ヤフー再活性化の主因は使命感の呼び覚まし

11月27日放送のカンブリア宮殿、ヤフーが採り上げられていました。題して「爆走する国民的サイト!これがネットの底力だ!」。こうしたネット大手はこの番組では珍しく、興味深く観させていただきました。

日本最大のポータルサイト、「Yahoo!JAPAN」。閲覧数は月間600億を超えるそうです。既に単なる“検索サイト”ではなく、日々のニュースや天気などの情報を得るのに大半の人がこのサイトを利用するそうです。他にもショッピングにオークション…等々。その圧倒的存在感は、国民的インフラと言っても過言ではないと言われます。

正直、小生はYahoo!ファイナンスとYahoo!映画は利用(他のサービスと併用)しますが、検索はグーグル、乗り換え案内はジャルダン、といった具合に違うサービスを主に利用するので、日本人がそんなにYahoo!を好きなのが不思議なくらいです。オークションも利用しませんしね。

それはともかく、番組は色々なヤフーの活動を紹介してくれました。東京ミッドタウンで最大フロアを占める、その従業員数は日本のネット企業では圧倒的な6800人(連結)を超えます。日々200を超えるメディアから入ってくるニュースの見出しを独自に編集するYahoo!ニュース(大手新聞出身の編集者だらけのようです)。サービス開始後ここまでの落札総額8兆5000億円、年間1000万人が利用するヤフオク。特に、データサイエンティストと言われる専門家たちが、集めたビッグデータを分析し、サイトの収益を上げる戦略から選挙予測まで様々なことに役立てているDS本部が面白かったですね。

96年の設立以来、右肩上がりの急成長を続けてきたヤフーでしたが、ずっと社長だった井上雅博氏が業績停滞を理由に孫正義氏により更迭され、宮坂学氏がヤフーの社長を引き継いだのが2年前、宮坂氏は当時44歳でした。宮坂氏は、巨大化し保守的になりがちだったヤフーの社内を活性化し、攻めの組織に再構築する改革を断行してきました。とにかく大企業病を克服すべく、「爆速」をスローガンに意思決定を速くすることを重視してきたことが知られています。

目立つ動きとしては、ネットショッピングを代表とする様々なサービスを無料化したことです。同時に、1泊2日でソフト開発をするハックデイを開催し、どんどん新しいサービスを立ち上げました。なかには女子校とコラボしたサービスや、被災地・石巻に復興部隊を常駐させての被災地産品のネット販売支援、全国から被災地に大勢の人を集めた「ツール・ド・東北」の取り組みなども新たに立ち上げました。確かにこうやって見ると、結構知られた活動も少なくないですね。

それでも社員が血走った眼をしておらず、いわゆるブラック化していないのがヤフーのよさではないでしょうか。ユニクロやワタミ、すき屋のゼンショーや楽天など、急成長新興企業のトップが「全速力で走れ!」と号令を掛けてきたところで色々な問題が起きているのと対照的です。その秘密は“爆速”宮坂改革の柱となる理念が「課題解決」だと打ち出したところにあると、小生は見ています。

“社会の様々な課題をネットの力で解決する”と宮坂社長がヤフーの使命を位置づけたことが、社員の方々の共感を呼び、ちょっとした使命感につながっているような気がします。「成長」を旗印にガンバリズムを呼び掛けても、それで奮起できるのは出世を期待できる幹部社員だけです。それより一般社員のやる気は、こうした「自分達が社会にどう役立つのか」を示すところから呼び覚まされるのではないでしょうか。
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便利なはずの自動水栓が人々をイライラさせる

世の中にある「折角なのに惜しい!」または「やらなきゃいいのに」というものを採り上げ、なぜそうなってしまうのか、改善法はあるのかを考えたい。そのトップバッターは、近頃たいていのビル・商業施設の洗面所に設置されている、センサー付きの自動水栓蛇口


あの、手を差し出すと水が流れ、手を引っ込めると水が止まるタイプの蛇口。直前にどこの誰が触ったか分からない公衆の場ゆえ、ハンドルをひねることなく水が出てくるというのは、何とも有難い代物です。いかにも潔癖症の日本人が好みそうなモノであり、おしり洗浄機能付きの便器と並んで、「ハイテク・ニッポンの象徴」と称賛する外国人の声を何度か聞いたことがあります。発展途上国はもちろん、欧米先進国でもこれほどの普及はないようです(そもそも日本発の発明だったそうです)。

実は施設側が推進する最大の理由は節水です。ハンドルをひねる従来型ですと、水を出しっぱなしにする平均時間がどうしても長くなる上、ハンドルをひねり過ぎてすごい勢いで水を出したり(それで辺り一面を水浸しにすることもあります)、うっかり締め忘れたりする人がどうしてもいます。ビル・商業施設ではトイレ洗面所の使用人数が半端なく多いですから、それらの水の無駄使いが積もり積もってしまうとそのコストは無視できません。水道料金というものは意外と高いものですから、自動水栓への取替コストと作動のための電気代を考えても、節水メリットのほうが大きいと判断されるようです。

こうしたメリットの大きい自動水栓蛇口ですが、あくまで「きちんと動けば」の話です。手を差し出しても位置が悪いのか、水がなかなか出てこない、なんてのは日常茶飯事です。手を差し出しても水が出ないのに引っ込めるタイミングで出てくる、逆に勢いよく出過ぎて袖口を濡らしてしまった、といったことでイライラした経験を多くの人が持っているかと思います。

石鹸水をつけて手を洗っている最中にセンサーが反応して水が飛び出し、これじゃ全然節水にならないぞ、と思うこともありますね。洗面所でお化粧直しをする女性には、変なタイミングで水が飛び出してきて服を濡らされた経験がある人も少なくないようです(想像するに、鏡に顔を近づけるタイミングで体の一部にセンサーが反応し、水が飛び出すのでしょう。これは別の問題です)。

これらは(最後の例を除いて)、人体検知センサーの検知範囲や水量の設定の問題です。後者は施工時の設定がいい加減な場合が多いようですが、前者は長い間使用しているうちに汚れ・傷などの要因によりセンサーの受光量が変わってしまうことが主な理由のようです。つまりある程度の経年変化は仕方ないのでしょう。すると問題の本質は、定期メンテナンス時に調整がされないことです。まったく水が出ないなら修理されるのでしょうが、とにかく水が出るなら問題ない、と施設管理側が見逃してしまうわけです。残念なことに、メーカーや施工業者がこうした問題点を気に掛けているといった話は聞いたことがありません。

