2015年を振り返って

2015年に起きた経済社会の話題の多くはかなり情けないものが多かった。日本や世界を代表するような大企業・組織での不祥事、それを誤魔化そうとする醜い動きや言い訳が目立った。東京五輪のエンブレムや競技場などを巡る「仕切り直し」騒ぎもあった。

世界ではもっと深刻な問題が噴出している。押し寄せる難民を巡る混乱やイスラム過激派のテロ事件が欧州の既存の枠組みを揺るがしている。米国民の過剰反応も気になる。ネガティブなニュースのほうが印象に強く残りがちなのは人間の性かも知れない。

一方でTPP交渉の大筋合意という、将来の日本に大きなインパクトをもたらすであろう出来事もあった。また、国産ジェット旅客機「MRJ」の初飛行や燃料電池自動車「ミライ」の一般向け発売など、技術者の執念を伝える、明るい話題も少なくなかった。今日、大みそかには、理研が合成した原子番号113番の新元素が国際的に認定され命名権を獲得したというビッグニュースが飛び込んで来た。

テロの影がちらつく不穏かつ不透明な世の中だが、日本の高い技術力やきめ細かいサービス、そして真摯な思いやりの心は世界で求められている。来年も頑張って参りたい。
スポンサーサイト

テーマ : 社長ブログ
ジャンル : ビジネス

地方の介護施設の人手不足の解消には決定的打ち手がある

シングルマザー/ファーザー世帯問題。これがこの2年ほど、小生の頭の中で最も大きく膨らんでいる社会問題である。社会の高齢化に伴い、様々な形で課題や問題を背負う老人が増えていること、そこに大きなビジネスニーズがあることはよく理解できるし、クライアントにもよく提案・推奨する。

しかし個人的には、次代を背負う子供たちの個々人には全く責任がないのに人生の最初から理不尽なハンディキャップを背負わされていることに、言いようのない哀しさと申し訳なさを感じてしまう。そしてその子たちを支えるべく懸命に働きながら、報われないシングルマザー/ファーザーに対する社会のサポートの不足に一番心が痛む。これはもう理屈ではない。

これはこの1~2年のうちに何とか小生ができることを見つけ、始めたいと真剣に考えているテーマである(宣言です!)。

そんな折、テレビ東京の「ガイアの夜明け」で、思わぬ情報に出会った。人材不足で困っている地方が、企業や施設と、移住者をマッチングしようという動きを紹介してくれていた。

番組では、地方自治体による新たな人材獲得戦略と、都会から地方に移住することを決断した人々の新たな「働き方」を追っていた。そのうちの1つが、ずっと小生が主張し、働き掛け始めていた動きが始まったというのだ。その情報には本当に嬉しさが募った。

島根県で最も高齢化が進む浜田市は、2040年には20〜39歳の女性人口が半減すると予測される「消滅可能性都市」の一つだ。市街地でもシャッター商店街が増えており、通りを行き交うのもお年寄りの姿が目立つのが実情だ。

特別養護老人ホームを映した映像では、足腰が弱り耳も遠くなった60〜70代のパート女性が、さらなる高齢者を介護するという「老老介護」の状態だ。

浜田市は、そんな高齢者介護施設で働いてくれる人材を探すことにした。そのターゲットは「都市部で暮らす、ひとり親世帯」、要はシングルマザー世帯だ。移住者には給与や養育費、家賃補助など、1年間で最大400万円相当の支援をすると発表。すると、3世帯の募集に対して150件を越える問い合わせが殺到した。

実は、これまでの移住者を分析したところ、夫婦がいる世帯に比べ、ひとり親世帯の方が移住後の定着率が高いことがわかったのだという。それは小生の分析でも明らかだ。この募集は正しいポイントを突いたと思う。

今年9月、選ばれたシングルマザーたちが移り住んできた。大阪でいくつかの仕事を掛け持ちしながら中学2年生の息子を育ててきた谷和香苗さん(45歳)。多忙で息子と向き合えない現状を、田舎に移住することで変えたかったと番組で述べていた。

また、名古屋で2才の娘を育てていた立松凛さん(23歳)は、待機児童の問題で娘を保育所に預けられず、そのためフルタイムの仕事にも就けないという状況から抜け出すためにやってきたという。

