介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(後編1)

『介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(前編)』より続く

本記事の前編で整理した諸々のボトルネックを踏まえた上で、次にその解消手段を考えていきたい。その際には現職の離職理由につながる要素を解消・緩和することが最優先される。離職率低下に直接効く上に、「手離れ組」を除く3グループの応募へのボトルネックの大本だからだ。

ボトルネック解消の施策群は3つある。すなわち①介護職の処遇改善、②業務の改善、③職場の人間関係改善である。

「介護職の処遇改善」の基本は、介護スタッフの給与水準を底上げすることだ。社会的要請が高い職業なのに、いくら若い人が比較的多いからといって全産業平均を大きく下回る現状は許されるものではない。

なぜ介護スタッフの給与水準は全産業平均に対し大幅に低いままに据え置かれているのか。それは、介護職に対し報酬が支払われる流れの中で二つの「目詰まり」を起こしているからである。その一つは、社会保険の報酬単位が適正とはいい難く、人的サービスに見合った費用支給がなされていないという問題である。

介護保険制度では、介護サービスが提供されたという実績に基づくサービス事業者(社福法人など)からの請求に応じて、(国民健康保険団体連合会という機関を通じて)保険者たる市町村が費用の9割を支払う(残り1割は利用者の自己負担。一定以上の所得を持つ人は2割負担)。

この支払額の計算ベースは介護サービスの内容によって細かく分類・点数化されており(例えば『みんなの介護』を参照されたい)、その点数(単位と呼ばれる)の配分や支給限度額は3年に1度のペースで改定されている。問題は、その計算ベースが非常に抑制気味だということだ。

この報酬問題が最も基本的な事柄でありながら今まで目立った改善がなされずにきたのは、社会の高齢化がこの先進むにつれて社会保険を主に負担する現役労働者および企業などにとっての負担がさらに増えることが明らかであり、今のうちは何とか抑制しておこうという財務役人の考えだろう(ちなみに厚労省の役人は予算を増やしたい側なので、報酬引き上げには賛成なのだが、財務省を説得する力がないのである)。

その考え方が最も如実に表れたのが昨4月からの介護報酬の引き下げである。その際には職員の処遇改善も要望されたとはいえ、介護スタッフの給与水準や労働環境の改善に対し逆方向に働くことは容易に想像できる。そうなれば人手不足は加速し、介護離職に追いやられる家庭はむしろ増えてしまう。つまり目先だけを考えた小手先の始末が日本経済の縮退を招きかねないのである。

すべきことは全く逆だ。高齢者が急増する当面の間、他の予算は多少抑制してでも介護報酬を増やすことなくして、大量の介護離職を避けることは難しい。これは役人ではなく、政治家が決断すべき事柄なのだ。こうした観点は以前のコラム記事『あなたの家族に忍び寄る”介護による家庭崩壊”の危機』『介護制度の立て直しこそ地方再生につながる』でも指摘させていただいた。

かといって野放図な値上げは厳しい財政下で許されるものではなく、次回記事の“後編2”に述べるように業務生産性を大幅に上げることとセットになってこそ世間に受け入れられるものだ。

もちろん、介護事業者への報酬を上げるだけでは意味がなく、介護スタッフの処遇改善を実現することこそが肝心だ。実はこの「介護事業者からスタッフへの給与・手当」が2つ目の「目詰まり」なのだ。

そもそも昨4月から介護報酬が引き下げられたのは、かなり多くの社会福祉法人(社福)が不相応な内部留保を貯め込んでいるという調査結果が出たからだ。それなのに働く介護スタッフが低い給与で苦しんでいるというのは、介護法人の経営者たちが人件費の出し惜しみをしているとしか思えない、では内部留保を吐き出させよう、という話だったのだ。これ自体は市民感覚でも肯ける側面がある。

しかしこうした「ムチ」の政策に素直に応じるような連中だったら、そもそもスタッフの人件費を極端に出し惜しみしてまで内部留保確保に走りはしない。このままの制度では彼らはきっと何か抜け穴を見つけ出して、内部留保を私利私欲に転用する手段を考えるだろう(ちなみに社福では普通の企業と違って、期末の株主報酬という形で経営者の懐へ入れるという利益処分は採れないことになっている)。

最もありそうなのは、理事長が主導して幹部職員(多くの社福では理事長の家族で構成されているのが実情だ)に対する報酬をさらに引き上げ、介護スタッフへの報酬は相変わらず雀の涙程度にしか支払わないで済ませる、といった類である。それでも一見、人件費総額は上がるし、内部留保は減らせるので、役人の目先を十分誤魔化せると考えるだろう。

その一方、大多数の真面目な介護事業者の経営者たちは、既にできる限りの人件費をスタッフたちに支払っているにも拘わらず、ただでさえ苦しい台所事情がさらに圧迫され、進退窮まる状態(廃業を含む)に追いやられるのではないかと懸念する。そうなれば介護施設を増やすどころではない。

この矛盾した状況を避けるためには、介護制度の中身を工夫するしかない。収入に対する幹部職員を除く労働者の人件費の割合を一定以上に引き上げることと、次に述べるような人事制度を整備することを条件に、介護報酬を上げるのである。

介護施設にはスタッフ全員を悪平等的に扱わせるのではなく、技能・知識を基に格付けし手当を上乗せするような人事・報酬制度を整備させる。もちろん、技能を向上させるための研修制度と方法論(例えば撮影ビデオ画像に基づく分析・改善など)の確立が不可欠だ。

こうすれば介護スタッフにはスキルと知識をさらに磨く頑張り甲斐が生まれ、自分を評価してくれる事業所に定着しやすくなる。

加えて、介護施設側にも収入増への自己努力が求められる。ともすれば断ったり、逆に無償で行ったりしまいがちな、観劇への付き添いや大掃除などの介護保険適用外サービスを正式なメニューとして打ち出し、その対価をきちんと利用者から自己負担でいただく。そしてそれを介護スタッフのさらなる給与アップの源泉とするのだ。