でもその結果は、先に挙げたようなユーザーの小さな不満が蓄積することと、主な目的たる節水が中途半端になってしまうことです。特に、せっかく多くの人に便利さを体験してもらって自らの技術力をアピールできるはずの水廻り機器メーカーからすると、「なんだこのメーカーの製品は役立たずだな」と人々に思われかねません。自宅で水廻りの製品を買い替える際にそうした評価が頭をよぎらない保証はありません。(服を濡らされたなどの)場合によっては小さな恨みさえ買いかねず、ネットで悪評を流す「自称ユーザー」も現れてくるでしょう。

そんな理不尽な、と思われるかも知れませんが、消費者のメーカー選考基準なんて個人的体験が一番強いものです。そうした思わぬ低評価や理不尽な中傷を避けるためには、メーカーや施工業者から施設管理者に働き掛けて設定が狂っていないか積極的にチェックしてもらうことと、より簡単にセンサーやバルブの設定調整ができるように製品改良を進めることです。せっかくの「ハイテク・ニッポンの象徴」ですから、よりユーザー満足度が上がるようにして欲しいものですね。

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個人の発想が生むIOTの面白アプリケーション

この11月23~24日の2日間、東京ビッグサイトで開かれていた「Maker Faire Tokyo 2014」、本当は行きたかったのですが、「宿題」が片付かず、残念ながら見送りとなりました。これは電子工作とDIY(Do It Yourself)のイベントで、モノづくりを趣味で楽しむ人(Maker)が参加して自作のアイテムを披露、交流を深める場として人気を高め、年々その規模を大きくしているものです。

観てきた人の話では、今年は企業の出展が目立ち、個人のモノづくりを支援するシステムやデバイス、そして逆に「一般からのアイデアを募る」ための試作品的なものも目を引いたようです。

特に小生が注目していたのはIOT(Internet of Things)またはM2Mのためのキットでした。例えばこんなものです。
https://www.switch-science.com/pressrelease/20141120_CloudPi/
http://makezine.jp/blog/2014/03/ti-announces-20-iot-launchpad-board.html

昨夜のワールドビジネスサテライトでもトップ特集していました。半分馬鹿みたいな、でも面白そうな作品や、「おお、これ使ってみたい」といったキットが幾つか紹介されていました。ちなみに小生は、今やっている某社会インフラのプロジェクトでM2M/IOTを組み込むソリューションやビジネスモデルを考えており、そちらのヒントにもなるのではと考えた次第です。こんなところから日本発のIOTが出てくるかも知れないと思うと、ちょっとワクワクしますね。

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不正を行う心理は万国共通で普遍的

11月22日(土) NHK BSプレミアムで放送された『世の中はうそ不正でできている?』。これが意外と面白かったですね。

番組の説明分は次の通り。『食品偽装や論文ねつ造、公金横領…世の中は、あきれるほどのうそ不正であふれている。いったいなぜなのか?ハーバード大学などの行動経済学者たちは驚くべき研究結果を発表した。「バレないと思えば大半の人は不正を働く!」「偽ブランドを身につけるとズルをしたくなる!?」「創造性が高い人ほどうそ不正が多い!?」などだ。架空の「うそ不正撲滅研究所」を舞台に最新の研究成果をドラマバラエティーで伝えていく!』という趣旨。

番組の中で被験者(MITやハーバードの学生など)が幾つかの実験に参加します(もちろん、参加者はそれぞれの実験の目的を知らされていません)。正答率により最高10ドルもらえるのですが、正解かどうかを自己採点し、自分の回答用紙はシュレッダーに掛けられます。つまり自分のズルがバレない環境なのです。そして大半の人が見事に、小さな誤魔化しをするのです。

要は次の数点に集約されます。世の大半の人は「自分は正直なほうの人間であり、できれば常にそうありたい」と考えながらも、ズルしてもバレない状況にあると、しかも額が大きくないと、「まぁこれくらいならいいか」と自分で自分に言い訳して、ついついズルをするということです。大半の善良な人が、です。

そして軽いズルを一つすると、それからは次のズルをすることへの抵抗感は小さくなるということです。これは世の中でよく言われるし、体感的に納得できるものですね。しかも創造力の高い人ほどズルをしやすいとのことです。ズルをする自分を正当化するうまい言い訳を“創造”するということです。なーるほど、ですね。

こういった心理をよく理解して、世の中から不正や誤魔化しを減らす工夫が求められるのです。そのために効果的な方法は実にシンプルです。モーゼの十戒や会社の倫理規定などを思い出させ、意識させるだけでいいのです。あと、運転姿勢がゆったりしていたり作業スペースに余裕があったりするほど不正をする可能性が高くなるそうです。要はふんぞり返るような環境はいけないということですね。あと、違法駐輪を減らすために「目力」看板が有効だということです。要は「人の目」を意識する環境が有効だということですね。実に示唆的な内容でした。

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ようやく医療現場でビッグデータ活用が進み出した

11月2日(日)に放送された「NHKスペシャル」は「医療ビッグデータ 患者を救う大革命」でした。ICTベンダーの熱意にもかかわらず多くの人々に「胡散臭さ」を感じさせる「ビッグデータ」が、医療の現場で本当に人々の役に立っている姿を伝えてくれました。

番組がまず挙げたのは米国の病院の実例で、心電図や血圧計・呼吸モニターなどが記録する膨大な情報を監視し、病気が発症する前に予知するシステムでした。新生児、特に未熟児は生まれた直後に様々な感染症で死亡するケースが多いのですが、発症してから検査しても対処が間に合いません。多くの新生児の心電図などありとあらゆるデータをリアルタイムに分析することで、発症前の「予兆」を捉えることが可能になったのです。これは凄いことです。

他にも応用法として、人が一生かかっても読み切れない量の文献データをコンピュータ上に記憶し、人工知能が最適治療を提示するというものもあります。加速度的に向上するデータ処理技術を活用して、これまで夢とされていた医療が実用化されようとしているのです。

さらにビッグデータは、医療の効率性を高め、医療費の増大を抑える切り札としても期待されています。患者の「投薬」「手術」「検査」など治療データのほか「病室の気温」「食事量」など膨大なデータを収集することで可能になります。

