一流のデザイナーと現代のテクノロジーが繊維産業をよみがえらせる

3月30日(日)に放送された夢の扉+(プラス)は『世界が“一流アート”と認める日本人デザイナーの“布”
伝統技術×革新的デザインで、繊維産業をよみがえらせる!』と題して、テキスタイルデザイナーで東京造形大学 教授でもある須藤玲子さんをフィーチャーしました。

世界中の名立たる美術館に計200点も永久収蔵され、「一流アートだ!」と賞賛される、“メイドインジャパン”があるといいます。それは、日本の技術でしか生まれない『布』です。“ステンレスの布”、“水に溶ける布”、折り紙のような布…!?テキスタイルデザイナーの須藤さんがデザインする布は、日本の伝統技術に、現代のテクノロジーをかけ合わせて、“世界が夢中になる布”になるのです。

海外での大量生産やファストファッションの台頭で、衰退の一途をたどる繊維産業。『大切な衣・食・住。食べ物は国産にこだわるのに、なぜ衣は日本産じゃなくていいの?』。須藤さんの問いかけです。

須藤さんは自ら日本各地を廻り、職人たちが驚くような斬新な提案を投げ掛けます。着物の帯を織る技術で柔らかいスカーフが生まれ、刺繍技術でレースの布ができ上がるのです。

『マイナスだプラスだ、ではなく、ともかく大好き!』。デザイナーとして伸び悩んだ20代、そして後を継いだ会社が抱えていた巨額の借金。楽な人生ではなかったことが伺えます。それでも、“好き”という原動力が、須藤さんの背中を新たな挑戦へと押し続けるのでしょう。

ある日ニューヨーク近代美術館(MoMA(モマ))のバイヤーがやってきました。公式ストアに並べる新作を探しているというのです。その結果は――。

須藤さんの“デザイン”というマジックで、それぞれの産地の“エキス”が引き出され、“世界が欲しがる技術”へと変身を遂げるのです。とても素敵な組み合わせです。
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強欲さと自分勝手さが生み出した「中国三大問題」に日本はどう対処すべきか

3月17日放送 の未来世紀ジパングは“緊急拡大スペシャル!「中国三大問題」を総力取材”と題して、その知られざる衝撃の現場に迫るものでした。中国が抱える三大問題とは、「危険食品」「大気汚染PM2.5」「経済失速で就職難」です。水の汚染問題が欠落しているのは大きな疑問ですが、現時点で目立つ緊急問題ということでこの3つなのでしょう。

一つ目は中国で蔓延す食の安全問題。今、中国で摘発が相次いでいるのが中華料理に欠かせない「もやし」です。番組スタッフが上海の巨大な食品市場を訪れると、買物客たちは一本一本手に取り、入念にチェックしています。色や太さそして根はきちんと付いているのかを見極めようとしているのです。

現地の報道によると、もやしの製造には漂白剤をはじめ様々な化学薬品が使われ、ガンの原因にもなっているというのです。人呼んで「毒もやし」。政府も摘発に力入れているのですが、根絶できません。そのため家庭でもやしを栽培できる「もやし製造器」が売れに売れているそうです。さすがに商魂逞しいですね。

取材班は闇の流通ルートで出回る、見た目が白過ぎて、根のない異常なもやしを発見しました。そして製造する業者に接触し、衝撃の製造現場を撮影しました。衝撃の映像です。漂白剤や、根を生やさないようにする薬品を混ぜ込んだ白濁した液体の中に付け込んでもやしを培養する。その様子を見ただけで、金輪際中国ではもやしを食べる気をなくすこと請け合いです。

そもそも飲食店の経営者は自分の家族にはもやしを食べさせませんが、店では平気で出し、客は「危ない」と思いながら量をたくさん食べないことで自衛していると思っています。農家も同様に、自家用には安全なものを作り、外に出荷するものには農薬をたっぷり使って罪悪感を覚えない。すべての悪の根源は、大半の中国人に共通するモラル欠如です。

二つ目の問題は大気汚染です。特にPM2.5は日本にも大きな影響をもたらしています。先月、日本各地に飛来し、子どもたちが外出できない事態も起きました。当然、中国でも国民の不満は爆発寸前で、国民の不満の第一位に数えられています。

中国で最悪の大気汚染地域である河北省では、PM2.5の値は日本の10数倍を超えています。よくこんなところに人が住むもんだと思うほど空気が濁っています。街の小学校では「PM2.5防止体操」を教え、空気清浄機を背負って買い物する女性がいるなど、滑稽で異常な事態も起きています。

この状況を救う切り札として期待されているのが、PM2.5を99%超除去するという日本の空気清浄機。日本のスゴイ技術が人々の健康を守るのに役立つのはいいですが、中国人は恩を仇で返す名人です。技術を盗まれなきゃいいがと人ごとながら心配です。

しかしこれは対処療法に過ぎません。そもそもの原因は、中央政府が課している環境規制を守らない企業が多すぎること、それらを賄賂によって見逃してしまう地方政府の役人が多すぎることです。結局は自分たちの首を絞めることになるのですが、企業経営トップは工場の近くに住まず、自分たちだけは安全だと思っているのでしょうが、その多くは北京に住んでいるのであれば、結局汚染された空気が北西にある工場から流れ込んで、大量に摂取せざるを得ないのですから皮肉です。

とにかく、汚染の根源である工場の排気の浄化とフィルタリングが不可欠です。共産党の幹部連中も同じ目に遭っているので、対策は国家的優先事項でしょう。こうした技術は日本が圧倒的に進んでいるので、本当は協力してあげたいところですが、中国が日本を敵視する政策を取り下げることを約束して初めて、日本として本格的な支援・協力に踏み込むべきでしょう。これは経済的なイシューではなく、政治的・社会的イシューとして解決すべきです。

三つ目は史上空前の就職難です。それまで8%以上の高度成長を続けていた中国経済ですが、さすがに7%台(中国の統計はかなりの誤魔化しがあるため、実態的には2%程度のぶれがあってもおかしくありません)に落ちてきたため、経済の先行きに不安感が出てきています。そのため中国の年間大学卒業者700万人の内、400万人が仕事に就けない事態になっているのです。若者の失業が深刻化すれば社会への不満がデモや暴動といった形で先鋭化することが多く、それを中国政府としては最も恐れているはずです。

この就職難を乗り切るため、「鷲鼻を直したい」「あごを細くしたい」と、女子大生の美容整形も急増しているそうです。更に就職希望者と企業の人事担当者が公開面接を行うテレビ番組も大人気です。このあたり、米国以上に露骨な社会反応ですね。

取材班は有名大学を卒業した一人の女子大生に密着します。地方から就職活動をするため現在北京で暮らしていますが、自宅はマンションの地下です。窓のない3畳ほどの部屋で家賃は1万円以下。地下室で暮らす「ねずみ族」と呼ばれる若者です。彼女たちの悪戦苦闘の就職活動は少し前の日本を思い起こさせます。彼女たちは無秩序な中国経済の犠牲者でもあります。

しかし現実には、この中国経済が低賃金で世界から仕事を急速に奪いとり、世界の若者に同じ就活の苦労をさせ、その果実を世界に広げるかわりに、むやみな増産により供給過多を招いて今、中国自身がだんだん袋小路に追い込まれつつあるのも事実です。しかもこの不満を持つ若者たちが政府に扇動されて対日暴動に走る、という構図なので、あまり同情できません。

要は「中国三大問題」とは、中国人の強欲さと自分さえよければという自分勝手さが自らを苦しめるという構造なのです。いずれも多少は日本も経験して、克服する知恵・ノウハウも貯めているテーマですが、この性悪の隣人にどうやって感謝される(もしくはせめて逆恨みされない)形で手助けできるのか、日本国内でも議論が待たれます。