(→後編2へ続く)

(本稿は、雑誌「公明」2016年4月号の特集「長寿社会を支えるために」の記事『深刻な介護の人手不足』解決の可能性を探る)をベースに追記等を行ったものです)
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電子機械にあふれる都市・東京の実情

東京の今を切り取る番組として始まった、BSフジの「NONFIX」。3月24日の深夜に放送されたのは「東京シリーズ」の第4弾、「『東京キカイ都市』 機械×奇怪 ~わたしの知らない ワタシの街~」だった。

世界中の最先端技術が集約される2016年の都市・東京は“機械”で溢れている。スマホ、コンピューター、アンドロイド、産業用ロボット、人工知能…。人々は機械に依存し、機械と共存し、機械に夢を託す…。

無機質に淡々と、元々は人間たちが働いていた役割の場所に、色んなロボットだけが紹介されていくという、このシュールな映像を集めた番組は、最先端の“機械”に支えられる東京の街の素顔を見せてくれた。

それぞれのロボットやその背景にあるコンピューターによるシステムは、普段色々と関わりがあったり提案していたりするものだったが、こうやって一連の流れで観せられると、何か別の意味を感じてしまった。

ある意味、映像編集の力を見せられた気がする。フジテレビは色々と力の衰えを云々されるが、BSという辺境から新しい力の勃興があるのではないかと期待したい。

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ソーシャルビジネスに挑む若者の気概、それが許されない若者の憤慨

「今時の若い者は…」という言い方は古代の時代からある年寄りの言いぐさである。しかし現実には、世代や性別の違いより個人の考え方(価値観)の違いのほうがずっと大きい。今の若い世代の中にも革命児はいるし、従順なフォロワーもいる。

3月22日に放送された『ガイアの夜明け』は『シリーズ 働き方が変わる 第12弾 "安定"を棄ててでも...』というタイトルで、社会起業家という新しい生き方を目指す若い人たちの姿を描いた。「安定した企業に就職して、少しでもいい給与をもらって..」という"理想の就職の形"を棄ててでも社会の役に立ちたいという考えが、若年層に広がりを見せているのだ。

京都の中心部にあるチョコレート専門店「Dari K(ダリ・ケー)」は毎日チョコを求める人の行列ができる人気店だ。原料のカカオ豆からチョコレートを作る"こだわり"が人気の秘密らしい。経営者・吉野慶一さん(35)はエリート外資系金融マンだったという。

「発酵」という手間をかけずに出荷していたことから、低品質ということで買い叩かれていたインドネシアでカカオ豆農家の窮状を目の当たりにした彼は、現地のカカオ豆農家の収入を増やそうと、自らチョコレート店を開いたのだ。

いま吉野さんは、インドネシア産のカカオ豆に付加価値をつけることに取り組んでいる。現地に発酵施設を作り、そこに収穫したばかりのカカオ豆を持ち込んでくる農家の人たちに実演講習もして、農家自ら発酵して付加価値をつけることに意欲的になってもらおうとしている。立派な活動だ。

もう一つはソーシャルビジネス(ビジネスを通して社会問題を解決しようとする活動)を手がける「ボーダレス・ジャパン」。社長の田口一成さん(35)は大手企業に勤めたのちに独立して同社を立ち上げ、バングラデシュの貧困層が作る本革専門店「ビジネスレザーファクトリー」の事業を軌道に乗せ、現地の雇用を生み出すことに成功した。

田口さんが今、取り組んでいるのは、若手の育成。田口さんの考えに共感して入社した新卒の社員らが、やりたいソーシャルビジネスに挑戦できるような仕組みを導入した。ビジネス・アイデアをプレゼンし、経営陣のOKが出れば「事業チーム」発足、事業のスタート時に1000万円が出資される。売上があがったら半年ごとの追加出資の制度もある。

この制度を利用して2年前に子供服事業を立ち上げたのが、入社6年目の中村将人さん。彼はバングラデシュの貧困を救おうと考え、中国で子供服の生産をしているが、将来は現地に工場を作って雇用を生もうと活動していた。

ところが自社工場を作り、現地でミシンが使える人を募集すると、訪ねてくる女性たちは技術が未熟だったり、使える機種が限られていたりして、やむなく門前払いするしかない事態に。Nさんは簡単に縫える商品を増やし、技術に応じた雇用ができるように路線を変えた。これでようやく体制が整ったようだ。

今回の番組にはいくつか余談が付いてきている。

番組公式ツイッターが「良い給与に、安定した生活…。そんなものは『後回し』という人が、増えてきているんだそうです」と書いたことに対しては、「まるで低い賃金で奉仕する事が美徳であるかのような言い方はやめて頂きたい。メディアがこの様な誤った労働をまるで美徳であるかのように垂れ流すから若者の低賃金問題が解決しない」といった批判が殺到して炎上状態になったそうだ。

「この様な誤った労働」云々というのは誤解であると思うが、低賃金に苦しむ若者の気持ちを代弁していることはよく分かる。しかし番組側も「低い賃金で奉仕する事が美徳である」というニュアンスで伝えるつもりはなく、むしろ「こんな若者もいる。こんな生き方もある」ということを伝えたかったのではないか。

この番組に登場した若者たちは、若いうちにソーシャルビジネスに転身することができた成功者で、あくまで一部の例外にすぎないことは事実だ。確かに、大半の若者はむしろ搾取される側にいるというのが実態だ。だから若者一般に対しこうした生き方を求めることには無理があるし、別段、大手企業や公的機関で世の中に貢献することでも十分だ。

ただ、その場合も給与額や権限・名誉ではなく、社会貢献度がもたらす満足度が大きいことを重視して欲しいというのが、我々のような世代からの希望ではある。そして本来ならもっと上の世代(我々を含む)がもっと実行していてよかった話だろう。そうした反省は我々がしなくてはいけない。

