社員を信じ、その潜在力を引き出すのが企業経営者としての真の力

8月28日に放送された「カンブリア宮殿」はダイキン工業の井上礼之会長を招いての「どん底から世界トップへ!爆発する人材力の秘密」でした。社長就任時に赤字に陥っていた年商 3700億円の大阪のメーカーを20年で売上高1兆7800億円の世界企業へと変貌させたカリスマ経営者ですが、やり手というより、徹底的に人間のポテンシャルを信ずる真のリーダーだという感を持ちました。

ダイキンは元々、業務用エアコンで高いシェアを誇ってきた会社です。しかしバブル崩壊後、多角化経営が行き詰まり、赤字に転落。そのさなかの94年、創業家からバトンを渡され社長に就任したのが、井上氏でした。実はそれまで本業である空調事業を経験していなかったというから驚きです。

井上氏は、大胆な戦略を次々と実行、数々の大逆転伝説を残してきました。まず多角化部門からの撤退を決断、空調事業へ資源を集中させる戦略をとりました。そしてアナリストから撤退を推奨されていた、家庭用ルームエアコン事業に注力することを決断。そのため、当時の技術部長から提案された①換気機能、②空気清浄機能を却下し、③無給水加湿機能(冬に水をつぎ足さなくとも加湿し続けられる機能)を開発することを指示し(しかも極端に短期間での開発を強く要求したのです)、エアコン「うるるとさらら」を大ヒットさせ、一挙にシェアトップへ駆け上がりました。「圧倒的差別化でないと意味がない」というのが選択の理由でした。もうこのあたり、ドラマ「ルーズベルト・ゲーム」のようです。

さらに冷房文化がほとんどなかった欧州での急拡大。大勢の人が死んだ欧州での熱波の年に、業務用として立ち上げを進めていた欧州工場を、井上氏の鶴の一声で、家庭用に急遽切り替え大増産したのです。これで一挙に欧州での主要メーカーに踊り出ました。

そして中国市場での奇跡的な成長。大市場にひしめく大メーカーたちの中で最大の格力と業務提携したのです。中国市場での販路を提供してもらう代わりに、命綱と見られていたインバーター技術を提供したのです(この時、小生はダイキンの株式を買ったので、よく覚えています)。危惧された中核技術流出にはならず、一世代遅れていながらも他の中国メーカーの持たないインバーター技術を入手できた格力はインバーター内蔵エアコンに注力し、バンバン宣伝してくれ、お陰で中国市場でもインバーター内蔵エアコンが浸透しました。結果として最高のインバーター技術を持つ高品質メーカーとしてダイキンのブランドが一挙に認知され、中国市場でもメジャーブランドとなったのです。

本当に打つ手打つ手が当たり、しかもいずれも大胆な戦略です。しかし井上氏は「一流の戦略&二流の実行力」よりも「二流の戦略&一流の実行力」のほうがいいと断言します。その成功を支えてきたのは、高いモチベーションで執念深く実行できる社員たちあってこそと強調します。

同社の人材を作る秘密は、「厳しい困難を、信頼して任せる」文化にあると言います。例えば、社員のほとんどが障害者である子会社「サンライズ摂津」も特別扱いせず、営業からコストダウンまで、厳しい責任を社員たちに任せきることで、高いモチベーションと黒字経営という結果を生み出しています。それは海外事業も同じ。日本人社員でなく、現地の社員を信じ、任せることでモチベーションを引き出し、高い成長を実現してきたのです(そのお陰で今や押しも押されもしない一級のグローバル企業です)。

そんな人を育てる材術は、例えば毎年恒例の盆踊り大会でも発揮されます。地元の一般客へも解放し、2万5千人が訪れるという大会をゼロから企画・運営するのは、入社2、3年目の若い社員たち。彼らは仕事を実質的に免除され、巨大な盆踊り大会の運営を任され、困難に立ち向かう力を養うのです。

そんなダイキンの企業としての姿勢を、社員たちに伝える最初の場が、入社した直後に行われる「鳥取合宿」です。5泊6日で行うこの集団生活は、井上氏が始めて以来40年以上続いてきたものです。朝の運動、集団ディスカッション、砂浜でのキャンプファイヤー。様々な活動の中で新入社員たちの心を動かすのは、先輩社員たちや役員たちが全身全霊で自分たちを歓迎し、受け入れようとする姿です。

「我々の会社は、あなたたちの人生や思いを絶対に受けとめる」「会社と社員はフェアに選び合う関係」。そんな企業としての決意を伝えられる新入社員は「いい会社に入った」と実感できるでしょう。そして大切に見守り育てられている実感を持ちながら、育ち具合に応じてチャレンジの機会を与えられ、思い切って力を奮ってみる。昭和のニッポン企業のよい家族主義的部分と現代の市民感覚を併せ持ったバランス感覚のある会社だと感じました。
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働く人をアシストするニッポンの技術は世界に売れる

8月26日に放送された「ガイアの夜明け」は小生の好きなテーマ、題して「過酷な現場を"ラク"にする!驚きの最新技術」でした。最近、3Kといわれた現場では人手不足と高齢化が急速に進んでいます。例えば建設業では29歳以下の働き手が1割まで低下しているそうです。疲弊する現場では、事故や労働災害が頻発しかねません。

大阪にある辰巳商会は、コンテナ船の荷揚げから輸送まで手がけている海運・港湾運送会社です。最近、熟練の作業員から「体がきつい」と悲鳴が上がるようになったそうです。中国や東南アジアから送られてくるコンテナの荷物は、一つひとつ人手でランダムに積み込まれているため、荷下ろしも手作業に頼らざるを得ず、高齢の作業員にとって足腰への負担が大きくなっていたのです。「このままベテランがケガでもして離職が増えたら、現場が立ち行かなくなる」と、会社は不安を抱えていました。

彼らが相談を持ちかけたのが、奈良市の「アクティブリンク」というベンチャー企業です。パナソニックでモーターを研究していた藤本氏が、2003年に社内ベンチャーとして立ち上げた会社です。開発しているのは、人体に装着して筋力をアシストする「パワードスーツ」と呼ばれる装置。これまでに幾つもの試作品を作ってきました。そして今回、辰巳商会からのオーダーを受けて開発するのは、下半身の筋力をアシストする日本初の汎用型パワードスーツです。こういう機械はいかに構造をシンプル化できるか、そしてモーターを少なく、小型化できるかが勝負です。

