消費増税による落ち込みは軽く済むのかも知れない

消費増税から約1ケ月経ち、その悪影響が今のところ予想より軽い状況が少しずつ判明しています。

駆け込み需要の「山」が大きければそれだけ落ち込みの「谷」も深くなるというのが前回の消費増税の経験則でした。事前に駆け込み需要の反動による買い控え「被害」を最も懸念された業種としては、不要不急の贅沢品・サービスでした。しかし事実は違ったようです。

日曜に放送していたNHKのBizサンデーによると、具体的な3月の駆け込み需要(通常より多い増分)は、自動車メーカーは14%、白物家電は19.1%だったそうです。それに対し食品スーパーのライフでの売れ筋情報で見ると、買いだめができる日用品や加工食品はいまだ落ち込んだままですが、プチ贅沢な生鮮食品はもうすっかり売上が回復しているそうです。意外と皆さん、お金に余裕があるのですね。

番組が調べた、消費増税前後の売り上げの違い(前年同期比)を示すグラフが興味深いものでした。百貨店と家電量販、そして自動車には、明らかに駆け込み需要と反動が表れていました。それでも百貨店は予想より軽いようですし、家電量販は駆け込み需要が凄まじかったようで、両者とも3月と4月を足してみると、むしろプラスです。あとは5月以降次第です。

それに対し、スーパーとコンビニは、明確な反動はなく、店によってばらつきがある程度です。不要不急の性格から反動が懸念されていたファミリーレストランはむしろ両月ともプラスと、意外な結果です。つまり消費増税に関する懸念は「肩すかし」だったのかも知れません。アベノミクスの効果は(一部の富裕層と大企業従業員を除いて)大半の家庭にはまだ及んでいないのに、消費は意外と縮こまっていないことが分かり、景気に安心材料が出てきましたね(もっとも、番組後半で指摘していた、「エルニーニョ現象」により冷夏になるとの予想は懸念材料です)。

話は少し変わって、円安のおかげで外国人の来日が増え、銀座などでは外人買い物客が相当増えているようです。店側も色々と対応しています。外国人が好きそうな商品、たとえば日本酒の品種を増大させ、外国語を話せる人間も増やしているそうです。当然のことながらも、やはり大事ですね。朝日朝刊の一面には「Japanese only」などという張り紙をしている店があることも報じていてショックでしたが、そうした言語道断な行為はごく一部の非常識な店だけのようです。大部分の店は健全で、外国人を含むお客に懸命に対応しようとしていると思います。よかった。
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プロトングループの冷凍機とレストランは食の常識を変える

知人から頼まれていた件で、加工食品向けに空調や冷熱技術を持つメーカーやその代理店などを週末にかけて調べていました。日本だけでも随分多いんですね。

その中で幾つか、旧来の冷凍技術に飽き足らず、新しいアプローチで組織破壊を避ける冷凍技術の開発に成功している会社があることが分かりました。以前、このブログで採り上げた、アビー株式会社の「CAS」も、マーズカンパニーの「シースノー」もそうですね。
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-102.html
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-135.html

そして、この4月20日にTBS系「夢の扉+」で放送された菱豊フリーズシステムズ(奈良市)もまたそうした一社です。題して「フレンチの豪華フルコースが3000円!ヒミツは冷凍機!?冷凍食品のイメージを覆す新技術!」です。

その奈良県で、フランス料理のフルコースを3000円で味わえる、大繁盛のレストランがあり、番組冒頭で様子を伝えていました。「美味しい」と評判ですが、実は料理はすべて“冷凍食品”です。客も知らなかったようで、番組スタッフから告げられて驚いていました(それを知ったお客さんが再来店してくれるのか、気がかりではありましたが)。

食品の細胞を壊すことなく保存できるこの冷凍技術。出来立ての美味しさを封じ込め、解凍しても本格的なシェフの味を楽しめるのです。冷凍食品のイメージを覆す、画期的な冷凍機を開発したのが社長の二宮一就氏。もちろん、海産物だけでなく、おせち料理や握り寿司までも添加物を使わずに保存でき、遠隔地まで届けられます。旬の食材をまとめて調理し冷凍することで、フルコースの低価格も実現したのです。いわば「論より証拠」です。

「安全で優れた食材・食品を、いつでもどこでも世界中で楽しんでもらいたい―」。冷凍機器の営業マンだった二宮氏は“美味しさを保てる冷凍機”を作ろうと、15年前自ら会社を立ち上げました。しかし開発は至難を極め、来る日も来る日もマグロを冷凍して研究を続けた結果、退職金も使い果たし、次第に生活費まで圧迫していく羽目になったそうです。

それでも粘り続けた二宮氏は、やがて“水の分子構造”に着目します。凍る際に食品の中に含まれる水の分子配列が乱れるから細胞を壊す訳ですから、磁力と電磁波によって分子配列が乱れないようにすればよいと考えたのです(この発想はCASと同じかも知れません)。

そして開発された冷凍機(値段は1.5倍)が広がり始めています。肉や魚を凍らせてもドリップが殆ど出ないのですから、水産業や食肉業にとっては新鮮な驚きです。今や日本でも中国でも生産され、大陸内部への輸送に間もなく大活躍する見込みです。すでに地元・奈良コープ産業を中心にこの冷凍機を使った食品開発が進んでいます。冷凍機も大型だけでなく、店舗用のコンパクトな型も解凍機も新しく開発され、これからの躍進が期待できます。

菱豊フリーズシステムズはプロトングループと呼ばれ、お膝元の奈良県と中国にフレンチレストラン「プロトンダイニング」(番組冒頭のレストランです)と、奈良佐保短期大学キャンパスの学食としてバイキング形式の洋食店「レストラン鹿野園」を直営しています。後者の店舗はプロトン凍結技術を伝えるアンテナショップの役割を担っています。

これは執念の粘り勝ちですね。奥さんもよく支えたと思います。二宮氏の座右の銘は『とにかく、粘って粘って粘り抜く。それが結局は達成へとつながる―』とのことです。

次の世代のために、この冷凍機を使って何か出来ないか―。二宮氏は、東日本大震災の被災地・岩手県大槌町に対し、サケ加工工場の建設を提案しました。大槌で獲れるサケを加工して付加価値をつけ、雇用も生み出そうという国の復興事業です。

しかし、新鮮な魚を食べてきた地元の人々にとって、冷凍食品のイメージは良くなく、そのままではその気になれません。地元の理解なしに真の復興はないと、二宮氏は自らの冷凍機を使って、実際に凍らせたサケを使った料理のメニュー(目玉は「秋鮭といくらを使った炊き込みご飯」!)を色々と開発してふるまい、地元の人々にやはり「論より証拠」を見せたのです。実際に食べた人たちも「これなら」と納得して、この事業にまい進することになったそうです。大槌町には来年工場を建設し、地元の人たちを雇用するそうです。この工夫、この粘り、この志、本当に大したものです。

このメニュー開発まで提案できる、レストランのシェフを含む食品開発チームを自ら抱えていることが、この会社の強みにもなっています。冷凍機メーカーとレストランチェーンの結びつき。新しいビジネスモデルにもなるかも知れません。注目したいと思います。

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酒類の巨人、サントリーは水の有難味と人間の不屈さを知る

4月24日に放送のカンブリア宮殿、今回は絶好調のサントリーを採り上げ、“ヒット連発、巨額買収!「やってみなはれ経営」で世界大攻略“というタイトル。スタジオにはサントリー酒類の社長でサントリーHD副社長の相場康則(あいば やすのり)氏が登場しました。

グループ売上2兆円にのぼる酒類・飲料の巨人、サントリー。その快進撃が注目されています。 高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」は業界地図を塗り替えました。このヒットで、1963年に参入してから2008年まで45年間も赤字を続けたビール事業は悲願の黒字化を果たし、業界3位に躍り出ました。その後もビール市場の縮小にもかかわらず売上は年々増加、シェア拡大を続けています。

市場が25年で最盛期の5分の1に縮小したウイスキー事業も、「ハイボール」ブームを仕掛けて復活しています。都内の居酒屋で若い女性たちが次々とボトルキープするという〝現象〟をつくり出したのは、新商品「ふんわり鏡月」。焼酎に甘い味を付け、アルコール度数を下げて飲みやすくした新ジャンルの商品で、若者や女性に「新たな酒の飲み方」を根付かせつつあるそうです。正直、知りませんでした。清涼飲料でも「伊右衛門」「オランジーナ」(これ、随分ヒットしているのですね)など立て続けにヒットを放っています。大企業ながら本当に元気のある会社ですね。

そんなサントリーの強さの裏にあるのは、創業者・鳥井信治郎から受け継がれた「やってみなはれ」という言葉に象徴されるチャレンジ精神というのは有名な話。115年の歴史を持つ巨大企業でありながら、常に挑戦者として市場を切り開き続けるサントリー。戦前には日本初の本格ウイスキーを発売するなど、洋酒文化を浸透させつつ日本の高度成長に合わせるように発展してきました。しかし1980年代、稼ぎ頭のウイスキーが急に売れなくなるという危機が訪れました。しかもその20年前に参入したビールはまだ大赤字です。会社が追い込まれた状況で、サントリーがとった多角化戦略が現在の快進撃につながっているのです。

その際には①「若者もやってみなはれ」=若手に挑戦させ任せることと、②「常識破りの商品開発」(例えば「甘味チューハイ -196℃」や青いバラなど)がものを言ったようです。要は会社ぐるみで「挑戦すること」を社是としたのです。この象徴がビール事業でしょう。

二男で2代目社長・佐治敬三が願い出た「ビールをやりたい」に対し、創業者・鳥井信治郎が言った「やってみなはれ」。その一言から始まったビール事業は、1963年の参入から実に45年もの間、赤字が続きました。この間、営業マンは酒屋で相手にされず、地域の祭りやバーの仕事を手伝い、それでもビールの開発者たちは「うまいビール」をつくるため技を磨き続けたのです。実際小生もモルツが出た辺りから何となく応援したくてサントリーを時折飲むようになりました。本当はうまいビールなのに、売れ残るために新鮮さがなくなって、お客が試しに飲んだ時にはまずくなってしまうという話を相場氏がしていましたが、確かにそういうことで「サントリーのビールはまずい」と信じ込んでいる人が多かったと記憶しています。

事業の転機となったのは2005年に発売された「ザ・プレミアム・モルツ」のヒット(その要因はモンド金賞の3年連続受賞)。これを生むための生産上の工夫(例えば途中で一部を移し替えて沸騰させてうまみとコクを増す)も紹介されていました。確かに美味しそうです。しかしその種をまき、育てたのは「絶対にビールをあきらめない」という歴代オーナー社長たちの強い姿勢、そして、ある「常識破り」の投資だったと言えるでしょう。

今年1月、米ウイスキー大手ビーム社を総額160億ドルで買収すると発表、キリンとの経営統合策が挫折した後に一旦は棚上げになった、世界に本格的に打って出る体制を整えつつあります。そしてここ数年、サントリーのウイスキーが本場イギリスの品評会で賞を総なめにしています。世界の評価を集めるその味は、個性的な原酒を生み出す“蒸留釜”や、原酒に多様な味や香りをつける日本独自の“樽”の自社生産等々から生み出されます。

90年間のウイスキー作りによって蓄積された、日本ならではの技術、そして水源を守るための社員総出の活動などが次々と紹介されていて、あぁ、サントリーの工場見学をして、あの原酒を飲んでみたいと思いました。併せて、こうしたユニークそのものの企業文化を次世代に残すためには、キリンとの経営統合話がお釈迦になって却ってよかったんじゃないかと、外野の気楽さで言わせてもらいます。