また、海外の貧困層だけでなく日本国内の貧困層を救う活動や国内の介護職と保育に携わる人たちにスポットを当てるべきだという声も見られたようだ。

しかし、ボランティア活動や介護・保育の低報酬に関するイシューは番組が別の機会に採り上げるべき話で、テーマが違うだろう。今回はあくまでソーシャルビジネスであって、たまたま舞台が海外というだけだ(多分、国内にも実例は多くあると思う)。

また、新興国の安い労働力を使うことについて、海外に生産拠点を求める既存の日本の大手「企業ビジネス」と、さほど変わりないといった批判も目にした。

しかしながら誤解してはいけないのは、こうしたソーシャルビジネスが狙っているのは、貧困層に対し適切な雇用機会や取引価格を提示することで彼らの経済的自立に貢献することだ。大手企業が最優先するのは利益の極大化なので、貧困層の地域は無視してインフラが存在する場所を優先するし、買い取りの際の価格は買い叩くのが基本だ。ソーシャルビジネスというのはその理念と活動指針が全く違う。

その程度の理解はしておかないと批判する資格すらない。

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介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(前編)

介護施設増への最大の障害は人手不足。そのボトルネックは「離職率の高止まり」と「低い応募率」の2つだ。なぜそれらが継続し、簡単に解消されないのか。この問題の根深さをきちんと把握することなくして正しい解決方策は見出せない。


「介護離職ゼロ」実現には介護施設を大幅に増やす必要があること、その最大の障害は人手不足であることは、以前にも当コラム記事欄で指摘した通りだ。人手不足が職場の荒廃を招き、少なからぬ施設で利用者に対する虐待を生んでいるという指摘も最近は増えている。

本稿は、業務改革におけるアプローチにより「人手不足」問題解決の可能性を探ろうというものである。とはいえ、実際の企業向けコンサルティングと違って独自の実態調査を欠くため、既存の調査データを援用することと、未検証のままで論を進めざるを得ない箇所が多々あることはお許し願いたい。

最初に、簡単に現状把握とボトルネックの特定をしておこう。「介護業界は人手不足」とよく言われるが、正確には「需要が急拡大する中、供給が追い付かない」のだ。就労数はむしろ着実に増えていることも以前に指摘した通りだ(社会保障審議会資料「介護人材の確保について」P.5)。

次に、人手不足業界のボトルネックは典型的に2つ存在する。一つは離職率の高さ、すなわち採用した端から離職するので常に足らないというものだ。もう一つは応募率の低さ、すなわち募集数に対し応募が随分少ないという状況だ。介護業界はこの両方とも当てはまる。

まず離職率をみると、全産業平均(15.6%)と比べて介護職(16.6%)に大きな差があるわけではない(前出の資料P.13)。「介護職は離職率が高い」というイメージを持たれている多くの方には意外だろう。実は約10年前には20%を超えていたのだが、今では3次産業全体の平均よりも良いくらいだ。

だからといって業界経営者の方々に安堵してもらっては困る。介護職には使命感と覚悟を持って就職する人たちが他より多いことを考えると、本来なら離職率はもっと低くてよい。そうした人たちをして「覚悟はしていたがここまでひどいとは…」と離職させる実態があるのだ、と反省していただきたい。

次に応募状況を見ると、介護業界の有効求人倍率は全産業のそれを常に、遥かに上回り続けている。社会的要請が高い職業でありながら期待ほど応募されないのだ(これもコラム記事『「介護離職ゼロ」のために優先すべきは介護スタッフの待遇改善』で指摘済)。

次に、両ボトルネックが持続している原因を探ろう。まずは「離職率の高止まり」に関してだが、どんな理由で介護職を辞めるケースが多いのだろうか。

残念ながらこれに関しては、対象が広範かつ回答選択肢が適切な既存調査が見つからない。仕方ないので、介護職を辞めた人たちのブログや諸アンケートの自由記述などから仕訳してみた。決定的な理由として典型的に挙げられるのは、①大幅な長時間労働、②頻繁な夜勤という劣悪な労働条件なのに、③低い給料しかもらえないという不満がベースになっている。

その上でダメ押しともいえる要素が、④職場の人間関係が悪いことだ。背景にあるのは「職場崩壊」の構図である。キツいのに低い給与→一部の離職→人手不足でギスギスした職場で、「他に移れない」先輩がデカい面→さらに離職が進む、といった悪循環が多くの職場で生じており、「離職率の高止まり」を継続させていると推察される。

次にもう一つのボトルネック「低い応募率」が続く原因を探ろう。つまり「なぜ人は介護業界への就労をためらうのか」ということである。考察のため、4グループに場合分けしたい(図表)。図表_convert_20160425183230

第一はほとんど就業経験のない「新卒組」。第二は他業界で就業経験のある「転職組」。第三は以前に介護業界で働いており、子育てなどの自己事情で辞めたが事情が緩和されて復職を考えている「手離れ組」。最後が、前の職場への不満などで離職したが、この業界への復帰を考えている「復職検討組」だ。

「新卒組」が就職先の判断材料とするのは、就職関連本や雑誌およびネット上にある断片的な業界情報、同世代の友人の意見、あと重要なのは両親の意見であろう。「転職組」の場合には同様の断片的な業界情報に自らの社会常識が加わり、両親の影響力は大いに低下しよう。しかし身近に介護業界の人がいない限り、いずれも伝聞情報に基づくことには違いがない。

「新卒組」の場合、「やりがいを感じる」職業として当人がその気になっても、両親が断念させることも少なくないとされる。「転職組」の場合にも、一家の大黒柱として働くことを考えると最終的な選択肢としては残らないという意見もよく目にする。なぜか。

介護の仕事に「低賃金で重労働」とのイメージが強いことが主要因であろう。内閣府の「介護保険制度に関する世論調査」(平成22年)によると、「介護職のイメージ」のネガティブな面としては「夜勤などがあり、きつい仕事」「給与水準が低い仕事」「将来に不安がある仕事」の3つが高い割合を示している。これが世間一般の、介護職に対する偽らざるイメージだろう。