どちらも切実かつ真剣だ。知り合いのいない新たな土地で、仕事と子育てを両立させながら暮らしていこうとする、シングルマザーたちの覚悟を感じる1時間だった。

特に地方の介護施設はこうした人たちを優遇して定着してもらうことが、自分たちの課題を一石二鳥で解決してくれることに気づくのではないか。

テーマ : 社長ブログ
ジャンル : ビジネス

業界の常識に縛られなければ突破口はある

このところ来年頭から始まる仕事の準備のためにバタバタしており、録画しておいたTV番組を観る時間をなかなか取れずにいる。その貴重な時間の中で食指が動いて観たのが、自分でもメリットがありそうな話。TTV東京のガイアの夜明け、12月15日放送の「〝うまくて安い〟を極める!」だった。

飲食業界は相変わらずの仁義なき戦い、何でも「新規オープンした店の1/3(正しくは1/2?)が一年以内に店を締める」という激しさだそうだ。そんな中、〝うまくて安い〟を極める外食の新潮流を見せてくれたのが今回の放送だ。

採り上げられていたのは2件、シーフード系とピッツア系だ。特に前者が印象に残った。

東京・有楽町のオフィスビルの地下にある、連日サラリーマンで賑わう居酒屋「魚治」。1月にオープンしたこの店のウリは、安くてうまい海鮮料理。高級魚のヒラマサやマグロなどの刺身7点盛りは1426円。1杯8千円はするという毛ガニが2759円。通常の3割安という格安での提供だ。ちょっと信じられない安さで、是非行ってみたいものだ。

安さの秘密は仕入れにある。築地市場大手の仲卸とかなり親密になった人が、その日に買い手が付かなかった魚を仕入れているからなのだ。それは食品メーカーのコンサルタントをしてきたエードットの社長、伊達晃洋さん。

足が折れたカニ、片方に寄ってしまったウニ、大きさが揃わない高級魚、新鮮なのに買い手が付かない、魚のアウトレットだ。「もったいないプロジェクト」と銘打って、魚治の他にも「立天まる」など3店舗を展開している。

伊達さんの故郷は漁師町の島根・島根町。市場に出せない魚が食卓に並んでいたが、幼心に「本当においしいのに、何で市場に出ないのか」と疑問に感じていたそうだ。今はその港で揚がる「もったいない」魚を仕入れて売りさばいているのだ。でもそれだけではない。

「立天まる」を経営するかばはうす社長、松田幸紀さんから相談されたのだ。「天ぷらなので油っこいものばかりで客が飽きてしまい、一人の客が食べる品数が目標より下回っている」と。あっさりするメニューを開発するのが急務となったのだ。

彼はやはり島根の農村を回り、味はいいのに売り物にならない食材(風で折れただけのネギ、モグラが近くを通ったために根が歪になった大根など)を仕入れ、煮物や野菜(例えばトマト)てんぷらにすることを提案したのだ。お蔭で客からも好評で、一人当たりの注文点数は増えていた。これは大正解。

きっとこういうやり方は多くの漁港とレストランで成り立つはずだ。是非、真似でいいので多くの地区で実行して欲しい。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

奇跡のホテル再生物語が教える人間の底力

倒産寸前のホテルを名古屋ナンバーワンの黒字ホテルへと、奇跡の復活をさせた再生物語をテレビ番組で知った。録画してあった「奇跡体験!アンビリバボー」だ(11月19日の放送だということから、随分放ってあったということが分かる)。

主人公は柴田秋雄さん。昭和17年生まれの73才。国鉄の労働組合の役員を長年務め、52才、「ホテルアソシア名古屋ターミナル」に販売促進部次長として転職、後に総務部担当部長となる。

バブルが弾けたあとの日本経済の不況により同ホテルは倒産寸前に追い込まれ、そんなタイミングで柴田さんは「雇用対策室長」、つまりリストラ担当として任命された。150人いる従業員を3分の一の50人に減さなければいけないという汚れ役だ。

ここで彼は予想外の行動に出た。通常のリストラ策とは逆に、優秀な人材ばかり110人を選んで他の企業への転職をサポートしたのだ。これによりホテルに残った人材は、転職する気概も仕事のやる気もなくなっている者ばかりとなったのだ。

ほどなく幹部たちは赤字の責任を取って全員が辞職し、白羽の矢が立った柴田さんは、今度は総支配人に任命される。やる気のない従業員たち、そして信頼関係が崩れた組織。普通は会社が赤字になると経費削減に走るところだが、彼は人を変えてホテルを変えようとしたのだ。

具体的に従業員に対して行った大半は実に地道だ。従業員控室を改装し居心地をよくする。誕生日を盛大に祝う。社員合宿や社員旅行、イベントを企画して、従業員同士の交流や親睦を深めていった。従業員のいいところを見つけてお客様のまえで褒め、表彰する。

