。

実は最近、ある中小製造業集積地の世話役的人物と話す機会があった。こうしたメーカーは消費者向け製品の開発・販売に興味を持っているのだが、全くノウハウもルートもない。彼らは技術力・品質には自信があるが、今まで発注者の指示通りに作ればよかったため、そもそもマーケティングという発想・経験は全くない(相談前の仮説として想定していた通りだった)。どう支援できるのか、こちらも悩みそうな話ではある。

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ファンド出資と寄付を組み合わせた復興支援法

東日本大震災からはや2年、3月11日である。「重い番組」ばかりであまりブログに書く気にならないのが多い中、「NIKKEI×BS LIVE 7PM」(BSジャパン)の「ファンド出資で応援する震災復興」はほっとさせてくれた。ゲストはミュージックセキュリティーズ代表取締役の小松真実氏。ホスト役は高樹千佳子キャスター、野田稔氏(明治大学大学院教授)。解説役は鈴木亮氏(日本経済新聞)という組み合わせだった。

ミュージックセキュリティーズはその名の如く、元々は音楽CD発行のための出資を募るための仕組みとして始まった。それがあるとき造り酒屋の再建に使われ、その評判を知った宮城県のお役人、「山田さん」(誰だろう?)の橋渡しで、震災直後に被災地の中小企業への応援のため「セキュリテ被災地応援ファンド」を立ち上げたという。  http://oen.securite.jp/

セキュリテ被災地応援ファンドのHPで見ると、ファンド実績として、募集総額1,126,040,000円、調達金額894,940,000円、参加人数24,835人と立派な数字が並んでいる。必要残額は231,100,000円と少なくないが、「まだ1/3」というより、順調に調達が進むことに勇気づけられ、それまで躊躇していた中小企業や商店が思い切って応募し始めているため、母数がどんどん大きくなっているのが実態らしい。

このファンドの特徴は出資と寄付を組み合わせたところにある。1口10,500円のうち500円が手数料。残り10,000円は対象ビジネスの資金として提供されるのだが、半分の5,000円が出資としてカウントされ、あと半分は寄付扱いされる。つまり半分は初めから「戻ってこないつもり」のカネなのだ。多分、世界の小口ファンドでも初めての方式ではないか。それだけファンド出資者は被災地の対象ビジネスに対し「応援」する気持ちが強いのである。もちろん、被災地の事業者は立ち直ろうとやる気と責任を感じており、「半分」の出資に対しては石にかじりついても「配当」(お金ではなく定期的な商品の配送という形も多そうだが)できるようになろうと頑張るだろう。

しかもこうした経緯で応援しているファンド出資者は、通常の寄付者と違ってその事業に強く興味を持ち続け、利害関係者として再興を願って自分でも商品を買おうとするし、友人・知人にお薦めするだろう。自分のブログで宣伝することだってやるかも知れない。それは出資に対するリターンを期待するというより、ファンとかサポータの行動である。小松氏はいい仕組みを考えたものだ。

小松氏とホスト役のうしろのビデオに映っていた被災地企業(斉吉商店だったかな?)の女性専務が、電話で感謝の意を述べるトーンが元気一杯で、「(出資者は)親戚が増えたようなもの(で心強い)」「次は被災地応援ファンドでなく(つまり半分寄付ではなく)普通のファンドでやりたい」と非常に前向きなコメントをくれたのが、とてもよかった。

お金のあまりない人でも、必要な商品を買う際に被災地発の商品を買う。少しお金のある人はこうした小口ファンドに出資する。一杯お金と暇のある人は寄付すると同時にボランティアか旅行で現地に行く。大きな会社のオーナーや経営者なら被災地に仕事をもたらす。誰もが自分のできることをすればよいのだと改めて思う。

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「復興への道」:地元密着のショッピングセンターが再開するまで

2月26日放送の「ガイアの夜明け」はシリーズ企画「復興への道」第14章「ふるさとを失って...~原発から8キロ 地元人気店の2年間~」という長いタイトル。ちょっと重そうだったので、録画したきりなかなか観ずにいたが、3.11が迫るこの週末に福島絡みの録画をまとめて観た。

この放送は、福島第一原発から8キロの位置にあった浪江町の唯一のショッピングセンター、「サンプラザ」の"奇跡の復活"を描く。地元密着の店として浪江町の人たちに愛されてきたが、原発事故で店舗は閉鎖。店員も離散し、お客共々避難生活を余儀なくされた。サンプラザの運営会社であるマツバヤの経営者も一時は会社存続すら危ぶみ、ネット販売に活路を見出そうとしていた。