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韓国の浅慮さと中国接近の長期的影響を見極めよ

日本のビジネス界には「政治は政治、経済活動はそれとは関係なく進めるべき」とナイーブに(グローバルな場面で使われる際には「世間知らずにも」という意味で、決して「繊細に」などという褒め言葉ではありません)思い込んでいる人が少なくありません。しかし我々のように大企業の看板を背負わずに国境を越えて仕事をしていると、そんな甘っちょろいことを言っている人間は決して信用できません。

ビジネスはその時々の政治の影響をもろに受け、その時々の政治は国家間の地政学的関係に常に規定されています。したがって、日本を取り囲む地政学的関係を理解し常に警戒していないと海外戦略は立てられません。

ビジネスの場で政治の話をすることは日本では避けられてきましたが、それは戦後復興期から高度成長期にかけて国内政治に関するイデオロギー論争を避ける一種の知恵だったのだろうと思います。グローバル時代になっても同じように国際政治の議論を避けていては、めまぐるしく変わるリスク発生の可能性を先んじて把握し、少しでも避ける手立てを取ることあたわず、と言わざるを得ません。

アジアでの投資に関わる波乱要因の一番の震源地は中国です。彼らの覇権主義的軍事的拡張行動は直接的に各国の脅威となり、その資源獲得のための帝国主義的行動は市場を通じて直接間接的に諸物価を釣り上げ、またその政治的意図(後述)からくる反日宣伝行動は物理的もしくは精神的に日本企業への圧迫となって現れます。これらは何の誇張でもなく、アジアにおける不穏な潮流として理解しておいたほうがよいものです。そしてその中国の反日政策を色々な意味で助けているのが韓国の嫌日政策です。

韓国首脳部が日本を貶めようとするのには2つの動機が考えられます。自らの政治的立場の不安定さ(父親の朴元大統領が日本寄りだったとの野党批判に対抗する必要)を補い、政治的不手際から国民の目を誤魔化すために日本をスケープゴートにしようとするのが第一。韓国の重要産業であるサムスンの電機・電子、ヒュンダイの自動車の2大財閥にとっての直接のライバルにあたる日本製品のブランドイメージを悪くするためには日本人全体の評判を貶めるのが有効だと、どこかで思い定めた(誰かに吹き込まれた)のが、第二の理由です。

朴槿恵大統領とその周辺は、中国と手を結ぶことによって日本を非難する声がより強力で有効になると、単純に考えている節があります。しかしこの近視眼的政策方針は、アジア征服という遠大な野望を持つ中国にとっては、厄介な日米韓の連携関係を崩壊させ、米国をアジアから締め出し日本を孤立させるという中国の最も基本的な対外戦略方針のために絶好の「カモネギ」行動を意味しています。

多くのアジア諸国が今不安げに韓国の情緒不安的な行動を見つめる視線の先には、舌舐めずりする中国の姿が映っていることでしょう。しかし直接に中国と領土問題で争っているフィリピンとベトナムでさえ必要以上に中国を刺激したくないため抑制的にしか中国批判をできないのです。ましてや他のアジア諸国は中国に目をつけられて貿易や経済面で嫌がらせをされたり、ましてや軍事的な標的に加えられたりすることは避けたいため、自らの不利益に関わるか、よほど目に余る状況に直面しない限り、あからさまな中国批判はできません。そうした中での韓国の「日本叩き」は、中国を利する行動として、ある種の違和感をもって注視されているのです。

いわば支配欲の強いガキ大将・中国が暴力的な本性を現しつつあるアジアというクラスで、へたに楯ついて自分が次のイジメのターゲットになることは避けたい、という心理が働いている状況なのです。そのクラスの級長である日本は成績優秀で、困っている子を助けるなど品行方正ではありますが、幼い頃にそのガキ大将の挑発に乗って暴力沙汰を起こしたことを未だにネチネチとガキ大将から攻められる度に黙ってしまう、ちょっと頼りないリーダーなのです。しかも昔その級長の子分だった韓国は今やその過去を逆恨みし、ガキ大将と一緒に級長をつるし上げようとアジテーションをたびたび行うトラブルメーカー、という位置づけなのです。

したがって、アジア・クラスの大半の生徒にとって頼りになるのは、学校全体の生徒会長である米国(実は元々は学校一の「番長」で、本質的には自己の利益を最優先するご都合主義者ですが)しかいません。ところがその番町・米国は別の中東クラスや欧州クラスでのトラブルが頻発する状況に対応するのに精一杯で、悪辣な思惑を修辞的言い回しで誤魔化しながら勢力を拡大することに天才的な中国の本当の意図を見抜くことまで未だ至らず、中国の遠大な(彼らは数十年~百年単位で考えます)膨張方針に対し有効な抑制策を持たず、「仲良くやれよ」という言葉でお茶を濁している状態なのです。

そしてそうした中国の戦略が実現した暁には、当然ながら韓国にとっては、米国陣営からの離脱、中国による庇護下での生き残りを余儀なくされることを意味します。しかしそうした中長期的なリスクを冷静に鑑みるほどの余裕がないのが、経済窮状に晒されている今の韓国なのです。

アベノミクスに伴い生じた、行き過ぎた円高の是正が意味したのは、相対的な韓国・ウォン高であり、国際市場で韓国製品・サービスの売れ行きが鈍化または急減したことです(正確に言えば、過度の円高・ウォン安に乗じて日本企業から奪っていた市場の一部が日本企業に取り返されているか、中国企業などに奪われているだけですが)。その同じタイミングで、ごまかし続けていた韓国製品や技術の問題が露呈しています。例えばヒュンダイは公表燃費を長年にわたり誤魔化して水増ししていたことが露呈しましたし、LG電子は技術情報を中途採用者に盗ませようとしたことで東芝から訴訟を起こされています。唯一好調だったサムスンでさえ基礎技術が浅いため次の柱を見つけられず、スマホの売れ行きが鈍化しただけで増益基調が崩れています。

こうした経済的に追い詰められ始めている韓国経済は、次の稼ぎどころを懸命に探してきました。一時は日本企業が次に狙う製品や市場をまた真似をして追いかけようとした動きもありましたが、日本企業が対中韓での技術漏えいに警戒心を高める一方で、基礎技術に投資をしない韓国企業には自力で研究開発することで打開できる領域は非常に限られています。そのため最近では韓国のユニークなコンテンツ(韓流ドラマやKポップなど)を世界に売り出すことや、世界トップクラスの美容整形技術を売りだそうと躍起になっているのです。こうした方向自体は正しいのですが、その売り先として最も有望視されているのは中国市場なのです。韓国経済が中国市場に食い込めば食い込む程、韓国全体が中国政府の意向に逆らえない構造が強固になっていくのです。

韓国は既に中国の属国化(朝鮮の歴史では何度も繰り返されているデジャブーです)の一歩を踏み出していますが、それでもまだ十分戻れる位置にいます。自分たちが危険な方向に進んでいることを、いつどれだけの人たちが気づくか、また危険でありながらも魅力的な大国・中国との距離感をどう維持するか、韓国国内でもっと議論されてしかるべきでしょう。やっかみや嫉みから日本を非難することに躍起になっていては、そうした肝心な議論をすることに人々の関心も時間も注げず、韓国自身の運命をどんどん危険にさらします。

こうした、正しい政治的議論を引っ張るような勇気ある人物は韓国内にはまだ現れていません。仮にそうしたまっとうな意見を表明すれば、「親日的、だから売国奴だ」と非難されるか、無視されるか、いずれにせよ政治的に得をすることがないからです。日本政府関係者や第三者的日本人がいくら客観的立場でアドバイスしても、聞く耳を持つとは考えにくい状況です。

最も有効なのは、米国政府が強くいさめることですが、残念ながらそれもあまり期待できません。米国のオバマ政権は日本ほどではありませんがやはりお人好しの外交オンチの傾向があるため、中国の恐ろしい(しかし超軍事大国ならば必ず持つ)意図を十分に把握してはいないようです。元々、そうした東アジアの地政学的な理解とバランス感覚を米・民主党政権は歴史的に持っておりません。だから政治的な議論の方向を修正するように韓国政府に強要するほどの覚悟があるとも、そもそも必要性を理解しているとさえ思えません。この点、国内政治的には極端に保守主義に偏っている共和党のほうが、外交的には正しい歴史認識とバランス感覚があるという皮肉があるのです。

今回のオバマ大統領の韓国訪問時には、本来ならば「日本に言いがかりをつけて自分達の嫉妬心をいやそうとするのはもう止めなさい」「中国を利する行動は反日的だけではなく米国にとっても不利でもあるという覚悟をもっているのか、それとも中国に取り込まれたいのか」などといった強い調子で近年の韓国の行動をいさめることで、アジアの安定を導き出すことができる機会でした。しかしフェリー事故のせいでそうした強いメッセージを伝えることはオバマ大統領にはできないでしょう。これも歴史の中でのタイミングの「綾」です。それでも、少なくとも日本は米国に対しそうした行動を促すよう、今後も粘り強く何度も説得しなければいけません。

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沈没事故の衝撃に韓国社会は目を覚ますのか

旅客船「セウォル号」の沈没事故は、韓国社会に空前の衝撃と深刻な自己反省をもたらしつつあります。さて今後、その反省がどこに向かうのか、見守りましょう。


韓国南西部の珍島(チンド)沖で16日に発生した沈没事故から既に1週間が過ぎ、150人を超える死亡が確認されましたが、いまだ船内には多くの高校生が取り残されて安否が分からない状態です。誠に痛ましい事故で、近年のアジアで最大の海難事故となる模様です。韓国ではほぼ全てのイベントが自粛され、国全体が沈痛状態にあるようです。

逮捕された船長をはじめとする乗組員や運航会社の関係者の事情聴取で少しずつ状況が判明するにつれ、「人災」との見方が強まりつつあります。

客室増設の改造と貨物の過積載により船体のバランスが悪くなっていた上に、潮流が激しく危険な海域であるにもかかわらず経験のあまりない3等航海士に操舵させ、危険な急旋回をさせています。しかもその当時、船長は私用で持ち場を離れていた模様です。

事故が起きて船が傾き始めてから船体が沈むまでには2時間ほどあったのに、乗客を脱出させるために何ら適切な措置は取られていません。それどころか、「客室内に留まる」ように船内アナウンスが何度もあったそうです。そのため、周辺には異常を聞きつけてタンカーなどが駆けつけており乗客が脱出すれば救助されたはずなのに、船が45度傾いても誰一人として脱出してこなかったそうです。

結局、15人の船舶職乗務員の誰一人としてまともな乗客救護措置をすることなく、自らは脱出しています(ただし客室乗務員の中には、子供たちを先に救出させるため自らは犠牲となった人もいたそうです)。しかも船長は救助される際に一般人を装っていたそうです。

ここまでくると、船長らには人間として恥ずかしくないのかと問いただしたくなります。実際、彼らは逮捕され、事情聴取を受けています。しかし貨物の過積載が指定量の3倍以上だったという情報もある上に、乗務員が緊急避難訓練を全く受けていないことが判明し、金儲け優先のために安全を軽視してきた運航会社の実態も明らかになってきました(この後の捜査で、他にも安全無視の実態が追加判明するかも知れません)。

一方、韓国政府もまた不手際を見せています。事故発生翌日の17日に朴大統領が現場を視察するまで行方不明者家族には何らまともな説明はなく、救助隊が船内に侵入して捜索活動に入り始めたのはさらに翌日、18日からでした。中央災害安全対策本部は、救出者や死亡者の数といった基本的な事柄を含め事態を正確に把握することができずに説明を何度も翻し、現地に集まった企業やボランティアの人々も、適切な指示がないために待機を続けざるを得なかった模様です。要は、こうした海難事故に備えたマニュアルも訓練経験もなかったため、「司令塔」が機能していない状況だったのです。