例えば、ある病院では、ビッグデータの分析によってどういうタイミングからならリハビリを始めることができ、それが回復に有効だという実証データを積み重ね、実際に適用することで前立腺がんの患者の入院期間を半減させることに成功しました。これは日本でも適用できる考え方で、今後迎える超高齢化社会において、データによる医療の効率化がどこまで可能なのかを示唆するものです。

医療の現場で、いま“ビッグデータ革命”が始まっている、ということを実感できる番組でした。日本でも、ビッグデータをはじめとするICTを積極活用する時代になりつつあると感じます。

PS ちなみに、この番組を観ていて、小生が関与するはずだったあるプロジェクトでの有力な技術仮説を思い付きました。しかし残念ながら、そのプロジェクトは担当チーム多忙につき、急遽キャンセルになってしまいました。世の中に役立ち、そのクライアント企業にとっても有望事業に育つ可能性があったのに、残念です。しかも準備期間が長く、それらは全て「ただ働き」に終わってしまいました。トホホ…

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植物由来のゴミから作るバイオコークスは世界を救える

11月16日(日)に放送された「夢の扉+」(TBS系)は「お茶カスが、わずか1時間で“夢の燃料”に変わる!?ゴミから作る新エネルギー資源で世界を救え!」でした。ドリームメーカーとしてフィーチャーされていたのは近畿大学理工学部教授でバイオコークス研究所副所長の井田民男さんでした。とにかく夢のある話でした。

お茶のカス、木クズ、もみ殻、バナナの皮、コーヒーの実、等々。世界中どこの国にもある植物由来のゴミを原料に、石炭に代わりうる固形燃料を作り出すという夢の技術です。ゴミを約10分の1にまで圧縮できるので、運搬コストも安く済みます。それを開発したのが近畿大学の井田教授です。

植物は地中で約3000万年もの月日を経て石炭に生まれ変わったのですが、井田氏はこれを1時間で再現するというのです。つまり、この地中の熱や圧力といった“自然の力”を解明し、再現し、廃棄処分されていたゴミをエネルギー資源に生まれ変わらせてしまうという技術なのです。

もしこれを投資話として訊いたら、確実に「詐欺だ!」と判断されるでしょうね。実際、井田氏が初めてこの技術を専門家に公開した際には、誰もが信じずに手品のタネを明かしてやろうとばかりに井田氏の手元を見つめていたそうです。

植物性資源から作られるこの「バイオコークス」は、石炭に比べて、二酸化炭素や酸性雨の原因となる有害物質の発生を抑えられる、夢のリサイクル燃料です。とはいえ、「バイオコークス」の実現ポイントとなる熱と圧力の組み合わせを見つけるのには非常に苦労をされて、ようやく見つけたものなのです。

実際の製造は難題で、材料の水分次第でコークスの中身が中途半端なままになったり、逆に爆発してしまったりと、素材ごとに悪戦苦闘を重ねる必要があるのです。

でもこれについても最適の水分量を見つける方法を開発されたようです。そして北海道の鉄工工場でバイオコークスを使ってもらい、実際に製鉄に必要な温度(摂氏1500度以上)にまで上がることを確認できていました。素晴らしいです。

井田氏は今年9月、マレーシアへ飛び、椰子の実のカスからバイオコークスを作るという、世界での実用化を視野に入れた挑戦が始まりました。既に大量生産にもメドが立っているようです。また、福島の除染ゴミを圧縮することにも応用できるかも知れないそうです。

理工学部の自室でお茶を立てて飲む静かな姿とは対照的に、井田氏は研究開発に対してはとてもエネルギッシュな科学者なのだと感じます。またまた近大発の有用な技術が実用化される日も遠くないと期待したいですね。

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新規事業における素朴な疑問(5)共有化されない失敗体験

新規事業に取り組む大企業の行動パターンに関する素朴な疑問シリーズ、その5つめは過去に新規事業で失敗した経験からの組織学習。こんな絶好の教材はないのに、多くの日本企業は十分には活用できていない。


前回の記事でお伝えしたように、新規事業の失敗事例に関して色々な企業関係者にお訊きすることがありますが、もう一つよく尋ねる質問は「新規事業で失敗した人に体験を話してもらい社内で共有する場はありますか?」です。ほぼ例外なく「いや、それはないですね」「いい考えだけど、難しいなぁ」といった反応が返ってきます。実にもったいない話です。

大抵の会社が新規事業で失敗したプロジェクトチームまたは担当部署を解散させ、元の新規事業とは直接関係のない仕事に回ってもらうのが普通だ、という話を前回の記事でお伝えしました。その後は多分、「腫れものに触る」ような扱いになってしまうのでしょうね。その体験を語ってもらう場を設けているというケースは滅多に聞きません。「難しいなぁ」と言われるのは、いわば敗者の傷口に塩を塗りつけるような行為だと感じるからでしょう。

でも新規事業に取り組んだのは(仮にその人たちが提案したのだとしても)社命だったのですから、担当した人たちがこそこそ逃げ隠れする必要はありません。もちろん、事業立ち上げに失敗したのですから、「面目ない」という気持ちは理解できるものです。その感情をよく汲んであげることも必要でしょう。

しかし会社としては貴重な人材と時間を投資したわけですから、たとえ失敗した後でも、いや失敗した後だからこそ、その時点で投資から回収できるものは回収すべきです。それはこの場合、失敗した経験から社内の他の人が学べる「教訓」という情報です。

前回の記事でもお伝えしましたが、新規事業の現場で得た教訓は教科書や社外のセミナーなどでは決して得られない、貴重な1次情報です。新規事業の開発・推進の過程で体験した数々の分岐点での迷いや決断、堂々巡りや勘違いの数々、それらから得られる教訓。成功者の体験話を伝えるセミナーは多いですが、大抵の人には状況が全く異なるため、それほど役に立つわけではありません。むしろ失敗した人の体験談のほうが役立つことが多いと云われます(ただし、失敗談を他人におおっぴらに話す人は稀ですが)。それと似たようなもので、会社としても失敗体験のほうが教訓は得やすいものです。


本音でのQ&Aも期待できます。外部のセミナーでは遠慮して訊けないような、「なぜそこで思い切って投資しなかったのですか」「いや、そうしたかったけど、上層部を説得できなかったんだ」「説得材料を揃えられなかったということですね?」などと白熱した突っ込みも出るでしょう。

