ニッポン企業の逆襲には戦略と意地が必要だ

8月11日(日)に放送されたNHK BS1「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオⅡ」は製造業の逆襲シナリオを考える、シリーズ第二弾。時間がなくて、録画したままになっていたのを観た。NHKスペシャル「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」の未公開映像をふんだんに盛り込んだ企業ルポだった。

第1部は「戦略編」。ターゲットを徹底的に絞りこむことで復活を果たしたマツダ、中国進出に大成功して世界トップに躍り出たダイキンの2社を採り上げていた。

ダイキンのケースは本当に戦略の凄さである。当時、ダイキンの株を持っていたのでよく分かるが、中国進出するために虎の子のインバーター技術を中国最大のメーカーに供与するという大胆な策は、他の日本企業の度肝を抜いた。そして同社はその技術のブラックボックス化を守りながら中国進出も大成功したのである。

一方のマツダは(戦略以上に)戦略実行力で成果を上げた例である。

マツダはロータリーエンジンなど独自の優れた技術を持ちながら、バブル時代の身の丈を超えた拡大戦略が仇となって銀行管理下に陥り、フォード傘下で、フォードの苦手な小型車を上手に造れる地域子会社として、都合よくつかわれてきたきらいがあった。それでも超大手グローバル企業グループの一員として、技術を磨くことで居場所を確保し続けた。しかしリーマンショックで財務に苦しむフォードがマツダ株を手放し、再び自由を得た近年、マツダはヒット作を飛ばし続けている。

マツダの何が変わったのか?表に現れたものでいえば、ターゲットを徹底的に絞りこんだ製品のデザイン・性能・コスト間のバランスのよさであり、開発スピードである。それを可能ならしめたのが、マツダの「一括企画」という組織改革であったという。開発部門や生産部門など異なる部署のメンバーが、ひざ詰めで一体化しながら自動車づくりを進めていくというスタイル。これ、もともと日本のものづくりの強みだったし、ホンダの「ワイガヤ」、日産のCFTと同じである。

例えばハイテンの使用度を上げるのに、生産技術者の意見を取り入れて開発技術者が設計変更を行ったというエピソードを番組で紹介していた。当初、生産技術者の人たちは遠慮して、なかなか提案できなかったということだ。この遠慮というのは、「へたに他所の部門を批判すると、次はこちらのミスや怠慢を指摘されかねない」という心理である。それこそ官僚や大企業病の縦割り主義である。

こうした部署横断型チームの成否を決するのは、各メンバーが出身部署の利益代表にならず、プロジェクト成功のために何が大切かという1点から行動できるかどうかにかかっているということはよく指摘される。頭で分かっていても、実際には難しいのである。

小生のような外部の人間が入っていて、キーマンをけし掛けるような動きをする場合はいい。そんな「異物」の触媒が存在しない場合、どうすればいいのか。結局、マツダの「過去の習性」を変えたのはトップの危機感であり、現場の人たちの「また負け犬になるのはご免だ」との思いが、「これではいけない」と思わせたのではないか。そんな経験をしたことがある人間には、その感覚がよく分かる。
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親日国・モンゴルは急速発展中

テレビ東京系「未来世紀ジパング」は面白い放送が多いので、ほぼ毎週録画をして観ている。8月26日(月)の放送は「大草原の国モンゴル...知られざる親日国」であった。

"大草原の国"というイメージの通り、国土の大半は見渡す限りの大草原である。しかし近代化の波はここにも押し寄せている。遊牧民が暮らす移動式の住居「ゲル」の中には世界各国のテレビ番組を楽しんでいる、ごく普通の家族の姿。その電気は太陽光パネルから、テレビ電波はパラボラアンテナを使って集めていた。

首都ウランバートルはモダンなデザインの高層ビルが立ち並ぶ建設ラッシュを迎えている。モンゴルのGDP成長率は12.3%(2年連続で世界第3位)と空前の好景気なのだ。深夜ともなると、若いビジネスマンやOLがディスコに繰り出して踊りまくっていた。世界じゅうの大都会にある同じ風景である。

モンゴルは実は知られざる親日国。これまで羊を中心とした肉ばかりを食べていたモンゴル人だが(野菜もデンプン質もほとんど摂らない)、今街では健康的な日本食が流行。しかも“から揚げ定食”や“とんかつ定食”などニッポンの定食が大人気だ(どこが「健康的」なのか…)。

しかし、出回っている米のブランドはSAKURAなど日本風を装っているが、中国米もしくは韓国米である。現実問題として港のないモンゴルにおいて、普通の値段で手に入るモノは圧倒的に中国産なのである。しかしモンゴルの消費者にとって中国産(中国人)は信頼できないモノ(者)の代名詞でもある。だからこそ日本産を装うのだが、SAKURAを買おうとした消費者に「原産地を見て」とインタビュアーが指摘して中国産だと分かると、棚に戻してしまった。彼は今後どのブランドのコメを買うのか迷うだろう。

一方、日本の食材やモノは「安心、安全」という信頼感があるという。番組では、そんなモンゴルに日本の美味しい米を届けようとする“新潟の米”の販売会社の奮闘ぶりを映していた。日本のコメを炊いたおにぎりの試食をしてもらったところ、確かに好評で、その場で2パックの新潟米が売れた。しかし問題は中国産の3倍もする値段である。せめて「〇〇割増し」程度でないと、普通の人たちにはいくら安心な日本の食材といえど、手が出ない。TPPを超えての日本農業の課題である。

ところでなぜモンゴルがそんなに親日的なのか。敗戦で満州からソ連によって連行された抑留兵や抑留民の一部が社会主義国として歩み始めたモンゴルの戦後復興に徴用され、その真面目な働き具合がモンゴル人に評価されたのが最初。当時建設された建物が今も幾つも残っている。戦後急速に復興した日本という国の底力に対する尊敬もあったろう。そして最重要な要素は、日本がモンゴルにとって最大のODA貢献を続けたことであり、それを市民が認識して感謝していることである。ここが恩知らずの中国とは全く違うところである。

話は変わってモンゴルNo.1の銀行、「ハーン銀行」のオーナーは日本人だという。エイチ・アイ・エスの創業者、澤田秀雄氏がモンゴルの破綻した国営銀行を買収し、モンゴルナンバーワンにまで成長させたのだ。日本人の銀行だということが信用につながっているというのが実に嬉しい。きめ細やかな日本式経営が功を奏したのである。中でも異色の取り組みが“遊牧民ローン”。これまで難しかった、遊牧民が銀行にお金を借りることを可能にした、その方法とは「飼っている羊そのものを担保にすること」。素晴らしく実践的である。

番組最後に掲げられた「未来予測」は「第2のサウジアラビア」であった。「モンゴルがサウジアラビアに匹敵する存在になる可能性がある」と「沸騰ナビゲータ」後藤・日本経済新聞社編集委員は言うのである。最近、銅・金・石炭といった地下資源の埋蔵量が世界最大級と確認されたのだ。この地下資源が開発されれば国民に富をもたらし、国民の購買力が広がる。親日・モンゴルは日本企業にとって魅力的なマーケットになろう。

唯一の心配は、この豊富な地下資源の存在を知った中国が、尖閣諸島と同様に「この土地はもともと中国のものだった」と言い掛かりをつけて侵略するのではないかということである。チベットでさえ強引にせしめた彼らである。モンゴルにとって豊富な地下資源の発見がアダにならなければよいが、と祈らずにはいられない。

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ユニクロの「世界同一賃金」は何を意味し、何をもたらすのか

たまたま面白いブログ(”Think outside the box”)を見つけて読んでいたら、直截的ながら鋭い記事を見つけた。

ユニクロの世界同一賃金と日本の総ブラック化
http://totb.hatenablog.com/entry/2013/04/23/135826

たまたま最近「ブラック企業」や企業の人材採用に関する論考を続けていたので、非常に気になっているテーマだった。
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-248.html
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-200.html

ユニクロが世界同一賃金を導入するという報に接した時、「新興国や途上国にも優秀な社員がいるのに、同じ会社にいても、国が違うから賃金が低いというのは、グローバルに事業を展開しようとする企業ではあり得ない」という柳井氏の主張は違和感があるものだった。