こうした事態を受け、韓国内では「歪んだ社会が子供たちを殺した」という強い慚愧の声が上がると共に、リーマンショック以来荒み切った韓国社会にも幾つかの変化も芽生えているようです。

まず、2009年11月に日本で発生した同様のフェリー事故(ありあけ号、三重県の熊野灘にて)で死亡者ゼロだったことが韓国内で注目されているそうです。これを見ると、事故後の対応の違いが生死を分けたことが明らかです。
http://www.asahi.com/articles/ASG4P5K25G4PUHBI02M.html

また、日本に対する強硬な発言も多い中央日報の社説が強烈に自己反省を促しました。いわく、「…1国のレベルと能力も災難と困難が迫った時に分かる。韓国のレベルは落第点、三流国家のものだった」と。これはまさに、韓国が目指してきたものは何だったのかとの深刻な問い掛けを発するものです。
http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=184378&servcode=100§code=110

やがてこうした自己反省が真っ当な方向に向かってくれれば、自らの社会がどういう姿を目指すべきかという議論も起きるでしょう。ちょうど東日本大震災と福島原発事故が日本社会にもたらしたように。

「目先の利益追求を最優先するのではなく、安全と安心そして他者の存在を大事にしよう」(これが本来の儒教社会のはずです)と韓国社会全体が考えるようになるでしょうし、「それをずっと前からできている日本を見習おう」という声も上がるのではないかとも期待できます(甘いでしょうか?)。そしてよく考える人たちからは、「米国やカナダで反日活動(抗日連合会など)に多額の税金を使っている場合じゃない。自分たちの社会をまともにするために税金を使うべきだ」「ひがみ根性から日本を貶めようと中国と手を結ぶことは自らの国を滅ぼす道だ」という冷静な声が上がることを期待したいものです。

ここで日本人として心しておかなければと思うのは、悲嘆に暮れる韓国社会に対し人間としての礼を失した「天罰だ」などといった言葉は投げつけてはいけないということです。どれだけ近年の韓国が日本に対し非礼を重ね侮蔑の言葉を投げてきていたとしても、です。例えば、安倍首相が「セウォル号の捜索に全面協力する」との姿勢を見せながらも同じ日に靖国神社に供え物を奉納したことで、「隣国に対し最低限の礼儀もない無恥の極み」という声明を韓国議員100人あまりが出したそうですが、そうした無礼さに対しては「ならば仕方なし」と無視すればよいのです。ムキになって同じレベルで口汚く罵り合うことは日本人の品性を下げるだけです。

数十年経って、韓国がまともな市民国家になっていればもちろん、もし中国の属国と化していたとしても、「あのころから日本と仲良くしていればなぁ」と彼らが反省することは間違いないのですから。

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韓国の様々な異変は中国に取り込まれる予兆か

4月21日の未来世紀ジパングは「韓国に異変!」の第3弾。日中韓の三角関係を縦糸にして、興味深い内容でした。韓国は今、どこに向かおうとしているのか。番組では、揺れる韓国の現場に切り込んでいく姿勢を見せてくれました。

“反日”の風が吹き荒れる中、韓国の観光地では大きな異変が起きています。日本でもお馴染みの釜山(プサン)。2年前まで日本人観光客で賑わっていた釜山の商店街は今、ひっそりと静まり返っています。韓国人商店主は「日本人が減って大打撃」とさえない表情を浮かべる。一方で急増しているのが中国人観光客。ならばいいではないかと思いきや、「中国人観光客は品物に触りまくるし、とにかく値切ろうとするのでやりにくい」とのコメントです。なるほど、日本人観光客はいいカモネギだったのに、ということですね。中国人観光客の行動は実は世界的に見れば普通です(金持ちでもないのに値切らないのは日本と北欧人くらいです)。

その一方で、韓国国内では"日本製品"をめぐる意外なブームが起きています。日本製品を日本のネット通販サイトから直接購買する、というものです。買い手たちは、“直購族”と呼ばれているそうです。日本製品を海外からネットで買っても、従来は「配達区域外」でどうしようもなかったのですが、日本から韓国へ配達代行してくれる業者が出てきたのです。その手数料を上乗せしても、韓国国内で日本製品を買うより安いので、こうした“直購族”が増えているのです。人によって、または物によっては、韓国内で友人や知人、または他人にまで転売するケースもありそうです。

もう一つ好調なものがソニーのデジタルカメラ。特にミラーレスカメラ市場ではダントツの1位で、シェアはライバル・サムスンを大きく引き離し、5割を超えているそうです。ソニーのカメラが韓国で人気となった理由とは何か?韓国特有の、女性による“自分撮り”文化です。日本でもスマホでよくやっている友人とのショットですが、韓国では枚数が各段に多く、本格的にデジタルカメラで撮りまくるようです。その“自分撮り”のために写す際に、レンズ側から構図をモニタリングできるよう別画面を引き出すことができるのです。最新版ではサムスンも同じ機能を搭載するようですが、ソニーはさらに一歩進んで画像補整でより綺麗な(つまり肌がきめ細やかに映る)“自分撮り”ができる機能を載せ、リードを保つ作戦です。これはまさに韓国女性の「綺麗に見せるためなら何でもあり」文化を反映した商品ですね。韓国以外にまで拡がると物議を醸しそうです。

自動車のヒュンダイが既に失速し、電機・電子のサムスン(なんとGDPの2割を占める!)とLGが中国や台湾企業から猛追を受ける中、国策として第二の柱を探す危機感に追い立てられ、韓国はKポップと韓流ドラマに代表されるエンタメ産業の輸出を加速しようとしています。自国のアーティストを世界に売り出すための新しい施設もソウルに誕生しました。ホログラムの技術を使ったシアターで、アーティストがあたかも目の前に存在するかのようです。これを武器に、政府はエンタメ輸出を今の倍の1兆円産業に育成する計画だといいます。このホログラム技術によるアーティスト・シアターは韓国にしては珍しい独自の発想で、とてもいいことです。日本のクールジャパンとは全く違う路線で頑張って欲しいものです。

一方で、中国への傾斜も目立っています。特に有望なのが美容整形。日本では考えられないような一大産業です。韓国は整形した人の占める割合が世界一の整形大国(これを誇る神経が理解できませんが、なるほど事実です)。韓国で人気番組の一つが、一般視聴者参加の美容整形のビフォーアフターです(これで全国に『自分は整形美容しました』とさらけ出して意味あるのか、よく分かりませんが)。ところが何と今では、韓国で整形手術を受ける人の6割が中国人といいます。そこに目をつけた韓国の美容整形業界は、美容整形技術を次世代産業として、中国に輸出しようとしていたのです。これには驚くと同時に、「そうか中国人なら『心より見掛けが大事』という韓国人の感覚を共有している」と感じ入ったものです。

今、韓国は中国への依存が強まっています。(長年上位だったアメリカと日本を抜き)中国向け輸出額が急上昇中です。さらに中国と韓国との距離をさらに近づけているのが、反日。元満州のハルビン駅にオープンした安重根記念館はその象徴です(朴大統領が「記念碑か銅像を」と要請したのに対し、習主席が過剰演出したものです)。日本の元総理大臣を暗殺した人物(アン・ジュングン自身は思想家でもあります)を外国の地で祭り上げるという、こんな失礼な振舞いを繰り返していながら、両国は日本に対しては「隣人として礼節を欠く」などと罵るのですから、まともに相手をする価値もありません。

番組の最後で後藤ナビゲータは「この蜜月はそう長続きはしない」と断言しましたが、小生もそうあって欲しいと思います。韓国経済の要、サムスンのスマホやテレビが中国メーカーの激しい追い上げにより、中韓は経済面でぶつかるときが迫っているという見立てを後藤氏は示していました。小生はその先に、中国資本による韓国の2番手メーカーの買収が色々な産業で生じ、その軋轢は大きいと思います。

でも肝心なことは、中国に政治的かつ経済的に絡め取られて、韓国がその影響から逃れられなくなりつつあるという点です。愚かなことに韓国首脳は日本を貶めるために中国を利用しようと考えていますが、実態は全く逆に中国に利用されており、いずれ米国から「自由陣営を取るのか、中国陣営を取るのか」と踏み絵を迫られるでしょう。そのタイミングが遅ければ、もしかすると韓国・北朝鮮もろとも中国の属国化しか選択肢はなくなっているかも知れません。自ら蒔いた種とはいえ、そうなれば、南北朝鮮の未来は今より格段に厳しいものになるでしょう。

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グンゼ、120年を生き抜く超オモシロ企業

4月17日に 放送されたTV東京系のカンブリア宮殿は「あったかくて最先端!肌着の王者グンゼ 知られざるサバイバル経営」でした。この会社、昔あることでご縁があったので、興味深く拝見させていただきました。

グンゼといえば肌着の代名詞ですね。男性用肌着ではシェア16%と、トップを守り続けています。でも売上1300億円の内訳を見てみると、肌着類は全体の約半分に過ぎません。残りは、肌着とは一見何の関係もないビジネスで稼いでいるのです。こんなに多角化が進んでいるとは驚きでした。そのベースは危機感だといいます。

1896年、地域産業の振興を目的に、「郡是製絲」という生糸メーカーとして創業したグンゼ。「国是」「社是」と同様に郡の「郡是」に由来する社名だということも初めて知りました。1900年代初めに化学繊維のレーヨンが爆発的に普及すると、生糸は壊滅的な打撃を受けたのです。

ここから生き残りをかけた新規事業の開拓が始まり、この会社に「安住しない」というDNAが埋め込まれたとのことです。その結果、生糸メーカー・グンゼはやがて肌着メーカーとなり、ストッキングの包装フィルムから様々なフィルム製造へと展開していくのです。以来、グンゼの歴史は、時代を生き抜くための試行錯誤と挑戦の連続だったとのことです。児玉和社長は語っていました。「現状への安住は、後退を意味する」と。

多角化の代表的事業がフィルム事業。食品やペットボトルなどの包装用のほか、タッチパネル用のフィルムを製造しているのです。熱風を当てると、包装フィルムがペットボトルにぴたりと吸いつくように張り付く様子が映されていました。この技術は国内ではほぼ100%シェアだとのこと。ぜひ海外にもばんばん売って稼いで欲しいですね。

さらには体内で溶ける医療用の糸といった最先端技術まで手掛けています。繊維で培った技術が生んだ、体内で溶ける糸から作る「縫合補強材」という医療品によって、アメリカの大手医療機器会社と提携を果たしたのです。さらに、この溶ける糸を使って再生血管も開発しています。すでにアメリカのイェール大学では、4歳の女の子が命を救われており、その少女が元気に回復した様子も映されていました。日本の技術が世界で人命を救うというのはいつ観ても誇らしいですね。

小生は多角化の行き過ぎや落下傘的な展開には批判的な経営コンサルタントです(だからこそ「フォーカス喪失の罠」という本を書きました)。でも技術など自然なつながりがあって、会社の体力に合わせた範囲で常に拡張する努力を続けることはむしろ当然だと考えています。グンゼの場合は非常に自然な形で「自分たちにできること」を模索し、時代のニーズに合わせて適切な速度で展開している感じがします。

番組の中ではグンゼのユニークで家族的な雰囲気がよく伝えられていました。「人は財なり」と謳い、社員を大切にするグンゼには、親子3代グンゼ勤務、という家族までいるのです。社員を大切にしてきた結果ですね。国家/地方公務員や政治家、医者、電力会社などの「おいしい」仕事では時折ある話なのですが、普通の会社では3代となるとざらにある話ではないでしょう。

グンゼはちょっと変わった会社だというのも感じました。月曜から金曜日まで、始業の前には毎朝違う歌を歌うのです。毎朝社歌を歌うのは松下でもやっていたので、特に変わっているとは思いませんが、毎曜日違う歌を歌うのですから、これは変わっています。