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砂漠の中のエコシティは未来先取りか、幻想の街か

3月18日(火)に再放送されたBS世界のドキュメンタリー『マスダール・シティの挑戦~砂漠の持続型都市~』を録画で観ました。アラブ首長国連邦(UAE)の首都・アブダビ郊外の砂漠の真ん中に出現した町はゼロエミッション。すなわち自給自足の最先端のエコ学園都市を作る、という話でした。とても夢のある都市計画でなかなかワクワク感がありました。

世界中でエコシティの実証実験は進んでいますが、ここのは規模が大きい(約40平方キロの敷地!)のに驚かされます。市の建設は7段階に分かれ、すでに第1段階が終了。2025年にすべてが完了すれば、研究者など居住者4万人と通勤者5万人、計9万人の都市が出現します。世界の関連企業1500社が進出を予定し、アブダビの研究所や大学もここに移るといいます。

第1期プロジェクトは、マサチューセッツ工科大学の支援で設立されたクリーン・エネルギー技術の高度研究機関マスダール・インスティテュート(大学院レベルの学生約600人が研究を始めています)の建設。 研究施設と関係者が暮らす居住区域、エネルギー自給の運用が既に始まっているのです。

中東といえば砂漠≒強烈な太陽。すでに2009年に1万キロワットの太陽光発電所が完成しており、マスダール電力によると、この3年間の発電量は3600万キロワット時。アブダビで走る車3300台が排出する二酸化炭素2万4000トン分の削減を可能にする量だといいます。研究所などの施設の屋根には計1000キロワットの太陽電池が取り付けられています。現在これらを合わせた11千キロワットの太陽光発電のうち約4分の1が施設や進行中の建設に使われています。市完成後には30万キロワットの電力が必要ですが、クリーン・エネルギーで100%供給を目指しているとのことです。

ソーラーパネルによる太陽光発電だけでなく最新鋭の太陽熱発電も2009年に完成(開発したのは東京工業大学の玉浦裕教授。コスモ石油がUAEと折半で投資したそうです)。100キロワットのビームダウン式集光太陽熱発電です。ヘリオスタットと呼ばれる鏡を塔の周辺に大量に設置し、高さ20メートルの塔に取り付けられた鏡に光を反射させます。光は塔の下部にある集光器に再反射され、それによって得られた高温(600度!)で蒸気タービンを回し、発電する方式です。

交通も、同市内ではガソリン車は禁止。敷地内は、路面に埋め込まれた磁石に誘導されて走る4人乗りの「人員高速輸送システム」(PRT)が張り巡らされるそうです。運転手なしで動く一種のEVです。車内に取り付けられたパネルの行き先を押すと、自動で発車。時速は直線で40キロも出ます。「駐車スペース」に入れば自動的に充電されます。いかにも未来都市のイメージです。

また、単に自家発電というだけでなく、熱を遮断しつつ採光できる窓を使ったり、自然の風を生かして街路に涼しい風が吹くようにしたりして、エアコンをできるだけ使わずに快適に暮らせる街づくりを目指すものでした。“目玉”の一つが「風の塔」。上空にある比較的冷たい風を中庭に流し込む装置です。高さ45メートルの円筒状の塔の天辺から風を流しこみ、頂上付近にある羽根板で風の向きを調整、途中で霧によって冷たくされた空気が流れ落ちる、という仕組みです。建物の壁は、エンジンの外部と似た横縞模様に見えます。これは日中、太陽の熱の吸収を抑え、夜に放熱を容易にする工夫です。壁の素材にも同様の効果を生む軽い素材が使われているといいます。

また、敷地内に建てられたリサイクルセンターでは、廃材がコンクリート、木材、金属などに仕分けされ、建設で生じた廃棄物の96%を進行中の建設に再利用しているといいます。掘削された土も埋め戻すため、保存されています。

アブダビ同様、この街もペルシア湾の海水を淡水化して利用しているのですが、その過程でかなりの電力を使ってしまいます。そこで、逆浸透法と呼ばれる最新の海水濾過技術を取り入れ(多分、東レの)、太陽光エネルギーだけで水を供給できるようにしているのです。

ちなみにマスダール・シティを建設するのに15億ドル(約1.5兆円)かかったということです。オイルダラーのなせる業ですね。他の国ですぐに模倣するのは難しいでしょう。

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道路インフラを考える(1)新設はせず、維持管理を優先せよ

日本の道路インフラはこれから危機的状況を迎えようとしています。今ある分の維持だけでも膨大なコストに上りそうで、今の体制・予算ではとても面倒を見切れません。それでも新設したい自治体は、国に頼らない方法を模索すべきです。


東日本大震災から3年、いっこうに復興が進まないという声がそこかしこで聞こえます。「国土強靱化」の掛け声と景気回復に背中を押された建設ラッシュによって、人手と資材、建機や輸送車などが奪い合いになって不足し、高騰しています。そのため当初予算に収まりきらずに入札が不調になり、工事が進まないのです。ましてやこの後、増税後を見越した5.5兆円の経済対策、東京オリンピックへ向けた首都圏の整備といった要素が重なり、今以上に事態が悪化する可能性が高い状況です。これは以前、小生が指摘した通りです。
http://www.insightnow.jp/article/7900

その裏で恐ろしい事態が進行しています。橋が老朽化したり道路が陥没したりして通行止めになるなど、通行規制が掛るケースが全国で急増しています。実は我が国では今、高度成長期に集中的に建設された道路インフラが寿命を迎えつつあるのです。しかもこの事態は随分前から警告されていながら、予算不足を理由にほぼ放置されてきた問題なのです。

国土交通省は昨年末、全国のインフラ(道路だけではなく役所建築物など含む)の維持管理や更新にかかる費用が、10年後の2023年度には今年度より最大4割増えて年間4.3~5.1兆円に達するとの試算を発表しました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS25041_V21C13A2EE8000/

その試算には先に触れた、インフラ建設関連のコストが急増している状況がどれほど反映されているかは分かりませんが、官公庁の建設コスト見積りには後になればなるほど膨れ上がる傾向があることは留意すべきです。いずれにせよ、道路インフラだけでもその維持管理にはこの先とてつもないコストが掛ることだけは確かなようです。

実は国交省は2014年度から道路の橋やトンネルの定期点検を地方自治体に義務づけており、建設から50年以上たったものや災害時の輸送道路を優先して点検するよう求めるそうです。昨今のインフラ危機の進行に対し、管理責任者としての自覚と維持実行を求めた格好です。しかし自治体の多くには専門的知識を持った人員もおらず予算も不足している上に、そもそも危機意識もないのが実態です。管理資産でありながらトンネルの点検を全くしていないことを指摘した取材メディアに対し、「トンネルというものは壊れないものだと思っていたから」と言い訳をする自治体が続出したことや、対象の自治体すべてが点検マニュアルすら所有していなかった事実が発覚しています。

では橋や道路そのものについては大丈夫なのでしょうか。少なくとも高速道路の上をまたぐ陸橋のうち、全く点検されていないものが全国に635本あることが、昨年9月に会計検査院に指摘されています。約3500本については、陸橋を管理する自治体などの点検状況を高速道路各社が把握していないことも同時に判明しています。そして小生の知る限り、普通の自治体では道路インフラに関し日常的な点検・予防措置は行っておらず、住民やドライバーから破損や崩落を指摘されてはじめて現場状況を把握し、修復の手配をするのが精いっぱいです。