小生はこの記事で整理されていることに概ね同意する。柳井氏の主張は少々身勝手な主張なのだと感じる。そして「世界同一賃金」はユニクロにとってもfeasibleでない制度になるだろうことも。

文中に次のようにある。「欧米>日本>途上国の賃金をすべて日本と同一化すれば、欧米では優秀な人材が雇えなくなり、途上国では相場からかけ離れた割高な賃金を支払うことになってしまいます」。その通りだろう。

小生は現時点ではファーストリテーリングをブラック企業だとは思わないが、もし柳井氏がこのまま「世界同一賃金」に突き進んだら、そのときは本当に「ブラック企業」の烙印を押されるのではないかと老婆心ながら心配する。

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エアアジア・ジャパン不振の原因は結局何だったのか

日本で本格的なLCC(格安航空会社)3社が就航して1年が過ぎ、その明暗がはっきり出ている。エアアジア・ジャパンの苦戦の理由として関係者やアナリストが指摘するものは、いずれも十分納得できるものではない。


LCC3社のうち、全日空子会社で関西空港を拠点とするピーチ・アビエーションが最も好調で、就航から6月までの平均搭乗率は78%と国内トップを達成した。尤も、この搭乗率でもまだ赤字であることから、LCCが搭乗率8割程度を要するシビアなビジネスモデルであることが分かる。同社は2014年3月期に(当初計画よりは前倒しで)営業黒字達成を視野に入れている。

ジェットスター・ジャパンも健闘している。先日の発表では、就航1年余りで総搭乗者数が200万人を超えた。同社は昨年7月に成田-札幌、成田-福岡線を開設。中部や関西へも路線を拡大し、現在13路線で1日70便が運航中だ。1年間の平均搭乗率は72%になる。

それに対しエアアジア(マレーシア)と全日空の合弁だったエアアジア・ジャパンは、昨8月の運行開始後、成田をベースに新千歳、福岡、那覇を結ぶ3路線に、中部空港をベースとする2路線などを加えた。しかし報道によると、2012年度の搭乗率は国内線では63.9%、国際線では61.9%と苦戦中である。

このせいで同社は最近合弁を解消し、全日空の100%子会社になった。この11月からは社名を「バニラ・エア」に変更する。新会社は当面は成田発着に集約し(中部空港からは撤退)、国際リゾート路線に特化する戦略を採るそうだ。

この件については小生も興味があったため、これまで時折論じてきた。
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-247.html
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-236.html

不可思議なのは関係者が語るエアアジア・ジャパンの苦戦の真の理由である。全日空出身者は、エアアジアが拘ったインターネット予約だけという方式ではダメだと主張している。それで彼らは旅行代理店経由でチケットを売ろうと考えたのだが、エアアジア本社ではそれでは低コスト追求はできないと猛反対し、この路線対立が後々まで尾を引いたようだ。この点に関しては、エアアジア側の言い分に理があるように思える。

ちなみにピーチもジェットスターも、インターネット予約だけでなく、コールセンターでの予約もできる。この点がエアアジア・ジャパンと他2社との第一の違いであり、本来なら同社の経営陣が真っ先に議論し対処すべき点だったのではないか。

しかしLCCを利用する人たちの大半はインターネット予約に抵抗を示すとも思えず、実際、ピーチもジェットスターもインターネット予約が割安で、主たる手段である。そしてエアアジア・ジャパンのインターネット予約方法が他の2社に比べ難しいかというと、ウェブサイト上で見る限りそんなことはない。

現実問題として、エアアジア・ジャパンの予約システムはエアアジアのものを踏襲しており、プロセス面でもシステム的にも練れているはずからである。アジアの人々に簡単に使えるのに日本人には使いこなせないということはなかろう(日本語表記の問題は残るが)。

アクセスが集中した際にエラーが頻発する問題が足を引っ張った可能性はありそうだが、実は同様の問題は同じ初年度のピーチにもジェットスター・ジャパンにも結構起こっているらしい(ネット上にそうしたコメントがかなりある)が、両者は搭乗率で健闘しているのである。つまりシステム処理能力がエアアジア・ジャパンの不振の主因になった可能性も低い。

多くのアナリストたちが指摘するのが、成田空港を拠点にしていることによる低コスト追求の難しさである。24時間体制でない成田空港は発着時間帯が限られ、遅延が積み重なれば便のキャンセルを生じかねないため、所有機をフル稼働させたいLCCとしては使い勝手が悪い。それなのに世界有数の高額な空港使用料を請求される、LCCにとって実に儲けにくい空港なのである。これは24時間稼働の関西空港をベースにするピーチが一番好調である理由にはなるが、同じ成田を拠点にして好成績を上げているジェットスター・ジャパンを前に、この言い分は通用しないだろう。

アナリストたちが挙げていたもう一つの要因は「エアアジア」ブランドが(東南アジアでは有名とはいえ)日本では浸透していなかったのではないかという点だ。これはジェットスター・ジャパン就航前からジェットスター本体が日本に就航していたのに比べ不利な点といえようが、ピーチが全くゼロから始めて結果を出しているのだからやはり言い訳に過ぎない。実際、「バニラ・エア」にブランド変更することで、もう一度ゼロからのスタートをする覚悟を決めた同社にとっては、その要因は小さいと割り切ったはずだ。

それ以外に関係者が理由として挙げているのは、エアアジアCEOのトニー・フェルナンデス氏が指摘している「ANAのような伝統的な航空会社出身の人間がLCCの幹部にいることでの動きの悪さ」と、社内の人が指摘する「合弁企業ならではの意思決定のもたつき」である。

伝統型の航空会社の経営とLCC経営が全く異なることも頷けるし、合弁会社の経営が難しいことは一般的にも認識されている(実は小生もその体験者である)。しかし好調のピーチ・アビエーションがANAと投資会社の合弁子会社で、ANA出身者が経営陣を占めること、ジェットスター・ジャパンもJALと三菱商事そしてカンタス航空の合弁である事実を考えれば、エアアジア・ジャパン不振の主因として単純には頷けない。

結局、エアアジア・ジャパンが「ダッチロール」したまま経営を立て直すことができなかった主因は環境的な条件や形式の問題ではなく、親会社間での主導権争いが生じ、互いに不信感を深め、経営の方向性で一致団結できないために効果的な手を打てなかったという「内部事情」に尽きるのではないか。その意味で、早めに「成田離婚」し、100%子会社として再出発することは間違いではないのかも知れない。

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TV版「リアル脱出ゲーム」に嵌まる我が家

我が家ではTV東京系の「リアル脱出ゲーム 密室美少女」が大人気である。状況設定は次の通り。
コンクリート造りの密室に閉じ込められた、見知らぬ5人の少女。彼女たちは全員15歳。突然起動したプロジェクターが投影したのは、「暗証コードを入力し、脱出せよ」「制限時間は30分」「制限時間OVERまたはコードを間違えたら」「死」という文字。そして続けざまに“難解な謎”が壁全面に映し出される。タイマーがカウントダウンされていく、脱出するために、″謎″を解かなければならない…
http://www.tv-tokyo.co.jp/tx_nazo/
これが毎週土曜の深夜に放送され、ドラマの中には謎解きのヒントもある。視聴者は放送終了後、番組公式サイトにて解答を登録できる。制限時間は次の放送が始まるまでの1週間。公式サイトに「謎の難易度も次第に高度なものになっていきます」とあるが、毎回実に難しい。

既に8/24 OA分で第6話。今のところ我が家(といっても小生と娘だが)は毎回1~3日程度で答えられており、(録画して翌日の日曜に観ているので、最初から半日~1日程度の遅れがあってハンデだが)大体は正答順で4000番台から6000番台をうろうろしている。日本にはこんなに「謎解き」の好きな人たちが多いんだと感心する。

前回の謎は格別に難しく、一旦は回答放棄状態に陥り、3日ほどすっかり忘れていた。そのため回答できたのは再び我が家で話題にした木曜の夜。しかし世間の人も同じとみえて、大して順には違わなかった。

それに対して今回の謎は、ドラマの中で本当に難しい部分を解いてしまった(多分、前回の謎があまりに難しくて回答者が一挙に減ったことに慌てた制作者側がハードルを下げたのだろう)ために、一つの謎の意味さえ思いつけば、あとは「力技」だったので、娘が今朝録画を観た直後に独力で解いてしまった。さて正答順で何位に上がっただろうか。