ここまでは想像できるが、この後が凄い。従業員のために「アソシアおもしろ学校」という学校を作り、算数・国語・理科などを教える。サークルを作り「劇団アソシア」として1年に1回お客様の前で発表する。会社で心の病になった子がいれば、会社で作った農場へ行き自然と触れ合って会社が直していく。「従業員が会社にいる時間をとにかく楽しくする」 との思いだったそうだ。

柴田さんは「効率化では人は育たない、”会社に来るのが楽しい”と言ってもらえるように従業員もその従業員の家族も大切にしたい、従業員を育てるのが会社だ」という考えだったらしい。同じような言葉を発する経営者は多くいるが、上滑りするケースが大半だ。柴田さんの考えが真実であることはやがて従業員に伝わり、従業員の行動は変わったという。

番組内では幾つかの心温まるエピソードが紹介されており、このホテルが真のホスピタリティを実現した様子が少しではあるが伝わってきた。そしてそれは後に実証されるのだ。

この後、再生過程の同ホテルに試練が訪れる。ホテルとして致命的な食中毒事件を起こしてしまったのだ。普通なら、営業停止、顧客からキャンセルが相次ぎ、経営が危うくなる、そんな事態だ。幸いにも発症者が少なかったため「新聞発表は免れた」と従業員に話したところ、「嘘をつくな、正直に生きろと教えたのは誰だ!発表してくれ」と従業員から言われたのだ。嬉しい反面、柴田さんはとても怖かったろうと思う。

恐々発表したら、今度は“ホテルを守れ”と常連のお客が率先して予約をしてくれ、結果的に営業成績が上がることになったのだ。普段からお客様との信頼関係が出来ているからこその驚き、かつ感動のエピソードだ。

「アソシアホテル名古屋ターミナル」は建て替えのため、2010年9月30日に営業を終了。柴田さんは再び従業員の再就職に尽力した。運営会社も同日付で解散し、同年12月31日付けで清算終了して完全消滅したそうだ。その後、柴田さんは講演活動に集中されていたようだが、番組によると、同ホテルの元従業員は大半が地元のホテルで活躍しており、近々地元で開設される新ホテルに再度スタッフとして集う計画があるそうだ。楽しみにしたい。

それにしても、従業員を使い捨てにする企業が増える中、気力も能力もないとされた従業員をやる気にさせ、会社に来るのが楽しくて仕方ない職場にする、会社として再生させる、なんてまるで夢物語のよう。しかし実際の話だ。

本当に覚悟のある経営者であればここまで人を変えることができ、人を育てることができるということだ。小生のクライアントにも1社だけだが、こういう経営者がいる。彼のために小生はできる限りのことをしたいと考えている。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

「3Dプリンティング」生産方式に向いている分野、いない分野

「インダストリー4.0」で注目される新技術にはピンからキリまであって、中にはITベンダーたちが囃し立ててはいても「表紙を替えただけ」なのではと思わせるものもある。一方で、一般のビジネスパーソンには見えないところで使われ、地味ながら多くの産業の優劣を左右しかねないものもある。後者の代表が「3Dプリンティング」生産方式である。


数年前から注目されている新技術にadditive manufacturingという生産方式がある。「金属3Dプリンティング」とか「3Dプリンター」方式などとも呼ばれ、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)と並んで「インダストリー4.0」を支える大きなポテンシャルを持つ技術として研究・実用化が進んでいる。本コラム記事でも以前に紹介したことがある。

「盛る」生産方式が脅かす地方のモノづくり
http://www.insightnow.jp/article/8412

某大手メーカーの事業変革プロジェクトで判明したのだが、この「3Dプリンティング」生産方式に対する態度には大手メーカーの技術者でもかなりの幅がある。「ほとんど使いものにならない」という全否定派から、「産業構造を根こそぎ変えてしまう」という礼賛派までいるのだ。

そのプロジェクトの中核メンバーが後者の代表だった。課題とされる製造スピードの遅さや機器が高額なこと、もしくは異なる金属材を組み合わせにくいことなどは今後急速に改善され、遠からずニッポンの強みであるモノ造りの構造が根本から変わってしまう、すると自分たちのビジネスモデルが通用しなくなる、と大騒ぎだったのだ。

確かに、継ぎ目のない一体成形ができることで大きなインパクトの製造変革がもたらされる可能性が低くない。しかし彼らがその根拠として挙げていたのは、米国の著名研究家数名がそうした趣旨の発言を繰り返していたためであると分かって、小生はむしろ鼻白んでしまった。製造する製品・部品・部材を区分して、「これはこんな具合に作り方が変わっていくだろう」という分析・検討が行われたわけではなかったためだ。

多少面倒だが、そうした腑分け作業をやってみるとすぐに分かることだが、従来方式で作られていた金属製品・部品がごっそりと「3Dプリンティング」方式に切り替わることはあり得ない。