社内のいたるところに標語が貼ってあるのを、番組は不思議そうに放送していましたが、これも伝統のある会社ではよくある話です。しかしその中身はちょっと変です。例えば「三つの躾(しつけ)」。そこには「あいさつをする」「はきものをそろえる」「そうじをする」。ほとんど幼稚園か小学校低学年の雰囲気です。実際、工場も昔の小学校のような随分懐かしい雰囲気です。

工場を訪れると、行きも帰りも社員たちが立ち上がって見送る、というのは古き良き社風です。本来なら全ての会社がそうあるべきだと小生なんかは思うのですが、実際にはごく少数の会社しか実行できていません。

全体的に、120年を生き抜く超オモシロ企業という、好感を持てる内容でした。

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東京五輪を、障碍者やお年寄りに優しい都市に変えるきっかけに

2020年の東京五輪を旧来型の公共事業用イベントに終わらせては、後の世代に大きな負の遺産となるだけ。やるべきことはバリアフリー社会の構築であり、そのために必要なのはソフト面を中心にしたインフラ整備です。


東京五輪の施設整備は4500億円を超える額に上るといわれています。自民党が「国土強靭化」という看板を掲げて公共事業の復活を宣言したところに、ちょうどタイミングよくオリンピック誘致が決定したものですから、10年間で200兆円ともいわれる国土強靭化計画の核になる一大イベントとして、今後は扱われていくのではないかと思われます。

前回1964年の東京オリンピックによる需要の大きさを体感的に覚えている(または度々聞かされて育った)向きは、今回もそのカンフル効果を大いに期待しているようです。でも同じ成熟都市・ロンドン五輪ではどうだったかを見てみましょう。約1.4兆円にも上った運営費を支払いながら、その後英国のGDPはマイナス成長に陥っています。冬季五輪後の長野県/市の大幅な財政悪化も忘れてはなりません。ことほど左様に、先進国でのオリンピック効果というものは単なるカンフル効果だけを見たら、公共支出額に見合わないものです(ただし別観点では大いに意味があり、それは後述します)。

最近の五輪開催国である中国、これからやろうとしているブラジルやトルコなどの新興国では、人口も増えている途上ですから、巨大なハコモノを建てて高速道路等の整備にいそしむのは合理的です。いずれにせよ必要となる都市インフラを整備するためのきっかけに過ぎず、そのあとで十分な活用を見込めます。前回1964年の東京がまさにそんなタイミングでした。しかしすでに成熟した都市となった東京、しかも日本国全体として少子高齢化が進む中で、新興国と同じようにすることは馬鹿げています。近所の若い夫婦が何組も家を新築したからといって、老夫婦が今さら大きな借金をして全面的に家を建て替えるようなものです。

主な懸念点は2つです。旧来の土建屋的発想が強い人たちが中心になって整備していく結果、あまりにハード志向すなわち「ハコモノ」に偏った整備事業になり過ぎて、ソフト面がなおざりにされないかということが一つ。そして社会が大いに高齢化してしかも人口縮小が始まっているにもかかわらず、将来の身の丈に合わない無駄なサイズのハコモノが続々と作られやしないか、ということがもう一つです。長野県/市が直面した、後々生じる巨額メンテナンスコストを考えると、決して迷いこんではいけない誘惑のとば口に、我々は立っているのです。

ではどうすればいいのか。先の老夫婦の例え話で云えば、「建て替え」ではなく、ライフステージに合わせて「リフォーム」するのです。「土建屋」的発想、「新興国」的発想をそぎ落とし、我が日本社会が置かれている状況を考えれば、答は自ずと明らかです。極度に進んだ少子高齢化社会を世界に先駆けて経験しつつある日本は、今後は「世界最先端の技術力」と得意の「安心・安全の運用力」を活かして世界で稼いでいくしか、急激な衰退を避けるすべはありません。幸い世界は、伝統とハイテクが融合する国・ニッポンの首都における一大イベントに大いに注目してくれるでしょう。しかもオリンピックに続けて開催されるパラリンピックにより、東京は障碍者にも暮らしやすい都市なのか、確実に問われます。

ならば東京五輪を、世界に向けての「最先端技術」と「ヒトに優しい社会インフラ」のショーケースとして活用すべく、そして五輪後も実際に使えるように、徹底的にバリアフリー化してしまうことです。東京五輪(特にパラリンピック)のために日本各地と世界中から訪れる選手・その家族、老若の観光客が東京で体験したバリアフリー施設や運用体制(これこそ「おもてなし」)に感激し、帰ってから地元でも整備したがるようにするのです。そうすれば日本からの技術指導や社会インフラ輸出にもつながる可能性があります。また、観光客が再びニッポンを訪れてくれることも大いに期待できます。

そのために必要なものは、公共設備の手すりや歩道の点字ブロックなど旧来のものだけではありません。車椅子でも気軽に移動できる交通環境であり、お年寄りがぶらぶら歩き回れるようにするための(夏でも涼しい)休憩場所や分かりやすい案内板であり、そして迷っている人がいれば誰もが気軽に声を掛けて道案内する習慣作り、そのための教育です。技術的には、初めての人でも迷わないハイテクのコンシュルジェ的情報案内方法(もちろん多国語対応)、迷子防止システムであり、犯罪・テロ防止の体制です。公共交通網やタクシー、多くの商業施設でもっとまともに英語が通じるようにする、もしくはスマホで使える多国語の翻訳システムを普及させることも必要です。

こうしたソフト的(人的、ソフトウェア的)な仕組み作りにこそ公共予算の大部分を投入し、後々不要になる巨大なハコモノに投じる無駄金をその分減らして欲しいものです(もちろん、後々も本当に人が集まり活用できる施設であれば、妥当な公共予算を投入してより使いやすくすることは必要でしょう)。

PS なお、誤解して欲しくないのですが、小生は東京オリンピック開催自体には賛成です。開催が決まった日にはやはり歓喜の声を上げました。しかし、だからこそ、後の世代が「止めときゃよかったね」とつぶやかなくても済むようにすべきと考える次第です。

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ジェットコースター人生が伝える「人生、塞翁が馬」

日曜の午前、以前から誘われていた知人のセミナーに参加しました。その方自身のジェットコースターのような人生を語り、そこで得た教訓を語るという趣旨でした。端的に言って、「人生、何がきっかけになるか、何が障害になるか、分からないものだな」という感想を持ちました。

実は以前に、簡単ではありますが、仕事の打ち合わせの合間の歓談として、その方から個別にお話を伺ったことがありました。確かに普通の人があまり得られない貴重な体験をされていることは感じましたが、考えさせられるほどではなかったのです。

その方が超大手会社の特殊業務担当として、今や世界的富豪になったある人物からの出資依頼を断ったことがトピックの一つでしたが、その際には格別な感慨はありませんでした(むしろ「やはり普通のサラリーマンには本当に筋のよいベンチャーを見極めるのは難しいのだ」と思っただけでした)。

ところが今回の話は2つの点でリアリティが格段に強くなっていました。一つは、その事業計画書に関する手書きメモのコピーを見せていただいたことで、「ああ、本当に断ってしまったんだ」というリアリティを感じたことです。ご本人も言っていましたが、その当時、そういうビジネスが成り立つとは全く想像ができなかったのです。当時は「ヨタ話」が無数に押し寄せていたようで、その一つとして真剣に検討しなかったのでしょう。「まともなVCは人を見て投資するかどうかを決めるのに、私は書類上のうわべの数字だけで判断しようとした」と反省の弁を仰っていました。

もう一つのリアリティの理由は、その手書きメモが荷物から出てきた経緯が、ご当人がこの2月に「夜逃げ」をしたからだということで、驚きだったのです。その方は昔、あるビジネスでひと山当てて大金持ちになりながら、その後事業も不振に陥っただけでなく、友人と母親の連帯保証人になったばかりに(ご当人は「いい気になって脇が甘くなった」と仰っていました)、母親名義の不動産を相続した途端に、姿をくらました友人の借金の片に全ての財産を差し押さえられてしまったそうです。昔話ではなく去年から今年にかけての話なので、かなりびっくりしました。

いろいろな会社の相談役やNPOの理事などをやっている顔の広い方ですが(その関係で昔、小生にも相談があったのです)、それと並行して米国の超大手企業との特許紛争を抱えていることも初めて聞きました。なんとトラブルだらけの20年あまりだったことでしょう。でもそんな窮した様子は殆ど見せなかったのが、その方の凄いところです。

今や似た様な経験から精神を病んだり自殺したりする人を救いたいと思い、そうした悲惨な体験を自ら語り継ぐことを思い立ったそうです。ご本人が「語りは苦手」と仰る通り、話はところどころまとまりに欠けてメッセージが伝わりにくい面もありましたが、その趣旨に賛成ですし、その方の人脈が役立つ案件があれば何とかご紹介したいとも思った次第です。

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ニッポンそして世界の社会を変える次世代ロボット

4月13日(日)に放送された「Biz+ サンデー」は「社会変える次世代ロボ」。次世代のロボットが次々と誕生、身近な存在となりつつある様子を報道しました。産業技術総合研究所研究部門長・比留川博久さんと、ガンダムの生みの親である富野由悠季さんをスタジオに招いて、ロボットビジネスの近未来を考えていました。


日本ではさまざまな企業が人間の身体機能を強化する“装着型”ロボットを開発しており、すでに実用化も始まっています。装着型ロボットは重い物を持つことと、自分の体を動かすことが主たる目的です。ゲストの人たちのコメントのとおり、ロボットが道具として実用化されてきていることは素晴らしいことですね。今後の普及のためには安全性、法整備、性能の維持が求められるというのはその通りです。

介護、物流といったハードワークの領域が主たる用途になろうとの経済産業省の予測でした。またISO13482に準拠している体制が整ってきていることも心強い限りです。富野氏が指摘していた、不要になった際に産業廃棄物となる前提でリサイクルしやすいように考えるべきだという点もその通りです。

一方、アメリカでは、「ドローン」と呼ばれる無人飛行ロボットを、ビジネス(配達)や対戦ゲームなどに向けてベンチャー企業が開発する動きが加速していることが紹介されていました(当ブログでも何度か取り上げているトピックです)。番組ではプライバシーへの懸念からの反対の動きも併せて紹介していました(ポートランド警察が立て篭もり事件への捜査に導入しようと住民説明会をしたら反対の声が強くつぶされたそうです)が、これは逆に米国の政府への不信感に根差す草の根民主主義が強いことを示しています。ただいずれにせよ、この市場は、広い米国が実用化でも一歩先んじるだろうと思えます。

続いて、量産を目指す装着型ロボットをスタジオとビデオで、開発・製造会社も併せて紹介していました(まだまだ不格好でコスト高で、実用化にはあと暫く掛りそうでした)。

パナソニックの子会社アクティブリンク(奈良)は11年前に創業した企業です。高齢化が進むなか、建設や物流業界に売り込みたい考えです。アクティブリンクの藤本弘道社長は「人の意識までプラスの方向に押し上げる商品になればいい」とコメントしていました。アクティブリンクでは今後、50万円以下のロボット開発を目指し、林業、農業を狙い量産を目指すとのことです。そう、価格的にはそんな水準になる必要があります。

ちなみに医療や介護向け分野では実用化が進んでおり、そのメーカーであるサイバーダインが東証マザーズに上場しました。サイバーダイン・山海嘉之CEOは「新しい人支援産業という分野」と位置付けていました。

最も急スピードで少子高齢化が進むニッポンで、介護やガテン系の仕事を支援するためのロボットの実用化が進むのは必然性があります。頑張れ!ニッポン発のロボット達。

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石炭火力のCO2排出量を大幅削減する技術が生まれようとしている