TVゲームではリアル脱出ゲームをやったことのない我が家だが、こうしたTVドラマ趣向なら違和感なく参加する気になる(刑事やガリレオなどの推理モノは大好き)。コンテンツ業界にとって今後の方向性の参考になるのではないか。

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浦安市の創業支援セミナーを終えて

本日、浦安商工会議所主催の創業支援セミナーで「ワークショップで学ぶ経営戦略・マーケティング」の講師を務めた。半年に1回ペースで、これで6~7回ほどやっていることになるのだろうか。今回は参加者が少し増えて32名、7グループに分けてワークショップを行ってもらった。

この講座は知人から引き継いで始めたもので、中身も最初は彼がやっていたものをある程度引き継いだが、創業・起業者のニーズに合わせるべく途中で何度も手を入れているうちに、最初に満載だったいかにも教科書的な内容は「経営戦略」絡みの理論部分だけに限定され、後半はすっかり様変わりした「スモールビジネス向け現代マーケティング実践編」になっている。

3つのパートに分けて理論や考え方を紹介した上で、3.5時間の間に行われる3回のグループ・ワークショップで、「選ばれる理由」の特定、「マーケティング基本戦略」策定、「集客ちらし」作成まで体験してみる。何とも凄まじい慌ただしさだが、大半のグループで何とか格好がつくものまで作成できる(毎回2~3グループは仕上がらずに発表を断念するが)ので、ちょうどよい位のストレッチ具合だと自負している。

肝心の中身の充実度や満足度について評価フィードバックを正式に受けた訳ではないが、前回も今回も直後に参加者から好意的な評価と質問を受けたので(今回は銀行で創業者向けに支援する立場の人まで参加していた)、それなりによい反応なのだろうと楽観的に考えている。

数回前に抱いた「どうも大企業のサラリーマンによる新規事業向けならともかく、独立してスモールビジネスを起こそうとする創業・起業者には、ちょっと理論的な部分が多過ぎるんじゃないか」という疑問を突き詰めて、改善を繰り返してきたのが功を奏しているのであれば嬉しい。

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リーダーシップと埋もれた技術が蘇らせた「森下仁丹」

8月22日放送のカンブリア宮殿が採り上げたのは「森下仁丹」。「“銀の粒”から生まれた最新技術!老舗企業の大転換経営」と題して駒村 純一(こまむら・じゅんいち)社長がこの老舗をどう蘇らせたかを追った。

丸く小さな銀粒、“仁丹”。50代以上にとってはお馴染みで、かつては日本人の携帯薬もしくは口中清涼剤として圧倒的な支持を得た商品。しかし今の若い人は見たことも聞いたこともないようだ(我が娘も同じだった)。銀粒仁丹の売上高は1982年の39億円をピークに減少の一途、森下仁丹は2003年、30億円もの赤字を計上していた。そこに大手商社を飛び出して飛び込んだ社長・駒村氏は大胆な改革を断行し、組織体質を変えることに成功した。

駒村氏の改革のひとつが、「血の入替」。社外から新たな人材を積極的に中途採用し、今や本社で働く社員の約6割が中途入社であるという。その結果、仕事の大幅なスピードアップと、従来の考えに縛られない自由な発想が生まれているようだ。さらに社員の意識を変えるため、自ら部下を社外へ連れ出し、異業種と交流させる。その中で社員の意識に生まれてきたのは、製品アイデアに加え、市場にとらわれない新分野への進出だった。駒村氏の就任以降、商品数は2倍近く増えたという。

そしてその決定打となったのが、森下仁丹が銀粒から培ったコーティング技術を活かし、10年の歳月をかけて確立した、独自のシームレス(継ぎ目のない)カプセル技術。これまで自社製品にしか活かすことのなかったこの技術を、駒村氏は「森下仁丹の宝だ」と見抜いた。この技術を外販することを決断し、これまで100社1000商品にこのカプセル技術は使われている。さらには海外のサプリメント、医薬品市場にまで進出し市場は大きく伸びている。今や他社からの依頼で作るカプセル事業が売り上げの約3割を占め、森下仁丹の利益の大きな柱となっているという。

これまで主に食品向けにカプセル技術を開発してきた森下仁丹だが、今新たに用途開発に乗り出そうとしている。第一に狙うのはレアメタル。廃品などに含まれ、未だ回収できていないレアメタルを採取できれば、大きなビジネスになる。そこで森下仁丹は工業廃液からレアメタルのみを回収できるカプセルの開発に着手、そして成功した。さらに先端医療の分野にも進出し、ガン治療の医薬品開発も始まっている。同社のカプセル技術を使えば、(従来の注射ではなく)錠剤としてワクチンを接種できるので、革新的な技術として大きく注目されている。今や伝統を墨守するだけの「死に体」老舗企業の面影はない。一人のリーダーシップによって企業体質まで変わることができる、立派な証明だ。

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安倍政権は小泉政権と同じ過ちを繰り返そうとしているのでは?

労働者派遣制度の見直しを検討してきた厚生労働省の有識者研究会が20日、報告書をまとめた。企業が一つの業務に派遣労働者を使用できる期間を最長3年に制限する現行ルールを撤廃し、労働組合の同意を条件に、人を入れ替えれば派遣を使い続けられるようにすべきだとしている。

労働者派遣法は、派遣先企業の正社員が仕事を奪われることがないように、これまで派遣を臨時的で一時的な仕事に限定してきた。報告書はこの原則を大きく転換するものだ。これは安倍政権の企業寄り姿勢を明確に示している。そしてそれは小泉政権が後に大いに批判された「雇用の不安定化」と「格差拡大」にしか効果がない。

この報告書が目指す政策は企業にとってのメリットばかりを重視し、労働者の大半がプア化する方向に引っ張る。もちろん企業にとっては、派遣が活用しやすくなり人件費の抑制につながるメリットがある。しかしだからといって日本の中小~中堅~大企業が雇用を増やすだろうか。日本への新たな投資を外資企業が決断するだろうか。それは現実を知らない学者や官僚の論理である。外資が日本に投資をするとしたら、コスト低下ではなく、日本の高いコストをカバーして余るほどの豊富な需要が生まれることしかあり得ない。そのためには分厚い中間層の復活が必須条件なのである。この因果関係をしっかりと認識していないと、とんでもない悪手を打ちかねない。

この政策がもたらす人件費抑制で企業が上げる利益増分は、社員に還元されるわけではなく、内部保留されるか株主に還元されるだけで、大半の大~中堅企業は少子高齢化の進む日本市場には再投資しない。したがって日本の税収増加にもつながらない。つまり日本という国家にとっても、日本国民の大半にとっても望ましい結果は生まれにくく、むしろ中間層が減ることで米英韓国的社会に近づく可能性だけが高まる。

労働者側からすると、正社員の仕事が派遣に置き換えられたり、非正規雇用が固定化したりする懸念が大いにある。正社員寄りに偏っていたとはいえ労働者保護を気に掛けていた民主党に対し、ようやく政権を奪取した自民党としては、その最大サポータである企業寄り姿勢を鮮明にしたのだろう。

ちなみに現在は、無期限に派遣できるのは通訳やOA機器操作など、いわゆる「専門26業務」に限定されている。その他の一般業務は派遣先の正社員の雇用保護を理由に、原則1年、最長3年に限定されている。報告書は、その専門業務の区分の廃止、一般業務との一本化を提言しているのだ。そして一人の派遣労働者が同じ職場で働ける期間を最長3年とした。その上で、派遣先の労使協議で労働組合や労働者代表から異論がなければ、企業は、別の派遣労働者に入れ替えることを前提に、3年ごとの更新ができるとした。派遣会社との間で期間を限らずに雇用契約を結ぶ無期雇用の人(正社員)の派遣は、「無期雇用派遣」と定義し、業務の種類を問わず無期限での派遣を認める。

3年の期限を迎えた派遣労働者については、本人の希望に応じて派遣先への直接雇用申し入れや次の派遣先の提供などを人材派遣会社に求めるとしている。しかし努力目標に過ぎず、義務ではない。どうひいき目に見ても雇用の安定はかなり失われ、現在少し収まってきた「派遣切り」が個人単位ではおおっぴらにできるようになる。つまり派遣でこつこつと実績を積んで正社員に登用されることを目指してきた派遣社員は、確実に3年を限度に職場を変わらざるを得なくなり、正社員に登用される可能性は限りなく小さいものになろう。