その一番の理由は「3Dプリンティング」生産方式の構造から来る精度の限界にある。詳細は関連資料をあたっていただきたいが、金属3Dプリンターで製造できる寸法精度は0.1ミリ程度に留まる。これが今後飛躍的に改善しても、「吹き付け」もしくは「溶解」という方法で達成できる限界は、精々0.05ミリ前後だろう。したがってベアリングボールなど、滑らかな面を要求する多くの精密部品をそのまま製造できるわけではない。

ましてやベアリング(軸受)や可動ジョイントなどの稼働部分を持つモジュールは、理屈から言っても一体成形できない。これが2つ目の理由である。相変わらず別々に作った部品を組み合わせざるを得ない。たとえ一部の部品が3Dプリンターで製造されていても、同じことである。しかも高い精度が要求される部分については改めて事前に研磨する必要がある。

それならば機器コストが無闇に高く製造スピードに劣る「3Dプリンティング」方式でわざわざ部品を作る必要はない。相変わらず金型で作り出した金属材を切削し、研磨し、それから組み立てたほうが速くて安いのである。つまり「一体成形」という利点だけで「3Dプリンティング」方式に軍配が上がるケースは、実は礼賛派が言うほど多くないのである。

しかし、だからといって「3Dプリンティング」方式を一時の流行などと捉えてしまうと大きな間違いを犯すことになる。欧米の多くのメーカーが現在、高額な3Dプリンターを導入して、どういう場合にメリットを発揮できるのかを研究中なので、1~数年経つと、この技術を無視していたメーカーたちは泡を食うことになるかも知れないのだ。

「一体成形」と並んで、小生が「3Dプリンティング」方式の最大のメリットとして見ているのは「中空構造成形」である。軽石を思い浮かべていただきたい。ある程度の強度を保ちながらもかなり軽くすることが可能になるのである。

これが大きな価値を持つのが航空機器や自動車、高層用建築材など、軽量化に躍起になっている分野であろう。事実、GEは航空エンジンにこの技術を実用化し始めている。

自動車の部品・モジュールのうちある程度の大きさがあり、薄さと極端な強度を要求されないものについては「中空構造」で問題ないかが一通り検討され、順次実用化されていくのではないか。アルミやチタンよりも安く済むため、有望な軽量化手段としてやがて本格化すると小生は見ている。

とりわけ自動車製造分野で実用化されると、産業のすそ野が広いだけにインパクトも大きい。関係する産業や自治体では、今のうちにこの新しい生産方式への備えを進めていただきたい。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

地方再生の“招き人”たちは今日も軽やかに進む

地域再生。最近、小生も幾つか関わりと関心を持つようになっており、注目しているテーマだ。簡単でないことは、屍累々といった過去10年以上の「実績」が物語っている。また一部の成功例(「ナポレオンの村」など)が過度にもてはやされていることも、逆にその難しさを物語るものだろう。

そんな中、録画してあったTV番組で面白いものを観た。12月11日(金)の金曜EYE(NHK総合 関東甲信越版)で放送された「千客万来 ふるさとに奇跡を! “招き人”大集合」である。知恵と情熱でつまずきのパターンを乗り越えようとしている人たちが紹介されていた。地域再生のヒントになるものだった。

一組めは、正能茉優さんと山本峰華さんの2人組による特産品のプロデュース。若者目線で、地方の特産品のパッケージや売り方を変え、プロデュースするやり方だった。2人は普段はそれぞれ大手広告代理店と情報サービス企業に勤めながら、週末などを利用してプロデュース会社(ハピキラファクトリー)を運営している。蛍光色の枡(外人パーティ用)、ハート型の栗鹿の子、カボチャ焼酎などユニークなものばかりだった。

2人目の招き人は茨城県庁国際観光推進室に勤める役人の女性。外国人観光客を呼び込む取り組みを任されている。国営ひたち海浜公園、鹿島神宮、牛久大仏など地元に以前からありながら注目されていなかった観光素材を外人目線で掘り起し、インバウンド観光客増加につなげている。最近では新たな取り組みとして、海外の学生の修学旅行を招いて、県内の学校を見学してもらい、学生交流を成功させている。面白い(しかも費用対効果も高い)取り組みだ。

3つ目は長野県下條村の村長。U/Iターンに成功し、かつ合計特殊出生率2.03という今どき凄い数値を示す、「子どもが育てやすい村」である。昔ながらの「中央に陳情して公共投資をしてもらう」(これは無駄な投資をしやすいし、地元財政負担が生じて将来世代にツケを回すことになる)というのを止め、インフラは住民がボランティアで整備し、節減した予算で子育て世代の移住を支援する取り組みを実施、成功しているのだ。これこそ身の丈にあった地方再生策だと思う。