6月に1号機が完成し、現場でベテラン作業員に試着してもらったところ、「重い」「着心地が悪い」「体の動きに連動しない」と散々の評価を受けてしまいました。すぐに部品一点一点から見直す作業になりました。改良型の2号機の納期は、真夏の8月下旬。今回の現場の人たちの反応は非常に好評で、過酷な現場に受け入れてもらえそうです。台数がまとまれば生産コストも下がり、量産も視野に入ってくるはずです。近頃は介護分野向けのパワースーツが注目されていますが、建設・物流業でも大いにニーズがあります。

もう一つの話題は、よりシンプルで効果的な、作業着の改善です。建設現場では防災上、長袖長ズボンにヘルメットを着用して作業を行う必要があります。当然、猛暑での作業は過酷を極めます。それが嫌われて若い人が集まらない側面すらあります。

そんな現場から注目を集める商品があります。作業着の左右に直径10センチほどのファンが取りつけられ、外気を服の中で循環させることで、気化熱で体を冷やすという「空調服」です。元ソニーの技術者だった市ヶ谷弘司さん(66歳)が立ち上げた、(株)空調服がそのメーカーです。2004年に販売を開始したものの、当初は赤字続きだったそうです。しかし改良を重ねることで、市場に少しずつ受け入れられ、ついに昨年は25万着を売り上げる大ヒット。実にシンプルな構造で電池も長寿命化。今年もよく売れているようです。

そして市ヶ谷さんが次に挑むのが米国市場への進出です。ワインで有名なカリフォルニアのワイナリーから、ぶどう園で働く人たちのために空調服を使えないかと問い合わせが来ていたのです。現地に空調服を持ち込み、作業員とオーナーに試してもらったところ、即決で10着売れました。これは効果が実感されたのですね。

是非、このあと北米、欧州、豪州といった先進国で、労働者に対するケアが必要な市場を中心に攻めていって欲しいものです。経営者が労働者を大事にしない上に、真似をされる懸念が強いので、中国・韓国は最後でいいでしょう。

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ニッポンの「冷やす」技術が世界に羽ばたく!

8月12日に放送されていた「ガイアの夜明け」を録画で観ました。題して「ニッポンの"キンキン"を世界へ!」。ニッポンの技術、こだわりがありますね。

去年1年間で3億杯以上を販売したセブン-イレブン・ジャパンのセルフ式ドリップコーヒー。そのアイスコーヒーに使われているのが、小久保製氷冷蔵の氷、「ロックアイス」です。〝溶けにくい氷〟とも呼ばれ、透明で、冷たさを長持ちできるのが特徴だといいます。

案内人の俳優・江口洋介が工場を訪ねると、氷を溶けにくくするための凄い技術が紹介されました。水槽の中に水泡を吹きこみながら周囲から凍らせ、ミネラルなど雑分を含む水が中心部に残るのを一挙に捨てる。すると非常にきれいな純水の氷の槽だけが残る。これを砕いて出荷するのです。それを大量に作るための工場設備がなかなか凄いものでした。

その小久保製氷冷蔵は今、タイで自社工場を稼働させています。タイでは、ビールに氷を入れて飲む習慣があるのですが、水道水を凍らしただけの現地製の氷の評判は悪いものです。同社はその市場に「ロックアイス」を投入し、〝透明で溶けにくいニッポンの氷〟の販売を拡大していました。価格は現地の氷よりも約2倍と高めですので、大衆飲食店では苦戦しているようですが、高級店を中心に少しずつ浸透しているようです。

もうひとつの製品は、2年前にキリンが発売したビール「フローズン<生>」。グラスに注いだ一番搾りの上に、マイナス5度前後で凍らせたシャーベット状の泡を乗せた、世界でも類を見ないタイプのビールです。実際、特許を取得しているので、競合メーカーからは同類の商品は出せていません。凍っても、泡がキメ細かく清涼感もあるとの評価から、日本人好みの、まさに〝キンキンに冷えたビール〟として、都内のレストランなどで人気急上昇中のようです。

現在、中国・上海、台湾、香港、シンガポールなど海外市場でも、徐々に投入を始めているそうです。しかしハードルは低くありません。中国系の人には、「体を冷やしたら体調に悪いから、冷えた飲み物は好まない」という考えが浸透しています。漢方の教えですね。実際、香港の路地裏の小さな飲食店を歩いてみると、ビールを置く冷蔵庫のスペースはほとんどなく、氷を入れたバケツに入れる程度の冷やし方です。ビールは「多少ぬるくても良い」という声も多く聞かれます(英国の支配が長かったせいもあるでしょう)。

キリンの営業マンは、「とにかく一度飲んでもらえれば、その良さが分かってもらえるはず」と、飲食店店主などに試飲を働きかけているようです。ここまで観て、小生はすぐに「若い世代向けにしゃれた店を中心に売り込めば売れるな」と思いました。

実際、キリンの営業の人たちは試行錯誤の結果、そうした方向に向かっているようです。若者相手のレストラン経営者などをマカオに招待して、現地のしゃれたレストランで試飲してもらっているようです。極端に冷たくなく、「ちょうどいい冷たさだ」と好感触のようでした。こういうのは固定観念の強い旧世代に働き掛けても無駄で、新しいもの好きの人たちに向けてマーケティングすべきなのです。

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創業支援セミナー再び

もう参加5年目くらいになる浦安商工会議所主催の創業支援セミナーですが、その第1日めの「経営戦略・マーケティング ~ワークショップで学ぶ」というのを今日実施しました。

到着直前に降り出した小雨で涼しくなった浦安に到着後、昼食を取り、会場に入りました。そこには今までで一番少ない14名の受講者が待っていました。景気がよくなったのに不思議でしたが、創業せずに再就職しちゃうのかも知れませんね。

小生のMS Surfaceでは会場に用意されているプロジェクタとつなげないので、浦安商工会議所所有のPCでつないだのですが、映像が表示されません。どうしても駄目なのでPCを交換してもらい、セットアップし直してもらいました。でも交換してもらったPCでも映像がチカチカして見づらく(キーボードが壊れている?)、開始時間間際になっても直らず、再交換してもらいました。それで最初の15~20分は映像なしで話しました(やりにくかった!)。

最初にトラブルで躓きましたが、その後はなんとか…。それにしても「一人1分で、グループ内で自分のビジネスを説明して」と念押ししたのに、幾つかのグループでは完了しません。やっぱりビジネスに慣れていない人が多いようでした。

その後もワークショップでは時間内に作業を完成できないグループが続出しましたが、元々時間が非常に限られているので、毎度こんなものです。でもワークショップで完成することが目的ではありません。あくまで「練習」ですから、これで問題なしなのです。

参加者が考えているのは地味なスモールビジネスが大半ですので、「愛顧化のマーケティング」というのをこのセミナーではお伝えしています。考え方は伝わったでしょうかね?