一体これは誰のための「規制緩和」であり、政策方向性の転換なのだろう。企業が栄えても国民の大半が貧民化すれば、国は間違いなく衰退する。日本は既に「失われた20年」という貴重な時間を費やして、経済格差を一定以上拡大すると社会が崩壊することを学んできたのではなかったのか。同じ轍を踏むとしたら、日本国民はなんと学習能力に欠けた政治家ばかりを抱えていることか。

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エアアジア・ジャパンの別ブランド化は不可解

旅行大手のエイチ・アイ・エス子会社のアジア・アトランティック・エアラインズが成田‐バンコク線の運航を今日から始めた。定期便ではなく、観光シーズンのピークに合わせてチャーター便を運航、成田‐バンコク線は11月まで1日1便往復するというやり方である。需要に応じてチャーター便を飛ばすことで搭乗率を高め、その分価格を抑えるという「小回り戦略」である。

初回から機体のトラブルで予定より1時間遅れたというのが少々情けないが、バンコク行きの初便は満員だったという。澤田エイチ・アイ・エス会長をはじめとして一喜一憂したことだろう。しかし彼らの勝負はこれからである。

もう一つ、格安航空会社LCCのニュースとして、エアアジア・ジャパンが新ブランド「バニラ・エア」を発表した。エアアジア・ジャパンとしての運航は10月26日までで、年末に「バニラ・エア」として運航を始めるとのこと。特長としては、リゾート地を中心に就航し、グアムやサイパンなどが路線の候補地だという。

先日も触れたが、エアアジア・ジャパンはライバルのLCCと比べて搭乗率が低迷し、定時運航率でも最下位だとのこと。LCC3社(ジェットスター、ピーチ・アビエーション、エアアジア・ジャパン)が就航して約1年。オーストラリアやニュージーランドへの就航で業績好調なジェットスター。24時間稼働の関西空港をベースにアジア便や国内便でフル稼働に近いピーチ。

それらに比べエアアジア・ジャパンの出遅れは、インターネットからの予約の操作や説明が(エアアジア仕様で英語をベースにしているため)分かりにくいのが一因、旅行代理店ではなく直接販売にこだわった営業戦略のミスがもう一つの理由、などと解説されていた。中にはエアアジアが冠であることによる知名度の低さを指摘する声もあった。しかし真の理由は別にあると小生は睨んでいた。

成田ベースの同社は、稼働時間に制約がある上に、空港施設利用料が極めて高く、元々不利なのである。だから大したコスト削減ができない。しかもANA子会社ということで、親会社からの出向の経営・管理者など余計な人件費を抱えている可能性も高い。これは元々苦しい経営条件なのである。

今回のエアアジアとの合弁解消によりANAの完全子会社になったのだから、本来ならピーチに吸収合併するのが最も合理的な解決策だったはず。それを敢えて別会社として残し、別ブランドを再度立ち上げた(これによって知名度は再び低迷する)のは不可解である(もしかするとピーチ側から断られたのかも知れないが…)。この先数年経ってからの評価で、「あれは全くの愚策だった」と云われなければよいがと、小生は心配している。

「ロボット vs 職人社長」と「30年後も食える仕事」

日経ビジネス2013年8月12・19日号の特集が面白かった。ロボット工学の発展により、長年手作業で続けられてきた「職人技術」が急速に姿を消しつつある。例えば吉野家の店員による「盛りつけ」作業は今や店舗の9割弱でロボットに置き換わっているそうだ。また、アマゾンの物流拠点でも近い将来、大幅な省人化が進む可能性が出てきているという。プロ棋士でさえ将棋プログラムに負けてしまうほどIT化の進歩は凄まじい。

この調子で業界を問わず自動化が進んでいくとしたら、今後数十年で既存の仕事の多くが消滅しかねないのではないかと懸念する人は多い。「これから始まる第3の波は、コンピューターや人工知能の進化による失業。あおりを受けるのは高等教育を受けたホワイトカラーだ」という予言もある。そこで気になるのは、職人技的頭脳労働まで消えてしまうのかどうかである。そこで企画されたのが「ロボット vs 職人社長」である。

登場したのは、1.「博多一風堂」の河原成美CEO vs 麺茹でロボット、2.星野リゾートの星野佳路社長 vs 全自動ホテル、3.伝説の投資家、ジム・ロジャーズ氏 vs 最新自動投資プログラム、4.宮大工の小川三夫氏 vs大工ロボット、5.ジャパネットたかた・髙田明社長 vsビッグデータ分析&司会ロボの5つである。結論からすれば職人社長の5連勝に終わる(少々ひいき目だが)のだが、人口知能を応用したロボット技術が人間の「脳力」に肉薄していることも事実だろう。

それに続いて、読者が一番気になる「30年後も食える仕事」というのが続く。専門家の意見を参考にまとめたものだが、4つの種類に分類される。1つめは「ロボットによる代替が難しい仕事」だ。プログラム化できない「勘の世界」の職人技である。2つめがそもそも「自動化のニーズがない仕事」、例えばプロスポーツ選手やグラビアアイドルなどである。3つめは「機械化社会の維持に必要な仕事」で、コンピューター/ロボット技術者などである。4つめは「ロボットにはやって欲しくない仕事」、例えば美容師/医師/保育士/マッサージ師などである。しかしこの一部は人々の価値観が変わると『ロボットでもいいや』となる可能性があるので、少々願望が入っている感じもする。

結論からいうと、多くの職人的仕事、アドホックな仕事、創造的仕事がロボットに代替されずに残るが、普通のホワイトカラー・ブルーカラーの仕事はかなりの割合で代替されてしまうのではないか。だからといってロボットを進化させる手を休めてはいけない。日本がやらなければ韓国、中国、米国、欧州の各国がやるだろう。今、日本は様々なロボット分野で主導権を握っているのだから、そしてロボット業界がこの先世界的巨大産業になるのなら、次世代ロボットを一大輸出品またはライセンス商品とすることで、世界をリードする立場に立つべきだろう。

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路線バス経営の改善にはお手本がある

8月16日(金)のBSニュース 日経プラス10、「ニュース+10」のゲストはイーグルバス社長、谷島賢(やじま・まさる)氏。人口減など厳しい事業環境にさらされている路線バス業界では地方を中心に路線の廃止が相次いでいる。そのような中で路線バス事業を拡大しているのが、埼玉県川越市に本社を置くイーグルバスだ。

谷島社長は東急観光(現トップツアー)を経て1980年にイーグルバスを創業。送迎・観光バス事業から始め、その後に路線バス事業に参入。顧客の要望に応じて走るコースを変更するなど効率化を進めていることで注目を集めている。

2006年4月、地元からの強い要請に応える形で大手バス会社撤退の後を引き継いで、埼玉県日高市を走る生活路線バス事業にはじめて参入。しかし実際に参入してみて自らの認識の甘さを思い知らされる形になった。

日高市は東京のベッドタウンとして発展してきたが、モータリゼーションと少子高齢化の波にさらされ、路線バス利用者は減る一方。かといって、過疎地ではないので行政からの補助金はゼロ。従来通りの運行では赤字の垂れ流しになることは確実だった。観光・送迎バス事業は利益を確保した上での商契約がベースになるが、路線バスは365日遅滞なく運行しなければならず、固定費の塊のような事業である。乗客が少なければ無条件で赤字になる。

引き継いでみてつくづく感じたのは、この事業は中身が「見えない」ということ。だったらこれを「見える化」しようというのが改善のスタートだった。「見える化」する対象は「運行」「顧客ニーズ」「コスト」そして「改善過程」の四つ。

まず「運行」を「見える化」するために、(埼玉大学と協力して)バスの乗降口にセンサーをつけ乗降数をカウント、GPSを利用してバスや停留所の位置情報、時間情報をサーバーに蓄積していった。そしてこうしたデータをグラフ化。たとえば、バスの慢性的遅延時間、乗降客のいないバス停や路線などがひと目で分かるようにした。