維持管理責任者という観点でいうと、高速道路を含む有料道路は各道路事業者が、国道は国交省の地方整備局が、それぞれ専門家を擁して(そして予算を確保した上で業者を使って)メンテナンスをしているので、コスト高以外の問題はあまりないと考えられます。問題は県道(都道府県)・一般道路(郡市町村)のレベルで、特に後者です。先に触れたように、道路インフラに関する専門的知識を持ったスタッフもおらず、予算も絶対的に不足しているのが実態だからです。

道路インフラも通常の建築物と同様、適切なタイミングでの補修ができずに先延ばしすると、後々大規模な補修・作り直しが必要となり、却ってコスト増につながりやすいものです。ましてや破損が引き起こす事故・渋滞、災害による被害増大の恐れも高まります。同じような道路インフラの老朽化に80年代に直面した米国では、橋が落ちたり道路が陥没したりした事故が頻発しました。日本でもそうした事態に直面しつつあるのです。

もともとインフラ維持コストを深く考えないままに、景気対策も兼ねて全国で道路建設を押し進めた国土交通省と地方自治体、土建屋票依存の政治家たちの浅慮と先見のなさが、ここにきて露呈しているとも云えます。とはいえ実際に困るのは、道路が陥没したりトンネルの壁がはがれたりして事故や通行止めに遭遇するドライバーであり、トラック輸送によるサプライチェーンが切断されてしまう企業および消費者です。

社会保障費がブラックホールのように税金による歳入を飲み込もうとする現在、道路関連予算の総額に余裕がなく、建設・維持コストが共に高騰しつつあることを考えると、優先度からいって道路の新設は極力抑制することが、政策方針として最低限必要です。ましてや道路や橋は一旦作ってしまうと、後々のメンテナンスコストはばかになりませんし、建物のように途中で使用中止ということが難しい代物です。そもそも人口縮小時代を迎えたニッポンで、道路新設が必要なケースは稀なはずです。それに「国土強靱化」の看板に付け替えていようと、公共事業による景気カンフル剤を続けることは無理・無駄だと、我々は数年前の自民から民主への政権交代時に学んだはずです。

全国的にみて交通量が多くもなく急増してもいないにも拘らず、どうしても道路を新設したい自治体は、自らその建設コストをほぼ全額負担するか(つまり国による建設や補助金をあてにしないということ)、道路通行の有料化とPFI(Private Finance Initiative)手法を併用して、利用者から回収可能な範囲で行うべきです。実際にそうした手法で新たに建設できる道路は多分ごく稀ですので、それによって我々の社会にとって「身の丈に合った」道路インフラだけに絞られていくはずです。

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君はなぜ韓国企業に「身売り」するのか

韓国・中国企業への技術盗用は近年問題視されながらも、今回の東芝のように提訴まで至らずに日本企業が泣き寝入りすることが多いようですが、技術者の転職がその主ルートになっている模様です。なぜこうした技術情報の流出を伴う転職が頻発するのか。日本企業の脇の甘さも指摘されますが、韓中側の誘惑に乗りやすい技術者の「希望的」勘違いもありそうです。


以前、某有名メーカーで働く知人から相談されたことがあります。技術者として10数年にわたり活躍してきた人物です。某所でお会いして以来、時折会食するようになっていました。その「彼」が、以前から韓国企業の日本法人より転職の誘いを受けており、どうしようか迷っているというのです。

色々と事情を訊きました。開発チームのリーダーとして成果を上げてきた実績、それが社業に貢献してきたという自負、今も期待されている開発テーマを抱えているというプライド。その一方で、中韓などの外国企業との競争がますます激化していることを受けて、会社は幾つかの事業のリストラを進めており、今は業績がよいとはいえ、いつ自分の事業部門にも及ぶか分からないこと。さらに技術開発部門での組織体制の変更が進行しており、自分より若い世代にチーム・リーダーを任せる例が増えてきたこと。自分の年齢は40を超えようとしていること、子供の教育費などが随分掛ること、等々。

そんな折に人材紹介企業の人からアプローチがあり、転職の誘いを受けたそうです。最初は興味本位で話を聞いてみるだけ、自分の市場価値はどれくらいあるのか知りたい、その程度の気持ちだったそうです。でも一旦1社の話を聞いてみると心理的ハードルが下がり、複数のヘッドハンターと会ってみるのに時間はそう掛らなかったみたいです。やがて冒頭で触れた韓国企業からの誘いがあり、大きく年収がアップする、そのオファーが魅力的に思えてきたということです。

この相談を受けた際に小生が一番気になったのは、「彼」が「もし有利な条件で転職するなら今が最後のチャンスかも知れない」と言ったことでした。事実そうなのかも知れませんが、どうもこの考え方は、転職することが前提もしくは目的になっているようで、本末転倒の感が強いと思えました。本当に必要なのは、仕事に対しての使命感を強く持てるか、自分を活かせる環境を確保できるか、ということではないかと伝えました。

小生のこの切り出し方に対し、「彼」は意外だと感じたようです。小生が外資系コンサル会社や日本のSI企業に転職して重要な仕事を任された経験をしていることを「彼」は知っているだけに、きっと背中を押してもらえるという期待があったのではないかと思います。もちろん小生も、その転職話が「彼」と家族、そして社会にとっても前向きなものになる期待が高いと思えるのでしたら、相手がどこの国の企業だろうと関係なく応援する気になったでしょう。しかしこのケースは少々きな臭いものでした。

小生は「あくまで選択を決めるのは本人次第」と断ったうえで、その転職に伴うリスクを一つひとつ挙げて、ご本人がどれほど冷静に精査しているのかを確認しました。人材紹介企業の人も一応のリスクは説明するでしょうが、彼らは成功報酬ゆえ転職させてナンボですから、ご当人にリスクを実感させることにはあまり熱心ではないからです。

とりわけ気になったのは、相手が日本法人の副社長クラスだということです。本社マターではないということは、「三顧の礼」というほど重要人物扱いでもなく、いわば「彼」の頭脳にある技術を戴きたいという手軽さを求めている可能性が高いということです。「彼」の開発能力や開発チ-ム運営能力を買って、本社の開発の中枢に据えようという話ではないのです。したがって、「彼」が持っている現在進行形の最先端技術の開発に掛る知識を吸収したら、あとはもう用済みとされる可能性は低くないということです。

もちろん、そうした露骨な言い分ではないでしょうが、同様の転職をした日本人技術者が、知識を吐き出した段階からは大したサポート環境も与えられず、「期待されるパフォーマンスを発揮できなかった」という理由で2~3年で退職を余儀なくされたという例を少なからず聞いています。

元々韓国企業の中間管理職以下の人たちは日本人が好きではありません(トップの人たちは別の感覚・感情があるかも知れません)。それでも日本企業と付き合い、日本人を採用しようとするのは、あくまで日本が持つ技術・ノウハウ・アイディアを獲得できると考える故の割り切りです。彼ら自身、目標を達成しないと首を切られるので、好き嫌いではなく、効果的な手段があればそれを採用するのに躊躇はありません。したがってその目標・目的を達成したあとも日本人技術者に対し温情を注ぐ理由はありません。用済みとなればお払い箱にすることも躊躇しないでしょう。

「彼」自身は、仮に今携わっている技術開発テーマが完了しても、次の新テーマでの開発にも成功する自信があると言います。しかしそれは今の会社で、気心の知れた開発チーム仲間がおり、開発に関わる諸事をサポートしてくれる色々な部署の人たちをよく知っており、時に多少の無理を聞いてもらえるという環境があるからこそではないですか、と小生は尋ねました。「彼」は考え込みました。

数日後、「彼」からメールが届きました。あの話は断った、今の会社でやれるところまで突っ走る、との趣旨でした。会社はその後もリストラを続けているようですが、少なくとも「彼」の部門は会社の屋台骨を支え続けているようです。