新規事業に失敗したばかりの人たちには、必ずといってよいほど「あそこでああすればよかった」などの思いがあります。それらを現在または将来新規事業に取り組む社内の人たちと語り合うことで、2つのグループにとって効果があります。1つは先に述べたように、これから新規事業に取り組む人たちに、用心すべきポイントをより鮮明に伝えることができます。もう一つは失敗したばかりのご当人たちにとっても、より客観的な「出来事の消化」にもなり、前向きになるきっかけにもなるものです。

なぜそんなに確信を持って言えるのでしょうか。実はこうした仕事柄、小生は大企業での経験豊富な方々とお話しする機会があり、そうした場で過去の新規事業での失敗体験をお話しいただくケースが少なくありません。彼らは「もうすっかり時効ですが、部下にはなかなか話せず…」と言いながら、とんでもない失敗を明るく話してくれます。そして失敗を他人に話すことで、その時の自分を客観視できると皆さん仰います。

その意味では、こうした失敗体験の共有化を行うタイミングというものはよく考えるべきです。あまりに時間が経ち過ぎていては細部を忘れてしまっているかも知れません。それでは体験談に迫力がなくなるか、脚色が入りかねません。でもあまりに直後で、本人たちも消化し切れていない状態だと、客観性に欠けます。悔しさが勝って、「あいつが悪い」とか「なぜ本社連中は助けてくれなかったのか」などという恨み節を振り回されても、誰も得るものはありません。したがって、少しだけ冷却期間を置いてから社内共有をするのがベストだと思います。

また、当人が一方的に話すばかりでも盛り上がりませんし、聴講者とのQ&Aばかりでも論点が偏ってしまいかねません。うまくファシリテートしてあげる人がいると、こうしたセッションが有意義な場となります。最初は新規事業の担当部署だけでもいいので、こうした試みを始めてみませんか。

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中国で無農薬野菜の栽培は可能になるのか

11月15日(土)に放送されたドキュメンタリーWAVE(NHK)は「中国の危険な食品」シリーズの 第2回、「 安全をどう確保するのか ~生産現場の格闘~」でした。直前に観た、『クロスロード』(11月15日放送)での無農薬野菜栽培の川田農園の奮闘ぶりと併せて考えると、興味深いものでした。

先日の第1回に続き、今回のドキュメンタリーWAVEは中国における食品生産現場に密着しました。一大野菜生産地である山東省で、「輸出にも耐える安全な野菜つくり」に取り組む農家の様子を追いかけていました。

先頭に立つ蒋忠利さん(33)は、現地で「放心野菜」といわれる安心できる野菜つくりを目指していますが、父親が反対し、先祖代々の農地を使わせてくれません(仕方ないので蒋さんは村から借りた農地で取り組みを始めました)。父親は稼げない中で数量を上げるために農薬を大量に使わざるを得ない実状を身に染みて分かっているため、息子が成功するとは思えないのです。

息子である蒋さんは都市の人々が食品安全を重視するようになっていることに気付いています。豚糞など有機肥料を使った高品質の野菜を、生産組合を立ち上げ、周囲の農家全体で作れば、競争力が付きブランド化も期待できると考えているのです。蒋さんの野菜つくりの取り組みには近所の人たちも期待しており、割安な手間賃で協力しています。

とはいえ手間も掛かり、有機肥料で土地を超えさせるところから始めるのですから、確実にコストは増えます。そして数割の作物は虫食いにやられます(川田農園でも半分程度の野菜は虫に食われるそうです)。消費者アンケートでは半分の人が無農薬なら20%までの価格高でも買うと答えていましたが、さて実際の行動はまだまだ分かりません。消費者の意識が本当に変わればいいのですが…。

中国だけでなく世界が注目する試みですから、何とか蒋さんの無農薬野菜事業が立ち上がることを期待したいものです。

番組後半では、食肉業界での動きを追っていました。日本の畜産技術を取り入れ、日本人好みの肉質を目指して改良を続ける動きが注目されているのです。番組では、輸出用の高品質な牛肉に挑戦する食肉会社を取材。ここは食品の信頼性を高めるため、外部見学者に公開されているそうです。

少なくとも映像で見る限り、衛生管理や音頭管理など、非常にきちんと管理されていました。日本での食肉加工工場と変わりません。心地よい音楽を聞かせながら、牛が自動マッサージ機に身を寄せる姿や、日本の農水省検査官がほぼ毎日検査にやってくる様子も映されていました。これなら安心です。日本への輸出が年10%の成長率というのも納得です。

それにしても、ここの牛肉を使った焼き肉レストランの食事代が一人当たり15千円というのは高過ぎますが…。

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釜石の復興は森の力と人の工夫

11月12日(水)に放送された外人レポータが送るドキュメンタリー番組「TOMORROW」(NHK)は「復興は森から~“地元木材”住宅プロジェクト~」の後編でした。舞台は岩手県釜石市。リポーターはモーリー・ロバートソンでした。

津波は岩手の林業に実に大打撃を与えました。釜石地方森林組合では事務所が流され、組合長をはじめ5名が命を奪われました。さらに最大の卸先だった沿岸の合板工場が壊滅的な被害を受け、八方塞がり。組合は閉鎖の危機に見舞われました。

この状況から釜石地方森林組合を復活させたのは、参事の高橋幸男氏。がれき撤去作業やバイオマス燃料用の間伐材販売で体制を持ち直しながら、森の力で復興に貢献しようと立ち上がったのです。

そこでぶち上げたのは、被災者のために地元の木材を使って30坪1千万円で良質の住宅を建てるというのです。名付けて「地産地‘工’」プロジェクト。地元の木材加工所や設計事務所、工務店に呼びかけたのですが、周囲は大反対。とても可能な話とは思えなかったのでしょう。

それでも同志である建築設計士がデザインを、昔から顔なじみの木材加工所が格安での木材加工を引き受けてくれるのですが、工務店がなかなか手を挙げてくれなかったといいます。一計を案じた高橋氏らはこのプロジェクトで建てた住宅の見学会に工務店経営者を招待し、消費者の生の声を聞かせたのです。途端に参加する工務店が増えたといいます。まぁ現金なものですね。

高橋氏たちが数々の困難に直面しながらも、持続可能な林業の確立を視野に入れて、木材の力を活かした町の復興に取り組んできた姿を伝えてくれました。この調子で林業と地元の復興を果たしてほしいものです。