ここで気をつけなければいけないのは、路線バス事業は、コンビニのトラック配送のように、最適ルート・時間を追求することで便数や人員を減らすだけが成果ではないこと。顧客ニーズに基づいた「最適化」への視点が必要になる。この視点を忘れて効率化に走ると、使い勝手が悪くなり利用者が減るという負のスパイラルに陥ってしまう。当社は乗客へのアンケートでニーズを探った(車内アンケートやダイヤ改定評価アンケート、地域住民アンケートなど)。それを前述の運行データと掛け合わせながら改善を実施していった。

「見える化」で終わっては意味がない。それに基づき様々な手を打った。乗降客のないバス停や路線の廃止はもちろん、新たなニーズに応じて新停留所を設置することも行った。遅延時間をなくすため、停留所間の距離と時間を細かく調整した(慢性的な遅延は、乗客のイライラ感を増すばかりでなく、運転手の焦りを誘い、事故の発生率を高める)。

とはいえ最初の3年間は失敗の連続だったようだ。高齢者の「電車との連絡がタイト過ぎる」という声に基づいて、乗り換え時間を3分から10分に延ばすダイヤ改正をしたことがあったが、通勤客の不満が募り朝の通勤客の利用率がガクンと落ちてしまった。結局、朝夕は3分、昼は10分に変更すると通勤客が戻ってきた。

そんな試行錯誤をしながら、ダイヤ改正ごとに評価・検証し、改善へのアクションを行っていった。これはPDCAサイクルを回し続けたということだ。その結果、3年目以降は目に見える成果が出始め、引き継ぎ以前の1日750人から850人へと、乗客は100人増えた。10%以上の増加はこの業界では異例である。要は、顧客の利便性と信頼性を高めれば、必ず需要は増える。路線バスも例外ではないということだ。

ところで、高齢化率の高い過疎地住民の悩みはバス本数の少なさだった。同社はコストを上げずに本数を増やすために、ハブ&スポーク方式を導入している。町役場の隣に「ハブバス停」(せせらぎバスセンター)を設けた。空港と同じ原理で、そこから主要駅への路線のみならず大野地区、椚平地区といった過疎地域にはデマンド方式(通勤時間帯は定時運行)で小型バスやワゴンバスを往復させるようにした。これら過疎地域の住民にとって、乗り換えの必要は生じるものの、本数が増えたので利便性は大幅に増した。

さらに、観光客の取り込みに成功したことも相まって、乗客数は再編前に比べて1.2倍に跳ね上がった。このような成功によって、最近では全国からノウハウの提供を打診されるようになった。海外(東南アジア)からの引き合いも来ているそうだ。

しかしこの会社がやっていることは極めて真っ当なことで、特殊なものではない。改善の努力を「見える化」し、そのデータを基に経営を改善する。逆にいえば、地方のバス会社の多くが赤字分だけ補助金をもらうようなシステムの下、これまで真っ当な経営努力をしてこなかったのではないか。PDCAの地道な改善モデルが全国の同業者で実行されることを望む。

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根強いファンに支えられたモスバーガー

8月15日(木)のカンブリア宮殿は、業界2位のモスフードサービス代表取締役社長櫻田厚(さくらだ・あつし)氏を招き、題して「不動の人気を博す!日本生まれのハンバーガーチェーンの秘密」。創業者の甥っ子で最初の店の店長だ。いわばモスバーガーと共に歩んだ人だ。

モスバーガーの特徴の一つは、客の注文があってから調理を始めること。冷めたらおいしさも半減するとの考えからで、1972年の創業当時から変わらない。そのため出てくるのが少々遅いのだが、これもまたファンは承知の上。もう一つの特徴であるたっぷり野菜は、全国3000軒の契約農家が作ったもの。キャベツやトマト、レタスは丸ごと店に運ばれて、(他のチェーンがセントラルキッチン方式でカットした野菜を店舗に配るのに対し)店内で一つひとつ仕込まれる。レタスは手でちぎっている。契約農家も「実際に畑にまで見に来て作物の出来を確かめるのはモスさんだけ」と感心していた。これらのこだわりが客を魅了、創業7年で100店舗を達成し、全国47都道府県全てに進出した最初の外食企業ともなった。

MOSの由来はMountain(山のように気高く堂々と)、Ocean(海のように深く広い心で)、Sun(太陽のように燃え尽きることのない情熱をもって)という意味。人間と自然への限りない愛情、そんな人間集団でありたいという願いを込めたという。その精神が浸透しているのが店周辺の掃除。全店、毎朝必ず両隣3軒分の通りの掃除をやっているという。

モスバーガーの商品開発のモットーは“日本人の舌に合うハンバーガー”。定番商品の「モスバーガー」に入っているミートソースは、創業前に修行し参考にしたアメリカの店のチリソースが「日本人には辛すぎる」とアレンジしたもの。今やどのチェーン店でも販売されている「テリヤキバーガー」はモスバーガーが発明したもの。さらに、1987年に発売されたのは「ライスバーガー」を開発。これは、コメ余りに頭を悩ませていた農水省から相談され、2年間研究して出来たものだという。他にもモス発のヒット商品は多い。

番組の中で2つのエピソードが紹介されていた。一つは「値下げセールをやったことはないのですか?」に対する答で、「実は一度だけあります。創業30周年感謝セールで二週間、通常300円のモスバーガーを200円で販売しました。でも常連の客様方から一杯お叱りのメールや投書をいただいたので、2度とやりません」と。「なぜこんな真似をするんだ」「こんなことを続けるなら、もう行かない」「モスにはおいしさを求めているのであって、安いからではない」というきつい『お叱り』だったという。モスの常連の気持ちが滲み出ている。

もう一つは、櫻田社長が店長をしていた店の真正面にマクドナルドの新店ができたときのこと。当人も「これは大変だ」と思ったそうだが、常連客が週に何度も来て「大変だろうが頑張れ」「浮気しないからね」と励ましてくれ、櫻田は店奥のキッチンで号泣してしまったそうだ。

近所に愛される店だったからこその応援であり、その後の成長だ。今や全国に1431店舗あり、連結の売上が600億を超える大企業である。村上龍氏と同様、小生もなんとなく小じんまりとした企業のイメージを持っていたが、とんでもない勘違いだったわけである。

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新関西国際空港は変わることができるのか

8月14日(水)のBSニュース 日経プラス10、「トーク+10」のゲストは新関西国際空港社長、安藤圭一氏。三井住友銀行の副頭取だった人である。

新関空会社は昨4月に政府の全額出資で設立された。関西国際空港と大阪(伊丹)空港が2012年7月に経営統合し、「新関西国際空港会社」による一体運営に変わっている。両空港の経営統合の狙いは、それぞれの収益性を高めて、両空港の運営権売却(コンセッション)につなげることだ。1兆2000億円を超える有利子負債にあえぐ関空の財務改善、2014年度民間への運営権売却という目標を果たせるのか?番組は社長のビジョンと経営戦略を尋ねるものだったが、その不透明さが残ったと言わざるを得ない。

関空は、伊丹が騒音問題で便数を増やせない制約を打開しようと、沖合5キロに埋め立てて建設された。しかしその埋め立てコストが高くつき、関空は開港以来、負債の足かせから逃れられず、毎年200億円にも上る利息の支払いで営業利益のほとんどが消えてしまう状況に陥っている。このあたり、旧運輸省役人と政治家のいい加減さが後々の世代につけを回した格好である。そして傾いた経営を銀行家が立て直すという、昔馴染みの光景である。

関空と、健全経営をしている伊丹空港の運営権を抱き合わせで売却し(コンセッション方式)、世界に立ち向かう態勢を築こうという計画が始まった。このため、新関空会社の当面の最大の課題は、経営権売却に有利に働くよう、両空港の収益力を向上させることだ。実際、同社は様々な手を打っている。

利用度を上げるため、関空の国際線の着陸料を昨年10月から5%値下げした。それでも36万円(B767-300 1機当たりで番組が試算)と、羽田に次ぐ高さであり。成田でさえ30万円、韓国・仁川は約14万円、中国・上海浦東が12万円、チンガポール・チャンギが16万円だから、割高感は否めない。また、国内でも本格化してきた格安航空会社(LCC)の誘致に力を入れており、ピーチなどの利用が伸びている。そのほかにも国際貨物ハブ空港としての機能強化を図っており、24時間運行がウリである関空での深夜・早朝の国際線貨物便の着陸料を半額に引き下げた。