4月6日放送の「夢の扉+」を録画で観ました。「“次世代の石炭火力発電”で、CO2排出量を削減!~子どもたちの未来のために、地球環境を守りたい~」と題し、日立製作所の日立研究所勤務、工学博士の鈴木朋子さんをフィーチャーしていました。

世界中の電気の約40%を占める石炭火力発電は、重要なエネルギー資源である一方で、地球温暖化の原因の一つとされる「二酸化炭素(CO2)」の排出の元凶でもあります。その排出量を減らそうと新たな技術開発に挑むのが、日立研究所の鈴木朋子さんたちです。
http://www.hitachi.co.jp/rd/portal/news/h/2013/1219.html
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2013/12/1219.pdf

石炭火力発電で世界最高レベルの技術を誇る日本では、発電効率を高める“次世代”の石炭火力発電所のプロジェクトが進んでいます(小生の知り合いも多少関与しているようです)。
http://www.myam.co.jp/up_pdf/20140317084452_1.pdf
http://www.jpower.co.jp/bs/karyoku/sekitan/sekitan_q03.html

その中でCO2削減のカギを握っているのが、化学反応を促進させる触媒。鈴木さんが開発した画期的な“ツブツブの物質”です。CO2の分離・回収に伴う技術が大きな一歩を踏み出し、より少ない石炭で効率よく発電することを可能にするものです。

少ない水蒸気でも反応する触媒を数万通りの中から試してきた結果、発見された物質。その性能を試す最終試験の日、新しい触媒では必要な水蒸気の量は従来の1/10との結果となり、実用化に向け一歩進んだのです。これが早急に世界で使われれば、中国のPM2.5問題に代表される大気汚染も緩和されますし、地球温暖化への時間稼ぎにもなります(その間に再生可能エネルギーを主力に変える努力を怠っては意味がありません)。

『少しでも、人のため、世界のため、未来の子どもたちのためにできることはないか―』。

番組の中で紹介された鈴木さんの日常は通常のママさん研究員とは全く違います。致死ガスの発生する現場。茨城の自宅と実験施設のある九州を行き来する日々。まだ小さな息子を家に残し、ひと月の半分を留守にすることも1週間の出張もあるといいます。大変な重労働ですが、夢と子育てをなんとか両立しようと、がむしゃらに突き進む鈴木さんの姿が非常に尊く映りました。何とか早く無事に完成していただきたいですね。

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軍事転用が「他人事」でなくなってきた日本企業の不安

4月9日(水)の「クローズアップ現代」は「日本の技術はどこへ ~拡がる“軍事”転用~」でした。日本の高度な民間技術が軍需的観点から秋波を送られ、知らない間に転用される恐れが現実化しつつある様子が報告されていました。

韓国で相次いで見つかった北朝鮮のものと見られる無人機に取り付けられていたのが日本製のカメラだったことで注目されました。そう、今、日本の技術を軍事利用しようとする動きが加速しているのです。

シンガポールで開かれたアジア最大規模の航空ショー。旅客機メーカーや海外の民間空港への納品を目指し、日本からはこれまでで最多の42社が出展しました。それら日本企業のブースには各国の軍関係者が殺到しました。ロシア海軍、アメリカの軍需研究機関、イギリスを拠点とする世界第3位の軍需企業であるBAEシステムズ、イスラエルの軍需企業であるエルビットシステムズなどです。しかし当の日本企業は戸惑いを隠せず、海外の軍との取引には慎重な姿勢です。

兵器の高度化が進む中で今、民間の技術を軍事に転用する動きが広がっています。しかし知らぬ間に転用されてしまえば、企業イメージとして取り返しがつきません。どのように軍事転用を防ぐのか、模索を続けている企業が紹介されていました。

コンピューター制御で自律航行する無人ボートを開発した、社員50人の都内のメーカー、コデンです。海底の地形を超音波で調べ、データを無線で送信する機能を備えており、港やダムなどの測量に使われています。無線が途切れたり、電池が残り少なくなったりすれば、元の場所まで自動で戻ってきます。これは「敵地偵察・測量」にもってこいです。この会社には、ここ数年、イスラエル、リビア、イランなどからの問い合わせが増えています。用途や素性を明らかにしないことも少なくなく、コデンでは警戒しています。

同社では、3年前から転用を防ぐ独自の取り組みを始めました。海外に輸出する際には毎回、社員を現地に派遣し、本当に測量に使われているのかを確認しています。さらにメンテナンスで年に一度、製品を回収し、勝手に改造されていないかチェックを徹底しています。それでも軍事転用への不安が消えることはないと言います。ここまできちんとやる会社はむしろ例外でしょう。

明らかに武器に当たる製品については、(旧)武器輸出三原則で実質的に輸出が禁止されてきましたし、新しい三原則でも厳格にこれを管理するとしています。また民生品の中でも、核や生物・化学兵器、ミサイルなどに転用が可能な特殊な技術については、条約や国際的な取り決めの下で管理されています。ところが、武器に転用可能だと言い切れない民生品については、管理の対象外になっています。

かつての大きなパソコンの機能が、今では小さいスマートフォンで代用できるなど民間の技術はすさまじいスピードで進歩していて、民間技術が軍事転用されるのは防ぎようがないと指摘する専門家もいます。

NHKが入手した防衛省の内部資料には、民間技術を防衛装備品に活用するため、防衛省が、企業や大学の技術を調査した(2013年)実態が記されていました。自衛隊の防衛装備に転用できないか見極めようとしていたのです。

たとえば防衛省がセンサー技術の高さに着目したのが、味や匂いを科学的に調べる研究の第一人者、九州大学の都甲潔さんです。金属の表面に特殊な処理を施した超高感度の匂いセンサーで、食品の品質管理に応用できる世界最高水準の技術です。匂いセンサーを、爆弾を探知する装置に転用できないか、共同研究を申し込まれたのです。爆弾を探知できれば人命を守ることにつながると説明され、その後、防衛省の依頼を引き受け、爆薬の僅かな成分を匂いセンサーで捉える新たな装備品の共同研究を始めています。

他の例は、爆弾処理のために試作されたロボット。カメラはテレビ会議用の市販品、ロボットの動きはゲーム用コントローラーで制御です。もう一つは手投げ式偵察用ロボット。こちらも電子部品はほとんどが市販品。相手に気付かれないよう、ひそかに捜索するための技術。操縦には、スマートフォンを応用した端末が使われていました。これは犯罪捜査でも使えると思いました。

民間の優れた技術を積極的に取り込む防衛省は、一方で開発した装備や技術を輸出することも想定しています。これまで武器の輸出は実質的に禁止されてきましたが、新たな三原則では一定の条件の下に認められることになったからです。

防衛省がASEANの国防次官級会議に合わせて開いた展示会の様子が放映されていましたが、今後はこうした機会を通じて民間技術を使った装備品を海外にPRすることにしています。出来上がった装備品を海外市場に拡げることに協力することで、調達コストを低減していく意図でしょう。

防衛省は輸出を視野に入れる一方で、優れた民間技術が海外に流出しないよう、今4月から対策に乗り出しました。軍事に転用可能な民間技術を詳しく把握、転用されるおそれがある技術については輸出審査を慎重に進めるよう関係機関に働きかけることにしています。ある意味身勝手な話ではありますが、国益という観点からはこうした制約も仕方ないのかと思います。

今後は海外で生産される装備品の開発に日本企業が参加するケースも出そうですし(あくまで日本政府のコントロール下ですが)、日本が一緒に開発した装備品や輸出した製品が輸出先から第三国に移転してしまう可能性は小さくはありません。国にはもちろん政治的判断に対する責任と説明責任がありますが、(たとえ政府に促されようと)企業もまた特定の自社技術を輸出する(ことで第三国に転用されるリスクを負う)のか否かを決定する自己責任があることを肝に銘じるべきです。

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超小型衛星は宇宙開発以上に地球上の社会に変革をもたらす!

一昨日に引き続いてEテレの「サイエンスZERO」です。4月12日(土)に再放送されたのは「宇宙開発の革命児! 超小型衛星」でした。両手で抱えられる程の大きさの「超小型衛星」が、いま次々と開発されて宇宙へ打ち出されつつある様子が報告されていました。

最新の人工衛星を搭載したH2Aロケットの打ち上げ時、大きさ僅か40センチ角のかわいらしい衛星が相乗りして打ち上げられていたのです。この超小型衛星の開発が今さまざまな大学や研究機関で大ブームだというのです。両手で抱えられる程の小さな体に、超高解像度の望遠鏡や世界で初めて衛星に搭載される特殊な「スターセンサー」、3つのリアクションホイールによる姿勢制御など、従来の大型衛星も顔負けの最先端技術を満載しているのです。

しかも、いくつもの超小型衛星をネットワーク化し、単体の衛星ではなしえなかった「地上の特定地点の連続観測」に挑むというのです。1基の衛星だけでは地球を一巡りして同じ場所を観測できるのは1日4回程度なので、刻々と変化する被害状況を把握しきれません。その限界を打ち破る秘策が超小型衛星を何十基も打ち上げてネットワークを作ろうという構想です。次々と飛んでくる衛星で同じエリアを連続的に観測できるというわけです。

それで何を観測するのか。例えば、インドネシアの熱帯雨林の乾燥状態をスペクトル(葉っぱから反射される光の波長の形)の観点で監視したり、フィリピンでの大型の台風などによる深刻な災害地域を定点監視したり、謎に満ちた巨大積乱雲の発達を宇宙から連続観測するといったかつてない試みに、アジア各国も巻き込んだ壮大な計画が動き始めているのです。

実はこうした実験が成功すれば、超小型衛星を地球の周りに、目的に合わせて沢山飛ばすことができます。それらを使って、今までできない計測や監視、制御が可能になると考えられています。番組タイトルは「宇宙開発の革命児!」となっていますが、実は宇宙開発よりも地球上の社会・産業にとって革命的なことができるのです。弊社もある大手クライアントに新発想の事業構想を提案しようとしています。日本の技術だからできることが一杯あるって、ワクワクしますね。

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欧州の親日国・ポーランドは恩を忘れない

4月7日の未来世紀ジパング、"知られざる親日国シリーズ"の第5弾は「知られざる親日国・ポーランド」でした。

ヨーロッパの中央に位置するポーランドは今、経済成長の真っ只中にあります。首都ワルシャワの街には、近代的な建物や新しい商業施設が次々に建てられています。1989年の民主化で共産主義のくびきを逃れて大きく変化したポーランドは、その後EUにも加盟し、今やGDP成長率が21年連続のプラス成長という勢い。リーマンショックや欧州不況でもずっとGDPがプラス成長なのは同国のみです。

現在、ポーランドに進出する日本企業の数は約300社。ちょっとした進出ラッシュです。ポーランド工場で作られた製品が周辺のEU諸国へと輸出される、一大生産拠点となっているのです。理由のひとつは先に挙げたポーランドの安定した経済です。そして、もうひとつの理由はポーランド人の気質にあるといいます。それは日本式のやり方を習得しようと懸命に働くポーランド人の、想像を超えた真面目な気質でした。日本人以上に日本的ということです(不思議な言い方です)。

重要な精密部品であるベアリングを生産する日本企業・日本精工の現地工場を、番組が取材してくれました。そこでは日本の工場でみるように、職人の動きをビデオに撮り、無駄がないかチェックするTQC活動が行われていました。日本から派遣された副工場長は最低限のアドバイスに徹し、現地従業員の自主性に任せているとのことです。ある従業員の家庭にもスタッフが取材すると、とても満足しているコメントを家族の前で披露してくれていました。工場が現地に根付いている感じが伝わってきました。