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春秋の会長は日本に憧れる中国人の本音を掴む達人

11月7日(金)に放映された「島耕作のアジア立志伝」(NHK)は「“中国人の本音”をつかめ」と題し、春秋集団の会長・王正華氏を採り上げました。

春秋集団は中国最大手の旅行会社で、日本でいえばHISみたいなものです。王正華氏(70)は、個人の自由移動が難しかった30年前、個人旅行の時代の到来を予見して同社を創業しました。彼自身は、元々エリート役人だったそうで、その炯眼には感心するばかりです。

その時にはまだ中国人が国内といえども自由に移動できず、航空機搭乗のためにいちいち役所に届け出を出していたそうです。同社がそうした手続きをまとめて行うことで、中国で初めてパッケージ旅行を実現させたのです。その後も同社は続々と好奇心を刺激する旅行商品を作り続け、中国での国内旅行そして中国から(アウトバウンド)の海外旅行市場を制覇したのです。

庶民が次に目指すのは"日本観光"と見て、2010年から茨城・高松・佐賀・大阪へ次々と航空路線を開設。一挙に日本向けアウトバウンド事業を伸ばしています。

反日暴動が起きた際には日本への旅行者が急減したため、往復の航空料金を実質的にゼロにするキャンパーンを実施。しかし「売国奴」呼ばわりする書き込みが同社のHPになされ、さらには会社への投石さえあったそうで、キャンパーンは取り止めになったそうです。

それでも王氏は手を緩めることはありませんでした。日本の地方空港への路線新設や増設を進めているのです。昨今の日中関係悪化にも関わらず、ますます中国人の間で日本への憧れが高まると読んでいるのです。そして実際、中国人の日本旅行者は再び急増しています。王氏は中国人の本音をつかむ達人です。

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夢の“プラズマ”技術の実用化に賭ける研究者

11月9日に放送された「夢の扉+」は「10000℃の水プラズマで未来を照らせ!あらゆるゴミが蒸発!? 10000℃の粒子で未来を拓く!水から“プラズマ”を発生させる新技術を世界へ」という長いタイトルで、“プラズマ”の研究を続ける九州大学工学研究院化学工学部門教授の渡辺隆行さんを採り上げました。

固体・液体・気体のいずれでもない状態、“プラズマ”。この“プラズマ”という粒子の集まりはエネルギーの塊みたいなもののようです。温度が10000℃以上にも達するこのエネルギーを活用すると、金属でもなんでも即座に消滅(分解)されてしまいます。これを応用して、あらゆるゴミや有害物質を、迅速且つ安全に処理する技術を生み出そうとしているのが、九州大学の渡辺隆行教授です。しかもその“原料”は普通の水なのです。

日本国内で出る産業廃棄物の量は、年間で3億8千万トン以上。渡辺氏が取り組む、『水からプラズマを発生させる装置』が実用化すれば、廃棄物処理をめぐる諸問題は劇的に変化します。さらに渡辺氏の研究は、ゴミ処理と同時に、そこから再利用可能なエネルギー「水素」をも取り出すというもくろみなのです。

水から“プラズマ”を取り出すためのエネルギーは小さいのに、取り出した“プラズマ”が生み出すエネルギーは膨大で制御が難しいそうです。その難しい技術に敢えて挑んでいるのですね。日本だけでなく世界のエネルギー問題と産業廃棄物問題を解決するかもしれない潜在力を持っています。非常に夢があり、期待したい技術です。

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新規事業における素朴な疑問(4)再チャレンジへの狭き道

新規事業に取り組む大企業の行動パターンに関する素朴な疑問シリーズ、その4つめは過去に新規事業失敗した人材の処遇法。大いに学習効果が見込めるはずなのに、冷遇してしまう日本企業がまだまだ多い。


新規事業のコンサルティングをやっていると、嫌でも失敗事例に関心が強くなります。クライアント企業に限らず、色々な企業関係者に尋ねることがあります。新規事業を担当している方もいれば、既存の本業を担当している方もいますが、概ねの反応は似ています。「新規事業での失敗事例は多いですか?」とお訊きすると、ほぼ確実に「いやぁ恥ずかしながらウチは山のように失敗を重ねていますよ」といった答が返ってきます(もちろんご当人の体験ではなく、会社としてという意味です)。

そこでさらに突っ込みます。「そうした失敗を体験した人たちは、今はどうされているのでしょう?」と尋ねると、ここから先は企業によって大きく2つに分かれます。一番多いのは、「(失敗した新規事業に中核として)関係していた人たちの多くは、社内の別部門で別の(新規事業以外の)仕事を担当しています」というものです。往々にして付け加わるのが「上の憶えがめでたい(一部の)人は別の新規事業を担当していますがね」という皮肉っぽいコメントです。つまり大半の人は別部署に飛ばされる、という話です。

でもさらに突っ込んで「その(社内の別部署に飛ばされてしまった)人たちには、その後“再チャレンジ”の機会はあるのですか?」と尋ねると、事態はもう少し冷酷になってきます。過去にお聞きした伝統的な大企業では「結局、子会社に片道キップで飛ばされる」というのと、「将来うだつが上がらないことを見越して自分から辞めてしまう」パターンが少なくなかったようです。景気が回復し人手不足が表面化した最近はともかく、この十数年間は一度ミソをつけると復活は難しかったのですね。

でも新規事業が失敗に終わったとき、その事業に携わった人たちをどう処遇するのかは、2つの観点から実に重要な経営判断なのです。

1つは「(参考となる)人材モデル」の観点です。あるいは、後に続く人たちをビビらせるのか、それとも「よっしゃ俺がやってやる」と思わせるのかという、モチベーションの観点です。新規事業には失敗がつきものなので、社内の人材がどんどん挑戦してくれるようにもっていきたいものです。でも一度失敗すると冷遇されるようでは、よほどチャレンジ精神が強い人材しか手を上げてくれなくなってしまいます。実際、小生が知っている某有名企業では過去にそうした慣例があったためか、経営者肝いりの新規事業ながら、中堅(マネジャー)クラスのプロジェクト参加については説得に苦労していました。