しかし、収益拡大の方向性が明確になったとはまだまだ言えない。急速に経済成長が進むアジアの主要空港と比べると小粒感が否めない。年間乗降客数で比べると、関空の1600万人に対し、仁川は3900万人、上海浦東は4500万人、チャンギは5100万人と差はまだまだ大きい。貨物取扱量に至っては、成田の201万t、仁川の246万t、上海浦東の294万t、カンギの184万tに対し、関空は1ケタ小さい72万tに過ぎない。日本経由でアジアと北米・欧州をつなぐハブを目指すのなら、地元・関西経済圏のテコ入れとそこでの付加価値づくりが絶対必要である。

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出版業界の「敷居下げ作戦」と危機感

8/9(金)のWBSでは小説家・福井晴敏の新刊「人類資金」が250円という驚きの価格で売り出されたことを採り上げていた。「本離れ」は未だに進行中で、10年近くずっと国内出版物の売り上げというのは減少している(2005年には2兆1964億円あった売上が、2012年には1兆7398億円まで下がっている)。そこで大胆な割引により、なんとか読者を取り戻そうという試みが始まったわけである。

経済小説、「人類資金」は全7巻を刊行する予定で、8月9日には1巻と2巻が同時に発売された。その第1巻を定価500円の半額、250円で発売したのだ(2014年3月までの期間限定)。確かに安い!お客も驚いていたし、丸善の販売担当者も驚きというか不安を隠せないようだった。しかもこの小説は発売前から映画化が決まっていて、10月19日から全国で公開される予定だという。

講談社の書籍販売局次長・藤崎隆氏が語っていた。「書籍を原作とした映像化というのが、本の売り上げを伸ばす一番の大きなポイントになったりしますので…」「今回の250円は、画期的な値段付けだと思っております。…ここでまず読者の方に手にとっていただければ、これだけ面白い作品ですので、途中で映画を見たとしても、その映画のディティールをもう一度本で読みたいという方がかなり出てくるんではないか、と」。うーん、なるほど、でも…(途中で映画を観た人の何割かは結末を映画で知ってしまうと、そのあとの巻を読み続けるのだろうか…)?

著者の福井晴敏自身がコメントで言っていた。「驚きましたよ。「250円になりました」っていくらなんでもじゃないかと思った。敷居下げ作戦」と。それでもこの実験的な販売戦略に乗った背景には、出版をめぐる現状への危機感があったという。「電車に乗ると一目瞭然だと思うんですが、全員スマホを見ていますよ。多分時間つぶしで活字を読む量がそこで満たされちゃっている」と。それでこうした試行をやってみようという話になったのだということである。余暇時間の奪い合いがそれだけ激化していること、それを背景とした出版業界の危機感を感じた。

実は今、その出版業界絡みの仕事(残念ながら、売れるようにするためのマーケティング関係のプロジェクトではないが)をしており、大きな関心を持っている。真面目に仕事をしてきた人たちばかりの業界なので、今回のような思い切った取り組みは珍しい。応援したい。

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急拡大する家事代行サービス

8月8日(木)放送のテレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」で採り上げたのは家事代行サービス。知人でこのサービス会社を立ち上げた人がいるので、興味があった。

番組では、家事代行サービス「ベアーズ」のスタッフ・針ヶ谷さんを追う。彼女は隔週水曜日に顧客自宅で3時間の家事代行を行なっている。費用は3時間交通費込みで1万1295円。帰宅した顧客・平井幸子さんは「家事代行サービスで娘と遊ぶ方に時間を使いたい」と述べた。

家事代行サービスを運営する大手の「ベアーズ」では20~80代の女性たち4300人が働いているという。いやはや随分広い年齢構成だ。同社の特長は従業員の経験や技術を詳しく記録した人事システムを持っていることで、これにより顧客の満足向上につなげることを目指している。会社では家事のプロとしての心構えでなく、掃除やアイロンがけなど実技を学ぶ研修が行われていて、合格した人のみが「ベアーズレディ」と呼ばれる。顧客の利用頻度は平均で週1回。この企業の売り上げは8年間で12倍と急成長している。

全日空では40社の家事代行サービスを福利厚生として社員に提供している。同社の社員は半数以上が女性で、そのうちの4人に1人は子育て中の母親。人事部の槙田あずみ室長は「ストレスを抱えながら家事に追われるのではなく、人の手を借りていくこともやり方の一つだと伝えている」とコメントしており、このサービスへの期待が高いことが窺えた。

この番組で知って面白いと感じたのは、ダイエーの売り場で、家事代行サービスを手がける「ベアーズ」の利用券を5月から34店で販売していること。お試しやギフトでの利用を狙っているとのこと。ダイエーの業態開発部の藤野部長は「店に商品を並べるのではなく、サービス提供にも販路を広げたい」とコメント。ダイエーとベアーズは訪問先で日用品を販売するといったコラボサービスも検討しているそうだ。

家事代行サービス市場は2010年度には290億円だったが、経産省は将来的に1720億円と予想している。この家事代行サービス市場に魅力を感じる異業種の事業者もいるという。なるほど参入障壁は意外と低そうである。しかし参入障壁が低いということは、質の悪い業者も多いということでもある。たちの悪い業者やスタッフによる盗難や傷害といった問題も、今後発生しかねない。

そんな課題を抱える家事代行業者が集まり、業界団体を設立する会合が開かれたところも番組は映した。団体では自主的なルールを設けることで、他人が家の中に入るという利用者の不安を解消し、サービスの向上を目指すとしている。山田長司会長は「関係官庁には許認可で事業を行なってほしい」とコメント。既存業者とすると、「規制産業」化すれば参入障壁が築け、利益率の維持・向上が見込めるようになるだろう。

利用が増える家事代行サービスについて、番組コメンテータの高橋進氏は「家事代行市場は働く女性を支えるために広がっていく。介護保険サービスの見直し、グローバル化の進展で日本にもっと外国人を誘致すればさらに市場は拡充するだろう」とスタジオトークでコメントしていた。家事代行サービスがあることで外国人家族が日本への赴任を不安なく受け容れるようになれば好循環となろう。

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ベゾス氏が与えた時間的猶予と経営陣への課題

ママゾンのCEO、ジェフ・ベゾス氏が、ワシントン・ポストを2億5000万ドルで買収することが報じられた。買収したのはアマゾンではなくベゾス個人の会社であり、いわばポケットマネーであることが凄まじい金持ち度を表している。したがって、この買収にアマゾンは企業として関与していない。今後も基本的にはそうだろう。

買収直後にベゾス氏が出したワシントン・ポスト社員への公開書簡は、性急な変化をもたらすよりは、じっくりと付き合う姿勢をみせるものだったようだ。ベゾス氏は、ワシントン・ポスト紙を急速に変革するつもりがないこと、現在のインターネットニュースは紙の新聞の利益を侵食しているが、それらには本質がなく、ワシントン・ポストが新たなニュースに関するイノベーションを起こすことを示した。

買収後も、例えば急速なデジタル化やウェブニュース事業の強化などに舵を切るわけではなく、これまで貫いてきた編集方針を大切にしながら、遅かれ早かれ迫られている新聞事業への変化を、独自にじっくりと作り出していくことになるだろう。ワシントン・ポストの経営陣は、抜本的な改革に向けての時間的猶予を与えられたということになる。

この買収に関しワシントン・ポストの記者たちは意外と前向きに捉えているとニュースで聴いた。こうした新オーナー・ベゾス氏の方針に、切り売りされたり無闇な転換を強制されたりせずにほっとしたというのが真相だろう。また、ベゾス氏がアマゾンの経営で見せてきた長期的視野による投資姿勢を評価している面ももちろんあろう。それに、噂が出ていたロシアや中国の大富豪に買収されて国益と反する記事を強制される場面もどうやらなさそうだということもあるだろう。

しかし米国の新聞業界が置かれている環境は日本で考えるよりずっと厳しく、数年以内に抜本的な経営改革が打ち出されない限り、経営陣は間違いなく更迭され、その場合には現場のリストラが検討される可能性は低くない。電子化されたコンテンツをいかに使い回しして収益化するかという課題は日米に共通するが、米国の新聞業界の試行錯誤が常に先行してきた。そして今のところ明確な答は見つかっていないという難題である。