そんなポーランド、実は驚くほど親日的だったのです。剣道など日本の武道がブーム。ポーランドの名門ワルシャワ大学の人気学科は日本学科、倍率はなんと30倍を超えるとのことです。学科の大学生は日本語がぺらぺら、日本人顔負けの俳句を詠んでいたのにはびっくりです。さらに、2人の学生の家を訪ねると、食事は白いご飯に冷凍餃子(餃子定食!)、日本の即席麺も(パッケージは日本語だらけ!)大人気でした。

この日本びいきの秘密は、100年近く前のポーランドと日本を結ぶ“奇跡の物語”が語り継がれているためでした。ワルシャワ郊外の共同墓地に、一組のポーランド人夫婦。父親の墓参りにやってきたという夫はこう語りました。「私の父は94年前、日本に命を救われた。あの時、日本が父を救ってくれていなかったら、私はこの世に存在していないのです」。ポーランド人は当時の恩を忘れない、と語るのです。

第一次世界大戦後、多くのポーランド人がロシア革命と内戦の中、シベリアに流され、極寒の地に留め置かれていたのです。次々と命を落とすポーランド人たち。その中には多くの子供たちが含まれていました。「両親を失った子供たちだけでも救えないか」というポーランド政府の必死の依頼に唯一応えたのが日本でした。765人の孤児を迎え入れたのです。

とはいえポーランド孤児たちは最悪の健康状態で、日本赤十字の看護師たちが懸命に看護したのです。大正当時、日本自身が貧しい国ではありましたが、全国から多額の寄付も集まり、子供たちはやがて健康と元気を回復しました。数年後、無事にポーランドに戻った孤児たちは、終生その体験と日本への恩義を語り継いだといいます。それが今日なおポーランドに根強い親日感情につながっているとのことです。この話、日本では全然知られていませんが(小生も知りませんでした)、ポーランドではよく知られているそうです。

その後も第二次世界大戦で連合国側にありながら、ポーランドは日本に対しヤルタ会談の情報を秘密裏に流してくれたり(これも知りませんでした)、先の東日本大震災では多額の援助物資をくれたりしています。日本もポーランドに対し多額のODAを毎年続けています。今や欧州のポーランド、中東のトルコは、日本が世界で最も重視する友好国です。本当に有難いですね。先祖がよい行いをし、そのお陰で子孫が仲良くできるというのは。

注)援助に対し好意を返してくれるのが世界の常識なのです。長年の援助に対し憎悪を返す中韓は特殊なのです。

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小型の無人飛行機・ヘリコプターは実用期を迎えつつある

小生のお気に入りの番組の一つが、Eテレの「サイエンスZERO」です。2014年3月30日の放送は「大空を切り開け! 無人飛行機 開発最前線」。小型で高性能の無人飛行機が続々と開発されて役に立ちつつある様子が報告されていました。

飛行機の無線操縦は機体が遠くに行くと極めて難しくなります。それに対し今回紹介されたのは、あらかじめ目的地や対象をプログラムしておくと、自動でそこに飛行する(しかも目的を終えると戻ってくる)ものです。原発事故現場や災害現場など、人が容易に近づけない災害現場にも、無人機なら近づいていって精密な写真を撮る事ができます。

番組では、JAXAとJAEAの共同開発の無人飛行機をはじめ、放射線量の測定を行なう飛行機、建屋内の探査を行なうマルチコプターなどを紹介してくれました。調査区域をくまなく網羅します(無人で自動なので「飽きる」ことがありません)。更に飛行高度もコンピューターで自動制御されます。これまで測定を行ってきた有人ヘリコプターの飛行高度は300m。航空法によってそれ以上低くは飛べませんでした。一方、無人飛行機には航空法の制限がないため、半分の高度150mに設定しました。地上から近い分、より精密な計測ができ、たとえば放射線量の違いを細かく場所ごとに見分ける事ができるのです。その精度はこれまでの4倍とのことです。

また、自律飛行の経路を解析したところ、風にあおられてもほとんどブレなかったという利点も分かったのです。滑走路なしでトラックの上から離陸する飛行機もあります(これ、災害現場では意外と役立ち要素です)。旅客機が着陸する時の進入角度は3度、それに対し番組が紹介した無人飛行機は25度の急角度で着陸し、滑走路がなくても広場があれば着陸できるようになっていました。

建屋内の探査を行なうマルチコプターについては、ヘリコプターが建屋内部で障害物とぶつからない技術を開発したとのことです。ヘリコプターに取り付けられた装置でレーザーを飛ばして障害物と自分との距離を正確に測定、その形を立体的に捉えるものです。「3次元立体地図」と呼ぶそうですが、真っ暗闇でも飛べるって事ですから、これは応用が利きそうです。

セコムが利用しようとしている監視用は、泥棒などが侵入したら急遽現場に派遣され、被害者家屋から出てくる不審者の画像を捉え、追跡するものです。ある程度の距離を常に保って画像を撮り続けるようにプログラムされているとのことです。

Amazonでは宅配サービスへの利用も検討されています。インターネットで商品を注文すると、直接注文主の自宅に向かうというわけです。途中で事故が生じたらどうなるのか(米国だと撃ち落とされる可能性が本当にあります!)、といった議論を呼んでいる最中ですが、私たちの生活を大きく変えるかもしれない無人化技術が今や実用化の局面を迎えていることは間違いありません。わくわくしますね。

実はこのうち、紹介されていたような無人ヘリコプターを活用して(もちろん他の技術と組み合わせて)新しいサービスを開発しようと、ある企業のコンサルティングで提案しています。そんなに遠くない将来、「なるほど!」「それはいいね!」と言ってもらえるサービスが実現すると信じています。

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ダイソンのハンドドライヤー新製品は風速690kmの強力さ

英ダイソンが洗面台一体型のハンドドライヤーを発表しました。時速690kmの空気流で、たった12秒ほどで手が乾くそうです(というか、水滴を「飛ばす」感覚です)。同社初となるBtoB製品です。TV東京のWBSでの解説では、内部をちょっと見せてくれたのですが、モーターは意外と小さいのに強力なのです。

ダイソン、洗面台で手を乾かすAirblade Tapハンドドライヤー発表。時速690kmの風で12秒乾燥|engadeget日本版
http://japanese.engadget.com/2014/04/09/airblade-tap-690km-12/

ダイソン、自社のモーターと送風技術を生かしたハンドドライヤー3製品を投入|家電Watch
http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20140409_643500.html

この強力なモーターがあるので、中に衛生用にフィルターを入れてあるのですが、十分な風力を確保できるということです。日本製品にはない特徴です。
「もっとも早く、衛生的」――ダイソンの新製品はハンドドライヤー「エアブレード」|IT media
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1404/09/news082.html

このようにはっきりとした特徴を持つ製品を出すところがダイソンのよさであり、最近の外資系家電メーカーの特徴かも知れません。日本メーカーは機能の多さやバランスのよさを訴える傾向がありますが、ちょっと旗色が悪い感じです。

ハンドドライヤーがついている洗面台ということは、商業ビルや公共の施設の洗面所が主なターゲットなのでしょうね。これをきっかけに、同じ場所にある水道の蛇口も改良してもらえないものでしょうか。

具体的にはセンサーと水流です。手をかざしてもセンサーがうまく感知せずになかなか水が出なかったり水流が弱過ぎたり、手を洗っている最中に水流が止まったり、逆に乾燥の風を手に当てている最中に(一体型の場合)水が飛び出してきたり。小生は仕事柄色々な会社の洗面所を使わせていただきますが、まともなのが少な過ぎます。気にせずに使えるのは半分もないというのが実感ですね。TOTOさん、INAXさん、何とかして下さい。

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インドネシアでの総選挙結果が示唆するもの

インドネシアで9日、総選挙(一院制)が行われ、投開票が行われました。最大野党の闘争民主党(PDIP)が躍進し、第一党となる勢いだそうです。最大与党・民主党と連立を組む第二与党のゴルカル党も健闘している模様です。それに対し民主党は政権にある人たちの汚職問題などが響き、議席を大きく減らす見通しです。

今回の総選挙は7月の大統領選の前哨戦となると位置づけられており、2期10年の任期を終えるユドヨノ大統領が率いる民主党の凋落振りが目立ちます。PDIPは国民からの人気が高いジャカルタ特別州知事、ジョコ・ウィドド氏を「党の顔」として大統領候補に擁立、支持を広げているのです。ジョコ氏がジャカルタ州知事就任後に実施した、貧しい人向けの政策がそもそも彼の人気を生んだきっかけです。それで知名度が上がった彼には個人的人気が集まっています。既存与党の政治家と違い清廉な政治家とされ、その素朴な振舞いも好感を得ています。どこか見た目や政治行動が米国のオバマ大統領を彷彿とさせます。

そうした表面的なことより重大なことは、この総選挙が持つ意味です。民主党の長期政権がどうやら終焉を迎えようとしていること、そして貧しい庶民が選挙で自らの意思を表すことの効果を知ったことです。

従来、(他の発展途上国と同様)同国では選挙は概ねカネで買われ(選挙自体がお祭りみたいなもので、人々は政治家の演説ではなく歌手やTVタレントを見に政党のキャラバン会場に行くのですから)、特権階級の間の持ち回りでした。しかしインドネシア経済の発展に伴い、富裕層が分厚くなり、都市部を中心にかなりの中間層も育ってきました。一方、物価が上がったせいで、都市部の低所得層や地方の庶民の暮らしは以前よりむしろ苦しくなっているようです。皆が貧しいときには我慢できたのに、他の多くの庶民がよりよい生活をするようになったために、「取り残された」という不満を強く感じる人たちが増えているのです。

今回、その不満をもろにぶつけられた民主党の政治家たちは惨敗を喫することになりそうです。デモやクーデターではなく、選挙で庶民が政治体制をひっくり返すことができる実例となるのです。この「票の重み」は有権者も政治家も、ここまでとは予想していなかったのではないかと思えます。

多分、今回の総選挙で議会の構成が相当変わるでしょうし、7月の大統領選挙もジョコ氏が勝利する可能性が高いでしょう。そして彼らPDIPの政策は「格差是正」を旗印にすることで、見方によっては「人気取りのためのばら撒き」政策が増えるでしょう。そう、ちょうどタイのタクシン政権がやったように。インドネシアでもそうした政策が全国的に行われることに対し、既得権を持つ富裕層や都市部の中間層からの大いなる反発が生まれ、政治的対立が激化する可能性がかなり高いと考えられます。

ここで考えたいのは日本にとっての意味合いです。インドネシアに対し最近、日本をはじめとする先進国や中国・韓国から投資が急増した理由には、同国の人口の多さ(つまり消費者市場の大きさ)もありますが、それと同じくらい同国の政治的安定性が魅力でした。実際、小生がお手伝いした海外進出ケースでも、当初はベトナムだけのはずがインドネシアもターゲットに加わり、途中からはむしろメインになった経緯があります(注)。

しかしどうやらインドネシアの政治的安定は、当面は揺らぐ可能性が高いと見ておいたほうがよさそうです。でもこれは同国が民主主義の成熟化と経済発展を進める中で潜り抜けなければいけない「大人への儀式」なのだろうと小生は思います。

注)ちなみに、今のところ弊社・パスファインダーズが東南アジア進出で特別なサポート(パートナー探しなど)をできるのは、特殊人脈を持つタイ・台湾だけです。ベトナムのホーチミン市とインドの一部もありますが、インドは連邦国みたいなもので、全国統一策は意味ありません。それ以外の国では普通のコンサルサービス(市場調査、進出戦略策定、進出時支援など)を提供しています。

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小型エンターテインメントロボットが日本市場にも登場!