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ニッポンのスーパードクターは世界を駆ける

3月10日に放送された未来世紀ジパングは"世界を救うニッポンの医療"第三弾。「世界を救うニッポンのスーパードクター」と題し、日本のスーパードクターが世界を飛び回り、その国の医療レベルでは不可能だった治療や診断に挑戦し、命を救う様子を伝えてくれました。

今回は2人のスーパードクター。1人は日本で人気の亀田総合病院のエースで、"がん大国"と言われるミャンマーへ。もう一人は生体肝移植の世界的第一人者で、"肝臓病"で悩むエジプトへと向かいました。

千葉県鴨川にある亀田総合病院。医師数450人、一日の来院患者3000人という、日本有数の人気病院です。最新の医療設備、さらにホテルのような豪華で居心地の良い施設です。病室は全室オーシャンビュー、病院食は14種類のメニューから選べ、酒の飲めるレストランまであります。

その亀田総合病院に協力を求めてやってきたのが、ミャンマー保健省の関係者。実は、ミャンマーは“がん大国”なのです。にもかかわらず、鎖国時代の経済停滞のせいで、いまだに満足な医療を受けられる状況にないのです。国民健康保険制度がなく、大病院に通えるのは一部の富裕層だけ。庶民は伝統医療と呼ばれる、薬草などを使った昔ながらの治療法に頼るしかないのが実態です。

そんなミャンマーに乗り込んだのは、亀田総合病院の戸崎光宏医師です。戸崎医師は、乳がん診断のエキスパート。“神の眼”と言われる読影技術で、乳がんの検診画像から瞬時に癌を見つけ出す凄腕です。一日およそ200人分(!)の画像を診断、早期発見に力を発揮しているのです。

ミャンマーでは、がんの死因の中でも乳がんがトップの死亡率。検診が普及して早期発見できれば、死亡率がぐっと減るはず。日本政府の後押しもあり、ミャンマーで初めて大々的な乳がん検診が行われることになりました。亀田総合病院は、岡山大学病院、医療コンサルタント会社メディヴァと組んで、日本式の検診システムを普及させようとしているのです。なんとかこの試みが成功するといいですね。

もう一件はイスラムの国エジプトです。ある日本人医師に感謝する家族が映されます。「感謝してもしきれない。タナカは神が私のために送ってくれた特別な人だ」と。その人物とは田中紘一医師、72歳。乞われて、2001年から毎月のようにエジプトに通っています。
エジプトは肝臓病大国。70年代にナイル川に住む寄生虫の予防注射を一斉に行ったが、その時に注射針を使い回したため、いまだに年間50万人もの人達がC型肝炎を発症しているということです。悲惨な話です。C型肝炎は悪化すると肝臓がんになります。

田中医師は、“生体肝移植”と呼ばれる肝臓の移植手術の第一人者で、毎年エジプトの患者たちを救うべく手術しに渡っているのです。ほぼ毎月ですから年齢的にはきついはずですが、使命感のせいか、田中医師に疲れの表情はありませんでした。

番組の中で、手術中にハプニングがありました。レーザーメスが故障したのです。でもさすがベテラン医師、田中氏は慌てず騒がずに淡々と手術ハサミを使って(つまり手動で)肝臓を取り出していました。そして際どい部分のオペを済ますと、あとはエジプトの医師たちに経験を積ませるために任せていました。こうした余裕が似あう風格がありました(老齢といっていい日本人男性ですから体格は大したことないのですが)。こうして毎月何人かのエジプト人の命を救い続けているのですから、感謝されるのは当然ですね。

番組のナビゲータの人が考える究極の「おもてなし医療」が、日本の皆保険制度です。確かに、平等に少ない負担で庶民が医療を受けられるこの制度こそ、これから経済成長する途上国にぴったり適合する制度であり(米国ではオバマ大統領がその導入に政治生命をかけながら悪戦苦闘中ですが)、日本が制度設計においてズバリ貢献できるものです。

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ネットワーク化&IT化された在宅医療が高齢者の生活と「死に方」を変える

3月6日のカンブリア宮殿は「ニッポンの超高齢社会を救え!異色の経歴の医師が挑む医療革命!」と題し、祐ホームクリニック理事長・医師、武藤真祐(むとう・しんすけ)氏がフィーチャーされていました。確かにこの人、経歴がちょっと変わっています。

武藤医師は6歳のときに野口英世展を見て医師になることを決意。 東大医学部卒業後、天皇の侍医として活躍したそうです。しかし医療の現状に満足せず、医療の世界を飛びだしてマッキンゼーで問題解決のノウハウを学んだのです。独立後に作り上げたのが、患者の自宅で診療する在宅医療を専門に手掛ける「祐ホームクリニック」です。

日本が今後、直面する〝2030年問題〟。65歳以上の高齢者の割合が30%を超え、病院のベッド数不足などから死に場所に困る人が50万人にものぼるという深刻な事態が間もなく訪れるといいます。この問題の解決に一役買うと期待されているのが、こうした在宅医療専門のクリニックなのです。

一人で在宅医療に取り組む医師が多い中、現在42歳の医師・武藤氏は30人もの専門医を揃え、24時間365日対応、設立4年で450人もの患者を抱える人気クリニックに育て上げたのです。これまで医師一人で行うことの多かった在宅医療を高齢者に関わる関係者をネットワーク化し、加えてIT化によって事務作業を極力減らすことで、在宅医療の常識を変えたのです。

今は9割近くの人が病院で死を迎えるのですが、高齢者が増え続ける今後は病院で死を迎えることが難しくなると予想されます。 特に2030年には約50万人(!)が死に場所を失うといわれています。

武藤氏は、自宅で死を希望している人は実に9割近くに上るものの、逆に9割近くが病院で亡くなっていく現状を問題視します。つまり本当はおうちで家族に見守られながらの死を望みながら、実際には大半の人が冷たい病院で死を迎えざるを得ないのです。彼が最も大切にしているのが、患者の生活の質をいかに高め、患者と家族が満足な形で〝自宅で人生の最期〟を迎えてもらうことだといいます。

武藤氏は東日本大震災の半年後に宮城県石巻市に分院を立ち上げ、仮設住宅や孤立世帯への在宅医療に取り組んでいます。被災地は若者が流出し高齢者ばかりが取り残され、さらに一層の高齢化が進む、未来の日本を先取りした状況になっています。そんな中、医師以外に高齢者の家を訪れるヘルパーと情報を共有出来るよう、最新のITシステムを作り出し、数十社もの民間企業も巻き込んで、ボランティアではなく民間で高齢者を支えるビジネスモデルを構築しようとしているのが武藤医師なのです。素晴らしいです。今後も日本の医療を変えていく役割を期待したいですね。

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太陽光と風力だけでは再生可能エネルギーは絶対的に不足

3月4日(火)放送のNHK「クローズアップ現代」は「なぜ進まない 再生可能エネルギー」でした。新聞やTVのニュースでは分からなかった事実をこの番組は教えてくれましたが、同時に大きな疑問も残しました。

3年前に起きた福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、国は再生可能エネルギーの促進へと大きくかじを切りました。 普及の起爆剤と位置づけた太陽光発電ですが、実際に発電できているのは、僅か2割にとどまっています。制度設計の甘さに起因するもので、太陽光発電事業者に持ち込まれる話の多くが「ヨタ話」なのです。

番組の取材班が実際に訪れた九州のある場所は国が認定したものです。35万坪の土地に太陽光パネル20万枚余りを設置し、1日に最大4万9,000kWを発電できる能力があると書類には書かれていますが、土地の多くは日当たりの悪い北向きの斜面。農地以外への転用が厳しく制限されている土地も含まれていました。しかも土地所有者の一人が「初耳です、聞いたことない。何でここを選んだのか、それを聞きたい」と困惑しているのです。