ベゾス氏が新オーナーとして経営陣に対し今後打ち出すと考えられるのは、従来の延長戦上でなく、新しい土俵を作って収益機会を創造することだろう。しかも報道現場の知的活力を犠牲にすることなく。これはとてつもなく高いレベルのハードルである。

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ニッポンの町工場の挑戦と目利きの必要性

8/6(火)のガイアの夜明けは「不屈の町工場...世界を驚かす!」というテーマ。日本のものづくりを支えてきた町工場のほとんどが大手メーカーの下請け部品を作ってきた。しかし近年、大手メーカーが生産拠点を海外に移転する動きが加速したため、経営不振に陥る工場が相次いでいる。そんな中、長年培った技術を生かしてオリジナルの製品を開発しヒットを飛ばす工場、海外へ打って出る工場も現れている。

欧米のレストランや雑貨店で評判を呼んでいる食器がある。ぐにゃぐにゃと自由に形を変えられる皿やかごであり、スズでできた食器だ。作ったのは富山県高岡市の銅鋳物メーカー、「能作」。創業以来、仏具、茶道具メーカーの下請けを続けてきた。しかし年々受注は減少し、売り上げはかろうじて横ばい。4代目社長の能作克治さんは、自社商品を作る事を決意。純度100%のスズを使った食器が世の中にないことに注目、独自の鋳造技術で開発に成功。まずは日本の百貨店に出したところ、たちまち人気商品になった。さらに海外にも積極的に売り出し、今では欧米や中東などに輸出しており、さらなる市場拡大に乗り出している。

愛知・名古屋市の鋳物工場「愛知ドビー」。戦前から続く工場だが、下請けの仕事が激減し経営難になった。この工場を救うため、前社長の息子2人(土方兄弟)が大手企業を辞めて経営者として戻ってきた。そして精密な鋳造技術を生かして、自社商品のホーロー鍋「バーミキュラ」を開発。この鍋の密閉性は非常に高く、水なしで素材から出る水分だけでおいしく調理できる「無水調理」ができる。評判は広がり、今や15か月待ちの大ヒット商品に成長、工場は息を吹き返した。
前回の番組終了後、生産体制を増強した土方兄弟は海外市場の開拓に乗り出すことにした。狙いは米国市場。しかし市場調査をしてみると、サイズやデザインの好みが日本と違う。そこで新商品を開発することを決意したのだが、サイズが大きいために密封性を保つのは至難の業。それでも新しい製品を開発し、再びアメリカに乗り込む姿を番組は追った。

次は岐阜県山県市で水栓バルブ部品を長年下請け製造してきた田中金属製作所。リーマンショックで親会社が吸収合併され、注文が10分の1に激減した。起死回生を狙い独自の「節水シャワーヘッド」を開発。従来の半分の水量でシャワーが使えるようになるだけでなく、細かい泡を発生させることで汚れを落としやすくなる。特許も取得した。今夏から本格的に売り出し、国内の大型雑貨店でも売れ、水道代を節約したいスーパー温泉などでも引っ張りだこになるほどのヒットになった。

次は海外進出。しかも水不足の国として狙ったのがシンガポール。国民に節水要請が出されるなど、水不足は深刻。「自分たちが培った技術が多くの人々の役に立てば」と乗り込んだが、現地のホテルでは随分大きなシャワーヘッドが好まれると断られる。何も得るものなしに帰国くるのも癪なので、(ホテルの女性スタッフのアドバイスに従い)同社のシャワーヘッドを好んでくれる可能性があるのは女性だと見定め、現地のエステサロンに飛び込み営業を掛ける。結果は受注成功。海外展開の足掛かりを得たのである。

この番組で紹介したような成功例はまだまだ例外的存在である。素晴らしい技術を持ちながらも、マーケティング戦略の観点を持たないがために事業機会を逃し、悪ければ倒産してしまう会社がまだまだ少なくないようだ。金融機関や役所に目利き能力があったのはとうの昔の話。早めにプロの助けを呼ぶべきだろう。

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「行動観察」は基本中の基本

NHKの8月6日(火)放送、『行動ウオッチャーズ』という番組を観た。「ふだん何気なく行っている私たちの無意識の行動。そこに本音が隠れている。人々の日常の何気ない行動をじっくり観察(ウオッチ)することで、言葉にならない人の本音に気づき、その気づきから従来の既成概念にとらわれない、意外で奇抜なアイデアで変化を起こす」というのが番組の触れ込みである。今回紹介された手口はマーケティング現場で使われる、実にオーソドックスなものである。

スタジオでのコメンテータは全く畑の異なる、前田知洋(クロースアップマジシャン)、内澤旬子(文筆家・イラストレーター)、山崎バニラ(活動写真の弁士)の3人。解説者は大阪ガスの行動観察研究所所長・松波晴人氏。舞台は、首都圏のとある巨大なショッピングセンター(多分、イクスピアリ)。この中のいくつかのポイントに定点観察用のカメラを設置して行動観察を実施するというもの。対象は利用客の何気ない行動である。

まずは「コンビニの立ち読みコーナーがなぜ窓際に設置してあるのか」という質問の投げ掛けから始まる。店内に人がいることで「売れている」「敷居が高くない」という予断を与えることが目的であり、いわば「サクラ効果」を狙っているのである。次はショッピングモールの客の行動をいかに制御するか。例えば床にラインを引いて、大道芸を観る人たちと次の売り場に向かう人たちの流れが衝突しないように誘導する。また、特定の通路に人を流すために観葉植物で薄らパースを組んで見えない道を作る、などである(コメンテータの3氏のコメントはそれぞれユニークだった)。

同じ経営課題の解決のために複数案が提示され、それをスピード感をもってどんどん試行してみれば、随時確認できる。そう、これは仮説・検証という極めてオーソドックスな戦略・業務コンサルティングの世界なのである。

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オージービーフと讃岐うどんが語る日豪関係のポテンシャル

未来世紀ジパング、8月5日(月)の放送は「オージービーフと讃岐うどんの行方~TPPでどうなる!?」。身近な食材を通じて、TPP時代を読み解くという趣向だった。

ハンバーグチェーン・びっくりドンキーでは、メニューはすべてオーストラリア産とニュージーランド産の牛肉を使っている。店舗数は約300店舗。さらにオージービーフ100%を売りにする店を東京・麻布十番の一等地に出店、売りは肉本来の味がわかるローストビーフだ。今やオージービーフは安さだけでなく、味をウリに日本に攻め込んできている。日本での消費シェアは36%になっているという。

一方、オーストラリアの街のレストランにはWAGYUの文字が目立つ。いま、オーストラリアは空前の和牛ブーム。彼らは霜降りの美味しさを発見したようだ。実は、この和牛は日本から輸出したものではなく、WAGYUという名のオージービーフだ。和牛とステーキで有名なアンガス牛の掛け合わせを重ね、美味しさを追求した、オーストラリア屈指のビーフであるという。これは食べてみたい気になった。

続いて番組は、TPPの重要5品目のなかの麦に注目する。讃岐うどんの本場・香川県。県内に約800店舗もの讃岐うどんのお店があるといわれている。魅力は安さとコシの強さだが、お大手松下製麺所を取材してみると、使っていた小麦粉はオーストラリアのASW(オーストラリアン・スタンダード・ホワイト)というタイプの品種だった。ASWは日本のうどん用に品種改良されたものである。その後に映された、豪州有数の小麦の生産地であるクイーンズランド州での畑の広さは1500ヘクタールという規模。全く広大な土地に見渡す限りの小麦が栽培されている光景はさすがに圧巻。コスト競争力も高そうだ。

一方、香川県高松市にある讃岐うどんの店・千ちゃんでは香川県産の小麦「さぬきの夢2009」を使ったうどんを出している。さぬきの夢を100%使用しているお店は県内に11店舗あるが、この小麦は豪州産に対抗すべく、県とJA香川などが10年以上かけて作ったものだった。JAが地元農業に本当に役立つことを、しかも長期レンジの研究で貢献するなんて本当に珍しいことだが、素晴らしい。