実は経営者の方々に聞いてみると、新規事業に失敗した中核メンバーを別部署に異動させるのは、罰を与えるのではなく、むしろ「針のむしろ」状態から避難させるための「親心」的な処遇だったりすることも少なくありません。でも残念ながら社内の他の人たちからはそう見られず、「あ、あの人、飛ばされた」と判断されるのです(当人も、です)。その後、本人に再チャレンジの場を与えない限り、周りは「やっぱり失敗すると片道キップだよな」というように評価し、「暗黙のルール」として社内に定着するのです。

もう1つは、新規事業で苦労した当の「人材の活用」という観点です。そうした人たちは様々な経験を通じて経営センスや交渉スキルなどの面で格段の成長を遂げていることが多いのですが、先に挙げたケースのように全く活かすことができていない企業が少なくありません。これは非常にもったいないことです。

本業では既に事業プロセスや流通が確立しているため、事業担当者たちが悩むのは、新商品・サービスの企画や業務プロセスの改善など、ある意味限定された部分になりがちです。それに対し、新規事業では何から何までゼロベースで構築する必要がある分、事業の価値や顧客へのマーケティングなど経営の本質に関わる部分を根本から考える機会が与えられます。

既存事業では所与だった自社の「看板」が簡単に通じない分野でどうやって価値を創り出し、市場関係者の信頼を勝ち得ていくのか。社内の誰にも分からないため、何度も独自の仮説を立てては検証し作り直す。関係者に尋ねまくって市場の実態やユーザーの本音をすくい取り、試行錯誤ながらも事業の形を作っていく。全て他の事業にも応用できる体験とノウハウであり、そこで得た教訓は教科書やセミナーなどでは決して得られない、貴重な1次情報です。

そして新規事業担当社なら誰でも一度は経験するような、堂々巡りや勘違い。そうした回り道を極力避けるすべも、一度経験した担当者ならある程度身につけているものです。新規事業開発・推進の渦中で苦労した人たちは、「あのような手は絶対避けるべき」「あそこをもっと押せば道は開けたはず」など、何度も頭の中でシミュレーションを繰り返し、「今度こそは」という気概と知恵に溢れているはずです。そのような人材が社内にいるというのに、それを活用しないままでいる(場合によっては社外に流出させてしまう)なんて、何ともったいないことでしょう。

実は冒頭に挙げた、「企業によって大きく分かれる」2つのパターンの残る一つは、こうした失敗体験のある人材をむしろ優先的に次の新規事業の推進に携わらせるというものです。欧米の成功しているベンチャー企業やVCでは主流的な考え方ですが、日本ではリクルート以降の、比較的「新興」に属する企業群でようやく根付き始めた程度かも知れません。でも伝統的な日本の大企業でも是非、試してみる価値のある考え方だと思います。

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中国野菜の危険さはそう簡単に変わらない

11月8日(土)に再放送された「NHKドキュメンタリーWAVE」は「中国の危険な食品 第1回 安全を求めて立ち上がった市民たち」でした。改めて中国の食品問題の深刻さと同時に、何とかしなきゃいけないと立ち上がる人たちもいることがよく分かりました。

今年7月、中国の食品会社「上海福喜」のずさんな食肉加工の実態が明らかになりました。これは日本をはじめ世界に衝撃を与えましたが、中国国内でも「外資系企業の食品でも安全でないのか」と落胆の声が多く聞かれたそうです。

中国では、これまでもメラミン混入粉ミルク(被害者は赤ちゃんです)、肉赤身化剤、注水肉、ゴミ油と違法食品が相次ぎました。中国には「金持ちは特別食。庶民は毒入りで我慢せよ。」という言葉があるほどです。値段の高い安全食品を買えない一般市民は、不安を抱きつつ危険な食品を食べているというのです。ある意味真実でもあるため、ブラックジョークにもなりません。

第一回でスポットを当てるのは、立ち上がった市民NGOです。市場での抜き打ち検査(役所のではなく、商品を買って自主的に大学に検査を依頼しているのです)や、レストランへの衛生管理指導など、地道な活動を続けている姿が映されていました。しかし人々(農家、流通関係者)に染みついた利益最優先の前に、思うような成果は上がっていないことも事実のようです。

出稼ぎ小作農が耕して都市の市場に出荷する農地にNGOの男性が出掛けて、実態を調査していました。化学肥料を使い過ぎているために微生物が死に絶え、土地が痩せてしまったため、余計に化学肥料に頼らざるをえなくなっています。農薬を数種類混ぜてふんだんに使っている(これだけでも危険)だけでなく、中国でさえ製造中止にしている毒性の高い農薬を使っていることも分かりました。指摘されても使い続ける姿には呆れました。

このNGOの調査で分かったことですが、中国の野菜で最も残留農薬が多いのはチンゲン菜だそうです。葉野菜は虫に食われやすいので、農家が余計に農薬を振り掛けてしまうのです。温水でしっかりと洗わないと危険なほどです。

無農薬栽培を実践している農業起業家が上海の住宅地に無農薬野菜を売りに行った様子を映していましたが、普通の野菜の5倍もする値段の、しかも虫食いだらけや姿形がいびつな無農薬野菜を買ったのは外国人駐在員ばかりで、半分以上が売れ残ってしまいました。この農業起業家に雇われて作業を手伝っている近所の農家が「予言」した通り(小生も予想していました)、無農薬野菜でも見掛けが悪いと売れないことも事実なのです。

市民の意識も低いままですし、確かに5倍という値段差は大き過ぎます。言い換えれば大半の野菜は農薬をまぶし過ぎているために虫も寄り付けない状態にしているから手間がかからない、だから安過ぎるのです。本来ならば大幅に農薬を減らし、ちょっと手間を掛けて虫が食わないようにすべきなのですが、儲けのためなら他人の生命・健康を危険に晒すことなど何とも思っていないのが中国の農家の現実なのです(実は日本の農家だって最近まで似たようなものだったと思いますが)…。

中国市民が第一にすべきことは自衛のために野菜をよく洗うことなのでしょうが、同時に農薬が少しでも少ない野菜を選ぶため、生産者が分かっている野菜を買うべきです。そうした市場の圧力しかこの問題は解決できないと思います。

そして日本人消費者のできることは、中国の普通の農家が作った輸入野菜は決して買わないことです。日本企業が減農薬栽培を指導・管理した作物しか日本市場には入れてはいけないと、中国の生産者に対し断固たる姿勢を見せる必要があります。

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ドローン誤爆の急増に米国民は心の痛みを感じないのか

10月28日(火)に再放送された「BS世界のドキュメンタリー」は「アメリカの“新たな戦争”?~無人機攻撃の実態~」。米軍基地から通信衛星を通じて操作する無人航空機=ドローンによる攻撃について、フランス取材班によるものでした。