4つ目は栃木県鹿沼市でシャッター通りを再生しつつある、都会から流れて住み着いたカフェ店主・風間教司さんである。自らの店の経営はもちろん、店(古着店、雑貨店、レストランなど)を始めたい人に支援を続けている。最初は小さなスペースを格安で貸してトライを始めてもらう。試行錯誤の後、やがて少しずつ商売のコツを覚えて売れるようになっていく。そんなプロセスで新しく店が増えやがて30店になろうとしているという。地道だが凄いことである。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

大学事務局よ、ブラックバイトに対処する責任はあなた方にある

アルバイトといえば学生の小遣い稼ぎで、あまり当てにできない戦力。これは昔の常識。今や飲食業・サービス業を中心に多くの現場オペレーションに組み込まれており、無くてはならない存在となっているのが実態である。しかし学生の法的無知や優しさに付け込んで、とんでもない働かせ方をして恥じない連中がいるのも事実だ。彼らに対処すべきは、学生の味方である大学の事務局である。


ブラックバイト。最近耳にするようになった言葉だ。学生を中心とするアルバイトの雇用・使用において、そもそも労働基準法に違反するやり方だったり、募集時に合意したはずの内容と違った業務をさせたり、もしくは学生なのに過度な責任やシフトを背負わせたりすることによって、学生生活に支障をきたすような労働実態を指している。

その問題事例は多岐に亙っている。例えば「残業代の不払い」や「労働時間の不当なごまかし」、「給料支払いの滞納」など汎用的で法律違反が明白なものもあるし、「(準備作業や事後の報告などに時間を取られるのに)塾で実際に教えているコマ分しか時給がカウントされない」(「コマ給問題」といわれる)などといった業界特有の実態もある。

また、本人の希望を無視したシフトを組まれて授業への出席や試験に支障をきたしたり、バイトリーダーと称して揉め事を収める役割のせいで試験中でも緊急連絡が入る、など学生の身で背負うには重すぎる責任を課されたり、ひどいケースでは売上ノルマを課されて不足分を自腹で補わされたりすることもあるようだ。

ここまで聞いて、小生の世代の人間は大半が首をかしげるはずである。「そんなひどいバイトなら、さっさと辞めればいいじゃないか」と。実際、泣き寝入りしているケースも少なくないそうだが、辞めずに深入りするケースも後を絶たない。

我々の頃とは事情が大きく変わったのである。まず長引いた不況の影響で学生の親が仕送りなどを減らさざるを得なくなった。しかも何故か大学の授業料は高騰し続けてきた。その結果、多くの学生にとってアルバイトは「小遣い稼ぎ」の手段ではなく、学生生活を続けるための必須手段になっているのだという。気に入らないからと簡単に辞めるわけにはいかないと学生は考えがちで、しかも忙しすぎて、次のバイトを探す時間的余裕すらないのだという。

もちろん、絶対的に言えるのは彼らの法律的知識と社会的常識の不足である。不当な扱いを受けて「おかしいな」とは感じながらも、どこがどうおかしいかを指摘できないのだ。社会人の店長・上司が言うのだから法律的にも正しい、未熟な自分が知らないだけに過ぎないなどと思い込んでしまうのかも知れない。

しかし本来なら親御さんや職場外の社会人の先輩、先生方に一言相談すれば済むようなケースでもそれをしていない。よほど世界が狭いのかも知れない。また、得意のインターネットや図書館で調べればすぐに分かりそうなものだが、その時間的余裕すらないのかも知れない。

そうした学生の無知に付け込んで、現場の苦労の一端をアルバイトに押し付けようとしているのがブラックバイトの実態なのだ。

実は無茶な働き方をさせている店長・上司の側にも、法的に間違ったことをしているとか、倫理的に問題のある働き方をさせているという認識がないケースがあるのだから厄介だ。要は社会人とはいえ法的・社会常識的に欠落した人間はゴマンといるということだ。

もちろん、社会常識的にはマズイという感覚を持ちながらも、自らの立場を守るために無知もしくは立場の弱い学生に無理を強要したり泣き落としをしたりしているケースが大半だろう。そして彼ら現場責任者が過剰なノルマや利潤への大きなプレッシャーを感じているという背景があることは間違いない(だからといって同情の余地はないが)。