日本とオーストラリアは、真逆の関係。食、エネルギー、技術力など、「持つ国」「持たざる国」ゆえ、相互補完的に両国が手を組めば、自由貿易の時代、日豪は最強のタッグになるだろうと今回の沸騰ナビゲータ・太田氏は指摘する。日本はオーストラリアとタッグを組むことで、自給率ならぬ「他給率」という発想で、食の安定的な確保が可能になるという。そんな単純なものかどうかには少々疑問もあるが、少なくとも「優良顧客」として関係強化に踏み込んでいくことはできよう。

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ホワイトボードが語る、議論のスタイルと企業活性度

【ホワイトボード】中堅以上の企業なら社内のどこかに置いてある大型事務機の一つ。置いてあるからといって使えるとは限らない典型的な機材。その使用実態から、議論を重視する社風なのか、アイディア創出に熱心なのか否かといった企業活性度を表す『リトマス試験紙』にもなる。


経営コンサルタントという仕事柄、色々な企業のミーティングスペースを使わせていただく。最近の大企業では、外部との打合せ用に綺麗なミーティングルームを用意されているケースが増えた(応接室よりも実用的だ)。大きな部屋だとプロジェクタとスクリーン設備まで備え、小さめの部屋なら液晶モニターが用意されていることが増え、持ち込んだノートPCの内容をプレゼンテーションする環境は随分整ってきたと感じる。しかしホワイトボードが用意されているケースは、大きな部屋でも1~2割程度という感じだ(しかも滅多に使われないせいか、我々が使おうとすると電源コードが固く巻き付けられていて難儀したりする)。

また、そんな大企業でも、原則として社員しかいない執務スペース(大部屋)に隣接する、主に社員が使うための会議室は狭くて、設備的には一段劣るのが普通だ。そこで皆さんに訊きたいのは、その社内会議室にはホワイトボードがあるだろうかという点だ。本来ならこちらにこそホワイトボードは欲しいし、しかも機能するような状態でいて欲しいのだが、如何だろう。

なぜこんなことをわざわざ言うかというと、社内会議室にホワイトボードがあっても使えない状態になっているケースが経験上意外と多いからだ。壊れて電源が入らない、スキャナーの蛍光灯が切れている、紙がない、プリンター部分が壊れている、ボードマーカーがかすれて書けない、板面が汚れていて書いたものが判別しにくい、等々になっていないだろうか。

なぜホワイトボードに拘るのか?討論的ミーティングには必須アイテムと考えるからである。どう使うのか?互いの意見を交わす際に、自分の頭の中にある概念をホワイトボード上で図にし、説明を書き足すのである。何故必須か?言葉だけでは誤解が生じかねないし、何より話し言葉だけでは「空中戦」になってしまい議論が深まらないからである。

例えば事業の進め方に関して事業部内で集まって検討会議をする際、ホワイトボードを使って議論をすると着実に議論が深まる。事業推進主体者がまず、考えている「ゴール」「課題」「解決仮説」「必要な施策・手順」などを語りながら書き出す。そして参加者と意見交換してどんどん書き加え、修正する。それに対し他の参加者が意見を出す際に、どこが違うのか、新しいのか、または補足するのか、明確に意識して関係を図示しながら書き加えるのである。

こうしたことをするためには、第一にファシリテータ役がいることが望まれるが、ホワイトボードもある程度の大きさがあることが望ましい(ちゃちな大きさではメモ書きにしか使えない)。半分だけ残して次の議論に使うといった使い方をするためには、できれば板書をプリントできるタイプが望ましい(昨今はスマホでカメラ撮りするので板書印刷機能が必須ではなくなりつつあるが、すばやく議論を進めるにはプリントがあったほうが望ましい)。

なお、昨今ではPCをプロジェクタもしくは液晶モニター機につなげ、メモ書きや資料を画面に映しながら検討するスタイルも普及しており、我々も場合によって使い分けする。こちらのスタイルは、共通理解を確認しながら進めるのに効果的かつ効率的である。互いの検討事項を報告・確認するようなミーティングにおいてはそのまま議事録の基になる。我々が業務コンサルティングで実際にやっているように、今の仕事のやり方や組織構造などを確認するのにプロセスモデル等を作成し映しながら議論するのは(誰でもできるわけではないし、慣れていないと操作がスローモーだが)、誤解なく確認しながら進めることができるので、結局は効率的である。つまり「これでいいよね」と確認しながら進める性格のミーティングには向いている。

しかしアイディアを生むために活発な意見交換を行ったり新しい概念を語ったりするようなミーティングにおいては、ホワイトボード上で自由に文字と図を手書きしたほうが、発想のテンポや表現にとって制約にならない分、明らかに望ましいと感じる。

その意味で、社内会議室にホワイトボードがあって使える環境になっているか、積極的に使っているかどうかは、その企業がアイディア創出やイノベーションに熱心かどうかの一つのバロメータになると思う。

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日本でのLCCの勝負はこれから

国内の格安航空会社(LCC)3社(ジェットスター、ピーチ・アビエーション、エアアジア・ジャパン)が就航して約1年。そのためLCCに関する番組が幾つか集中して放映された。

一つがBizサンデー+。搭乗率78%と業績好調なピーチを採り上げていた。大阪の“おばちゃん”の声を参考に、低価格だけに留まらない独自のサービスを追求し続けているからとの評価だ。

実はピーチがやっていることはどのLCCもやっている、極めてオーソドックスなことばかり。予約はネットで行うことを前提に、空港での発券業務はマシンを使う。機体は統一し、整備・教育の手間や部品在庫を節約する。座席は前との間隔を少し詰めて席数を多くする。荷物預けや機内サービスは有料にする。客席乗務員も複数の役割を行い、着陸した飛行機が次の目的地に飛び立つサイクルを短くし、稼働率を上げる。…等々。

他のLCCと違うところがあるとすると、①ベースが大阪なので、節約志向の本音で反応する客(大阪のおばちゃん達)が多い。②関西空港は24時間稼働で、離着陸時刻の制約が少なく、1日当たり同じ機体を飛ばせる回数が多くなる。③その関空にはLCC専用ターミナルがあり、(ゲート直結の搭乗接続施設などはないなど)施設コストも安いため施設使用料が割安に設定されている。といったところか。特にこの②③は、成田ベースの会社に比べ経営的には大きな優位点であることは間違いない。あと、同社のコーポレートカラーであるピンクがカワイイというイメージを女性客に与え、好感度を獲得しているのも事実(アジア市場への進出にも有利な模様)。

クローズアップ現代「格安は日本の空を変えるか」は業界横断的な視点で捉えていた。特に通常より3~7割ほど安い航空運賃が、飛行機を利用しなかった人たちの需要を掘り起こし、新たな人の流れが生まれつつあることに焦点を当てていた。

関西国際空港に去年できたLCC専用ターミナルは、日帰りで沖縄旅行に向かう若者や、LCCを乗り継いで北海道から福岡へ旅する老夫婦など、これまでにないやり方で空の旅を楽しむ人たちでにぎわう。安いときには往復1万円以内に収まるとなれば、新幹線や高速バスより圧倒的に魅力的だ。ビジネス客の「会社で経費もかかるので、なるべく安いのを使えって言われている」というコメントは実感できる。

一方、LCCが日本で定着するための課題も見えてきた。アジア最大のLCCであるエアアジアと全日空が作ったエアアジア・ジャパンは合弁を解消。安さを最大限に追求する手法が、細やかなサービスを求める日本人に合わず、思うような成果が出せなかったという。

低価格だけでは需要が伸びず、こまやかなサービスで客の心をつかむ必要があるという話だが、まだユーザーが半信半疑のために様子見になっているという側面はあるだろう。それに、ギリギリのスケジュールで飛んで飛行機を使いまわしているために、一旦遅延が発生するとその後にどんどん連鎖するのも事実。ビジネス客の中にはその可能性を考えて敬遠する人たちが少なくないのも事実だ。

ある格安航空会社CEOの「まだまだ改善の余地がある。新しい世界を切り開いていきたい」というコメントの通り、まだまだ正しいニーズの掘りあて方をしていないというのが実際のところだろう。

また茨城空港のようにLCCを歓迎する地方空港は今後も増えるのではないか(ただし茨城空港が狙うべきは首都圏客ではなく、北関東および東北の客のはずだが)。成田ではなく羽田なら間違いなく膨大な需要が掘り起こせるが、枠が全くないので、残念ながらそれは無理(首都圏在住者としては残念至極)。中部国際空港がLCCにとって次のターゲットになるのではないか。

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