アルカイダなどのイスラム過激派テロ組織せん滅作戦を続けるUSA。オバマ政権になってから、ドローンによる攻撃が急増しています。ブッシュ政権下で49回だった攻撃回数が、オバマ政権では400回前後にまで至っています。

オバマ政権は、ドローンは「アメリカ兵の命を危険にさらすことなく、民間人の巻き添え犠牲者を最小限にとどめるピンポイント攻撃が可能だ」と強調。対テロ戦争の武器の中核であると位置付けられているのです。

公式には明らかにしていないが、イラク、アフガニスタン、パキスタン、イエメン、ソマリアなど、イスラム過激派組織の勢力が急速に拡大する国々が攻撃対象地域となっているのです。ドローン攻撃は本当に、民間人の犠牲を最小限に食い止め、アメリカ人兵士の安全を確保することができる、新しい形の戦う手法なのでしょうか。

フランスの取材班は「アラビア半島のアルカイダ」に一部支配されているイエメンに向かい、実際の被害を調査しました。現場からの報告と映像、そして関係者へのインタビューによって、ドローン攻撃では実際には誤爆が多く、少なくない非戦闘員(一般人)が(巻き添えになって、もしくは間違えられて)殺されている実態、そして米国に対する反感を以前以上に増す実態が浮かび上がってきました。

誤爆の原因の一つは”signature strike”, つまり特定の怪しい行動が識別されたら攻撃対象となるということなのです。誰がターゲットなのかは攻撃操作する軍人にも分かっていなくてもいいというのです。半分は誤爆だと云われるのもむべなるかな、です。

原題にあるObama’s Dirty Warの意味は明らかです。殺された人の遺族が泣き叫ぶ姿を米軍関係者はどう見るのでしょう。ドローンは生活の向上に役立つ技術ですが、同様以上に殺人に効果的な技術でもあることがよく分かります。

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日本マクドナルドの現場力を壊した、罪深き“原田マジック”

日本マクドナルドHDの2014年1~9月期連結決算は 、売上高が前年同期比12.7%減の1722億円、税引き後利益は75億円の赤字(前年 同期は63億円の黒字)でした。営業利益でいうと前期比97.8%減の2億3800万円でした。最終赤字は11年ぶりだそうです。

チキンナゲット用に仕入れていた中国産鶏肉問題が影響して来店客が減り、「7〜9月期で200億〜250億円の売り上げが減少した」という説明がなされています。しかし来店客数の減少はその前から続いており、「チキンショック」はそのペースに拍車をかけたに過ぎないことが判明しています。つまり顧客にとって、日本マクドナルドの魅力がなくなり、足が遠のいたということです。そしてそれは現CEOのカサノバ社長ではなく、ベネッセに移籍した前CEOの原田泳幸氏に全責任があるといえます。

1月5日に放送されたWBS(TV東京系)ではその辺りが垣間見えました。オーナー会の会長や数人のオーナーが登場し、原田時代に変質した日本マクドナルドの経営について大いに不満をぶつけていました。とある有力オーナーは「原田前会長は、私の店に一度もきたことがなかった」と語っていました。現場も知らず、机上だけで戦略を練り、それを冷徹に実行したわけです。

その結果が「100円マック」で商品価値を下げ、「60秒サービスキャンペーン」で店頭オペレーションを混乱させ、あげくはカウンターからのメニュー撤去で却って時間が掛るようになっています。いずれも短期的にはキャンペーンで評判を取り、効率を上げたりして業績が上げる目論みだったのでしょうが、長い目で見て客離れにつながっているのです。

業績悪化に伴い、現実にオーナー離れが加速化しているようです。衝撃的だったのは、34店舗も持っている最大オーナーが本部に愛想をつかし、全店舗を売却したという話でした。直営店をFCに切り替えてきた同社ではFCオーナー離れは屋台骨を揺るがす話です。

日経ビジネスのシリーズ特集で得々と経営戦略論を語っていた原田氏。強烈なリーダーシップで経営改革を断行、それまで7年間も減少し続けていた日本マクドナルドの業績を11年12月期まで9期連続でV字回復させた現代のカリスマ経営者。その実態は、最もやってはいけない、現場力をやせ細らせただけの短期志向の経営者だったわけです。

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米国民の”No”に対しオバマは行動に移るのか

11月4日に行われたアメリカでの中間選挙の結果、(選挙前の予想どおりではありますが)共和党が上院で52議席を確保して過半数を獲得、下院でも絶対多数を確保しました。これでオバマ政権のレームダック化がますます進むことは確実です。

細かい解説は色々な報道でなされていますので省きますが、要は、米国有権者は「共和党に対しては不満だし、個々の民主党候補者がダメだと考えているわけではないが、オバマ政権に対しての不満を表明した」ということです。

実はこの選挙時点での経済環境は絶好です。シェール革命によりエネルギー価格がぐんと引き下げられた米国経済の競争力は増し、輸出も増え(同時に輸入も増えていますが)、新しいタイプのハイテクサービスやロボット産業が勃興しつつあります。自動車製造業などの旧来の産業の中にも競争力を取り戻しつつあるものが幾つも見られます。そのお陰で懸案の失業率は着実に下がり、今やリーマン・ショック以前の水準まで戻っています。

つまり普通だったら与党が大勝利してしかるべき環境なのです。それなのに米国有権者は何を不満としているのか、客観的には見えにくいものがあります。ニュース解説などでは、米国政府の一時的閉鎖に象徴される「動かない政治」の責任が主としてオバマ政権にあると有権者が判断したといいます。また、対ロシアや対中国、そしてイスラム国などの外交対応のまずさ(オバマ外交の弱腰のせいで外国に付け込まれていると宣伝されています)に国民が愛想を尽かしたとも言われています。

しかし下院で与党が少数派というねじれ議会のために予算や法律が成立しなかったことの責任の過半は野党・共和党が全く審議に協力しなかったせいであることは国民もニュースで見ていたはずです。さらに与党を減らして大統領の手足を縛ることが政治を動かすことにつながると米有権者は考えるのでしょうか。明らかな矛盾です。ましてや外交は相手次第なので、昔のようにすぐ戦争という手段を取れないのであれば、地道に交渉するしかありません。