タカラトミーが昨日、興味ある商品を発表しました。エンターテインメントロボット「OMNIBOT」(オムニボット)シリーズの第1弾として、2種類の商品をまずリリースします。6月には2輪ロボット「Hello!MiP」(ハローミップ)を、7月には犬型ロボット「Hello!Zoomer」を、それぞれ発売するとのことです。その値段がなんと各1万5000円(税別)!とても戦略的な価格づけで、もしかすると大ヒットするかも知れません。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1404/07/news121.html

日本は(メーカーもユーザーも多くて)ロボット王国ですが、どちらかというと産業ロボットなど、「役立つロボット」が主流です。最近になってKIROBOのように可愛いタイプも出てきましたが、やはりまだマニア向けといった感じです。それに対し、この「OMNIBOT」は幅広い消費者層をターゲットにした、完全に玩具です。タカラトミーらしくて、いいですね。

「Hello!MiP」のほうは2輪で走行するロボット。ジェスチャーセンサーを内蔵し、直接触らずに手のひらをかざすことで操作ができます。「倒立振り子センサー」の搭載により、2輪で安定的に自立できる上、物を持たせても自らバランスを取って立ち続けることができます。発想は「ムラタ君」と平賀源内のからくり人形(茶椀を運ぶ)でしょうが、個人で買える値段で実現したのは凄いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GIniJkGPwjo

Hello!Zoomerは小型の犬型ロボット。30以上の日本語と15以上の英語を理解し、液晶ディスプレイの目で気持ちを表現するということです。赤外線センサーで動きをとらえ、前を歩く人の後をついて行ったり、ボールを追いかけたりするということで、完全に愛玩用です。
http://www.youtube.com/watch?v=Zw2KbWDmf08
http://www.amazon.com/Zoom-Pets-6020163-Zoomer/product-reviews/B00DQ9RM2Q

カナダのSpinMasterが昨年発売し、米国で42万個を販売したということですから、タカラトミーが開発したわけではないのでしょうね(もしかすると製造社はインドの会社かも知れません)。

これはまさにSONYのAIBOの再来です。ちょっと欲しい気になってきました。Amazon USAだと市場価格は半値の8000円程度のようです。ちなみに似たような「Teksta」という犬型ロボットもあるのですね。
http://www.youtube.com/watch?v=jYlhRyhV10I
http://www.amazon.com/Teksta-68369-Robotic-Puppy-Blue/dp/B00CO31TMY/ref=sr_1_1?s=toys-and-games&ie=UTF8&qid=1396927674&sr=1-1&keywords=Teksta

そういえば昔、AIBOの担当者の方にお会いして、ある使い方とマーケティング展開について提案し、興味を持ってもらいながら、その直後にロボット事業がSONY社内のリストラに遭ってしまい、悔しい思いをしたことを思い出しました。ロボット事業は本当にSONYらしいビジネスだったのです。あのあともずっとSONYがロボット事業を続けていれば、と今でも残念です。

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道路インフラを考える(3)ガラパゴス化したインフラ輸出は無理

官民こぞってのインフラ輸出熱にもかかわらず、今の日本の道路インフラ・パッケージを買ってくれる国はない。冷静に各国のニーズと受け入れ態勢を見極め、必要な機能をコンパクトにまとめる「再パッケージ化」の努力が不可欠。


前回の記事では、次のことを論じました。道路インフラの維持管理コストの抑制が不可欠なこと、そのための手段として現実的なものは、地域住民によるボランティア活動の取り込みと、ICT(情報通信技術)による徹底した省力化・効率化である、ということです。ただし民間各社が提供する測定・診断技術やシステムをどう連携させると本当に効果的なのかをきちんと検証してから推進すべきと提案しました。

その際、道路インフラ維持管理分野で有効な方法を開発できれば海外へのインフラ輸出のキーパーツとなる可能性も十分あると述べました。それは即ち、今のままではインフラ輸出の目玉にはならないということでもあります。今の日本の道路インフラは日本の特殊な道路管理事情に合わせ過ぎているため「ガラパゴス化」しており、海外では無駄な部分が多過ぎるからです。

日本の道路インフラの「ガラパゴス化」は、道路管理者の役割が海外のそれと全く違っていることからきています。

日本での高速道路の建設は、各々の道路事業者が計画・設計から実施まで包括的に行っており、道路建設業者や設備・機器ベンダは彼らの意向を汲んで最適な施設を組み上げています。そして道路事業者が自ら維持管理を行います。そのためそれぞれの道路事業者毎に最適化した「道路システム」(道路施設と運用管理システムを総称して仮にこう呼びます)が出来上がっています。国道については国交省地方整備局が同様の役割を果たし、県道については県がそれにならっています(それに対し、一般道を管轄する市町村ではほぼ無管理状態であることは、前回記事で指摘した通りです)。

一方、海外では道路の設計・調達業務は、道路管理者ではなく、公共建設を専門とする設計事務所(とはいえ大企業です)やエンジニアリング会社が主に行います。欧米では生涯コストを考えて「極力、標準規格品を使うように」と指定することが多いのに対し、新興国では建設コストが安ければOK、といった違いはあれど、道路管理者が細かいところまで自ら行うことはまずありません。その分だけ、外部専門家の、地元事情に合わせた企画・設計能力や、標準的な規格品を使って他社(下請けとは限りません)と協業・調整する能力も発達しているのです。

日本の事情に戻りますと、高速道路に代表される有料道路では、道路・橋梁・トンネルなどの骨格となる施設が少々過剰なほど高品質に整備されているだけでなく、状況把握のためのセンサーや監視カメラ、情報伝達のための道路標識・電子表示板、それらを統括制御する巨大管理センター設備、豪華なサービスエリア・パーキングエリアなど、欧米水準からみても至れり尽くせりの付帯施設がそれぞれの道路事業者の仕様に合わせて揃っています。その結果、そのまま海外に輸出しようとしても、標準化不足で過剰仕様ゆえ割高過ぎるため、各ベンダも道路事業者も苦戦が続いています。高速道路を除いた国道・県道・一般道も、先に挙げた付帯設備の一部が不要になる代わりに信号や標識が過剰気味に装備されるせいもあり、その建設・維持コストは巨額となりがちです。

ここまでの「ガラパゴス化」事情の説明を聞かれて、「どこかで聞いた話だな」と感じた方も多いでしょう。そう、通信業界とよく似ています。通信キャリア側が独自仕様をあれこれ企画・指定してメーカーに作らせた携帯端末は、高機能ではありますがあまりに特殊・過剰仕様で、海外に輸出しようとしても価格的に全然太刀打ちできなかった。いわゆる「ガラパゴス・ケータイ」です。同じ構造が日本の道路インフラの輸出を困難ならしめているのです。

日本の道路建設コストは欧米の2倍以上とされます。一時期、財務省や民間から「日本の道路事業費は世界的にみると異常に高く、数倍する」といった主張が相次ぎました。それに対し国土交通省は、日本の道路は地震・治水対策が必要なのと橋やトンネルが多いためにコスト高になっているのであって、同じ仕様なら(人件費や土地収用費を除く)純粋な建設コストの内外価格差はほとんど無いと主張しています。でも雑誌SAPIOによれば、一般国道(4車線)でも1m当たり300万~400万円もかかっているということですから、建設方法自体と装備施設に割高要因があることは否めません。欧米諸国に対してですら割高なのですから、新興国や発展途上国に対してはお話にならないレベルだということです。

小生はある仕事で高速道路事業者の方にインタビューしたことがあります。その方も、日本の道路システムを海外に輸出するにはこのコスト差を大幅に縮める努力が不可欠であること、その要因の一つが過剰設備・過剰仕様(特に最先端技術を詰め込むこと)であることを認めておられました。

また、ある東南アジア主要国の交通行政担当官もやはり、日本の道路インフラ輸出の最大の壁は割高な建設費であり、その原因は過剰設備・過剰仕様であると指摘していました(中国の道路建設会社の提案では数分の一になると聞かされているそうですが、これはこれでどこまで信用できるのか不安もあるそうです)。また、高機能な日本の装備を政府援助で与えられても、保守する技術者の確保や補修部品の調達が難しいため、故障や破損が起きるとそのまま放置されて「宝の持ち腐れ」になってしまう途上国も少なくないと指摘する国際援助関係者もいました。

ここから明らかなのは、日本の道路事情に最適化した仕様・装備の「道路システム」パッケージを持ち込むのではなく、相手国のニーズや受け入れ態勢に合うように仕様と装備内容を見直し、枯れた技術と現地で調達できる部材や部品で再構成、再パッケージしないといけないという、極めて当たり前の努力が必要だということです。これは道路に限る話ではなく、電機製品などその他の製品輸出で繰り返し指摘されてきたことと通じます。

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蘇った里海のノウハウを世界に拡げる

3月23日(日)に放送されたNHKスペシャル『里海 SATOUMI 瀬戸内海』は、約1年かけて制作された番組。それだけに重厚な内容で、非常に感銘すると同時に、ヒトの責任を突きつけられる思いがしました。

瀬戸内海の環境がここ数年、劇的に良くなってきているというのは何度か聞いたことがあります。高度経済成長期には赤潮が頻発する「瀕死の海」であったはず。なぜ蘇ることができたのか。自然を取り戻すための、地元の人たちと研究者の長い長い闘い、そして二度と失ってはいけない豊潤な自然のありがたさを番組は伝えてくれました。

地元の人たちは瀬戸内海を「里海」と呼ぶそうです。ちょうど田舎の人たちが地元の山々を「里山」と呼んで代々育ててきたように。その「里海」は、狂乱の高度経済成長期に人間の欲望の犠牲になりました。工場廃水や生活排水を十分濾過しないまま大量に垂れ流し続け、海の自然浄化機能を超えてしまったため、富栄養化物質が原因となって大発生したプランクトンによる赤潮が大発生したのです。魚たちが酸素不足で死んでしまう、「瀕死の海」となったのです。

その復活の鍵はカキでした。プランクトンをエサとする養殖カキの浄化作用により、劇的に環境が良くなったのです。1個につき風呂桶1杯分という浄化能力を持つというカキが、瀬戸内海全域に65億個もあるそうです。カキ養殖筏の中には、カキにくっついた海藻やイソギンチャク、ホヤなどで、筏の下はまるでお花畑。「海のゆりかご」アマモ場の生き物たちの競演。絶滅寸前から蘇った「生きている化石」カブトガニ。イルカの仲間スナメリの貴重な映像。四季折々の瀬戸内海の映像美を堪能しました。

しかしその復活の過程は容易ではありませんでした。岡山県日生(ひなせ)の漁師たちは、まず魚の繁殖地にもなるアマモを増やそうとタネを撒き続けました。しかしアマモはすぐに枯れ、なかなか育たなかったといいます。海水が濁っているため、十分な光合成ができなかったからです。

そこでカキの浄化作用によって水をきれいにし、アマモの成長を促そうと、カキ筏(いかだ)をアマモのタネを撒いたポイントへ移動したのです。すると水が浄化されてアマモも繁殖、やがてその場所に魚が生息するようになり、そこでの漁獲量も増えていった•••という循環ができていったのです。これを何十年と続けてきたからこその海の復活なのです。日生の漁師のことばが印象に残りました。「あきらめたらいかんかもしれんなあ、なんにつけても」。

人も自然の一部と考え、ヒトが海のお世話をしながら命のサイクルを活性化させる(地域によっては近くの森も含む例もあったはずです)「里海」の考え方が、海の力を回復させたのです。この日本独特のやり方は今、“SATOUMI”として世界に注目されているそうです。それまで世界では「汚染された海を元に戻すのは人間の関与をなくすこと」という考えが主流だったのです。人間と自然を対立的に考える西洋科学主義にとらわれていたためでしょうね。今やこの日本式“SATOUMI”こそが汚染や海洋資源の枯渇に悩む海の解決策として、世界中で試行・導入が始まっているのです。日本人としてちょっと誇らしい気がしました。