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世界の詐欺師がネットに乗ってやってくる

国内だと詐欺の主な狙いは高齢者だけど、ネット上では事情は別。現役バリバリ?LinkedInやってる?英語得意?ハイ、あなたも狙われています。


以前、本欄のコラムで、SNS、特にLinkedInでの詐欺話について幾つか例を挙げて警告しました。
『実名のはずのSNSにも詐欺師は出没する』
http://www.insightnow.jp/article/8019

実はその後も、似た様な怪しい「お誘い」がLinkedIn経由で入ってきています。しかもこの半年余り、色々と手の込んだパターンが生まれており、ネタとしてなかなか面白いのと、他の人が万が一にも引っ掛からないように警鐘を鳴らす意味で、続編としてお伝えしたいと思います。

1つの典型的パターンは、こちらの興味または同情を引くストーリーを提示してくることです。従来よくあったのは、「(アフリカの)○○国の王族の一員だけど、クーデターで追われてしまい国外亡命中なので、隠し資産を引き出すために第三国であるあなたの口座を経由させて欲しい」というものでした。でもこれだと同情はされないし、ちょっと危険な感じがしますよね。そこで「力になってあげたい」と思わせるストーリーを懸命に色々と考えてくるのです。

小生が出遭った実例の一つでは、元ハーバード大研究員で台湾在住と称する米国人がコンタクトしてきたので、「承認」をして詳しいメッセージを受け取ることになりました。「(台湾の有力政治家であったが今は失脚している)T氏の側近をしているが、彼の助けになってもらえないだろうか」というのです。いわく「T氏は今、政敵の謀略により有罪判決を受けて収監され、しかも資産凍結されて身動きができない。司法取引し国外亡命するために某外国銀行にある匿名名義の資産を第三国経由で受け取りたい。ついてはその経由先になってくれないだろうか?謝礼はもちろん十分出すし、迷惑は掛けない。親日家であるT氏を助けて欲しい」という趣旨でした。

この背景事情は客観的事実に即しているようでしたが、やはり本質的にはよくある詐欺話と同類です。そもそも台湾好きとはいえ、なぜ自分なのか、疑問が湧きました。そこで、そのあたりに通じている台湾の友人に「こんな話があるけど、どう思う?」と尋ねてみました。すると、「確かにT氏は収監されており、その国内・海外資産は凍結されている。でも政権側が許さないので司法取引はあり得ないし、仮にそうした依頼をするなら海外にいる親族か、その友人の口座を経由させる」という返事でした。なるほど、では、この話は口座情報等を引き出す詐欺の一種か、またはマネーロンダリングに一枚咬ませるつもりだな、と納得した次第です。

もう一つのパターンは(前回も少し触れましたが)、「この名字の人をようやく見つけ出した。実はあなたと同性の外国人資産家が、当銀行に巨額の資産を預けたまま死亡した」というパターンです。身寄りがないので、このままでは国家に没収されてしまう、というのはそれまでと同じです。でも今回は、「国家に没収されてしまう前に銀行の幹部たちが山分けしてしまう」というのがありました(実際あるかも知れないな、と思わせます)。「その前に国外に移したいので一時的受取人になって欲しい。数億ドルの資産は山分けしよう」という話でした。この類の誘いを送ってくるのは大抵、自称・銀行家(しかもプライベートバンキング部門の幹部など)です。

このパターンで進化しているのは、この銀行家のプロファイルやネットワーク先がしっかりしていることです。所属するという中東やら欧州の銀行のホームページでチェックすると(相手の誘導に乗らないよう、検索して辿り着いています)、LinkedInに表示されている当人の顔と同じ写真がOur management teamとかいうページに載っており、実在の人物と分かります。

「あれ、では本当にこんなウマイ話があるのかな」と思う人もいるかも知れません。でもうっかり乗ってはいけません。これ多分、その後に口座番号やメールアドレスなどの個人情報を盗み出すための誘導の可能性がまず高いですね。仮に本当にご自分の銀行口座を使わせることになったら、立派な国際マネーロンダリングであり、片棒を担げば国際犯罪に問われます。

しかしこの話、小生の場合、まず通じません。というのは小生の名字は国内で出遭うことさえ珍しいのに、海外在住で、資産家で、身寄りがないまま死亡?そんなバカな、と端から疑って掛ることができるのです。でも外国人の詐欺師には日本人のどんな名字が珍しいのか、ありふれているのか、判断がつかないから仕掛けてくるのでしょう。

実際そうこうしているうちに、同様のコンタクトが日本人銀行家からも届きました。しかもわざわざ英語で。その実在する邦銀は日本語ホームページでは役員の名前すら出していませんが、海外向けの英語ページでは役員の名前と経歴を出しています。それはLinkedInに書いてある、その銀行家のプロファイル情報とまったく同じです。それでピンと来ました。

つまりこういうことです。赤の他人の詐欺師が当人を騙ってLinkedIn上で堂々と友人を作って、見掛け上の業界人ネットワークを作り上げているのです。

ご当人はきっとある程度年齢も行っており、LinkedInを使うこともないのでしょう。自分を騙るニセモノが活発に動いてネットワーキングをしていること、ましてやマネーロンダリングの誘いを日夜出し続けているなんて、当人も友人も全くご存じないのでしょう。でも、もしかするとどこかで噂になっているかも知れません。「○○銀行の誰々さんはヤバイことを陰でやっている」と。これもまた迷惑な話です。その銀行のご当人に警告して差し上げようと思ったのですが、銀行の日本語ページには部署名も連絡先も書いてありませんので、止めました(へたに本店代表電話に掛けて、こちらが詐欺師の一味と勘違いされては敵いませんから)。