さらに昔の学生と違って、今の学生は「周囲への優しさ」と「関係性への過敏性」に溢れている。無茶なシフトだと思いながらも、自分が抜けると穴があく、それは誰か他のスタッフ=仲間にしわ寄せが行くため嫌がられる、最終的にはお世話になっている店長が上から叱られる、ならば自分が当面我慢すればいい…と「大人の対応」を自分に納得させるようだ。

一方、大半のブラックバイトを行っている企業の経営者は実態を知らないまま、こうした理不尽な行為を部下に続けさせているのだろうか。…それも考えにくい。ブラックバイトを生むような産業・業態はある程度限定されるのだ。その典型例は飲食店、コンビニ、塾だ。これらの業種は労働問題の常習者なのだ。

特に飲食店チェーンの多くで、日常の現場オペレーションにおいて学生アルバイトを中心に回っている実態があり、社員は店長だけといった具合にごく一部しかいない。数店舗を指導監督する人間は社員だが、店舗はほぼ全員がアルバイトとパートだというようなケースも少なくない。

こうした業態では「ブラックバイト」という新用語の前に、「ブラック企業」というレッテルが貼られているケースが数年前に相次いでいる。つまり元々従業員を酷使し使い捨てにする体質が業界に存在すると考えるのが自然だ。単に現場から正社員がいなくなって、残ったのが契約社員とアルバイトだけ。その結果として「ブラックバイト」に注目が集まっている、というのが典型的パターンなのである。

塾講師にはプロも多くいるが、最近まで現役受験生だった学生は歓迎され、見掛けの時給が良かったりするので人気なのだ。しかし実態は、先に挙げた「コマ給問題」に代表されるように見掛け倒しで、「真っ黒」なのだ。そしてこれは業界ではかなり以前から問題視されていたのだ。

言い換えれば、対象となっている企業の経営者には確信犯が多いのだ。現場からの悲鳴と世間の糾弾が聞こえてからは十分な時間が経っているはずだが、自分たちが直接指示をしていないことをいいことに、最後は「現場が勝手にやりました」と言い逃れができると考えているのだろう。

今年、「ブラック企業大賞」(労働相談に取り組んでいる弁護士や市民団体、ジャーナリストなどでつくられた実行委員会によって実施されている)にノミネートされている企業はその中でも「栄えある」ブラックバイト企業の代表である。

コンビニ最大手のセブン‐イレブン・ジャパン、福井県の消防・防災機器の販売・保守点検サービスの暁産業、外食サービスのフジオフードシステム、靴販売のABCマート、個別指導学習塾「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパン、アリさんマークの引越社関東の6社だそうだ。各ブラック業界の代表選手といってよかろう。

このうちFC傘下のコンビニオーナーの行儀の悪さへの指導が行きわたらないセブン‐イレブンを除けば皆、自らのオペレーションで起きている実態だ。「知らぬ、存ぜぬ」が通じないばかりか、世間からの非難にも耳をふさいでおり、いずれも強者揃いのようだ。

さて、一体こうした事態に対し、わが心優しい行政府はどんな対策を考えているのだろうか。約6割の学生が賃金の支払いなどでトラブルを経験していたことが初の実態調査で分かったことを受けて、厚生労働省は経団連に法令順守を要請するほか、労働法に関する高校生向け教材の作成を検討するなど、対策を強化すると発表したそうだ(2015.11.1付けの産経ニュース)。

しかしこうしたブラックバイトを実践している企業や雇用主のどれだけの割合が経団連に所属していると、厚労省は考えているのだろう。何らかの社会的罰則や強制性がなくて、その傘下に所属しているグループ企業にこうした実態の有無を探らせて、しかも矯正することができると本気で考えているのだろうか。はなはだ疑問である。

また、なぜ労働法に関する教材は、受験という人生の一大イベントを控えた高校生向けなのだろう。どう考えても、これからアルバイトに従事する意欲が満々の大学生に向けて注意を促すのが緊急かつ効果的ではないか。

この厚労省の発表とは別に、ブラックバイト対策の国会質問などで分かったことがある。文科省が全国の大学や高専、専修学校、教育委員会の担当者に対し、学生たちからの相談を各都道府県労働局が受け付けることを学生たちに周知し、大学も労働局と連携を図るよう(昨年の11月25日付)文書で要請しているとのことだ。

これはもちろん必要かつ有用だと思う。しかし約1年前の文科省の文書が効果を発揮していないことは、今年になってもブラックバイト問題が収まらないどころかますます広がっていることからも明らかだ。

では効果的な打ち手は何で、誰が動くべきだろう。第一義的には、大学の事務局だと考える。なぜ大学か?学生の味方は大学なのだから。そしてそもそも大学の授業料の高騰が原因の一端にあることを自覚したら、「それは役所に相談してください」などの逃げ口上は出ないはずだ。