売り手市場になった今、そんな職場を選んでくれる奇特な人たち、そして選ばせる家族は多くない。介護業界に関する正確・詳細な情報が不足している「新卒組」と「転職組」ではほぼ共通して、こうした世間一般の持つネガティブなイメージがボトルネックになっていると推察される。

そして実態の多くもそれに近いため、なかなか解消に向かわないのである。大半の施設において介護職には夜勤がつきものだ。排泄物の処理やおむつ替えなどの「下の世話」も多くの職場において日常業務の一環である。

また、厚労省の「平成25年賃金構造基本統計調査」によると、福祉施設の常勤介護員の月給は全国平均で21.8万円と、全産業平均の32.4万円より約11万円も低い。昨今増えている非正規雇用のスタッフであれば、さらに一段と安い給与なのが実情だ。

次に、介護業界への復職を考えている人たちにとってのボトルネックを考えよう。「手離れ組」は資格も持ち、最も有望な人材候補層である。ブログや記事などで判断する限り、彼ら彼女らが介護への復職をためらう最大の理由は、「以前よりは子育てに手間が掛からなくなったとはいえ、まだ子供が小さいのでフルタイム勤務は無理」といった時間的な制約と考えられる。

最後の「復職検討組」のボトルネックは当然、以前の職場を辞めることになった不満や問題が次の職場でも待っているのではないかという懸念である。現職の「戦線離脱」が相変わらず続いている上に、離職した人たちの苦い自己体験がネットで拡散され、「復職検討組」をして「やっぱりこの業界は変わっていないんだ」と失望させていることは想像に難くない。

(→後編へ続く)

(本稿は、雑誌「公明」2016年4月号の特集「長寿社会を支えるために」の記事『深刻な介護の人手不足』解決の可能性を探る)をベースに追記等を行ったものです)

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「あさが来た」のモデルは日本が誇る女性実業家

NHKの「連続テレビ小説」は国民的番組として常に人々の関心事で、視聴率が高くても低くても話題に上る。小生は(「梅ちゃん先生」を例外に)毎回観るという習慣はついぞなかったが、知人(ウチのカミさん含め)には「毎朝観る」という人が思ったより多い。

今の「あさが来た」のモデルは明治の女傑と言われた実業家、広岡浅子。世間の話題はむしろ五代友厚役のディーン・フジオカだったが、やはり主人公である広岡浅子の生涯が魅力だ。その生涯を総ざらえしてくれたのが、2月12日(金)に放送されたThe歴史列伝(BS-TBS)の89回め「明治の女傑 広岡浅子」だった。激動の時代を、不屈の闘志で生き抜いた彼女の波瀾万丈の人生を、三つの鍵で解き明かしてくれた。
http://www.bs-tbs.co.jp/retsuden/bknm/89.html

1.「ぼんくら亭主」
京都の豪商 三井家に嘉永2年に生まれた広岡浅子は、商家のお嬢様でありながら始末に負えない「はねっかえり」。その嫁入り先の加島屋は幕府の公用金の管理や大名貸しで財を築いていたトップレベルの両替商。浅子の夫・信五郎は、仕事を番頭や手代に任せっきりで謡や茶の湯にうつつを抜かす、筋金入りのぼんくら亭主だった。
明治政府の無茶苦茶な金融政策により、他の両替商と同様に加島屋もまた窮地に陥り、20歳の浅子は自らが経営者として前面に立つことを決意する。

2.「九転中起」
借金返済の猶予を懇願することを繰り返していた浅子が目をつけたのは、国策たる筑豊の炭鉱開発。最初は炭鉱から掘り出された石炭を、上海や香港などへ輸出することを目論む。しかし石炭価格の暴落と海外輸出の不振のため、石炭会社は解散に追い込まれる。しかしぼんくら亭主の信五郎と仲間が設立した紡績会社が軌道に乗り、加島屋は何とか持ち直す。そして11年後、石炭価格が活況を呈するようになったのを見て、リベンジとばかり、浅子は開店休業状態だった炭鉱現場で陣頭指揮を取る。反発を乗り越えて荒くれ男どもと寝食を共にした2年後、ついに石炭の鉱脈を発見したのである。

3.「儲けを活かす」
一大コンツェルンとなった加島屋を率いた浅子は自分の財産を、慈善事業家として社会のために注ぎ込んでいく。女子高等教育機関の設立を目指していた教育者、成瀬仁蔵の熱意に共感した浅子は、自らも大金を投じるだけでなく政財界の要人を説得し、実家の三井家に掛け合って広大な土地を寄付させ、東京・目白に日本女子大学校を設立させる。
最後に浅子は宿願たる生命保険業の創業に全精力を注ぐ。日清戦争の遺族である未亡人や孤児たちを救うため、加島屋の資金を注ぎ込むと同時に、当時、大阪、東京、北海道にあった三つの保険会社の合併に向け粘り強い説得を続け、ついに全国規模の保険会社(大同生命)設立にこぎつける。

浅子が語る「これからの女性は自立しなくてはいけない。誰かの妻という存在ではなく、自分が働き、金を生み出し、社会の中で一個人として存在しなければならない」もしくは「成功の秘訣は、その人に情熱があるかどうかです」という言葉は、今の時代でも全く褪せることがない。女傑・広岡浅子、本当に素晴らしい生き方だ。

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経歴詐称と「経営コンサルタント?芸能人?」

幾つかの情報番組でコメンテーターなども務めているショーンKことショーン・マクアードル川上という人物が“学歴詐称”で番組降板騒ぎになっていることを報道で知った。画像を見ると、確かにテレビで観たことがある。何ともはや、人騒がせだ。「だから経営コンサルタントなんて人種は眉唾もんなんだよ」という声が聞こえてきそうだ。