なぜこうした詐欺師たちが次々と小生にコンタクトしてくるのでしょうか。知らなかったとはいえ、詐欺師たちと「友人承認」をしてしまったためでしょうね。そして英語で何度かメッセージのやり取りをしているので、「反応あり」(ターゲット予備軍)と彼らのデータベースに記録されているのでしょう。まったく迷惑な話です。

怪しいオファーをしてきた連中はそのあとで「友人」登録から削除したのですが(そもそも大半は、無視しているうちに、いつの間にか登録抹消されています)、まだ残っているのかも知れませんし、もしかするとハブの役割だけ果たす人間もいるのかも知れません(LinkedInは友人の友人を自動的に紹介する仕組みになっています)。

ちなみにLinkedInというビジネス向けSNSは、こうした怪しい人物ばかりの溜り場というわけではありません。人脈づくりを支援したり、協業先を探したりするのにもちゃんと役立ちます。事実、小生の会社にも時折外国企業から仕事の問い合わせや商材の売り込み、協業打診などが舞い込んできます。これは「僕ね、今こんな食事をしてるんだ!」といきなり訳の分からないプライベートを見せつけられるfacebookより、よほど有用ですよね。

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モーターなしの歩行アシスト機はインパクト絶大!

8月17日に放送された「夢の扉」は「坂道も山道もラクラク歩く!電力いらずの歩行アシスト機」というテーマで、名古屋工業大学 機械工学科 教授の佐野明人さんが紹介されました。この「電力いらず」というのが凄いのです。

歩く原理を解明した研究30年の成果です。「歩く喜びを伝えたい」という思いから開発されたという歩行アシスト機。わずか900g、電池不要。「当たり前体操」=右足が出れば左足がついて出る。”歩く原理”を使って、バネの伸び縮みで人の動きをアシストするのです。

番組を観ていると、まるでマジックのようでした。

70歳の女性が、山道を軽やかに駆け上がり、病気などで歩行が困難な人も、スタスタと歩き出す。ロコモシンドローム(=片足立ちで靴下がはけない、家の中でつまずく、階段が手すり必要)の患者が上手く歩けるようになる。車いす生活からの解放で「人生が変わった」という人。「松葉杖で歩けても、疲れるので10分以上連続では難しい」と言っていた人が「これは使える」と。会社への出勤もできるようになったし、「モーター音が無いので、仕事中も付けっぱなしで周りに気がねしなくていい」。この人はついに「ゴルフ」を練習し始めました。長期入院で筋力の劣化した患者の回復にも絶対に役立つはずです。

カーボンを使った小型軽量型を開発し、この秋には売り出すそうです。しかも価格は15万~と格安の模様(やはりモーターが不要なのが大きいですね)。これは売れますよ。

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Skypeによるビデオ会議が復活

昨日のSkypeの続きを報告。本日、事務所にて実験しました。

最初は同じSurfaceを持つ同僚に尋ねたのですが、有名なITアドバイザーでもある彼はSkypeのアカウントを持ちながらまともにやったことがなく(じゃあ何故アカウントを持っている?)、役に立ちません。「残念」と肩を落としていると、事務員の人が「あたし、できますよ」と救いの声を掛けてくれました。なんとスマホでSkypeを使うそうです。

早速、Skypeフレンドになり、アカウントを互いに登録、ビデオ会議を試しました。同じ事務所内ですから、通信状況の問題の可能性は、ほぼ排除されます。

何度か色々と試してみて(最初はこちらのカメラ画像が送信されなかったり、相手の画像が来なかったり、Skypeもいい加減です)、やがてしばらく待てばちゃんと画像が送信されるパターンが分かりました。焦って色々と設定を変えてみたり、切断して掛け直したりしてしまったのがいけなかったようです(これも不思議ですが)。

それにしても誰がどんなアプリを使えるか、人は見掛けに拠りませんね。次回から相手がインド人でもアメリカンでも日本人でも、Surface上でSkypeのビデオカンファレンスができます。簡単な打ち合わせにはもってこいです。

ちなみに、多くのクライアントの会社がまだSkype使用を禁止していたりします。日本企業は遅れているとしか思えません。

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Surfaceでの操作は未だトラブルだらけ

今日はある外国のコンサルティング会社の代表者とSkypeミーティングをしました。なぜかこちらのカメラ映像が先方に届いていなかったり、相手の英語のイントネーションが分かりにくかったり。しかもインターネット回線なので、先方が話す途中で、こちらもうなずきの声を出すと、相手の声が聞こえなくなるので、今一つコミュニケーションとしては不自由でした。これも今はMS Surface Pro2を使っているためです。

前はノートPCでしたので、こんなことはありませんでした。この3月末に購入して以来、ずっと使っている割に、いまだに慣れず操作性は向上しません(これはハードの問題というよりOS=Windows8.1のせいですが)。

これだけでなく、例えばプレゼンテーション時にプロジェクターとつなぐとフリーズしたり、エクセルで普通の操作ができなくなっていたり(完全にバグです)、メールで受信したPDFファイルをdropboxで保存しようとすると結構厄介だったり。Surfaceでの操作はトラブルだらけです。

もちろん、画面をなぞることで操作できるのは、閲覧にはとてもいいですし、立ち上がりの速さもノートPC(へたをすると4~5分かかります)とは段違いです。それでも製品としての完成度はかなり低いと言わざるを得ません。

Surface Pro2になればもうバグはほぼなくなっていると思って買ったのに…。結果論的にはPro3を待つべきだったのかも知れませんが、前のノートPCの液晶画面に亀裂が走ってきたから(しょっちゅう持ち歩いていたからですね)、仕方なかったのです。一体MSはバグ退治をいつやってくれるのでしょうか?