なぜこんな土地に認定が下りたのか。実は今回の制度では、当初申請の際、事業者名や設備の概要などが書いてあれば、土地の所有者の許可はなくても認められる仕組みでした(チェックが入らないということ)。この計画に対し太陽光発電を手がける会社では、実現の見込みがないと判断し、買い取りを見送りました。

この会社には、これまでにおよそ500件の事業計画が持ち込まれていますが、そのほとんどが事業化できない案件ばかりだといいます。太陽光発電事業会社の社長「100件あって、1件まともなものが見つかればいいかなというのが、今までの経験です。どちらかというとゴミの山に近い」。一体、これは何事でしょう。

当初、書類が整っていれば認定が受けられた今回の制度では、新規参入を狙う業者が殺到しました。太陽光発電を手がける業者がつくった電力は、既存の電力会社が買い取る仕組みとなっています。太陽光の買い取り価格は42円。風力や地熱などに比べて2倍近く高く設定されていました。制度では、20年にわたってこの価格で買い取ることが保証されているため、初期の投資を差し引いても、巨額の利益を得ることができるのです。太陽光発電に関わっている業者は、申請もたやすく、大きな利益が見込めたといいます。

小生も頼まれて調べたことがありますので、ここまでは分かります。リスクが小さく、大きな収益が安定的に見込める、なんとおいしい市場かと。でもだからといってボロボロの土地で計画を出しても太陽光発電事業会社が買い取るとは思えません。お互いに時間の無駄に終わるだけのような気がします。一体、これは誰が何のためにこんなバカなことをしているのでしょう。番組では肝心の部分を突っ込んでくれませんでした。

ゲストに呼ばれた東京大学の松村敏弘教授も「このようなずさんな計画というのが、こんなに多数出てくるというのは考えていませんでした。この点では、やはり制度設計に問題があったということはあると思います」と指摘していましたが、やはり納得できる説明はできません。

「これの背景には、買い取り価格は確かに高い価格ではあるのですが、それが急速に下がってくるということが予想されていたために、一刻も早く枠を確保する誘因が働いてしまって、このようなことが起こってしまったのだと思います」とのことです。「事業者が事業を行わないで、認定の枠だけを取ろうとしていた?」との質問には、「はい、その可能性も否定できません」というだけです。そんな「だめもと」の事業計画書に大勢の人間が労力を掛けたことに、納得できるでしょうか。みんな、よほど他にすることがなかったのでしょうか。

番組の後半では、電力会社の都合で、電力が受け入れられない状況が起こる状況を説明していました。これは今回の買い取り制度が始まった直後から指摘されていたことです。法律では、電力会社は再生可能エネルギーの買い取りを拒んではならないと決められていますが、電気の円滑な供給の確保に支障が生じるおそれがある場合には、買い取りに限度を設けることができるとされています。これが抜け穴となって、電力会社に買い取りを拒まれるのです。特に風力発電や太陽光発電といった安定性に欠けるタイプの再生エネルギーの場合、このハードルは高いものです。現実問題として、電力会社としても不安定なエネルギーを受け入れるのは負担が大きい、というのはある程度正論です。

一方、再生可能エネルギーを普及させるうえで大きな障壁として指摘されたのが、送電網の問題です。何か。これまで送電網は、既存の電力会社が原発や火力発電所などから、消費地に電気を送るためにつくってきました。そのため、新たに風力発電に参入した会社が自分の電力を送ろうと思っても、基本的にはみずから設置しないかぎり送るすべがないのです。

日本有数の風力発電の拠点は青森県だとか北海道なのです。北海道北部で作った電力を、仮に大消費地の首都圏に送れれば、首都圏の電力需要のおよそ1割を賄えるとしています。でも北海道と本州を結ぶ北本連系と呼ばれる送電設備の容量は不十分で、さらに大規模に増強するには5,000億円かかると試算されています。ソフトバンクでは、国が主導して全国的な送電網を構築する枠組みを作ってほしいと考えています。しかしそれこそ無駄です。もっと消費地に近いところで生産できるタイプの再生エネルギーでないと意味がありません。

安定性と大消費地からの近さ。両方を解決できるのは、小生が何度も指摘するように、地熱発電と波力発電です(太陽光と風力を否定するわけではありませんが)。全国の大都会のすぐ足もとにエネルギー源は眠っているのです。目を覚まして欲しいものです。

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官民の防犯カメラをネットワーク化せよ

柏市の連続通り魔事件は警察の頑張りで、発生から2日で逮捕という幕切れになりました。でも今のままでは捜査陣が後手後手に回る構造は改善されません。公共の街頭防犯カメラだけでなく、街頭を映す位置にある民間の防犯カメラも併せてネットワーク化し、犯罪捜査にとってより有効な仕組みにして欲しいものです。


3月3日深夜に発生した千葉県柏市の連続通り魔事件は一時、周辺一帯の住民を恐怖に陥れましたが、5日午後には被疑者を任意で事情聴取、同夜0時少し前に逮捕に至りました。発生から2日で逮捕にこぎ着けたことになります。サングラスにマスク、そして帽子をかぶった目撃イラストだけでは全く人相が分からなかったことを考えると、さすがに日本の警察は優秀です。

しかしあえて言いますが、このようにスムーズな逮捕ができたのは幸運もかなり作用しています。この犯人には高飛びするという発想がなかったからです。もしそうしていれば、捕まえるのには結構手間取ったでしょうし、その間に別の犯行に及んだかも知れません。

今後同様の犯行が発生した際にそうした懸念を減らすには、犯行直後の犯人の様子をそれほど遅れることなく(できればほぼリアルタイムで)把握できるようにすることが有効です。そのためには街頭の防犯カメラだけでなく、コンビニなどの主な民間の(駐車場など街頭を映す)防犯カメラ映像もモニタリングできるように警察の通信網につなげるべきです。

今回の事件の解決のポイントは、防犯カメラの映像が容疑者特定につながったことです。報道によると、防犯カメラの解析や周辺の聞き込みなどから容疑者を割り出したとのことです。現場から約1.5キロ離れたコンビニの防犯カメラに容疑者とみられる男が写っていたのです。駐車場に車で現れ、車から降りて逃走した様子が確認されたそうです。

県警は謎解きをしていませんが、目撃情報からある程度若い男であることが、防犯カメラ画像からその男の体型と向かった方向が、それぞれ分かります。仮にその先に別の防犯カメラがあってその時間帯にその男が映っていなければ、その途中に男のねぐらがあると推定できます。途中にあるアパートを中心に周辺の聞き込みをしたら、当てはまる若い男の存在が浮かび上がってきたという寸法でしょう。

ここで重要なポイントは、公共の「街頭防犯カメラ」だけでは主要な地域の道筋を押さえることができないこと、コンビニなどの防犯カメラ映像の記録は警察がいちいち施設オーナー(もしくはそこと契約している警備会社)に依頼して提出してもらわなければいけないことです。それから手分けして画像を早送りしながら怪しい人物が映っていないかを探す訳です。どうしても捜査が後手後手に回ってしまうのは、現状では仕方のないことなのです。

でも仮に街頭を映す位置にある、コンビニなどの主要な民間の防犯カメラ映像をリアルタイムで、もしくは録画をリモートで(つまり、いちいち提出されるのを待つことなく)警察が観ることができたらどうでしょう。

事件発生直後に、該当する地区にある公共の「街頭防犯カメラ」と民間の防犯カメラを併用して駆使すれば、犯人の足取りをかなり素早く絞り込むことができるでしょう。場合によっては周辺の警官を緊急配備することもできるかも知れません。初動捜査の機動性と正確性が各段に高まり、事件解決速度が一挙に高まるのは間違いありません。