自然とどう付き合っていくべきか。傲慢になりがちな現代の科学社会、そして目先の利益を追うグローバル経済に対し、人間がなすべきこと、やってはいけないことを突きつけているように思えました。

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エネルギー転換に悪戦苦闘する中国

4月2日(水)に再放送されたNHKのドキュメンタリーWAVEは“PM2.5は克服できるか~エネルギー転換をめざす中国~”と題して、公害への対処とエネルギーの転換に苦しむ中国の姿を浮き彫りにするものでした。最近はこの類が増えましたね。

中国で深刻化する大気汚染。体に悪影響を及ぼす超微粒子、PM2.5は日本にも流入してくるため非常に迷惑がられており、よく報道されるようになりました。

そのPM2.5の濃度がこの冬、中国各地で「計測不可能」となるほど高くなっています。各省政府は「清潔空気行動計画」などを発表、2017年にPM2.5の濃度を20%下げる目標を掲げました。

最大の原因は石炭ボイラー。ある自治体(上海だったと思います)は、市内のあらゆる中小の石炭ボイラーを検査し、排出基準をクリアできないものは来年までに廃止させると発表、電気ボイラーなどへの転換を急速に推し進めています。

その実力行使の様子を映していましたが、店で使っている石炭かまどを止め、取り出し、水を掛けて使えなくしてしまう、といった荒っぽいやり方でした。さすが中国、市民の権利などはありません。

しかし、高価な設備投資と維持費のアップが必要な「エネルギー転換」は、今まで安価な石炭に依存してきた飲食店や工場の経営を揺さぶるものです。同じ熱量を得るのに今までの2~3倍の燃料コストが掛るのですから。中小企業の多くはそのコスト上昇分を価格転嫁できず、利益圧迫となり、なかには廃業を余儀なくされるケースも出てきます。

当然、都会では靴製造やゴム手袋製造など、人手と多量の燃料を必要とする工場は成り立たなくなってきます。すると雇用問題や製品の価格優位性の喪失など、深刻な影響が出るのです。

番組ではある靴の製造工場の経営者親子の葛藤が描かれていました。会長である父親は、オイル循環による新方式に転換するべく多額の投資をしようとします。しかし社長である息子は、薄い利益の事業でそんな高額投資はリスキー過ぎる、むしろ事業を変えるべきと全く違う発想です。そして2人は合意できないまま、新方式のオイルヒーターが導入されますが、オイル漏れを起こし、相当な損失を被ります。

どの国でも「エネルギー転換」にはこのような葛藤が伴うのが産業史の真実なのです。今、中国は安い人件費と燃料費という武器を失いつつあり、急速に「世界の工場」という看板を下さざるを得なくなってきているのです。

一部の日本人には「ざまぁみろ」的な言い方をする人たちもいますが、これは日本も通ってきた道。彼らの苦しみを和らげる方法を日本人が教えることができないものかと思います。

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道路インフラを考える(2)インフラ維持に住民とICTを活用せよ

不可欠なのは道路インフラの維持管理コストの抑制であり、そのために必要なのは住民ボランティアと、優先度づけを判断するための点検の自動化・効率化。


前回、以下のことを論じました。長きにわたって建設ばかりに目が向いていた道路・橋梁・トンネルなどの道路インフラはこれから本格的な老朽化と改修の時期を迎えること、人手不足等から道路インフラの維持管理コストが急上昇していること、一般道路に対し管理責任のある地方自治体に道路専門家が少なく実質的には放置されていることなどです。結論として、使えない道路が急増する危険を回避するには、これからの道路予算は新設よりも維持管理に優先的に振り向けるべきと断じました。

しかし実はそれだけでは十分ではありません。あまりに長大な距離の道路を日本全国に張り巡らせたせいで、このままでは道路インフラの維持管理に掛る手間とコストが膨大になり過ぎてしまうことが明白なのです。政府もこのことには気づいており、数年前から対策を検討してきております。
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h23/hakusho/h24/html/n1216000.html (国土交通白書2012)
不可欠なのは道路インフラの維持管理コストの抑制であり、その具体化方法の検討・開発です。

難しいながらも本来最も効果が高いのは、維持管理すべき対象を絞ることです。人口縮小に合わせて地域の居住区の集約を図り、使わなくて済む道路は閉鎖するのです。民間ならば当たり前の「リストラ策」ですが、公共の施設に関しては、よほど胆力のある政治家がいるか、自治体が破たんして他に選択肢がないか、いずれにせよおいそれと進む話ではありません。市民○○センターなどという地域の公共の建物であれば、維持する予算がないからと開き直って閉鎖する選択肢もあるようですが、こと道路・橋に関しては生活インフラですから、その先に住んでいる人がいる限り、閉鎖するのは最後の手段でしょう。

こうした議論でよく出るのは、「じゃあ民間委託してみれば」という意見です。維持管理の具体的諸業務の大半は既に民間の会社に委託されて実施されているので、ここで意味するのは「包括的民間委託」、すなわち道路の管理をまるごと民間に任せてインフラ維持をしてもらうということです。でもこれは道路を有料化しそこから上がる収益で賄うということですから、それができる区間は日本全国でも非常に限られており、大半の一般道路には当てはめることができません。

となると現実的な手段は限られてきて、それは地域住民によるボランティア活動と、ICT(情報通信技術)による徹底した省力化・効率化ぐらいしかないと小生は考えます。

前者は、他の公共インフラ(地域の寄り合い所や鉄道駅舎、公園など)の維持管理に関して既に一部の自治体で実施されている手段で、ある程度の有効性が認められています。掃除や簡単な修理など、できることは地域住民が自ら行うというものです。老朽化が進んで壊れかけているとか標識などが破損しているなど、問題がある外観部分をスマホで撮った画像データを役所に知らせてくれるだけでも大いに助かるわけです。ボストンでは”Citizens Connect”の名称で2009年から導入されている仕組みですが、その有用性に惹かれ、今やマサチューセッツ州の他の市・町に拡がっているそうです。
http://www.cityofboston.gov/doit/apps/citizensconnect.asp

もう一つはより専門的な対策です。優先づけを判断するためには、道路や橋梁などの施設の状況を日常的および定期的に点検する必要があります。その方法は国交省などにより定められており、従来は主に目視・打診に依存していましたが、これをよりハイテク化することです。

既に路面状態を保守車両に搭載した専用機器で撮影し、その画像データを解析するシステムは、道路建設や測量関係の民間業者各社から出されています。走行しながら道路を打診する専用車もあれば、道路において陥没の恐れがある箇所を、内部を破壊することなく診断する技術も進歩しており、さすがハイテクの国・ニッポンと感心します。

特に崩落時に引き起こされる問題のインパクトが大きい、橋・トンネルの老朽化を早期に把握できる手法の開発・確立が早急に求められています(日本では笹子トンネルでのパネル崩落事故の衝撃が大きかったようです)。例えば省電力型のセンサーを橋梁の幾つもの個所に設置することで老朽化の進行を自動的にモニタリングする仕組みや、非破壊で内部構造を診断できる中性子など光量子技術の研究や実証実験が進んでいます。そしてこれらにより計測されたデータを収集・解析するのにも民間のICT技術への期待が大きいところです。

しかしいずれも難点があります。まず画像データを収集するために保守車両を日常的に走らせる手間やガソリン代がばかになりません。範囲が限定される高速道路には有効ですが、一般道路だと対象が広過ぎて効率的ではありません。そもそもそんな高価な専用の測定・診断機器やシミュレーション・管理システムを導入する余裕は普通の地方自治体にはありません。

むしろ先に触れた、住民からの通報を活発化する、通報があった箇所をより効率的に突き止める、といった部分での工夫を組み合わせることが求められそうです。その上で、入手可能な範囲でハイテクをうまく活用することです。

最近では、保守車両だけでなく一般車両のGPSデータと関連させた走行データ(プローブ・データ)を大量に集め、そのビッグ・データを解析することで、特定地点の路面に問題があることを推測する実証実験も日本その他で行われています。もっと簡易的にスマホを持つ市民の協力を得て、一定期間同様の実証実験で効果を上げた例も世界にはあります。車メーカーやICTベンダによる、こうした技術開発との組み合わせも期待されるところです。

問題スポット領域がある程度絞り込まれるだけでも、その辺りを先の精密な機器で念入りに測定・診断すれば、効率は各段に上がります。先に挙げた専用測定・診断機器を(所有するのではなく)一定期間レンタルすることも選択肢に入るでしょう。

課題としては、こうした民間各社が独自に開発している測定・診断技術やシステムは単独では費用対効果が分かりにくく、個別導入ではインフラ維持管理業務の全体効率向上への貢献はあまり大きくないと懸念されることです。各社の技術・システムをうまく組み合わせ、それらを連携的に運用する基盤的仕組みが望まれます。できれば色々な市町村および都道府県がまたがって使えるような共通基盤ならば、割安になるのではないかと期待されます。

そのためにはどんな技術をどう連携させると効果的なのかを、ベンダが集まって検討することが求められます。もし自主的に集まるのが進まないのなら、役所や中立的な機関がベンダ各社に声を掛け、全国で条件の異なる地域を選んで集中的に実証実験することが必要です。その際には先に述べた住民ボランティアの参加も計画に織り込んで欲しいものです。

この道路インフラ維持管理分野で有効な方法を開発できれば、国内のインフラ維持コストの抑制になるだけではなく、先進国および一部新興国へのインフラ輸出のキーパーツとなる可能性も十分あります。日本を元気にする、重要な処方箋の一つだと小生は考えています。

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消費税増税に右往左往させられる企業、先を見つめる企業

3月31日(月)に放送されたNHK クローズアップ現代は『消費税8%を乗り越えるには?』。4月から8%に引き上げられた消費増税の荒波を乗り越えようとする企業の舞台裏に迫るものでした。

17年ぶりの消費税増税が行われる日本。今回の増税は緩やかに回復する日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。野村総研の試算では、増税後の4月から6月には、実質のGDPが平均で年率4.5%のマイナスになると予測。景気の落ち込みは避けられないと見ています。日用品だけど必需でない嗜好品(チョコレート、アイス、スパゲッティのソースなど)が最も影響を受けるということでした。

小売りの現場では増税による消費の冷え込みを防ごうと、価格戦略を模索しています。消費者の安値志向が強まると見て、価格据え置きや値下げに踏み切るところが相次いでいます。番組ではハニーズがそうした代表として採り上げられていました。

新聞報道などでは、これまで280円で価格が横並びになっていた牛丼業界の3社の動きが注目されていました。すなわち、(最近の価格競争で利益が減ってしまい)一挙に価格転嫁を進めたい吉野家は白ワインやタマネギの量を増やし、300円に上げました。これを機にシェア獲得につなげたい(懲りない)すき家は、同じ商品で敢えて270円に下げました。松屋はその中間で290円だそうです(なんと中途半端な!)。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20140331/390666/
やはり横並びより、こうした考えの違いが価格に現れているほうが、小生は好きです。

そんな中で、セブン&アイ・ホールディングスは、素材や製法にこだわった付加価値の高い自社ブランド商品を大量に投入しました。過去にデフレを引き起こした価格競争からは一線を画す作戦で、今回は臨んでいるのです。これは注目すべき動きです。正直、同社の会長の独善的な発言には反発を覚えることもありますが、こうした「我が道を行く」姿勢には拍手を送りたいと思います。

一方、増税後に販売を取り巻く状況が厳しくなることを見据えて、製品のラインナップを削減して売れ筋商品に集中するなど、高収益体質へと改善を進める会社も出ています。番組ではその代表としてエステーを採り上げていました。従来のラインナップを4割カットということで、相当な覚悟で臨んでいることが伺えます。これもまた正しい方策のはずです。

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