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カリスマMCの代わりが難しいジャパネットたかた

8月12日 に放送されたNHKの「ドキュメント 決断」は、「“名物社長”の引退~ジャパネットたかた 高田明~」でした。約1年前から予告された動きではありますが、やはりいざとなると重い決断だと思います。
http://pathfinderscojp.blog.fc2.com/blog-entry-221.html

「商品を見極める眼」と「巧みな話術」により、わずか一代で年商1500億円の通販会社を育て上げたカリスマ、高田明。来年1月の退任を公表したのです。強烈なリーダーシップで商品の仕入れから通販番組の演出に至るまで、あらゆる経営判断を一人で行ってきた高田社長。自分一人のセンスに依存した、トップダウンに頼った品ぞろえや販売手法を大きく見直す改革を進めています。

見かけも精神的にもまだまだ働き盛りの65歳。高田社長がなぜこの時期に経営トップの座を降りるのか。一つには息子・旭人副社長が成長したという判断もあるでしょう。しかし実際には高田明の目から見れば、まだまだ危なっかしくて仕方がないといったところでしょう。しかしながら、移譲を先延ばしすればするほど自分一人に依存するビジネススタイルと社風の転換が難しいという判断がありそうです。

また万が一失敗したとしても高田社長が60代のうちならば再登板もできます。しかし仮に70歳を前に禅譲したら、失敗しての再登板時には70歳を超えてしまいます。その時には会社再建に必要な体力・気力が十分ではないかも知れない。ならば早いうちに。そんな考えもあるのではないでしょうか。

ワンマン脱却を模索するジャパネットたかたの代替わりには、経営者だけでなく、ショッピング番組のMC(進行役)がハードルとなります、あの甲高い高田社長が登場して推奨するだけで商品の売上が格段に違うと、MCの後継者が語っていました。むしろこちらのほうが研究心だけでは追いつかず、センスを問われますので、ハードルが高いと思います。もしかすると、経営者・高田明は来年1月に引退しても、天才MC・高田明の引退は先延ばしせざるを得ないかも知れません。

問題は、その際に採り上げる商品の決定や演出法まで明氏が仕切るのか、それともチームで判断するのか、ということです。これには「正解」というものはなく、試行錯誤で新しいスタイルを見つけていくしかないのかも知れません。来年1月までにそれが見つかるのか、これもまた注目の的です。

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進化するパーク24は競合だけでなく自動車メーカーも脅かす

8月7日 に放送されたカンブリア宮殿は、パーク24の西川光一社長を招いての「進化が“止まらない”!知られざる駐車場ビジネス」。決して「知られざる」内容ではなかったですが、このビジネスのポテンシャルに改めて感心しました。

パーク24が運営するコインパーキング「タイムズ」。現在、全国46都道府県に約1万4000か所を展開。業界のパイオニアであり、最大手です。1971年、創業者・西川清は、駐車禁止の看板を販売する「ニシカワ商会」を立ち上げました。当時は高度経済成長期、違法駐車が社会問題化していたのです。清の読みは当たり、看板の注文は殺到。その後、街で見つけた自動式車止め「パークロック」の代理店販売で会社を急成長させます。そのパークロックを使い1991年に誕生させたのが、日本初の「無人時間貸し駐車場」。その後タイムズに名称を変え、全国に拡大したのです。

その後、現社長の光一氏が入社し、営業本部長となった2000年頃には、3000ヶ所以上に拡大。しかし当時、光一氏は危機感を感じていたといいます。なぜなら、実際に現場に行かないと、駐車場がきちんと稼働しているか分からないのです。故障はお客のクレームで初めて分かり、売り上げも集金をしないと分からない。そんな状態に危機感を抱いた光一氏は、40億円をかけて自前のITシステムを導入することを提案。しかし、創業者の先代社長からは猛反対を受けます。そりゃそうでしょう。当時の会社全体の利益は約20億円。会社が傾きかねない投資額です。しかもそれがなくとも会社は回っていたのですから、「何を好き好んでバクチを打つのか」と誰もが思ったのでしょう。

それでも何度も必要性を訴える光一氏の熱意が認められ導入が決定します(父親は光一氏の本気度を試したのかも知れません)。そして3年後、自社で開発したTONICというシステムが誕生しました。最低限の機能をカバーするだけなら半分の金額で済んだはずと光一氏は言います。全国の駐車場と本社をオンラインで結び、リアルタイムで管理するほか、車1台ごとの稼働状況や売り上げの推移がわかるようになっており、それを参考にレイアウト変更などのテコ入れをできます。今では、“売れる”駐車場に欠かせない秘密兵器となっているのです。

パーク24は、多い月で300ヶ所のタイムズを誕生させています。その開発を任されているのは、全国に350人以上いる営業部隊。担当地区をくまなく回り、「その街の不動産屋より詳しくなる!」をモットーに、日々新物件を探しています。街で「閉店した店」を見つけると、すぐさま登記簿を取り寄せオーナーに交渉。さらに、人気の飲食店の周辺や工事関係者が多く集まる工事現場の周辺など、人が集まる“目的地”をくまなく探すのです。 タイムズは、そうした目的地から半径200m以内に、小型駐車場を点在させ、需要を掘り起こしています。

運営方法は、オーナーから土地を借り、毎月、一定の賃料を支払うというもの。解体・舗装代以外の工事費、管理費などはすべて同社で負担するため、オーナー側のリスクはとても少ないです(これ、知りませんでした)。逆にタイムズ側は、毎月、安定した収入を上げることが必須のため、既存の駐車場の料金の見直しやレイアウトの変更などの改善に余念がないわけです。だからこそTONICが必須であり、武器になるのですね。

パーク24が今、最も力を入れているのが、カーシェアリングです。いわば会員制のレンタカーです。パーク24は全国に駐車場を持っている強みを生かし、現在5500カ所のタイムズにカーシェア専用車を置きます(弊社のオフィス近くにもあります)。小型車だけでなくファミリーカーや外車に至るまで約30車種、合計9000台以上を揃えます。参入からわずか5年で会員は36万人。後発ながら業界のトップです。

元々は主婦を中心に人気だったカーシェアですが、最近では車が欲しくても経済的に厳しい若者の需要も確実に取り込んでいるようです(そんな若者たちが遊びに出掛けるのに一緒に使っているのを紹介していました)。「一番の優位性は、14000ヶ所の駐車場を既に持っていることだ。簡単、便利、使いたい時に使える。コンビニを使う感覚で使ってほしい」と光一氏は言います。確かに、これ合理的なカーライフです。小生も近所にあれば使いますもの。自動車メーカーからすれば(車を保有したがる人が減るので)大いに脅威です。

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新宿伊勢丹の業績アップに最も貢献したのは誰?