なぜこうした提言をするのかというと、ボストン市とニューヨーク市の事情の違いが念頭にあるからです。ボストンマラソンの爆破事件の容疑者(人物は特定されず)の画像は3日後に公開され、その夜には逃走しようとした犯人が車を強奪したために尻尾を出し、警察との銃撃戦が展開されました。マラソン会場にいた人たちが撮ったビデオ映像や、周辺の官民の監視カメラの映像をかき集めて分析したとのことですが、全くネットワークされておらずバラバラなので、解析にも時間が掛ったのです。
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-344.html

それに対し元々天下一の犯罪都市だったニューヨークでは無数にある監視カメラがネットワーク化されています。公共のだけでなく、かなりの数の民間の監視カメラもつながっているのです。おかげで、街頭で犯罪が起きたらNY警察がすぐに現場の様子を把握して、逃走する犯人をトレースできるようになっているそうです。これが検挙率の大幅アップにつながっており、ひいては同市での犯罪率が急低下した主要因の一つにも挙げられています。

もちろんこうした治安対策に対しては、すぐに「プライベートの侵害が心配だ」という反論が声高に出るでしょう。でも考えてみて下さい。もう既に公共の場所のあちこちに「防犯カメラ」という名の監視カメラは設置されています。民間施設でも、コンビニに限らず既にそこらじゅうに設置されています。つまり元々家やオフィスの外に出たら、我々のプライベートの空間は非常に限られているのです。官民でネットワーク化することで、さらにプライベートの侵害が進むというのは合理的な指摘ではありません。

むしろそれらの防犯/監視カメラが真の防犯のために有効に活かされるようにすることは、設置されていること自体で多少気分を害することの代償として、むしろ市民が要求してもよいことではないでしょうか。日本には優秀で勤勉な警察官と世界一の「顔認証」技術などがあり、失いつつある「近所の目」を補う仕組みさえあれば、都会でも防犯レベルを高く維持できるはずです。

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和牛はWAGYUに対抗できるか

2月28日放送のガチアジア(NHKらしくないネーミングですが)は、「和牛 VS WAGYU アジア 牛肉市場をめぐる攻防」でした。日本が世界に誇る「和牛」をめぐり、オーストラリアで作られた「WAGYU」が対抗しており、相対的な低価格で香港などで市場を拡大しています。番組は牛肉市場をめぐる「和牛」と「WAGYU」の攻防に迫るものでした。

国は2020年までに牛肉の輸出量を今の5倍にまで増やす目標を掲げています。しかしその目論見を脅かす存在が現れています。

香港のスーパー。日本の食材も数多く並んでおり、和牛は富裕層をはじめ中間所得者層もターゲットにしています。そこには日本の和牛業者の姿があり、肉の卸の営業をしていましたが、その店ではオーストラリア産の「WAGYU」が低価格で売られていて、その値段にはとても太刀打ちできない様子でした。

WAGYUは10年ほど前から香港に入り始め、中間所得者層を中心に浸透しています。一方、和牛はBSE騒ぎで一時輸入を制限された時期があり、香港ではWAGYUにシェアを奪われています。

豪州ビクトリア州のデビッド・ブラックモアさんは黒毛和種と同じ遺伝子を受け継いでいる牛を育てており、アメリカから和牛の遺伝子を取り寄せて育て始めたということです。彼は日本の和牛の飼育の歴史なども学んでおり、100%純血のWAGYUを目指しました。ブラックモアさんが輸出しているWAGYUは交雑種に比べてきめ細かい霜降りが入っており、現在では輸出先を当初考えていた日本ではなく、アジアにシフトしていったのです。WAGYUは和牛とは逆に、中間所得者層から富裕層へと浸透しており、アジアで和牛との市場争いが始まっています。

日本で霜降りが重視されるようになったのは80年代後半のアメリカとの牛肉自由化交渉の合意がきっかけで、当時は安いアメリカ産牛肉が大量に流入してきました。そのとき、多くの畜産農家は和牛の付加価値を高めることに注力、霜降りが重要視されていったのです。その肉の品質を知ったアメリカの業者も日本から和牛の精液を輸入し、和牛の生産を開始しました。その精液と子孫が米国からオーストラリアに流れたのです(「移民」ならぬ「移牛」ですね)。日本の業界は今では精液の輸出を自制し、和牛を守る取り組みを行っていますが、遅きに失したといえます。

ビクトリア州のドミニック・ベイヤードさん。オーストラリア産WAGYUの受精卵を製造販売するビジネスを行っており、世界各国に輸出しています。最大の取引先は中国。

中国へと渡った受精卵は、例えば山東省の刘宝祥さんのもとへと渡っています。刘さんは去年から大量生産に乗り出しており、乳牛に目をつけ取引先を拡大しています(はっきり言って肉質は相当劣りそうです)。中国ではここ数年で牛肉の輸入量が急増しており、北京には刘さんが共同出資するレストランがオープンします。もちろん、取り扱うのは中国産WAGYU(豪州産と比べて格段に落ちそうですが、それでも普通の中国産牛肉に比べたら格段に美味しいでしょう)で、刘さんはこの店が成功すれば店をどんどん増やしたいと語っていました。

日本では輸出を伸ばすため、和牛のブランド力を強化する取り組みが始まっています。ミートコンパニオンの植村さんは、「カギはジャパンブランドを活かすことにある」と考えています。植村さんは和牛のロゴマークで「和牛」を全面に押し出し、長年産地同士で競ってきた業者を一つにまとめるために動いています。植村さんはサーロインと安い部位を組み合わせて取引することで価格を下げる取り組みを考え、和牛のPR映像も制作しました。

また家畜改良技術研究所では、和牛の優れた点を科学的に実証しようとしており、和牛に熱を加えた時に出る「香り」の分析を行っています。こうして日本の業界一丸となって「和牛」を世界に売り出そう、差別化しようと頑張っているわけです。

一方、WAGYUのほうもシスティマティックかつダイナミックです。オーストラリア・ビクトリア州で国際会議が開かれ、WAGYUに関する最先端の情報を交換し合う様子が映されていました。会議を主催したオーストラリアWAGYU協会は、世界各国で生産されている牛のDNAを鑑定し、和牛としての出自の証明書も発行しています。あのブラックモアさんはWAGYUビジネスを始めた時から餌の配合にこだわっており、日本の和牛の育て方にオーストラリアの環境を応用。WAGYU飼育マニュアルの提供も行っています。これらは正しいアプローチで、強敵ですね。


中国ではWAGYUの遺伝子を使って雪龍黒牛を育てる国家的な戦略が動き始めていました。中国では7年前から新しいブランド牛の研究開発を進めてきたということです。こちらも、カネと人海戦術にものをいわせた広告宣伝合戦を仕掛けてくるかも知れません。世界で日本の和牛業界が拡販していくには、こうした競合の動きと狙いをきちんと把握した上でコスト低減努力が欠かせませんが、JA/全中に依存してできるとも思えません。正直、少々心配です。

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「不安の解消」「高齢者らしくない」に高齢者のニーズがある

2月26日(水)に放送されたBS11の本格報道INsideOUTは「新ビジネス!高齢化にこんな商品」と題し、ゲストに高齢社会研究の第一人者・村田裕之氏(村田アソシエイツ代表)を迎えて、高齢化時代ならではの商品やビジネスを紹介してくれました。

人口の1/4が高齢者という時代に突入し、高齢化を前提とした街づくりや社会保障の問題が待ったなしの状態です。しかし、高齢化時代もマイナスの側面ばかりではありません。企業にとっては新たな商機も生まれ始めています。キーワードは3K(健康・経済・孤独)不安の解消だというのがこの番組のメッセージでした。

2年前のリカちゃん誕生45周年。ファミリーにおばあちゃんが登場、大ヒットとなりました。タカラトミーのリカちゃんフィールドチーム、大場麻未さんは語ります。「両親が共働きする人が増えてきて、祖父母と孫が遊ぶ機会が増えてきている時代の中で、おばあちゃんという人形を使って、おばあちゃんと孫が一緒に遊んでもらいたいという気持ちから登場しました。また発売当初、リカちゃんで遊んでいた子供たちが、今おばあちゃんになってきている時代、リカちゃんの3世代化で、自分たちが遊んだ人形で子供達や孫達にも遊んでもらいたいという気持ちを反映した形です。3世代で一緒に遊べるおもちゃというものは、長く続くブランドとして提案しています」と。

村田氏は述べました。「核家族なので、3世代で遊ぶということが新鮮で価値が上がっている。お金を持っているのはおばあちゃんだ。日本は子供向けよりも大人向けの方が、市場が大きくなっている」と。

次に映されたのは、まねきの湯・東京健康ランド(東京・船堀)での歌体操教室の映像です。インストラクターは「シニアの方の方が多い」と語りました。村田氏は「年齢に合わせた曲を選んで、その年齢層が踊れるような踊りにするのがポイント。孤独不安は生きがい不安と言っても良い」と述べました。確かにシニアの3大不安は、健康不安、経済不安、孤独不安です。

イオンが他社に先駆けてシニアマーケットに注目しています。ピアノ、ギター、ドラム楽器演奏はシニアにも人気の趣味です。CDコーナーには、70年代を彩った懐かしいフォークソングが充実。一方でペットの洋服も充実しています。子供が独立したシニアにとってペットは話し相手であり、大切な家族なのです。

イオン・グループのシニア戦略リーダー・谷島英明氏はイオン葛西店(東京・西葛西)の様子を見せて次のように語ります。「4階のフロアをグランドジェネレーションズモールという特別な位置づけにしている。コンセプトは、大人が私を楽しむ場所。シニアの時間消費、趣味とか娯楽の世界のいろんな要素をこのフロアに集積し、シニアの楽しみコトの場というコンセプトにした。頻度高く長時間滞在をコンセプトにして作っている」と。

村田氏は次のように結論づけています。「コト消費は時間消費で、物消費と対極だ。そこにいて時間をかけて何かを楽しむということが価値になる。結果として時間を楽しむためには物もいるということで、物消費につなげていくというのが狙い。いいものを美味しいものを楽しいものをちょっとずつというのがポイント。セブン&アイは、コンビニがシニア対応をしている。ネット通販はかなり力を入れている」と。

毎日新聞・金子論説委員は次のようにまとめます。「高齢者の世代は自覚がなく、わがままだ。たくさんはいらないが、いろいろなものを欲しい。ゆっくりして落ち着いているというのは、引き寄せる要素だ」と。

紹介された商品やサービスには新鮮な発見があるわけではありませんが、納得できる指摘ですね。

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タイの反政府デモ騒動の根底にあるもの

衝突と膠着が続いていたタイ首都での反政府デモに新しい動きが出てきましたが、これは妥協を模索するというより、デモ隊側の内部事情によるもの。今回のデモの2つの原因(恩赦法、民主党幹部の訴追)の両方に関する政治的妥協がない限り、この騒動は収拾には向かわないでしょう。そして「赤シャツ派 vs 黄シャツ派」の対立の根本問題は根が深すぎて、簡単に解けるものではないようです。


(参考)「タイのビジネスパーソン達よ、目を醒ませ」http://www.insightnow.jp/article/8037
反政府デモ隊は「バンコク封鎖」と称して首都中心部を1月中旬から占拠し続けてきたのですが、ようやくこれを解除し(ただし反政府デモ自体は今後も継続し)、バンコク中心部のルンピニ公園内に拠点を移動したところです。

日本人には信じ難い話ですが、反政府グループ(黄シャツ派)が、日本でいえば大手町の交差点を不法占拠して、「政府はけしからん」と毎日大騒ぎしていたのです。警察官や機動隊は遠巻きに見守るだけで、手出しをしません(これは2010年の赤シャツ派のデモを当時の民主党政権が弾圧して日本人カメラマンを含む死傷者が出た挙句、政権がひっくり返った経緯があるため)。

デモ隊の連中だけでなく、彼らを応援する家族や友人・知人・赤の他人、ステージに登場する有名人を見に来た野次馬、そうした連中をあてにして露店も多く出ていたようです。長期化する占拠の間、非常事態宣言の発令、そして下院総選挙の実施がありましたが、全国の投票所のうち約1割で投票ができずに再選挙の実施が模索されています。

反発するタクシン派(赤シャツ派)の連中がその集会を狙って爆発物を投げ込んだり、互いに発砲したりして、子供を含む死傷者も出ていました。さすがに物騒なので、日本を含む諸外国は渡航者にその一帯には近づかないよう、警告を出していました。周辺のビジネス街の人たちも交通が遮断されて、不便さには閉口していましたし、周辺の店舗も客足がめっきり減ってしまっていたようです。小生が以前に指摘したように、明らかにビジネス上の影響が無視できなくなっていたのです。

多分、有力な支持者の一部が「そろそろ収束させないとマズい」と、デモ隊指導者とその背後にいる野党・民主党を説得したのでしょう。実際、バンコク・ポストなど、政権批判派だったはずの幾つかのメディアですら、デモ隊を主導するステープ元副首相の強硬姿勢に対し批判的な論調が目立っていました。それに加え、さすがに最近はデモへの参加者が減少しており(彼らも仕事を放り出してデモに繰り出す限界が近づいたのでしょう)、デモの主催者としても変化点を求めたようです。

しかしこれが政治的な妥協を模索するメッセージかというと、彼らはそんな淡泊ではありません。そもそも今回のデモのきっかけとなった出来事は2つあります。与党・タイ貢献党が、訴追されて国外亡命中のタクシン元首相の帰国を狙って恩赦法を国会に上程したこと(日本ではこちらだけが主に報道されています)。もう一つは、先に述べた2010年のデモ弾圧事件で国軍に発砲を許可したことで、アピシット前首相と治安担当のステープ前副首相が昨年10月に殺人罪などで起訴されたことです。前者の恩赦法は政権が既に取り下げていますが、後者に関しても政治的妥協が成立しない限り、反政府デモ隊が鉾を収めることはなさそうです。

でも仮にこうした妥協が達成されたとしても、この2派の対立の根は深く、この国の社会が和解に至る道は長いものになると思われます。何故か。「タクシン派」対「反タクシン派」とだけいわれると、まるで日本の「小沢vs反小沢」のように個人的好き嫌いがベースにあるように勘違いしかねませんが、根は地域の対立と社会層の対立の複合なのです。まずは構造を整理してみましょう。

赤シャツ派:いわゆるタクシン派で、タクシン支持者が赤をシンボルカラーとして揃いの赤シャツを着ることから名づけられました。現在政権与党であるタイ貢献党が中心機関で、名目上はタクシン氏の妹であるインラック首相がトップですが、もちろん国外亡命中のタクシン氏が実質的トップです。

黄シャツ派:いわゆる反タクシン派で、シンボルカラーが黄色です。野党である民主党が中心で、アピシット党首(前首相)がナンバー1、デモ隊の指導者のステープ元副首相がナンバー2です。この党の主な支持層は首都・バンコクと周辺に住む富裕層と中間層、そしてタイ南部に済む貧しい人々です。