学生からの相談を受け付けて親身になって相談し、毅然とした態度を執るように指導することが最低限、必要だ。そして場合によっては事務局スタッフが相手企業に(まずは電話した上でだが、相手が曖昧な態度を執るなら)乗り込んで抗議し、それでも埒が明かないなら裁判に訴えてでも白黒をつけようという態度を見せるべきだ。

この点に関し、「それはまず親がすべきじゃないか」という意見があろう。自宅から通っているごく普通の学生については小生もそう思う。まず親が相談を受けて、助言し、抗議すべきだ。

しかしこうしたブラックバイトの被害に遭う学生の多くは往々にして、仕送りをしてくれる親に心配を掛けたくない地方出身の学生だという。ならば離れて住む親が、我が子がこうした事態に苦悩している事実さえ知ることは、現実的には難しい。

また自宅通学の学生でも、経済的理由による極端な多忙や他の子どもの養育などの理由で親が子供の相談に応ずる余裕がないことも十分に考えられる。そんな親に相談できないからといって学生を突き放すことは理不尽だろう。

したがって彼らが学業を第一に没頭できる環境に近づけるようサポートする義務かつ現実的可能性を持つのは大学、しかも事務局ではないか(世間知らずが多いとされる大学教員を頼ることは筋違いだろう)。

改めて乞う。大学事務局諸氏には、ニッポンの明日を背負う若者をブラックバイト企業の毒牙から守るため、是非立ち上がって欲しい。言い換えれば、こうしたイシューへの対応次第で、親はその大学の実力と覚悟を評価するのだ、と肝に銘じて欲しい。

テーマ : 社長ブログ
ジャンル : ビジネス

日本の正しさを教えてくれるASEAN南部回廊の道

実に懐かしい景色が映っていた。タイやベトナムの最近の風景である。12月7日に放送された「未来世紀ジパング」の最新版、「池上彰が行く、アジア沸騰街道900キロ!」だ。4周年記念の拡大版スペシャル。

ジャーナリスト池上彰氏が、今年つながったインドシナ半島の「南部経済回廊」を走破するという放送だ。この南部回廊は、年末に発足するAEC=ASEAN経済共同体の大動脈になると見られている、注目の「沸騰街道」であり、その建設には日本があちらこちらで協力している。

今回はベトナム、ホーチミンを起点に、カンボジア、そしてタイのバンコクまで全長900キロを行く道中の映像が映し出されていた。実に懐かしく、そして面白いエピソードがあった。

ホーチミンの路上には相変わらずバイクや車が溢れ、40年前に戦争を終えたとは思えない発展ぶりを示していた。

日本の工場で実習生として働く人たちを訓練する学校で、池上氏が出会ったのは活気あるベトナムの若者たち。彼らが繰り返し学んでいたのは「コクイン(刻印)」といった、日本の工場で使う用語。別の部屋ではラジオ体操をする若者。そして、建物の入り口にはかつて日本の小学校には必ずあった懐かしの二宮金次郎像。ニッポンに留学し働いていたこの学校の社長が、ベトナムと日本をつなぐ熱い思いを語ってくれていた。

ベトナムとカンボジアの国境を越えると、カンボジアの道路事情の悪さが目立った。しかしやがて、のどかな風景の中に巨大な橋が突如出現する。全長5.4キロの「つばさ橋」だ。メコン川を渡すこの橋は、日本の無償資金協力で建てられ、今年4月に開通したばかりの立派な建築物だ。多くの人の足に貢献しているだけでなく、物流に飛躍的なメリットが生まれていたことが語られていた。

ベトナムの港についた荷物が物流トラックに積まれ、南部経済回廊を経て向かう場所、首都プノンペン。着いた場所は経済特区、そこには数々の日本企業が進出していた。そのひとつには日本から送られてきたばかりの古本マンガの山。4000キロ離れたカンボジアに50万冊のマンガが運ばれ、そこで綺麗に再製本され、再び日本に送り返されるのだ。前に一度観たことがあるが、やはり壮観だ。労働者は「ここはペイがいい」と言い、経営者は「ここは真面目な労働者ばかり」と言う。ウィン・ウィンとはこういう関係を言うのだ。

日本が造り、カンボジアの人々に長く使われている有名な「日本橋」。その真横に去年、「中国橋」というもう一本の橋が完成していた。その橋のたもとには両方の橋とも中国が作ったと誤解されかねないような位置に、巨大な中国国旗が掘られた石碑ができていた。これは中国らしい、嫌らしい恥ずべきやり方だ。

かつてカンボジアの最大の支援国だった日本を抜き、中国がこの数年、カンボジアで大攻勢をかけていることは周知の事実。しかしやり方がえげつない。不動産開発も爆発的だ。メコンの小島を埋め立ててできた土地には、あのシンガポールの代表的なホテルを模倣したビルが建設中だ。さらに、海岸5分の1を買い占めるリゾート開発も進んでいた!