しかし、従業員がボランティアで店舗再開のための活動を続け、経営者も雇用を少しでも守りたいと願い、ついに震災から1年後の2012年3月、なんと避難圏外の隣町、田村市にある既存ショッピングセンターの2階に新店舗をオープンさせ、約30人が復職している。様々な仮設住宅に散らばっている浪江町の住民たちにチラシを配って営業し、そこに送迎バスを走らせ、買い物に来てもらう「買い物バスツアー」を行っているのだ。その執念には頭が下がる。

番組は彼らの2年間の軌跡を丹念に取材している。「サンプラザ」がふるさと・浪江町においてどういう存在だったのか、それは「買い物バスツアー」の客たちが到着した際の従業員との「再会」の喜びようで分かる。そして(働かなくとも東電からの賠償金は支払われるが)従業員らにとって"働く"ことができる喜びは何物にも替え難いことがよく伝わってきた。

"奇跡の復活"と云っても、「買い物バスツアー」客が帰った後、店は閑散としており安泰ではない。だからこそ2店目の店には地元民を従業員に採用し、両店とも地元住民に来店を促す営業に力が入る。何とか「サンプラザ」が本当の復活を果たしたという番組の報告を1~2年後に聞きたいものだ。

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「好適環境水」が養殖のあり方を変革する

3月8日放送の「未来シアター」(日本テレビ)で放映された「砂漠で魚が泳ぐ未来 好適環境水 開発者 山本俊政」は、海水魚と淡水魚を同時に飼うことができる水「好適環境水」を開発した岡山理科大学准教授、山本俊政氏の挑戦を紹介した。

「好適環境水」は淡水でも海水でもない第三の水と云われる。「どんな場所でも安定的に魚を飼育できる水」はいずれ来る食糧危機における救世主になるかも知れない。淡水魚が泳ぎ回る淡水の水槽の中に海水魚を入れると、栄養分をうまく取り入れることができないため、海水魚は徐々に弱って死ぬ。しかしその水槽の中に山本氏が独自の粉を混ぜると、アラ不思議、海水魚が息を吹き返す。この様子はまるでマジックを観ているようだ。

元々、魚の祖先は淡水、海水で分かれていなかった。当時の水を再現することが山本氏の狙いだ。これに成功すれば、水が貴重な砂漠でさえマグロを養殖できるようになるという。「好適環境水」は病原菌が発生しづらいため、養殖される魚も病気にかかりづらい。そのため抗生物質が不要であり、食べて安心である。しかも病気にかかりづらい環境だということは魚を密集させて飼育できる。これらが相まって、うまくいけばコストをかなり抑えることができるという。

当初、全く水産業関係者から相手にされていなかった山本氏だが、独力で失敗を繰り返しながらも様々な実験を重ね、成果を生み出していく(この様子は別の番組、テレメンタリー2012 動画「砂漠をマグロが泳ぐ日~不思議な水が養殖を変える」に詳しい)。
http://v.youku.com/v_show/id_XMzk1NTA2NTU2.html

その成果を認められ、今や岡山理科大学の研究室を任されている。現在、山本氏はトラフグやマグロなどの養殖に尽力している。去年11月には「海を知らない」トラフグを初出荷した。今年6月にはバングラデシュに養殖場を建設し、かの国の食糧危機対策をする予定だという。世界の食糧危機が来る前に成功しないといけない、立ち止まっている暇はない、と山本氏はエネルギッシュだ。こういう人、好きだなぁ。

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ロート製薬の躍進の秘密

3月7日の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)で放映された「製薬会社がつくる化粧品で快進撃」は、創業以来100年以上経つ老舗企業のしなやかな変革を伝えてくれ、非常に興味深かった。

ロート目薬、胃腸薬のパンシロン、それに買収したメンソレータムの3本柱で安定した業績を上げてきた同社は、創業家4代目の山田邦雄社長の代になったここ10年で、600億円から1200億円にまで年商を倍増させている。直接の原動力の第一は、『肌研 (ハダラポ) 』により化粧品市場に参入したこと。しかしそうした新規事業に果敢に挑戦し成功した背景には、山田邦雄社長の数々の社内改革と山田氏の個性が効いていると思えた。

その極意は「フラットな組織づくり」。①役員室の撤廃、②中間管理職の1割削減、③ロートネーム(あだ名)で呼び合う、④上司も部下も同じ机とイスで仕事をする、⑤女子社員の制服も撤廃、等々。多くの会社で実施しながら大した効果もないまま、社長が変わると中止になった施策だ。しかしロートではずっと継続され定着しているという。