携帯電話事業で莫大な富を築いたタクシン氏が政権を握り、2001~2006年にかけて自己の出身地であるタイ北部を開発する政策を色々と執りました。そのお陰でその地域では、彼は今も教祖のような絶対的人気を誇ります。いわば「日本列島改造論」のタイ版を実行したのです。この一代で成り上がった「タイの田中角栄」に猛烈に反発したのが、既得権益者である都市住民です。とりわけ中華系を中心とする商業的な成功者などの既存エリート層であり、その代表がアピシット氏なのです。タクシン氏を追放した後、同国経済の一層の発展に寄与しながら、先の総選挙ではあっさりと足元をすくわれています。

今回のデモ騒動の原因と収拾イメージに関し、双方の言い分は対立し、全く相入れません。

先週話したタイ人の友人(バンコク市民で大企業経営者ゆえ、もちろん民主党支持者)によると、タクシン政権と同様、今のインラック政権も腐敗し切っており、投票と動員をカネで買っていると主張していました(一緒に聞いていた日本人の友人は多分、全部信じたでしょう)。価格維持のため、実質的補助金として北部の農民の米を買い上げたまま無駄に在庫しているなどの例を挙げ、それに対し都市部は渋滞対策などまだまだインフラ投資が不足していると批判。そしてバンコク市民やビジネスパーソン達は自分達の商売上の不利益を我慢しながら、タイの「真の民主化」のために多少の不法行為には目をつむって(これもタイらしいところです)、デモ隊を支持しているのだと強調していました。事実、デモ隊に対し、周辺の商店街の人やビジネスパーソンたちからは支援のための寄付が毎日寄せられているとのことでした。

一方、タイの政府関係者と親しい人の話では相当ニュアンスが違ってきます。北部の農村に多いタクシン派の人たちはもちろん投票ではタイ貢献党を支持していますが、それは賄賂によるのではなく、とにかく農村にインフラ投資をして農業の生産性を上げ、特産物を作るための仕掛けを施してくれたタクシン政権の政策を復活させて(地域によっては維持して)欲しいとの思いだそうです。取材した日本のTV番組で証言していた農家の主婦も、「私たちがまともな生活をできるようになったのはタクシンさんのお陰」と語り、「(黄シャツ派の連中は)私たち田舎者を馬鹿にしており、政府の金をつぎ込むことは全く無駄使いだと思っている」と怒っていました。

どうも日本での自民党による地方への無駄な公共投資とはインパクトや真剣さのレベルが違うと、小生には感じられます。そして対立の根本には、地方に公共投資をして経済的底上げをすることへの費用対効果の見方の違いがあるように思えます。言い換えれば、「今まで通り、バンコク中心に富めるものをより富ませれば、そのおこぼれで地方は十分食べていける」と考える黄シャツ派と、「バンコクの連中はもう十分に稼げるようになったのだから、次は農村を豊かにする番だ」と考える赤シャツ派の対立です(ただし黄シャツ派のうち南部の人たちは、いずれにせよ置いてけぼりなのですが…)。

利害関係の対立なのでこの根は1~2年で解けるものではなく、今後何度も噴き出すと懸念されます。でも折角上昇気流に乗っているタイ経済が失速しないよう、ましてや深刻な内乱などに発展しないよう、双方には冷静な対応を期待したいものです。

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韓国との距離感

最近、知り合いの会社に韓国の企業や研究者からのコンタクトが幾つかあり、連携の機会を探したいといったお話が出るようになっています。

その際には、日韓の政治的関係の冷え込みに対し経済界からの連携の努力が欠かせないといったことを伝えられます。でもそれは単なる建前に過ぎず、本当は復活しつつある日本経済の勢いを見て、再び模倣できる要素がないのか、買収または技術獲得できないのか、という意図でアプローチしてきているのではないかと思えます。数年~10年ほど前にも同じようなアプローチを受けて痛い目に遭った企業を見ているので、私は慎重になるようにアドバイスしています。

実は韓国は今、円安ウォン高で従来のような高い輸出の伸びを期待できない上に、深刻な内需不況に入っています。好調な輸出企業は一部の大企業に過ぎず、稼いだカネがほんの一部の人を富ませるだけで国内に循環しないためと考えられます。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/26/2014022601330.html

1割の大企業所属者だけが勝ち組となり、それ以外の9割が敗者として苦しむ社会。この傾向は日本経済が不況に沈み韓国経済の調子がよかった時期からずっと続くものですが、この数年ますます酷くなっています。階層分断と社会不安が深刻化しており、非常にぎすぎすした社会に変質しているようです。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/147636.html

この不安定化する社会に対し、それを解決する気概と実力のない政治権力者が、矛先が自らに向かないよう誤魔化そうとする際に使う手がスケープゴートであることは歴史が教える通りで、往々にして対象は外国人です。韓国では、それが日本です。つまり日本叩きさえしていれば、政治家自身が叩かれる心配がいっときでも薄れるのです。国内不況が深刻化する中、この構図は強まりこそすれ弱まることはありません。そのベースにあるのは、韓国民の心の奥底に日本人を嫌う気持ちが浸透しているという事実です(これは歴史のせいというより教育のせいだと私は思います)。

こんな中、男気を出して日韓連携のためと火中の栗を拾うことはありません。むしろ敬して遠ざかるのが賢明というものではないでしょうか。

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ビットコインの危うさは自由との引き換えの必然

2月25日、東京に本拠を置く仮想通貨ビットコイン取引所、Mt.Gox(マウント・ゴックス)は取引を当面、全面停止すると発表しました。「異常な活動」(多分、外部からのクラッキング)が見られることを理由に、今月に入りビットコインの引き出しの無期限停止を発表、25日にはウェブサイトが停止され、事実上消滅した状態となったものです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140226-00000011-reut-bus_all

その後28日になって、東京地裁に民事再生手続きの開始を申請したと発表しています。
http://www.asahi.com/articles/ASG2X64VLG2XUTIL03P.html

ビットコインを預けていた利用者が資金を回収できるのか注目されますが、法律や規制に詳しい専門家の間では、資金回収は難しいかもしれない、との意見が出ているようです。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1Q04F20140227

小生も悲観的な見方をしていますが、ビットコインの利用者でないために詳しいことは分からず、的確な判断が付きません。

あえて厳しい言い方をしますが、利用者はこうしたリスクは織り込み済みとして(つまり自己の責任において)、こうした通貨と投資の境目にあるようなこの仕組みに大金をつぎ込んでいるのです。通常の利用であれば数十万円~100万円もあれば上等なのに数百万円から1千万円以上を投資した人が随分いるのが、その証左です。小生はこの既存の財政・金融行政から独立した仕組み自体に批判的ではありませんが、そのリスクは小さくないと考えていました。その反体制的な気概にはむしろ期待すら持っていました。
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-360.html

誰も保護・保証してくれないことが分かっていた仕組みに大金をつぎ込んで一攫千金を狙った連中に対し、こうした危機が生じたからといって保護・補てんをするようなら、それこそアンフェアというものです。今回の被害者であるマウント・ゴックス利用者は東京在住の外国人が大半です。その一部にはもしかすると小生の知人もいるかも知れません。しかし何度も言うように、これは自己責任の世界であり、同情する必要はありません。

もちろん犯罪自体の捜査は必要です。それが外部による犯行でも内部によるものでも厳しく追及して、盗人は誰か明らかにすべきです。

いずれにせよ、マウント・ゴックス利用者の「屍」を乗り越えて、ビットコイン自体、もしくはその類似の仕組みが、そう遠くない将来、国家に依存した貨幣システムおよびカード会社や幾多の電子マネーを脅かすほどの存在感を持つのではないかと、小生は考えています。

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