番組のゲストも言っていたが、そのうちこの地でも、中国に対するこらえきれない反発が起きて、大きな問題になりそうな気がする。一方、ニッポンは独自の道を行けばよい。

南部経済回廊の道中で映し出されたのは、地雷の捜索活動の現場。カンボジアにはポル・ポト政権以降の内戦時に埋められた地雷がいまだ600万発眠っているといわれ、いまだに犠牲者が後を絶たない。地雷撤去に活躍する地元組織を支えるのは、日本政府。地雷探知機や車両の提供などを行い、地道な地雷除去を支援している。これでよい。日本は儲けること以上に、本当に現地の人たちの役に立つ仕事をすればよい。

テーマ : 社長ブログ
ジャンル : ビジネス

モノづくりニッポンのプライドを背負うMRJ

三菱航空機が開発した国産初の小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)が先月の11日、名古屋空港から飛び立ち遠州灘の上空などで1時間半の初飛行をしたことが全国で報道された。日本のモノづくりに関する、久々の明るい話題だった。ちょうど人気のTVドラマ「下町ロケット」を彷彿させるものである。

国産旅客機の初飛行は、何と1962年8月(日本航空機製造のプロペラ機「YS‐11」)以来の53年ぶりの出来事だった。

MRJプロジェクトは2008年3月での事業化の正式決定以来、苦難の連続だった。当初は11年に初飛行を予定していたが、設計見直しなどで延期。試験飛行機は昨年10月に完成したものの、操舵用ペダルの改修などで5度目の延期。どうなるものかと危ぶまれていたプロジェクトなのである。当初計画から4年遅れとはいえ、この成功が初号機納入に向けて弾みとなることは間違いない。

だが、前途にはいくつもの高いハードルが待ち受けている。

最大の難関は、日本や米国など国内外の航空当局による安全性に関する「型式認証」の取得だ。型式証明をパスするには強度や装備など400の項目をクリアしなければならない。17年4~6月にANAホールディングス傘下の全日空に量産初号機を納入する予定になっており、この納期を守るためには、17年春までに型式証明を取得しなければならない。

型式証明を取得するには約2500時間の試験飛行が必要とされるため、三菱重工は今後、地元の名古屋空港ではなく、飛行頻度に制限の少ない米国での試験飛行という「裏技」を繰り出すそうである。日本の航空当局の担当者は米国への頻繁な出張を余儀なくされるので、予算増を申請中だという。少々滑稽だが、三菱重工の覚悟も伝わってくる。

こうした苦労も、MRJが国際商戦で勝ち抜いて受注を積み上げることができれば、笑って振り返ることができるエピソードとなる。しかし航空会社相手の売り込みというのは、三菱重工のような「内弁慶殿様」にはかなりタフな仕事だ。航空機関係の展示会での様子を放映した番組を観たことがあるが、現物ではなく模型で造りや使い勝手のよさを説得する社員の奮闘する姿についエールを送ってしまった。

これまでの受注は、全日空、トランス・ステイツ航空、スカイウエスト航空、イースタン航空、マンダレー航空、日本航空の6社から407機(確定223機)という。しかし昨年8月を最後に新たな受注はゼロ。欧州からは1機の受注もないそうだ(2015/12/1時点)。目標の1000機の受注にはほど遠い姿だ。

初飛行の延期がこれまで5回もあったことが響いていることは間違いなく、航空会社が購入に慎重になっていたことを示している。

いくら燃費がよいことをアピールしようとしても、「でも実際に飛ぶのはいつ?トラブルが起きないか、よく実績を見ないとねぇ…」と言われれば、すごすごと引き下がるしかなかったのだ。何といっても実績・経験と整備サービス体制が一番モノをいう世界なのだから。

それがようやく初飛行に成功したことで、ここからは本格的な商談が期待できる。ニッポン製の部品は意外と少なく、世の中やマスメディアが報道するほど地元経済に恩恵をもたらすボリュームは期待しづらいが、それでもニッポンのモノづくりの象徴の一つにはなり得る存在だ。頑張れ、MRJ!

テーマ : 社長ブログ
ジャンル : ビジネス

最新記事
月別アーカイブ
プロフィール

austintex

Author:austintex
FC2ブログへようこそ!

カテゴリ
最新トラックバック
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR