地域再生リーダーの覚悟と率先垂範は旅館でもスキー場でも同様

ここ数年、地方に根差す金融機関や行政、それらと深い関係を持つ企業と時折、地方再活性化のやり方について案出しをしたり、議論をしたりする機会が増えている。

「○○総研」の連中のように一律の答などを用意しておくわけには意地でもいかないゆえ、その地域にしかない自然や伝統が持つ「ストーリーに根差す価値」に注目してもらうようにアドバイスすることが多い。いずれにせよ地域の人たちが脳と体に汗をかいて「オラが街」のために力を尽くすしか本当の町興しはありえないと思う。

そんな中、テレビ東京のカンブリア宮殿で興味深い放送が続いた。2月18日放送の『温泉街を一変させた老舗宿のアイデア主人!地域の歴史と個性で世界の客をつかめ!』と、2月25日放送の『斜陽産業にチャンスあり!異色のスキー場再生請負人』だ。

前者の主人公は、神戸近郊の有馬温泉の老舗旅館『御所坊』のご主人、金井啓修(かない ひろのぶ)氏だ。有馬温泉は長い伝統があるが、バブル崩壊で客足が低迷、一時、宿泊客は年間100万人にまで落ち込んでいた。それが今や170万人を超え、以前皆無だった日帰り客も多く押し寄せている。この大逆転の仕掛け人が金井氏だ。

20代の頃は画家志望。しかし一念発起して故郷に戻ってからは低迷する家業を復活させるために戦略的に考え、あらゆる努力を尽くした。当時全盛だった大規模旅館で団体客を狙うのではなく、個人客にターゲットを絞った大改装に乗り出す。谷崎潤一郎や吉川英治など、宿に泊まった文人の書などを展示し『御所坊』にある“物語”を付加価値としてアピール、単価の高い宿に一変させたのだ。

そんな経験を経て、低迷していた温泉街再生のリーダーとして注目を集めるようになり、有馬に眠る様々な物語を発掘し、観光資源に変えていった。喫茶店にベーカリー、和風ホテル、アロマ、おもちゃの博物館まで、町中に様々な施設を作り上げ、ひなびた路地にすぎなかった温泉街の通りを大賑わいの散策路に一変させ、街に活気をもたらしたのだ。

地元の人たちが彼に感謝する言葉が印象に残った。「自分の旅館のことだけでなく、有馬全体としてどうあるべきかを常に考えていてくれる」と。地域のリーダーとはこういう人たちだ。体を張り、知恵を使い、まず自分が動く。そして見本を見せて周りを巻き込むのだ。

後者の主人公は、(株)マックアースの代表取締役、一ノ本達己(いちのもと たつみ)氏だ。スキーは斜陽産業と言われる中、次々と不振のスキー場を再生させているのが同社だ。初参入から、わずか8年で日本最大のスキー場運営会社になった。

元々は、兵庫県ハチ高原で家業のスキー場のロッジを経営していた一ノ本氏は国体のスキー選手でもあった。小学生の合宿に力を入れ、夏は自然学校、冬はスキー教室を営んでいた。「自然を売る」と決断した結果だ。他のホテルがバブル期に若者相手に商売し、スキーブームの終焉で売り上げを激減させる一方で、学校相手の商売が幸いして、一ノ本氏のホテルの売り上げは伸び続けた。スキーに対する造詣の深さとその経営手腕が評価され、「不振のスキー場を再生して欲しい」との依頼が飛び込むようになったのだ。

一ノ本氏の再生術は、「雪が降れば客が来る」と殿様商売だった普通のスキー場とは違う。各スキー場の個性を際立たせることだ。札幌市郊外にある「スノークルーズオーンズ」がその代表。札幌近郊にありながら規模が小さく、廃業が決まっていた。そんな中で再生に乗り出した一ノ本氏は、競合する大規模なスキー場と差別化するため、フォットネスクラブ代わりに使ってもらうため、6万円だったリフトのシーズン券を3分の1に下げたところ、販売数は5倍以上になった。

岐阜の「ダイナランド」では、毎晩11時までナイター営業に踏み切り、今シーズンからは30万個のLEDを使ったイルミネーションを始めた。新たな感動を作ることが、スキー場に再び人々を惹きつけるのだ。

一ノ本氏は言う。「産業がない山間地域にとってスキー場ほど貴重な観光資源はない」「元々出稼ぎ地帯だった地域からスキー場を奪ってしまっては地元に職はなく、地域は崩壊してしまう」と。この危機感と使命感が、彼の信念の積極策につながっているのだと思う。
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不動産業界の悪弊は業界体質に根差すもの

個人的に所有する不動産をどうするかに関心を持つようになっている上に、マイナス金利時代を迎え、支援する企業の多くがその影響を被ろうとしている。

そんな中、WBSの独自調査「不動産業界の暗部」が注目すべき内容だ。第1弾は2015年5月の「物件の囲い込み」だった。不動産仲介会社が物件情報を共有する共通データベース「レインズ」に載せている物件に対し、他社からの問い合わせがあっても「商談中」とウソをつき紹介をしないことを指す。

囲い込みが行われるのは、売却物件について、自社で買い手を見つけると他社からの買い手に売却するより手数料が増えるためだ。悪質なケースでは物件が値下がりしても、自社の買い手に拘り、囲い込みを続けることがある。最も被害を受けるのは売り主だ。この囲い込み行為は業界の長年の悪弊で、WBSの独自調査でもその疑いが深まるばかりだった。政治家からも囲い込みをなくす動きがようやく始まったはずだったが、日経ビジネスの最近号でも同様の記事が載っていたところをみると、あまり実態は変わっていないようだ。

WBSの第2弾「おとり物件」が昨夜放送された。これは賃貸物件などで「成約済み物件」を「空き物件」と偽り、客を店に呼ぶ手法のこと。宅建業法や景品表示法に違反している。番組によると、都内の不動産会社ラインズマンは自社の管理物件の中で「募集を終えた物件」を不動産情報サイトに無断掲載された。ラインズマンは、これを掲載した業者ネクサス・ジャパンをブログで告発。この会社はWBSの取材に「認識の甘さで引き起こされた事態で深く反省。全件再確認で再発防止に努める」と回答。またネクサス・ジャパンが看板を掲げる「アパマンショップ」の本部は「再発することが無いよう加盟企業への指導を強化する」と答えたそうだ。

番組にコメントを求められたラインズマンの門傳社長は、おとり物件にだまされないためには「見たい物件を現地待ち合わせにすること」と答えている。またベンチャー企業の「イタンジ」が手がけるノマドでは、個人がおとり物件を調べられる機能があるという。これは使っておくべきと感じた。

それにしても、こうした一部の例外を除き、この業界の体質はなかなか変わらないものだと愕然とする。

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オーナーが同居しない空き部屋シェアリングは規制強化せよ

「シェアリング・エコノミー」の代表例は配車サービスのUberと、空き部屋シェアサービスのAirbnbである。いずれも日本市場に上陸済だが、かなりの注目を集めると共に、ちょっとした論議を呼んできた。Uberについては別の機会に回すとして、本稿で採り上げたいのはAirbnbのほうだ。コミュニティにとってのセキュリティの観点から考えてみよう。

「シェアリング・エコノミー」が新しい潮流として世界的に注目されている。欲しい人のために新たにモノを仕入れる代わりに、既に所有している人と必要とする人をつなぐことで、もしくは共同で保有することでニーズを満たすというコンセプトの、有望でユニークなビジネスモデルが続々と生まれている。資源の無駄使いを避けてサービスが提供でき、社会的にも望ましいものだ。

ウィキペディアには、「Airbnbとは、宿泊施設/民宿を貸し出す人向けのウェブサイトである。世界192カ国の33,000の都市で80万以上の宿を提供している」とあり、既に世界中に普及している人気サービスであることが分かる。

Airbnbのビジネスモデルは、宿泊スペースを借りたいユーザー(ゲスト)と、宿泊スペース物件を持つユーザー(ホスト)をつなぐeマーケットプレイスである。取引する「商品」は宿泊スペースというわけだ。ゲストもホストもそれぞれあらかじめ登録(無料)しておく必要がある。価格はホストが自由に設定でき、予約料金に応じてAirbnbは手数料を受け取るというのが基本的な収益モデルだ。

Airbnb自体は宿泊スペースの在庫を持つ必要がないため、非常に低リスクだ(本人確認や保険など色々と担保する必要はあるが)。そして元々誰も使わない空き部屋を個人が貸し出すのだから、格安に提供され、若い旅行者を中心に世界中で大ブレークしたのである。

Airbnbは日本市場への進出においても様々な軋轢と批判を生んでいる。「防火・防犯の備えのない施設が貸し出されて危険だ」といったゲストへの心配の声や、「あまりに安いので、旅館や民宿・ペンションの経営が打撃を受ける」という既存業界側からの反発があるのは、他の国と変わらない。旅館業法に実質的に違反する人たちに小遣い稼ぎの手段を提供しているのだから、フェアに言ってもこのビジネスはグレーな性格を帯びている。

しかし日本で一番批判が強いのは、一般マンションの部屋がAirbnbで貸し出され、外国人旅行者がゲストとして利用する場合である。いわく「しょっちゅう違うガイジンたちが出入りして気味が悪い」とか、「隣の部屋でほとんど毎晩パーティをやって騒ぐのでうるさい」「曜日に関係なくゴミ出しがされて、しかも分別や置き場所がデタラメ」などといった苦情が絶えないそうだ。

1つ目の苦情には人種の違いに対する偏見が含まれているようなきらいがあるとはいえ、本来不特定多数が出入りすべきでない住居用マンションの住民からすれば不用心であることは間違いない。また、2つ目と3つ目に関しては迷惑以外の何物でもなく、とんでもない話である。今、都心近くのマンションの住民理事会では不逞のオーナーにAirbnbを利用させないよう防御策を検討するのに大わらわだと聞く。

そもそもなぜこんな事態になっているのか。このマンションでの苦情はどうやらアジア地域、特に日本でひどい問題になっているらしい(欧米にはそれぞれ別の特有な問題が発生している)。

Airbnb上で実際に貸し出されている日本の宿泊場所、特に東京圏の物件はアパートかマンションが大半である。一軒家の一部屋を貸すというのは稀だ。マンションの部屋を貸すのも「まるまる貸し切り」というタイプが圧倒的に多い。つまりオーナーが住んでいるわけではなく、貸し出し専用となっていると推測されるのだ。

不動産関係に詳しい知人の解説では、オーナーの多くは投資家だそうだ。都心の住居用マンションを買っている投資家には目先が利いている人たちがいて、普通だったらとっくに転売もしくは2年単位での賃貸へ転換するところを、さらに値上がりを待つ間にAirbnbにて貸出すことで日銭を稼いでいるのだそうだ(「オレもやろう」と考えたアナタ、都心のマンションは既に値段がつり上がっていてリスクは小さくないですよ!)。

台湾の友人によると(彼も中国人の友人から誘われたそうだ)、実はこの投資家たちの少なくない割合が中国人の富裕層や役人の家族であるらしい。彼らは昔からの知恵で、資産ポートフォリオとして海外不動産に投資をするのに積極的だ。それに加えて、いつ国外逃亡する必要があるかも知れず、また子息を留学させるかも知れない等、複数の理由が常にあるらしい。

日本の大都会の不動産を購入した彼らは、それをAirbnbにて貸出すことで地道に利回りを稼ぐ構造を作っているのだ。とりわけタワーマンションは眺めがよいため、特にアジアからの旅行者に人気が高いという。

普通だったらこういうビジネスは日本では、問題が大きくなった時点で規制当局から摘発されてポシャってしまう。しかしAirbnbには運も味方している。

日本経済が低空飛行を長年続けてきたため、ホテル業界は大市場の東京でさえ大規模投資を躊躇してきた。そんな中で景気が回復した上に海外からの旅行者数が予想以上に急速に伸びてきたため、東京都心では宿泊ニーズを満たすだけのホテルの供給量が絶対的に不足している。そのため国内のビジネス出張者が当日だと宿が取れずに、都心から大きく離れた立川辺りに宿泊せざるを得ないという事態が生じているのだ。

この状態で東京オリンピックを迎えたら、国内外からの旅行者からは大ブーイングを食うだろう。国内の出張も制約されてビジネス停滞の恐れさえ生じる。アベノミクスの第三の矢にとってボトルネックになりかねないのだ。

そこで政府が振った「打ち出の小槌」が、Airbnbを念頭に置いた「民泊条例」を東京や大阪などで成立させることだ。つまり従来の旅館業法はそのままに、特定地区(国家戦略特別区域)においてのみ例外扱いを認めるというものである。まずは大阪と東京都・大田区で始まっている。

この内容は色々と報道されているのでここでは細かく触れないが、大まかにいえば、25平方メートル以上の部屋であれば、旅館業としてではなく「簡易宿所営業」として許可を取り、7~10日以上の連泊をさせるならばOKということだ。ただし、そのためには保健所の許可も取らないといけないし、消防法令への適合、つまり消防用設備等を設置すべくかなりの改装も必要となる。さらに宿泊者管理のために宿帳を常備して、宿泊者に記入してもらわなければいけない。

明らかな問題点として、従来Airbnbで貸し出されている物件の多くがこれに該当しそうもなく、かといって大掛かりな改装をやるとも、そして宿帳を備えるとも思えず、中国人オーナーだけでなく日本人オーナーでさえほとんどが無許可で営業を続けるだろう。したがって、マンション住民の被る迷惑問題は解決されないまま続きそうだ。

実はこの「民泊条例」が固まる前の段階では、日本の当局がホテル・旅館業界からの圧力に屈してAirbnbを厳しく規制するのではないか、実質的に違法営業しているホストたちを摘発するのではないかという噂が飛び交っていた。しかしAirbnbのロビー活動に押された(?)米国政府からの圧力と、日本国内の「インバウンド促進派」の人たちの規制緩和の大合唱に、緩めの規制に留まる「民泊条例」が施行されることになったという経緯がある。しかしこれで本当によいのか、小生は素朴な疑問を持っている。

Airbnb利用でも、ホストが同じ屋根の下で生活しているハウスシェアリングもしくはルームシェアリングの方式だったら全く問題はない。万一火事などが起きたとしてもホストがゲストを叩き起こすので、消火器が備えつけられていなくても焼死体となることはまずなかろう。

後で近所の人たちから苦情を言われる鬱陶しさを考えたら、あらかじめゴミ分別やゴミ出しの仕方についてもオーナーであるホストがきちんと教えるだろう。真夜中までバカ騒ぎすることも控えさせるだろう。

しかし同じAirbnb利用でも、ホストが遠く離れた星の下で暮らしているような「まるまる貸し切り」タイプの場合、先に挙げた全ての問題(火事への備え、ゴミ出し問題、夜中の大騒ぎ)が生じる可能性は否定できない。

しかも仮に犯罪者を連れ込んでいても誰もチェックできないのだ。法務局の人は「空港などの水際でテロリストも犯罪者も入国拒否できる」と強弁するだろうが、日本国内で罪を犯した人間が、警察に知られずにしばらくは逃げおおせる場所が一杯あるということなのだ。

つまり日本での今のAirbnbの使い方はコミュニティとしては全く望ましくないのだ。たとえ「民泊条例」に沿っていても本質的には同じだ。問題とすべき点は、「民泊条例」が気にしているような広さや衛生面ではなく、防犯・迷惑防止といった観点なのだ。

ではどうすべきか。シンプルである。ホストが同居するタイプの部屋貸しは補助金を出してでも促進する。一方、ホストが同居しない「まるまる貸し切り」タイプの営業はかなり厳しく規制し、入口でのリモート監視・録画機能も必須とし、犯罪者や怪しげな連中を部屋に引き入れることができないようにするのだ。

防火・衛生関係の条件と相まって大幅な設備投資を余儀なくされることは仕方ない。この規制を無視して無許可営業を続けるオーナーは粛々と摘発して罰金を徴収するのだ。

日本に居住しておらず、裁判所の通知・通告を無視し続けることになる外人オーナーたちも容赦する必要はない。罰金すら払わない場合、最終的には当該の不動産を競売に掛けて物納させればよい。彼らの大多数は賢いから、素早く不動産を転売するか、別の商売に鞍替えするだろう。TPP発効前なら、ISDS(国家と投資家間の紛争解決)条項に引っかかって国際的な問題になる事態は避けられるので、条例の修正を急ぐべきだ。

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西武信金の逆張り戦法に注目!

昨年から、地域金融機関の課題解決をテーマとするプロジェクトが続いている。今もある信金さんを支援する仕事の真っ最中である。そのため、どうしても関連するトピックには関心が向くようにアンテナが立っているようだ。

昨日のテレビ東京のWBSでは、「西武信金 預金金利「引き上げ」 なぜできる?」というトピックが目を惹いた。案内文は次の通り。

<< 西武信用金庫は3月1日から定期預金金利を3年物・4年物で0.01%、5年物で0.02%引き上げます。日銀のマイナス金利政策の導入を受け銀行などが預金金利を引き下げる中での引き上げとなります。西武信金は企業への貸し出しが右肩上がりで増えていて、その収益で預金金利の引き上げ分を補てんします。西武信金は一部、個人向けの営業を少なくし、貸し出し先の企業を開拓するためにコンサルティングや経営支援などに力を入れています。資金は日銀に預けている当座預金のうち金利がつかない分とマイナス金利が適用される分の約270億円を引き出し、企業の融資に回します。 >>

すなわち、「預金は思い切って利上げして注目を集めることで(薄利多売方式ながら)手間を掛けずに集める」一方で、運用としては①個人向けは放っておいても住宅ローンなどが増えるのであまり手を掛けずに、②むしろ本来の企業融資に力点を置いていく、という戦略だと見受けた。

ほとんどの金融機関が利下げを行っている中で西武信金だけがわずかとはいえ利上げするので、一般の預金者は大いに共感を覚え、西武信金に預金シフトをする人が増えそうだ。「逆張り」はやはり目立つ。

しかも日銀に預けている当座預金のうち、金利が付かないもしくはマイナスになる分のお金は引き出す(どうも日銀に対する嫌みを感じさせるが)というのも小気味いい。非常に正しい戦略である。

多くの金融機関がこうした行動に出れば、そして新たな融資先が開拓され、新興で元気はあるけど信用力が低くて今まで資金が不足していたため思いっ切り暴れることができなかった企業の活動が刺激されれば、景気回復が確かになるだろう。

ただし実際の融資現場では(本部の戦略的意図とは違って)、ベンチャー的な(信用力は低いがやる気のある)新興企業に営業の矛先が向かわず、放っておけばむしろ優良企業に融資部隊の営業攻勢が向かい、結局は金利引き下げ競争が過熱するだけに終わるケースも少なくないだろう。

そうならないようためには、如何に営業活動の矛先を新興企業の開拓に向かわせることができるかがポイントとなろう。営業への戦略の説明・浸透だけでなく、インセンティブをつけてメリハリをつけることが肝要だろう。

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記事原稿を書き終えて

ある機関誌から依頼され、介護に関する論考記事を2週間近くかけて書いた。

似たようなコラム記事は過去に書いていたので、ネタは十分あった。しかしそのまま足すのでは芸がないため、業務改革アプローチに沿って再構成したのがミソである。

つまり現状把握→ボトルネック特定→原因究明→解決策の提示という順に論を進め、解決策(仮説)としては実践的かつ業界としてはユニークなもの(しかし他業界ではそれなりに実績のあるもの)を多く挙げておいた。

そこまで書くと、何かスムーズに済んだように聞こえるが、かなり悪戦苦闘したというのが事実。初稿はすぐにできたが、何せかなりのページ数で、大幅な字数オーバー(規定の倍近かった!)であることが明らかだった。

それから省ける段落や分析部分をばっさばっさと切り捨てること数日(何せ、コンサルの仕事の合間にやっているので、一日に掛けることができるのはほんの小1時間程度)、かなり大胆に実行した。

それでもまだまだ大幅オーバーだったので、そこからは表現の見直しや、修飾用語を省いたり買えたりして、細かく推敲を重ねた。当然ながらこれが随分と手間と日数を取り、お蔭で風邪までひいてしまった。まだ完全に復活していないまま、締め切りだった昨日を前にようやく完成。正直、大変だった。

最近コラム記事を書くのにこれほど苦労していなかったのは、字数制限がないからだと思い知らされた。そう考えればリアルの記事を書くのは数年振りだと気づいた次第である。いやはや少々情けないが、とにもかくにも書き終えてよかった。雑誌の発行は4月だそうである。

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ブラック企業をのさばらせない

最近の小生の関心事の一つはブラック企業の行く末だ。以前にコラム記事で予言した通りになりつつある。
人手不足時代には人材使い捨てと単なる安売りは通用しない

ワタミやゼンショー(すき屋の運営会社)などの飲食業が典型だが、利益・売上至上主義の体質がまん延すると、社員・パートを人とも思わずこき使う。すると悪評が拡がり、募集しても人が集まらず、やがて店舗運営が崩壊する。それが表面化すると客足が途絶え、経営的に大きなダメージを受けて、初めてようやく間違いに気づく。愚かなことを多くの企業が繰り返している。

飲食業だけでなく、小売業でも輸送業でも同じだ。小生が最近注目しているのは介護業界だ。ただ残念ながら、客である利用者が簡単にスイッチできず、それが悪徳業者(福祉法人の名をかたっているが実態はひどいのも少なくないと聞く)をのさばらせてきたのだ。しかしスマホとSNSが普及したことで、悪評が拡がりやすい環境が整い、そろそろ彼らも年貢の納め時が近づいているようだ。

2月09日放送の「ガイアの夜明け」はいつもと趣向が違っていた。題して『密着!会社と闘う者たち 〜"長時間労働"をなくすために〜』。組織的に〝長時間労働〟を強いるブラック企業と闘う人たちの姿を追っていた。

前半の主人公は、長時間労働が疑われる大手企業を対象に、全国にまたがる"大規模事案"を専門で取り締まり、悪質な場合は刑事事件として摘発する国の機関、「過重労働撲滅特別対策班」通称「かとく」。メンバーは10年以上の経験を持つ労働基準監督官のエキスパート。改ざんされた出勤簿のデータの復元など、特殊ケースにも対応する。悪質な場合は刑事事件として摘発する。番組では、この「かとく」を10ヵ月に渡り密着取材したのだ。

2015年4月に厚生労働省で発足、2015年7月にはその第一号案件としてABCマートを書類送検。残業代の未払いではなく長時間労働そのものを罪に問う、画期的な事案だった。そして次に秘密裏に捜査を始めたのが、全国展開する日本最大級のディスカウントチェーン「ドン・キホーテ」。これまで全国各地の労働基準監督署から40回以上も是正勧告を受けながら、全社的な改善が見られず悪質だ。監督官たちは、「店舗の内偵」「本社や関連会社の家宅捜索」「押収品の分析」などを駆使し、実態を暴いてゆく。"労働Gメン"の闘いは迫真ものだ。

後半は、一個人の勇気ある闘いを描いた。全国チェーンの引っ越しサービス会社、「アリさんマークの引越社」は日本各地で30人近い元従業員から集団訴訟を起こされている、ブラック中のブラック企業だ。中でもAさん(34)は、現役社員として働きながら会社と闘っている唯一の存在だ。

Aさんの訴えは「月300時間を超える長時間労働」と「残業代の未払い」、さらに車両事故の高額な弁償金を社員個人に負わせる「弁償金制度」だ。長時間労働の上に、その疲労から事故を起こせば弁償金を背負わされ、さらに働かなければならない悪循環。

Aさんは会社に是正を求めるため、労働組合に加入し団体交渉などを通して問題を解決しようとした。しかし直後に会社側は、Aさんを「シュレッダー係」に異動させ(この際の上司の罵倒の言葉が録音されており、ひどいものだった)、その後「会社の情報を漏らした」と言いがかりをつけ、一方的に懲戒解雇を言い渡してきた。しかしAさんが不当解雇として弁護士に駈け込むと、とたんに復職を通知してきたという。残念ながら会社の態度は変わらず、Aさんは相変わらず「シュレッダー係」のままだ。

こうした事情については、Change.comで小生はたまたま知っていた。こうした行為に関する取材に対し、企業側はAさんへの対応の正当性を訴える。しかし客観的に見ればこの会社はブラックそのもの。抗議行動をするデモの人たちや取材者に対する態度もヤクザ者そのものだ。この放送が全国に流れた今、この会社に引っ越しを依頼する客は激減し、この会社に応募する働き手は消え失せるだろう。

今、労働組合とAさんは東京都労働委員会や裁判を通して闘いを続けている。引越社からの歩み寄りはまだないようだが、いずれ腰砕けになって和解を申し入れる羽目になるか、その前に会社が倒産するかのいずれかだろう。

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奇跡のパン屋は地域のコミュニティー

美味しいパン屋が近所にあれば誰でも嬉しいに決まっている。我が家でも朝ごはんにパン食が週2~3日のペースだ。しかし結構、どこのパン屋で買うかは浮気する。

2月4日放送のカンブリア宮殿は「地元にあった奇跡の店」SP 第1弾『地域住民の幸せを膨らませる奇跡のパン屋』。この日フィーチャーされたのは千葉県船橋市周辺に展開するベーカリーチェーン「ピーターパン」の社長、横手和彦(よこて かずひこ)さん。

「この地域に住む理由のNO.1」「この店があるから引っ越ししたくない」。地元住民にここまで言わしめる大人気のパン屋、「ピーターパン」。人気の理由はまず、徹底的に“焼きたて”にこだわっていること。しかし地元客からここまで愛される真の理由は、家族皆が来ても楽しめる店づくりだ。コーヒー無料のテラス席は、地元住民の憩いの場。さらにクリスマスや餅つきなど季節ごとに採算度外視でイベントを開くなど、街のコミュニティーの場となっているのだ。これには感心するしかない。お蔭で6店舗ながら年商18億円。1店舗あたり、通常のベーカリーの10倍という驚異的な売り上げを誇る。

ピーターパンの店内には100種類以上のおいしい焼きたてパンが客を待ち構え、客が行列をなしている。クリームパンも焼きたてを提供、とろけるクリームがおいしそうだ。1日1000個を売ることもあるカレーパンは、1度に揚げるのは12個まで(たくさん揚げると冷めてしまうから)。ピーク時には5分おきに揚げるという。しかも客がすでにトレーに取ったパンも、焼きたてと交換するという徹底ぶりには感動してしまった(交換した冷めかけたパンは切って、試食に廻す)。

外のテラス席ではこだわりブレンドのコーヒーも無料で提供し、客に熱々のうちにパンを食べてもらう。そのテラス席が客と客との会話を生み、地域の輪を広げている場にもなっている。クリスマスには、地元の子供たちを集めて社長自らプレゼントを配る。年末には餅つき大会、といった具合に、季節ごとに地元住民のためのイベントも開催している。

そんなピーターパンはただのパン屋ではなく、地域のコミュニティーとなっている。だからこそ客から言われる。「船橋に住む理由のNO.1。引っ越しできない」と。商売冥利に尽きる話だ。

業界から“奇跡のパン屋”とも呼ばれる店を作り上げた横手社長は、しかし、元々はそんなにパン好きではなくむしろラーメン好きだという。とにかく異色の経歴だ。瀬戸内の島のみかん農家に生まれ、最初は愛媛の信用金庫に勤めた。しかし仕事が向かないと感じた横手氏は20代で退職。上京し、西麻布でバーを開店した。好調な売り上げだったにも拘らず、子供に働く姿を見せてやりたいという思いが募り、友達に教えてもらえるからと、今度はパン職人の道へ移った。

技術の未熟さをカバーするため、開店当初から焼きたてにこだわったお蔭で人気に。その後も業容拡大し、宅配ピザチェーンも展開、成功。しかし売上だけを追う自らの姿を嫌い、その宅配ピザからあっさり撤退し、再びパン屋に専念したのだ。最初のパン屋によく通ってくれた主婦の嬉しそうな顔を思い出して、矢も楯もたまらずの決断だったという。そんな紆余曲折の後、やがて今のスタイルのピーターパンに辿り着いたのだ。なかなか不思議な経歴だ。

横手社長、とにかく笑顔がいい。福顔だ。そして社員の向上心を高めるため、新商品の提案は全従業員、誰でもOKとしている。そしてパンづくりや経営の勉強会を開き、様々な研修の場を提供している。独立したい従業員までサポートしている。70歳を超えた社長ご自身も、経営者が集まる勉強会などに頻繁に顔を出す。トップもスタッフも常に学び続けるというのがこの会社の真の強さなのだと感じた。

こんなパン屋が地元にあったら嬉しくてファンになるのは間違いない。

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自由貿易に賭けたNZの戦略性は大いに参考にすべき

TPPの影の主役であるニュージーランド(NZ)が注目を浴びている。昨年、仕事で首都・オークランドを訪れた際にはその綺麗な景色に感嘆し、その国家戦略が反映した施策にも感心したものだった。最近続けてメディアで取り上げられていた際に、またその時の感慨を思い出した。

1月25日の放送は「今、注目すべき国 ニュージーランドは 日本にとって敵か味方か?」。まずは観光立国としての姿が描かれていた。バンジージャンプなど大自然の中で体験できるアクテビティを売りに、260万人もの外国人観光客が訪れるという(人口はたった465万人)。『ロードオブザリング(ROR)』や『ラストサムライ』などで成功したように、国際的な映画撮影を誘致することで観光への動線を張る戦略もヒットしている(小生が訪問した際にはオークランド空港にはRORのオブジェが天井を占めていた)。

次が国旗変更問題。現政府が国旗お変更を推進しており、国を挙げての議論を呼んでいる。番組内で退役軍人たちが国旗変更を阻止すべく集会を開いていたが、若い世代は変更になびいているようだ。確かに今の国旗は豪州と区別がつきにくく、NZのオリジナリティやID(本来は英国人の国ではない)が感じられないので、今年3月に出る結果は「変更」となる可能性が高いと思う。

最後は、NZが誇る世界一の酪農の話題。北海道の大学で酪農を学ぶ学生たちが訪れていたのは農場体験視察。普段は放牧で草を食ませる方式で、乳が張ると牛自身が搾乳施設にやってくるように飼い慣らされている。何十頭もの牛を飼う広大な農場をたった一人で経営しているのだ。搾乳施設は日本ほどゴージャスではないが、低コストで合理性が一貫している。これでは日本の酪農家のチーズやバターは太刀打ちできないと納得してしまった。

最後に、放牧で牧草のみを与えられ育てられる低コストでヘルシーな赤身肉を日本に輸入すべく現地で準備している伊藤ハムの様子が描かれていた。TPP後の海外展開を見据え、ニュージーランドの食肉加工会社を子会社化。低関税での牛肉の輸出拡大を狙っているという。日本市場に向けて効率的に霜降りを入れるための工夫も始まっており、いずれ豪州のWagyuとともにNZの霜降り牛肉が日本市場を席捲する日が遠くないと感じた。

一方、昨日(2/4)のWBSでは「TPP8億人経済圏 誕生前夜」というテーマの中でNZの立ち位置と現状が描かれていた。NZはTPPの原型となる自由貿易の枠組み“P4”の立ち上げをリードし、世界でもいち早く国内経済の自由化に取り組んできた。関税撤廃措置で輸入品が安くなり、日産やトヨタの工場が90年代後半に工場を閉鎖するなど国内の製造業はほぼ全滅状態だ。一方、先に触れたように乳製品は輸出トップを誇るNZの主力産業。しかし現実は、世界的な供給過剰による国際価格の下落により苦しい状況にあるのだ。だからこそTPPによる輸出の増加に期待を寄せ、一方でTPP交渉の山場で見せたように、少しでも有利な条件を得ようと必死だったのだ。非常に納得できる話だった。

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歯の予防に捧げた歯科医の魂

最近、ようやく歯の治療に行った。普段からケアはしているほうだが、元々の歯並びがよくないせいで、時折の治療は欠かせない。

1月28日 放送のカンブリア宮殿は「予防すれば虫歯ゼロ!ニッポンの歯科を変える歯医者さん」。この日フィーチャーされたのは医療法人社団日吉歯科診療所の理事長、熊谷崇(くまがい たかし)さん。

人口11万人の山形県酒田市に、市民の1割が通う日吉歯科がある。総勢50人のスタッフが酒田市民の歯を守るこの診療歯科は熊谷が35年前に開業した。この歯科診療所は他の歯医者とは根本的に考え方が違う。

通常の歯科医は、虫歯などの不具合が生じた口腔内の治療が役目だ。つまり「故障」を直すのだ。それに対し熊谷さんは、虫歯ができる仕組みを患者に理解してもらい、ケアを徹底する「予防治療」を推し進めてきたのだ。その効果があって、酒田市民は年3回ほどここに予防治療(メンテナンス)に通う。

初診の患者も、応急処置以外の虫歯治療は受けない。初診の患者がまず会うのは医師でなく、歯科衛生士たち。この歯科衛生士が、予防で大きな役割を担っている。

過去の虫歯治療のチェックや唾液・虫歯菌の検査を行い、虫歯がなぜできるか、予防はどうすれば良いか患者に徹底的に教える。1人の衛生士は、初診からずっと同じ患者のケアを担当する。この体制が患者との信頼関係を生み、メンテナンスに通うリピート率も上がる。20歳までの酒田市民の虫歯の本数は1本以下だという。

ちなみに健康保険は予防をカバーしていない。1回約1万円の治療費は全額患者負担になる。しかも、すぐに虫歯を治療しない「予防治療」スタイルには、開業当初は苦情が殺到したという。「歯磨きの仕方を習いに来たのではない」と。しかし熊谷さんは信念を曲げず、虫歯に関する手作りの資料を渡し「予防」の必要性を訴え続けた。その結果、今やその理念は酒田に根付き、親子3世代で通院する家族もいるとのこと。大したものだ。

さらに熊谷さんは地元小学校も虫歯の予防教育に力を入れている。日吉歯科では25年前から、予防診療を学びたい歯科医や歯科衛生士のための研修を毎月行なっており、今までに全国から約2000人が参加。彼らは地元に戻り、予防治療に打ち込む。

だが、従来の治療と違う予防診療には患者も戸惑うのは今も同じ。熊谷が直面した壁に、歯科医たちも悩まされているそうだ。しかし確実に予防治療は広がりつつあるというのも感じさせる。

「日吉歯科診療所」という看板から推測できるのは、実は熊谷理事長が昔は我が地元の日吉で開業していたのではないか、そして何かのきっかけで酒田市に移転してしまったのではないかということ。もし日吉にこんな素晴らしい歯医者がいたなら、まめに通ってメンテナンスしていたのは間違いない。そうしたら数本の歯を無くしたり虫歯にしたりすることを避けられたかも知れない。残念極まりない。

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