風が吹けば桶屋が儲かる。あいつらを儲けさせるつもりじゃなかったのに、という自嘲の声が…。


消費税の増税を経たこの時期、百貨店業界では業績の差が目立ち始めています。中でも業界首位の三越伊勢丹が好調です。同社が発表した今2月の売り上げ確報によれば、全店合計の売上高が前年比106.2%、12カ月連続で前年を上回るなど順調のようです。

実は、三越伊勢丹の経営自体はそんなに平坦ではありません。激戦区である大阪・梅田に2011年5月にオープンした「JR大阪三越伊勢丹」は不振続きで、本年1月に売り場縮小が発表されています。旗艦店の一つである三越日本橋本店もぱっとしません。それに対し非常に業績に貢献しているのが、もう一つの旗艦店、新宿伊勢丹です。2014年3月期で見ると、前年比で10~15%の伸びで毎月推移しており(増税前の駆け込み需要の顕著な3月を除いても、です)、明らかに全体を引っ張っています。

その要因は何か。アナリストや報道向け資料ではリモデルのパークなどの施策が当たったことと、独自企画商品による品揃え強化で、来店客・買上客数・客単価が増加したことなどが並べられており、経営陣の誇らしげな顔が浮かぶようです。でも、もし本当に同社のマーチャンダイジング能力がずば抜けて優れているのであれば、大阪での苦戦は腑に落ちかねます。

その伊勢丹新宿本店には昨年度、面白い事実が2つ発生しました。2013年3~12月の来店客数は前年同期に比べ約1割増と、高度経済成長期以来の伸び率を記録したそうです。いくら景気回復とはいえ、この人口減社会において、他の小売企業からすれば驚愕・羨望の増率です。そして同じ時期、同店では案内パンフレットを手に取る人が増えたのです。今年度は例年の倍以上の45万部と大増刷したそうです。

これらが意味するのは、三越伊勢丹の経営者が主張するように、既存客が百貨店の施策につられて来店頻度を上げたというのではなさそうです。むしろ、それまであまり新宿伊勢丹に来ていなかった新規客が押し寄せるようになった、ということです。

ではどうしてそんな現象が起きたのでしょう。勘のよい方はもう気付いているでしょう。そう、東急東横線と東京メトロ副都心線が昨年3月に相互直通運転を開始したため、人の流れが大きく変わったのです。

新宿伊勢丹が直結している新宿三丁目駅の1日の平均乗降客数は、東京メトロによると7万9000人(13年4~12月)と、前年同期比約5割増(!)だそうです。新宿三丁目駅で乗り換える人、途中下車する人が一挙に増えたわけです。

ではその人たちはどこから流れてきたのでしょうか。それは渋谷です。同じ時期、JR渋谷駅の乗降客数は激減しました。41万2009人から37万8539人へと約8%も減ったのです。19年連続で3位だったのに、2013年度は一気に5位に転落しています。伊勢丹の新規のカード会員を分析すると、目黒区や品川区、大田区などの住民が目立つそうです。

つまり従来は渋谷東急や西武、丸井といった店に勤務後に寄っていた東急東横線沿線在住のOLなどが、渋谷の代わりに新宿三丁目駅で乗り換えて、そのついでに伊勢丹に寄るようになったのですね。そして昼間は、東急沿線のマダムたちが渋谷で降りずに、一気に新宿三丁目まで直通で出掛け、お友達とお茶するようになったということでしょう。実際、小生の知人も数人、「以前は渋谷乗り換えだったけど、今は新宿三丁目乗り換えで通勤している」と証言しています。直通運転化によりこれほど人の流れが大きく変わった例は珍しいかも知れません。

でもなぜ渋谷が嫌われて、新宿三丁目に人が流れたのでしょうか。ずばり、渋谷駅が不便になったからです。小生も東急東横線沿線住民ですが、渋谷駅で半蔵門線に乗り換えようとすると、以前より距離的には近いはずなのに通路が狭くなったため、かえって時間を食うようになりました。ましてや地上の離れた位置にあるJRや銀座線もしくは京王井の頭線に乗り換えようとすると、地下5 階から分かりづらい通路を延々と移動させられるため、辟易することになります。JR渋谷駅の乗降客数が激減したのは実感として頷けます。

同様に、東急沿線住民が帰りがけにどこかで友人と待ち合わせをするようなことを考えたら、以前だったら渋谷駅中心に想定したでしょうが、地上との往復は厄介ですし、あの「地下迷宮」駅ではどこをどう行けば目的地に向かえるのか、そして帰り道でまごつかないか、自信が持てない人も多いでしょう。何割かの人は「副都心線沿いのどこか他の駅がいい」となり、それが新宿三丁目なのでしょうね。

ではこうした状況を東急電鉄では予想したのでしょうか?ましてや一部の噂にあるように、「ライバルであるJRの売り上げを減らすために意図して行った改悪だ」との意見は的を得ているのでしょうか?小生はそうは思いません。渋谷という街は「東急村」とも称されるほど東急電鉄とそのグループにとっての本拠地であり、様々な関係施設が集約する宝の地です。その渋谷を利用するお客さんの数が減るということは、JRだけでなく東急グループにとっても大きな痛手のはずです。

ただ、今回の直通化に伴う改造により渋谷駅が恐ろしいほど複雑化することを事前に理解できなかったほど東急電鉄の人々が愚かであったとは、とても思えません。この不便さや、それに対する不評はある程度「織り込み済み」だったのではないでしょうか。

それでも「いずれ人々は慣れ、朝夕には多少ぶつくさ言いながらも同じルートで通勤し、相変わらず渋谷で乗り換えし、渋谷のどこかで待ち合わせしてくれる」と考えたのでしょう。でも彼らの見通しは少々甘かったのではないかと思います。人々は「不便」という苦痛を毎日味わうことを嫌います。それを簡単に逃れるすべがある限り、我慢しません。

周知のように、東急電鉄が中心となっている渋谷駅周辺の再開発はまだ途中段階で、東京五輪の2020年にある程度出来上がり、27年にようやく完了する見込みだそうです。今のような複雑怪奇で動線の悪い駅構造は、途中段階ゆえの「仕掛かり」状態だと思われます。そして最終的には乗り換えももっとスムーズになると聞いています。

きっと経営幹部の方々は「一時的には多少ほかの街に流れる人がいても、『渋谷大改造計画』が完了すれば戻ってくるさ」と考えられているのでしょう。でもそれも甘い見通しかも知れません。一旦、通勤ルートを変え、伊勢丹新宿本店でカードを作り、その周辺に行きつけの店を幾つか持った人たちは、たとえ6年後に渋谷駅周辺がもっと便利で綺麗になっても、素通りするパターンを大きくは変えないでしょう。人間ってよほど不便でなければ、そう簡単に習慣を変えませんから。