同社では創業家出身社長が長年トップを務めるため、社内権力抗争が起きにくいのは間違いない。その絶対的トップが「風通しをよくしたい」と上記の施策を率先垂範する。誰も反対できないままやっているうちに定着し、本当に組織の風通しがよくなる。それにこの山田社長の個性がとても素敵だ。全くワンマン風でも権威主義でもなく、いつもニコニコと社員に声を掛ける気さくなオトーさんという、ごく自然体である。「やってみなはれ」的感覚で、新しいことに挑戦する動きを社長が後押しし、周りが「やっていいんだ」と自らも動くようになる。こうした好循環が起きたのがこの10年なのだろう。その結果が、売上に占めるスキンケア商品の比率が6割にまで伸びた業績に表れている。

化粧品分野に参入したのは、中途採用1年目の女性社員の提案だという。業界で当たり前の「肌を美しく」という発想でなく、「肌を健康にする」化粧品というコンセプトを聞き、『やってみたら・・・』と山田社長が後押ししてくれたという。これも平社員と社長が同じフロアで机を並べている効能だろうし、創業以来の伝統である「他人(ひと)と同じことをやるのは恥」という、社風のよい部分が生きていたからだろう。

実はこの会社、10数年前に知人がコンサルに入ったことがあり、「とても人のよい、おっとりとした会社だ」という評価を聞いたことがある。それからすれば、今の同社は全く別の会社のようだ。経営トップのリーダーシップ次第で組織は変われるものだ、と感慨深い。

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電子書籍の時代がもたらす「作家エージェント」というビジネス

アマゾンが電子書籍端末「キンドル」の日本版を発売し、迎え撃つ各メーカーも専用端末を一斉にモデルチェンジしたり値下げしたりしている。もちろん皆、AppleのiPadを意識した価格づけだ。端末が熾烈な販売競争に突入したことで、電子書籍の普及に一層の拍車がかかることが期待されている。一昨年あたりから云われていた「今年こそ『電子書籍元年』」というキャッチフレーズが、そろそろ「狼少年」から脱してもよい頃である。

小生自身、出版や電子書籍には興味が強いためずっとウォッチしているのだが、2月10日(日)にBS日テレで放映された「財部ビジネス研究所」は面白かった。番組ではそうした端末の違いや出版社側の動向だけでなく、この中で新しいビジネスモデルを探る動きを紹介していた。主人公は昨年講談社から独立した出版プロデューサ、佐渡島庸平氏である。

彼が起ち上げたのは「作家エージェント」というビジネス。作家マネジメントと編集者を足したような職業である。「新しい形でクリエイターに収益をもたらす」と彼はいう。マンガ編集者として「ドラゴン桜」「宇宙兄弟」など多くのヒット作を生み出してきた佐渡島氏には出版プロデューサとしての人脈と手腕がある。

出版社に死蔵されている過去のコンテンツを再度電子書籍化しても売れないということは、出版社も既に学んでいるという。それに対してマンガ畑でキャリアを育んだ佐渡島氏には、今の出版社は電子書籍においても印税に重きを置き過ぎているように見える。もちろん業界でも書籍→TVドラマ→映画といったふうにコンテンツの「再利用」は実施しているが、まだまだ範囲が狭い。マンガなどの場合にはキャラクターグッズなどに展開でき、そうした一つのコンテンツからの「収益の多様化」×売り先としての「海外市場の開拓」こそが「作家エージェント」の貢献ポイントのようだ。

その収益の多様化の方法論(もしくはビジネスモデルの組み方)については、クリエイターとしての作家次第で個別に考えるアプローチのようだ。多分、現在「思考&試行」中なのだろう。いずれ幾つかのパターンが生まれてくるに違いない。注目に値しよう。

海外展開に関連しては、日本の出版社には今、海外展開する体力も意欲もないので、身軽なベンチャーのほうが向いているという。日本のマンガがなぜ海外で普及しないかというと、コンテンツが受け容れられないのではなく、ボトルネックは物流であり(確かに国内のような再販制度を前提にした流通はあり得ない)、電子書籍化でそれは乗り越えられるという。しかしそれでも電子書籍化の普及に5年程度は掛かるため、それまでは電子書籍化されたコンテンツを用意する期間だという(番組ではカラー化された電子書籍のマンガを見せていた)。

ちなみに、日本のマンガが世界でも評価されているという話は間違いだという。実は欧米やアジアで売れているのはアニメだけであり(確かに!)、「クールジャパン」の評価は何年か前のアニメの遺産でしかないという。これはなかなかショッキングな話である。

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