むしろ有権者は単純に「オバマ不信任」票を投じたとみるのが素直な見方でしょう。とにかく2年間レームダック化しても、オバマ氏に対し「このままじゃダメよ」と断を下した、とみるべきでしょう。さて、オバマ大統領はどういう行動を取っていくのでしょう。選挙を気にする必要はもうありませんが、議会は完全に共和党に握られてしまいました。今までのように「共和党の譲歩を期待する」とだけ言って引っ込んでいるわけにはいかないはずです。これからは自ら共和党や海外首脳と公娼する場面が増えるのではと思います。

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地方建設現場は「外国人労働者の受け入れ」でしか成り立たない

11月1日 (土)に放送された「目撃!日本列島」(NHK)は「“建設バブル”の裏側で~外国人実習生受け入れの現場から~」。そして11月3日放送の「未来世紀ジパング」(TV東京)は「"ニュースが伝えない"外国人労働者争奪戦」。同じテーマで別局がほぼ同時に特集しているわけで、このテーマが注目されていることもよく分かります。

そしてどちらの放送からも、単純労働を目的とした外国人の在留を認めず、労働市場の“鎖国”を貫いてきた日本の実態が浮かび上がりました。

「未来世紀ジパング」のほうは、物流・人材派遣の会社、SBSの会長がミャンマーの秘境を訪れる姿から始まりました。ミャンマーの若者たちを集め、人手不足の日本に派遣しようというのです。この地に学校をつくり、半年かけて教育、日本の建設現場に送る予定です。50人の定員募集に200人以上が応募する人気ぶりです。地元の村には仕事がなく、日本で働きたいと殺到してきたのです。要は「出稼ぎ」です。

「目撃!日本列島」のほうは山口県岩国市の建設現場から始まりました。景気対策や米軍基地関連の工事で空前の“建設バブル”に沸く、人口14万の地方都市です。人手不足を補おうと、外国人を受け入れる会社が増えています。その多くは、国の制度を利用してアジア各国から来た「技能実習生」という形を採っていますが、まごうことなき労働者です。

ミャンマーのようなアジアの途上国の田舎で人を集め、日本の建設現場で「技能実習生」という形で働いてもらう。このパターンが定着しています。空前の建設バブルと、地元の若者の“建設業離れ”による深刻な人手不足の中で、外国人労働者に頼らざるを得ない実態が生まれているのです。

以前なら圧倒的に中国人の「語学研修生」と「技能実習生」が多かったのですが、中国の沿岸都市が発展して母国での割の良い仕事が増えたこと、日中関係が極度に悪化したことで、本当の留学生以外は相当減った模様です。中国人に替わって増えているのがミャンマー・ベトナム・ネパールなどのより発展度合いが遅れている途上国からの「技能実習生」なのです。

しかし「未来世紀ジパング」で採り上げていたように、彼らの出稼ぎ先の選択肢は日本だけではありません。韓国・台湾が有力な競合としてアジアの労働力を求めているのです。韓国なら8年働けるのに「技能実習生」制度の日本はたったの3年(それを5年に伸ばそうとしていますが)です。これでは「出稼ぎ」労働者は韓国や台湾を目指しますよね。

そして「技能実習生」制度の「建前」が双方のすれ違いを強めています。使うほうは「安い労働力」としか見ないし、使われるほうは「技術を教えてもらうはずなのに、安い賃金でこき使われるだけ。しかも国に帰って使えるとは限らない」と不満を高めるケースが少なくありません。

この制度、完全に経年疲労を起こしており、もうそろそろ廃止すべきです。

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コメを愛し国と闘った男が仕掛ける新戦略

10月30日 (木)に放送された「カンブリア宮殿」は「もうひとつの農協を作れ!“ヤミ米屋”と呼ばれた男が仕掛ける農業維新!!」。ニッポン農業界の異色の男、秋田の大潟村あきたこまち生産者協会の社長・涌井徹氏の話です。

八郎潟を1964年に干拓して作られたのが大潟村です。涌井氏も大きな夢を抱き、21歳のとき、大潟村に入植。しかし、その直後に国は「減反政策」を打ち出しました。「猫の目行政」「ノー政」といわれた農水省の一貫性のない政策の典型です。

「米を作る自由」「米を売る自由」を目指し、その後に大潟村の農家が挑んだのは、「減反の強制」「青刈り」「農協によるコメの買い取り許否」など、国と県による嫌がらせと強制による権力との闘いでした。その過程で数人の農家が相次いで自殺しました。青刈りというのは実り切っていない稲を強いて(拒否すると農地を採り上げると脅し)農家に刈らせることです。農家にとってこれほど残酷な仕打ちがあるでしょうか。

一切の財産を処分して入植した若き涌井氏も、「米を作るな」という圧力にさらされることになったのです。生産者協会という名の会社組織を設立し、40年にわたって国や農協との戦いの先頭に立ち、「農家の自主自立」を目指してきたのが涌井氏です。強引な国の「減反政策」と戦う姿は何度も、TVのドキュメンタリー番組で報道されています。

行政との戦いの末、産地直送を始めた涌井氏は、インターネットが普及する前から個人直販にこだわり、コメを売ってきました。涌井が経営する「大潟村あきたこまち生産者協会」の取扱量は、今や年1万トン。「あきたこまち」を個人会員7万人・法人会員7000社に届ける巨大組織で、いまや日本最大級の産地直送の米販売会社です。

契約農家から農協価格より60キロ当たり2000円ほど高く米を買い上げ、自社工場で加工し、独自の販売ルートで販売している大潟村あきたこまち生産者協会。コメの販売が完全自由化となった今も売り上げを順調に伸ばしているといいます。

涌井は、ただコメを安く売ってきたのではありません。コメに付加価値をつける商品開発にも並々ならぬ情熱を燃やしています。 また、安全・安心にも、こだわっています。肥料は有機の米ぬか肥料だけを使い、除草剤の使用は年1回しか使いません。

“儲かる農業”を目指して未来のコメ農家のあり方を考え、それを実現させるべく緻密な戦略を実行する涌井氏は、新たな事業にも挑戦しています。それがパン生地に混ぜるコメでできた商品です。これはなかなか期待できそうです。

日本にも合理的な農業経営が成立し、食糧不足に備えることができる時代が遠からず来ることを期待したいと思います。涌井氏の米への思いと愛情が世の中に広まることを願いながら。

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