東急東横線と副都心線の相互直通は東急沿線住民の全般的な利便性を上げることには成功しましたが、東急グループの売上を減らして三越伊勢丹の中長期的業績向上に貢献するという皮肉な結果に終わりそうです。

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孫正義氏らが目指す、ニッポン・ロボット産業の未来

7月31日 に放送されたカンブリア宮殿は400回スペシャルの「日本を爆発させる“大ボラのススメ”」。ゲストはソフトバンクの孫正義社長と大阪大学大学院教授の石黒浩(いしぐろ ひろし)氏でした。

ソフトバンク創業時にアルバイト従業員に対し「売上を豆腐のように(○兆と)数えるようになる」と宣言したことに始まり、誰もが信じなかった目標を「大ボラ」という形で世間に対し表明し、次々に実現してきた孫社長。その大ボラの数々が「何故、実現できたのか」を検証してくれました。

覚えているだけでも日本テレコムの買収、ヤフーBBでのブロードバンド参入、といった思い切った手を次々に打って通信業界でのし上がってきたソフトバンク。2006年、孫氏は大勝負に打って出ました。日本企業としては企業買収の最高額、実に2兆円近い金額でボーダフォン・ジャパンを買収、携帯ビジネスに参入しました。巨額の借り入れや、競合するドコモやauの寡占状況を見れば、誰の目にも無謀すぎる挑戦にしか見えなかったはずです。

このときからですね、まず大ボラを吹くようになったのは。「ドコモを超える」「利益を豆腐のように(1丁2丁=1兆2兆、と)数えるようになる」などの言葉を連発し続けました。あれから8年、日本経済が右往左往する中、孫氏のソフトバンクはプラチナバンドを獲得、「つながりやすさNo.1」をアピールするまでになり、なぜか太陽光事業への参入まで果たしました。

そして本業では遂にドコモの背を捉えたかと思いきや、アメリカの携帯電話第3位のスプリント社を買収。一挙にドコモを超え、営業利益は1兆円を突破しました。今や「トヨタを超える」とまで言い、既に世界へと駒を進めています。その快進撃は「夢を次々と実現する男」です。

番組では、なぜ孫氏の大ボラは実現するのか、大ボラを吹く本当の意味とは何なのか、を村上龍と小池栄子が本人に直撃してくれました。孫氏によると、大ボラを吹くのは「自分達を追い込む」ためであり、社員が知恵を絞り社長の大ボラを実現しようと必死になってくれるからだといいます。

でも大半の会社では1~2度はそんなことも「乾坤一擲」で起きるかも知れませんが、こう何度もやっていると社員は消耗し切ってしまうか、「いい加減にしてくれ」と逃げ出すかも知れません。無茶苦茶に有能でアグレッシブな社員を駆り立て、うまくその気にならせる、「猛獣使い」の才能が孫氏にあるのだと思います。

番組の後半では孫正義氏の最新のホラ話の話題です。6月5日に披瀝された、自立式コミュニケーションロボット「pepper」です。本体価格は19万8000円(税抜)。情報通信、エネルギーの次に孫正義氏が取り組む新分野です。

この電撃的なロボット発売の裏には、世界にロボット産業を奪われまいという孫氏の危機感があるといいます。そう、業界で話題となっているグーグルの動きです。ロボットベンチャーを次々と買収し、遂には世界で注目されていた東大のロボットベンチャー「シャフト」まで傘下に収めました。

番組の取材班は「pepper」の開発をソフトバンクと共同で手がけたフランスのロボット企業・アルデバラン社にも潜入。またソフトバンク社の開発現場から、「pepper」の人口知能開発が進行中の様子も見せてくれました。それを観ているうちに思ったのは、孫氏が語るように、「30年以内に1家に1台のロボット」の時代が本当に来るかもという感想でした。

「ジェミノイド」という人間にそっくりな「分身ロボット」で有名なロボット研究者・石黒浩氏もスタジオに現れ、「ジェミノイド」を囲んで孫氏らとロボット産業の未来を語りました。「ジェミノイド」は人口知能ではなく、人間が遠隔操作するものなので、ロボットとしては「pepper」とは全く異なる領域の製品ですが、見た目があまりに人間っぽいので、これに「pepper」の人口知能が組み合わされると、人造人間のプロトタイプもできそうです。

介護などの世界でロボットが使われつつある様子も競争の激しいロボット産業ですが、彼らのような人材がいる限り、日本のロボットロボット産業は世界トップを走り続けるのではと期待できます。

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中国の期限切れ肉問題に根本解決法はない

BSフジで7月30日(水)に放送された「中国・期限切れ肉問題 根本問題と残る不明点」は非常にいいポイントを突いていました。ゲスト解説者がよかったのだと思います。そのゲストは3人。高谷幸氏(公益社団法人日本食品衛生協会専務理事 元厚生労働省食品安全部監視安全課長)、興梠一郎氏(神田外語大学アジア言語学科教授)、柯隆氏(富士通総研経済研究所主席研究員)です。

必ずしも3人の意見が一致しているわけではないですが、専門と視点が違い、うまい具合に多様な視点がカバーされてバランスが取れた内容になっていました。

中国は今、政治の最重要課題として食の安全を挙げています。近年の中国で色々な食品安全問題が起き、国民の関心が高まっており、経済成長率が下がっている中で、共産党政権としても最重要せざるを得ないのだそうです。

2009年に制定された中国食品安全法は元々ある規制(日本の食品衛生法をベース)の焼き直しに過ぎず、新たなものではないといいます。問題は法律の不備ではなく、運用体制です。日本のような保健所組織網がないため、中央政府ではなく地方政府の実践努力(本気度)に依存せざるを得ないのが実態のようです。

一番の根本問題は罰則が甘く、業者としては悪事を働いて見つかるまで儲けまくったほうが有利だということ。仮に見つかってしまったら罰金を払い、会社の看板を掛け替えてしまえばよいということです。そして儲けている大手の業者は地方政府に鼻薬を嗅がせているため、逮捕もされないということです。つまり司法がいい加減で、法治国家でなく人治国家なので、権力者に近い人間なら得をする構造なのです。

ゲストの1人が指摘して他の人たちも気付いたのが、次の点です。「疑惑の映像、あれはカメラ目線がちょうど肉のそばで撮っていますよ」「隠しカメラで撮ったとは思えない。従業員が協力しているような不自然な映像だ」等々。要は現地メディアが正義の鉄槌を下した格好になっていますが、実は政治的なキャンペーンの一環だったのかも知れません。

対象が米国企業OSIの現地法人だったことから、米国に対する政治的けん制なのではないかという見方もありますが、これは単純には頷けません。米国に対する食品輸出は中国としては政治的武器の一つでもあり、それを自ら傷つけるのは賢いやり方ではありません。したがって統一された政治的方針というより、共産党内での権力闘争的対立が表面化したのかも知れません。もしかすると、米国系でなく中国系の食品メーカーの製品を買え、という国内業者や国民に対するメッセージなのかも知れません。

ここで間違いなく言えるのは、食品衛生管理がしっかりしているはずの米国企業系でさえ、この体たらく。中国人自身が認めているように、中国の業者にモラルは基本的にはありません。ビデオの中でも、そして摘発された際にも従業員が叫んでいました。「(腐っている食品を)食べたって死にはしない」「どこだってやっているわよ」と。

自衛策は一つ、中国製の加工品を買わないことです。生産者自身が食べる生鮮食品なら大丈夫ですが、生産者が食べないもの、特に姿形が変わってしまう加工品は危険です。そして日本の飲食業や加工食品メーカーがそうした認識をしっかり持つこと。中国人業者に対してはHACCP準拠だからと鵜呑みにせず、(性善説でなく)抜き打ち検査や潜入捜査を時折行うことです。

それらが面倒だったら、いくら多少高くとも、信頼できる日本企業が経営する現地加工工場に調達先を限定するか(それでも野菜は農薬汚染されていますが)、タイ・インドネシア等に調達先を変えることです(それでも悪徳業者は多少いますが)。さもないと、こうした問題は繰り返されるのは間違いありません。

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地方の企業再生にはまともな専門家の手腕が不可欠

7月28日(月)放送のクローズアップ現代(NHK)は「地方経済はよみがえるか~企業再生の模索~」。一部の地域でお手伝いをしようとしているので、関心を持って観ました。

リーマンショック後、政府は金融機関に対し一律に企業の債務の返済を猶予させて倒産を防いできましたが、一方で「ゾンビ企業」を増やしているだけだという強い批判がありました。

その政府も先ごろ方針を転換しました。「成長の主役は地方だ」として企業の新陳代謝を促進、経営基盤の強いところに資源を集約することで地方再生を行うと強調しました。これを受けた地方の金融機関では、成長の芽がある企業には「破綻懸念先」であってもリスクを冒してマネーを投入する動きが出ている一方、延命させてきた企業には転廃業を促す決断も実施中です。強い企業にヒト、モノ、カネを集中させ、経済を立て直す狙いがあります。

番組が採り上げたのは静岡県にある三島信用金庫。地元の企業約1万社と取り引きしています。これまで金融円滑化法によって借金の返済を猶予してきた企業は2,000社余り(多分、平均的な割合です)。この中から成長が見込める企業には融資を、そうでない企業には廃業を勧めています。

信金が活性化を目指しているのは地域の基幹産業である観光。温泉旅館や飲食店などの復活に期待しています。去年(2013年)、富士山が世界遺産に登録。景気が回復の兆しを見せ、観光客が増加に転じた今こそ企業の選別を推し進めるべきだと考えたのです。

どの企業に融資を行うべきか。連日、会議が行われています。この日は、3億円の借金を抱える旅館についてでした。融資を行うか否か。判断基準は企業が将来にわたって利益を生み出せるかどうかです。おかみが計数管理をできるのかが問われていました(怪しそうですが、信金が教えるしかないでしょう)。

一方、融資することを決めた温泉旅館。年間売上の3倍に上る債務を抱えていました。信金はこれまで、貸したお金が回収できない恐れがあるため融資をしてきませんでした。それでも今回融資を決めた理由は、この旅館の将来性にあったといいます。

料理の質が高く、家族やグループ客のリピーターが多い。また、趣のある庭園があり、高級路線を打ち出せば、立ち直る可能性があると考えたのです。その上で、1年以内に事業が軌道に乗らなければ経営者を代えるという厳しい条件を突きつけました。

老朽化していた旅館の空調設備などを整備するため先月(6月)、信金はおよそ1,000万円を融資しました。回収できないおそれもある融資。信金がリスクを負うように変わった背景には、強い危機感があったといいます。

人口減少などの影響によって、この5年で取り引き先は300社も減りました。成長の見込める企業を支援し継続的に取り引きできるように育てなければ、信金の経営自体も危ぶまれるのです。今、信金が融資を検討しているのは80社。一方で、40社には廃業を促しました。

信金は廃業を勧める際、土地や設備を競争力のある会社に売却。従業員も引き継ぐよう手配しました。引き継いだ企業に経営資源が集まり、より強い企業を育てることにつながります。しかし、廃業によって失業した従業員をすべて引き継げるわけではなく、痛みを伴います。融資か、それとも廃業か。地域経済をよみがえらせるための苦渋の選択が続いています。

番組を観て思ったのは、方向性としては正しい、でも企業再生能力が信金にあるのか、という疑問でした。「失われた20年」をもたらした大きな要因として、大半の金融機関が担保主義とリスク回避しか考えなかったのが現実です。本来優秀な人材が集まっているとされるメガバンクでさえ企業の再生ができる人材は稀です(TVドラマの世界は別ですが)。失礼ですが、ましてや信金に企業再生を指導できる人材がそういるとは思えません。

結局、企業経営者の尻を叩くこと以外にはできないのではないかと思えます。その地方の中小企業経営者は近代的な企業経営の基本的な知識を身につけることなくずっとやってきているのです。財務・会計はもとより、事業計画策定、マーケティングやIE、統計分析や知財等々。

かといって地方にはまともな外部の経営コンサルタントもいません。税理士や自称コンサルタントが、怪しげな聞きかじりの理論を振り回して顧問料をふんだくり、市場調査すら手伝えない、というのが実態です。本来なら信金の人間などが手助けするべきところですが、彼らもどっこいどっこいです。たまたま知人に能力のあるアドバイザーがいるか否かで運命が変わってしまうというのはやはり理不尽ではあります。

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