出演自粛を申し入れた番組は以下だそうだ。
・4月より放送予定であったフジテレビ「ユアタイム」(2016年4月より予定)
・テレビ朝日系列ネットTV「Abema TV」(2016年4月より予定)
・フジテレビ「とくダネ!」
・テレビ朝日「報道ステーション」
・BSスカパー「Newsザップ」
・81.3FM J-WAVE「MakeIT21」

そもそもどうしてこんなに多くの番組に「経営コンサルタント」が出演できるのだろう。2つの意味で不思議だ。

まず、まともに仕事をしているなら、絶対的に時間が足らないはずだ。仮に売名のための広告宣伝活動というのでも、経営コンサルティングでの報酬を得なければ意味がない。こんなに番組に出ていたら、経営コンサルティング活動の時間がなかろう。

もう一つ、単純にどうやってこんなにたくさんの番組プロデューサーに売り込みしたのだろう。ここでヒントになりそうなのが、報道にある「所属事務所」という表現だ。つまり彼はコンサルタントというよりも芸能人といった存在だったのではないだろうか。そして事務所のマネージャーが「芸能人を売り込む」営業活動をしていたのではないか。

そうしてみると、今回の経歴詐称もうなずける。名前すら違うというのは「芸名」だったのだろうし、そうするとテンプル大学卒業やHBSでのMBA取得も全部「箔付け」のための「でっち上げ」だったのだ。

会社登記はペーパーカンパニーが多いことで知られるデラウエア州で、その活動実態は不明、各国の事務所が本当にあるのかも疑わしいものだという。いやはやここまで嘘で固めた人物が公共の電波にずっと登場していたというのは呆れると同時に凄いとまで思わせる。

Linked-inやfacebookなどでどう表記していたのか知らないが、同期の人たちが「あんなの一緒に卒業していなかったよ」と今まで騒ぎになっていないのが不思議なくらいだ。ちなみに小生の場合、一橋大(学部)とテキサス大(大学院)それぞれの同期組織で全部トレースできるので、詐称など不可能だ。だからこそこうした連中の行為は、なぜ可能だったのか、なぜやろうという気になるのか、不思議で仕方ない。

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インドと日本のパートナーシップに期待したい

個人的にインド人の知人やインドと関わりのある知人が増えてきた。仕事の問い合わせもこの1年ではインドからが4割ほどになる。内容は全て面倒で本当の意味ではまだどれも成就していないが、着実に案件は増えている。

そんな中、3月14日に放送された未来世紀ジパングはズバリ『世界経済"希望の星"インドが急接近! 日本の「成長エンジン」へ』と題して、インドと日本の接近具合を伝えてくれた。

BRICSの「最後の希望」と託したのが世界2位、13億人市場を誇るアジアの大国インド。日本企業の進出も加速している。背景にあるのは、日本がこれまで行ってきた数々のプロジェクトの成功と培った"信頼"。日本に今、大きなチャンスが巡ってきているのだ。

番組では面白いものを見せられた。世界遺産タージ・マハルで奮闘する一人の日本人女性の姿だ。日本では定番のご当地お土産を根づかせるプロジェクトをインドで始めたのだ。インドに限らず発展途上国ではなぜか地元名物をお土産品として売るケースが少ない。そこでインド産マンゴー100%で作られた日本品質のお土産用のお菓子を開発したのだ。これはウケるはずだ。

そして地下鉄、デリーメトロ。ホームできちんと整列する乗客の姿にも驚いたが、ホームに引かれたラインに沿って並んでいたのだ。こういう仕掛けも含め、そして女性専用車両や自動改札などのシステムも含め、地下鉄の運営を日本の東京メトロが指導・サポートしてきたのだ。

そして去年12月には、インド初の高速鉄道に日本の新幹線方式の採用が決まった。遡ること4年前からジパング報道担当のカメラは、日本の新幹線を視察に来たインド国鉄の幹部たちを独占取材していた。今月開業する北海道新幹線が走る青函トンネルから、北陸新幹線の建設現場まで各地を視察。さらに運転シミュレーターや車両基地まで、日本の新幹線を余すところなく体験した。インド視察団が驚いた新幹線技術の数々…。そして同時に、その高額さに一旦は完全に腰が引けたことも。

しかし最終的には、コストの安い中国製ではなく、日本の新幹線を選んでくれたインドの好意と正しい評価力に感謝したいし、日本はそれに応じてインドとの友好関係をさらに発展させる用意がある。これは中国という危険な隣人を持つ日本とインド両国にとってウィン・ウィンのパートナーシップなのだ。

人材獲得競争にも注目したい。最高学府のインド工科大学(IIT)の学生は世界レベルの「金の卵」といわれる。ソフトバンクのアローラ副社長やグーグルのピチャイCEOもIIT出身だ。インドでは「IITに入れば人生が変わる」とも言われている。年に1度の就職解禁日には、熾烈な獲得競争が繰り広げられる。マイクロソフトやゴールドマンサックスなど世界の名だたる超大手企業が勢揃いし、中には新卒者に年俸2000万、3000万を提示する企業もいる。そこにソニーだけでなくシスメックスといった地味ながら世界トップレベルの日本企業も参戦していたのは大したものだと思った。

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日中間のムードは民間では反転する兆しがある

中国が空前の日本ブームに沸いている。中国人の対日観を変えつつある大きな要因は2つある。

雑誌「知日」が さまざまな角度から日本について積極的に紹介していることが一種の火付け役になり、他に日本文化を特集した書籍もブームになり、普通の市民の間で、大いに日本に対する関心を盛り上げている。この机上レベルが一つ。

もう一つはもっと身近なレベルだ。「爆買いツアー」などで日本に押し寄せた観光客が、日本社会に実際に触れて帰国後、「本当の日本」を次々とネットや口コミで発信し、これまで教科書や抗日ドラマなどで人口的・政策的に流布してきた日本人像を覆し始めているのだ。

こうした事実は多少ネットなどで知ってはいた。しかしその実際の声を聞くことはなかなかできなかった(中国語が分からないと…)

3月5日(土)と3月11日(金)に放送されたBS1スペシャル「私たちが日本を好きな理由~中国・変わり始めた対日観~」がそうした声を伝えてくれた。これは貴重なドキュメンタリーだった。どこに日中関係悪化の根本原因があり、今何ができ得るのかを示唆する、とても良心的な番組だった。

いわゆる「爆買い」に対し、日本のマスコミも、そして多くの日本人も、それによる大きな経済的恩恵を受けているくせに(かつての日本人を思い出すせいなのか)批判的・冷ややかに見ている。直接恩恵を受ける小売業界や関連メーカーの人たちを除くと、知的水準が高い、あまり政治的イデオロギーの強くない人でさえなぜかそうだ。

小生は(中国政府には大いに非難・警戒するし、暴力的な半日デモで憂さを晴らそうとする中国人の低層の連中は大いに非難するが)、日本に旅行に来てくれる人たち、ましてや爆買いしてくれる人たちには感謝すべきとずっと言ってきた。日本に旅行に来た外国人には皆親切にして欲しいものだ。

ただし彼らは元々、必ずしも日本好きだから来日するとは限らず、日本で売っている製品のほうが信頼できるため、一種の買い出しにくる人がむしろ多いはず。また、割り込みしないなど、ある程度行儀よくはして欲しい。そして爆買い自体は長続きするものではないと思っている。それを前提に経営しているところは非常に危険だということは申し上げておきたい。

さて次の興味は、こうした中国の相対的に若い年代が見直した日本観がどこまで拡がるかだ。赤の他人ではなく旅行から帰ったばかりの知人・友人が語る「親切な日本人」像に興味を抱いて、「じゃあ今度は自分のこの目で見てみたい」となると嬉しいものである。

こうして反日の空気が収まったら、そして中国の空気をもう少し綺麗にしてもらったら、今度は中国を訪れたい日本人がまた増えてくるだろう。その日本人観光客の行動が現地の中国人を感心させる、というよい流れになって欲しいものだ。

中国政府が邪悪な覇権主義を放棄することは考えにくいので(表面上見えにくいようにする誤魔化しはあるだろうが)、日本政府が無警戒に中国政府に歩み寄ることは期待すべきでないが、民間交流はもっと改善してよい。

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異端児が変える、ニッポンの家電

かつて世界を席巻していた日本の家電メーカー。しかし、韓国(Samsung, LG電子)や中国メーカー(Hierなど)の台頭(この裏には知財の詐取など様々な謀略もある)、また欧米メーカー(Philips, Apple, Dysonなど)の巻き返しもあって、近年は苦しい状況に置かれている。

日本の家電メーカーの衰退には、必要以上に高機能化に注力し過ぎたことや、各社が同じような商品を販売してコモディティ化したという自らの失敗要因も大きい。そんな中、いま日本で斬新な商品を生み出す家電メーカーが登場している。3月8日放送の「ガイアの夜明け」はその型破りの商品開発プロセスを追い、日本発のモノづくりに期待を抱かせてくれた。

一人目は実は日本メーカーではなく、正確には中国系メーカー。経営破綻した三洋電機から洗濯機と冷蔵庫事業を引き継いだアクア(元ハイアールアジアから改称)だ。アクアを率いるのが伊藤嘉明さん。デル、レノボ、アディダス・ジャパン、ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメントなど、名だたる企業で要職を歴任後、初めて家電業界へと足を踏み入れた男だ。

伊藤さんは2014年にCEOに就任以来、家電業界において新参者だからこそ、革命を起こせるという意識の下、「閉塞感のある家電業界で、既成概念にとらわれないモノ作りをしよう」と社員に意識改革を促してきた。多くのニッポンの家電メーカーがコモディティの谷に陥り技術も成熟する中、斬新なモノを作らなければ存在感を示すことができないと考えるからだ。

彼が指揮したことで、世界で初めてという製品が既に幾つか世に出ている。しみ抜きや部分洗いに特化したハンディ洗濯機「コトン」(個人だけでなくレストラン等にも需要あり)。水や洗剤を一切使わず、オゾンを利用して除菌消臭する衣類エアウォッシャー「ラクーン」(ホテルなどに売れているようだ)。等々。

そんなアクアで新たに開発が進められているのが、外装が透明で洗濯槽が丸見えの「スケルトン洗濯機」。完成すれば世界初となる、まるで水槽のような洗濯機だ。「中身が見える洗濯機があったら面白い」という伊藤さんの一言がきっかけだった。

開発にあたっているのは、元三洋電機の技術者たち。しかし、何十年と洗濯機を作り続けてきた彼らにとって、洗濯機とは「衣類の汚れを落とすもの」。中身を見せるという発想は、理解しがたいことだった。サンヨーの洗濯機は歴史が古く、柱の一つだったため、「素人の発想」に対する無言の反発も強かったろう。

さらに実際のところ技術的な壁も高く、中身を見せるためには、洗濯機の構造を根本から変える必要があった。つまり「やったことがない、考えたことすらない」世界だったのだ。世界初のスケルトン洗濯機を目指す開発現場をカメラは半年にわたって密着した様子は苦闘の連続だったようだが、日本と東南アジアで発表された「世界初」製品に対する消費者と流通の評判は悪くなかったようだ。

2人目は若い女性の「独りメーカー」。2015年8月、第1弾として一挙に17種類もの製品を発表した、家電ベンチャー、UPQ(アップ・キュー)である。立ち上げたのは、中澤優子さんという当時30歳の女性だ。とにかく彼女の度胸やバイタリティにワクワクしてくる。

中澤さんは大学を卒業後、携帯電話の開発に携わりたいとカシオに入社。その後、カシオが携帯電話事業から撤退したために退職したが、モノづくりへの夢が諦めきれず、自分で家電ベンチャーを立ち上げたという猛者だ。

中澤さんがたった一人でモノ作りができる秘密はどこにあるのか?彼女が向かったのは、部品工場や組立工場の集積地である中国・深圳。中澤さんはこうした工場に商品のアイディアだけを渡し、設計から生産まですべてを任せていた。日帰りや1泊2日のスケジュールで頻繁に現地を訪れ、工場と交渉。製造を依頼するだけでなく、開発途中の製品をチェックし、改善点を指示していくのだ。製品ごとに様々な工場に設計や生産を並行して依頼するため、一度に多くの製品を生み出すことができるのだ。

しかもセンスや着眼点が優れている。透明な板にアルファベットが浮かび上がるキーボード、スマホを使って色や明るさを調整できる電球など、可愛らしいデザインだけでなく、機能的にも他にないアイディアが備わっている。「このユニークさがシャープでしょ?」と昔よく聞いたセリフが蘇る。

日本の大手企業の場合、担当者が本社に指示を仰いだり、一度持ち帰って検討したりするため、開発スピードがのろい。彼女の場合はその場で即断していくため、開発のスピードが速い。いやむしろ小気味いいといってよい。中澤さんは、第2弾の製品群を2月末に発表しようと動いていた。驚異的なスピードで斬新な製品を数々生み出す、彼女のモノ作りにカメラは迫ってくれた。実に素敵だ。

しかし素朴な疑問もある。なぜこのスピードと要求に付き合ってくれる日本の下請けメーカーは見つからなかったのか?いなかったのか?この点が残念だ。

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世界の物流倉庫は既にロボット化が進んでいる

岡村製作所が、ニトリグループの物流会社である(株)ホームロジスティクスに納入したことを11日に発表した、日本発のロボットストレージシステム「AutoStore(オートストア)」。2月より稼動していたそうだから、運転具合も安定したということだろう。
http://www.okamura.co.jp/company/topics/butsuryu/2016/autostore_2016_homelogi.php

実際の開発はノルウェーの Hatteland Logistics社であり、YouTubeにも幾つか動画があり、その動く様子を観ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=2SicB_RGCYc&feature=youtu.be
https://www.youtube.com/watch?v=b3X3r5UVtEM(English)
https://www.youtube.com/watch?v=iyVDMp2bL9c(English)

このニトリ系の物流倉庫での様子はWBSでも放送され、これまでより格段に生産性が上がった様子が伝えられた。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_107882

省力化だけでなく比較的狭いスペースに荷物を詰め込めるので、2倍ほどのスペース効率を達成できるそうだ。数年前にこれが完成していたら、ある物流プロジェクトでも使えていたのになぁと少々残念である。

それにしても今や様々なロボット倉庫ソリューションが実用化されていることに、感慨ひとしおである。最近の別のプロジェクトで調査した際には、そんなにハイテクでもない独メーカーの製造工場の材料保管庫がやはりロボット・無人化されたものだったことに驚いた記憶がある。その際に分かったのは、世界ではどんどんロジステシクス分野でロボット化が進んでいることである。
https://www.youtube.com/watch?v=9byNtdrJOhU
https://www.youtube.com/watch?v=g_-V31UL4Ww
https://www.youtube.com/watch?v=LuvrP1QKsdk

日本の倉庫技術はこれらの世界レベルに勝るとも劣らない。しかし日本での製造・小売に対する投資スピードが世界より劣っていることが効いている。結果として、日本ではヤマトや楽天、アマゾンなど一部の通販・物流企業だけがどんどん進歩するが、それ以外の物流企業および小売・製造段階が世界レベルからはかなりビハインドしているのが実情である。今回のニトリグループおよび岡村製作所の取り組みが刺激になればよい。

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Uberについての誤解と期待

Uberについては日本では過大評価が先行しており、その既存サービスが本当に日本社会にインパクトのある変革をもたらすのかについては疑問がある。むしろその先に登場する新しいサービスにこそ期待したい。


「シェアリング・エコノミー」のもう一方の雄、Uberについて日本で誤解が多いことはAirbnb同様だが、こちらはむしろ過大評価気味だ。その理由は、株式未公開ながら時価総額4兆円超という投資家からの高い評価にあると思われる。

しかしこの投資家からの高評価はあくまで海外におけるインパクトに対するものであって、日本でのUberのサービスが多大なインパクトをもたらすとは言い難い。もしくはUberが狙う将来の姿に対する期待が大きいのであって、現在のサービスはその一部に過ぎない。その理由を以下に述べよう。

Uberのサービス内容については色んな記事やレポートで紹介されているので、詳細は省く。端的に言うと、「ハイヤーの配車」(Uber Black)と「個人ドライバーの配車」(UberX)の2つが今の中核サービスだ。スマホアプリが使いやすく、実に便利で安心、どの国でも高評価である。そのため急速にタクシー業界のシェアを浸食しており、進出先で大きな軋轢を生んでいることもよく知られている。

しかし冷静にみると、その高評価と急速な普及は、世界のタクシー業界のサービス品質が低いことの裏返しなのだ。

世界の大都市では、タクシーは「(空港以外では)なかなか捉まらない」「言葉が通じない」「態度が横柄で不親切」などと散々であり、時には「わざと遠回りして料金を稼ぐ」「途中で法外な料金をふんだくる」といった悪質な「雲助」が存在することも事実だ。

こうした実情に対し、スマホ利用者であれば「呼べばすぐ来る」「どんなドライバーが来るか、いつ頃到着するか、事前に分かる」「支払いはキャッシュレス」「領収書はメールで届く(無くさない)」「ドライバーを評価できる」というUberは、実に利用者視点のサービスだ。

特に欧米先進国からの海外旅行者にとっては現地の言葉を話せなくとも、使い慣れたUberのアプリで目的地を指定すれば誤解なく伝わるのはとても有難い。こうした要素もあり、Uberは世界各地で人気爆発中だ。ドライバーの側から云っても、現金を扱わなくて済むのは、手間とミスを解消するメリットもあるが、それ以上に、強盗に襲われるリスクを減らせることが有難がられている。

では日本でも人気沸騰中かというと、そうでもない。現在Uberが日本で提供できているのはプロのドライバーによる“Uber Black”というハイヤー配車サービスだけで、価格的には既存タクシーよりも少し高く設定されていることがその主要因だろう。

世界各国で人気を博すと同時に物議を醸している、白タクを中心とする個人ドライバーと利用者をつなげる“UberX”ならば、既存タクシーよりも安い料金を提示できよう。その場合はずっと人気が出るだろうが、海外と同じ仕様(二種免許の非保有者がドライバーでもOK)では「白タクという違法行為を誘発している」ということで国交省からサービス中止を求められることも間違いない。

日本市場でそれを避けるためには、二種免許保有者を保有する個人タクシー事業者を中心に加盟ドライバーを募集するしかなかろう。しかし個人タクシーの事業者というのは法人タクシー等の運転経験が10年以上あることが要件なので、高齢化が進んでおり、Uberのようなハイテクものに対する毛嫌いも少なからずあろう。多分、日本でのUberXの立ち上げは容易でないと想定できる。

この制約を前提に考えると、“Uber Black”と白タク要素抜きの“UberXもどき”だけでは、日本市場でのインパクトはそれほど大きくないと言わざるを得ない。

何となれば結局、日本の都会ではタクシーはかなり捉まえやすく、世界水準から云えば圧倒的に均一で高品質なサービスだからだ。つまり元々日本でのタクシーに関しては、料金が高いこと以外は特に大きな不満点はないのだ。

しかも一部のタクシー会社はスマホによる配車アプリを既に配布しており、Uberに近いサービスレベルを実現できつつある。現在、日本の既存タクシー業界も再編が進む過程で、サービスレベルやシステム構築力に問題のあった中堅・中小会社が淘汰されつつあり、結果として全体のサービスレベルは底上げされつつある。

既に日本でリリースされているUber Black(ハイヤー会社から派遣されたドライバーと車を利用)のサービスレベルが高いことは事実だが、既存のタクシー利用者がこぞってUberへの利用切り替えをする事態には至っていないし、今後もそうはなりそうもないというのが小生の見立てである。

ここからは少し別の、今後の新サービス展開の話をしよう。一つには先に触れたUberXだ。実は、米国のみで展開している競合のLyft社が始めたpeer-to-peerサービスのパクリなのだが、世界展開しているUberのほうが圧倒的に認知度が高い。

既に述べたように、(世界市場と違って)日本では白タクが公に認められるだけの社会的環境にはないし、日本の利用者も「素人ドライバーが小遣い稼ぎのため、週に数日だけ街中を走らせる」と知ったら敬遠する可能性は高い。しかしそれは他の選択肢が豊富にある都会での話だ。

タクシー会社が周辺数十キロ四方に存在しない地域は日本にゴマンとある。そうした地域で、従来は自らもしくは家族がクルマを運転していた人たちの高齢化が急速に進んでおり、運転も危なっかしくなっている。かといって公共交通機関であるバスの増便は現実的ではない。

こうした地域で特区申請してもらい、自家用車を所有していて少々時間のある人と利用者をつなげるサービスがあれば、地域維持のために十分な社会的意義がある。その際には事情を汲んだ自動車損害保険が適用されている必要があり、それには相当な実績や規模を持つ会社が仲介主体となることが望ましい。

つまりUberXは都会でなく田舎でこそ社会的に受け入れられる素地があるのだ。もちろんこれにUber Japanの経営者が乗るかどうかは分からないが、日本政府に恩が売れることは間違いなく、彼らの事業展開の突破口の一つにはなるだろう。

さらにUber社は米国市場を中心に、既に幾つかの新しい取り組みも始めており、これらは日本を含む他国市場での将来の展開の可能性を持つ。例えばUberPOOLという乗り合いサービスだ。Uber BlackもしくはUberXと違って、同じ方向に向かう利用客を途中経路で拾っていく。当然、余計に時間が掛かるが、圧倒的に料金が安い。

実はこれもLyft社のLyft Lineとほぼ同じ(両社のリリースには数時間の差しかなかったらしいので、パクリではないだろう)で、San Francisco市(SF)での評判はLyft Lineが上回るが、そのアイディアの果実の大半は世界展開できるUberが刈り取っていくことになるだろう。

だがUberに出資している投資家たちが見ている可能性は、こうした公共交通網の補完となることだけではない。Uber社が今、SFを含む世界各地で始めたりテストを続けたりしている様々なデリバリーサービスは近いうちに世界各地で実施に移されていくはずだ。例えば食事を宅配するUberEats、荷物を宅配するUberRushといったものだ。

いずれもUber社自身は車もドライバーも所有せずに、デリバリーの注文が発生したときにオンデマンドで適切な位置にいるドライバーをつなげばいいのだから、資本効率は抜群によい。当然、ドライバーに二種免許は不要だ。これが世界各地で展開された日には、ヤマト運輸やUPSも等閑視していられないだろう。

さらにUberは無人運転技術へのR&D投資も進めている。名だたる自動車メーカーをさし置いて、Googleが無人運転のテストをカリフォルニア州やテキサス州で進めていることは多くの人に知られている。実はUberもPittsburgh市に自動運転の研究所を立ち上げ、Googleの技術者を積極的に雇い、Arizona大学のキャンパスで無人運転試験走行を進めようとしている。もしかすると自動運転タクシーの実現に掛ける意欲と(出遅れに対する)危機感は、Uberが世界一かも知れないのだ。

ところで小生は先日、「シェアリング・エコノミー」の代表例の一つ、Airbnbに関する日本での展開について辛口の批評をしたばかりだ。
オーナーが同居しない空き部屋シェアリングは規制強化せよ
誤解して欲しくないのだが、小生は真に社会的に必要な規制以外は廃止すべきと考えている。そしてAirbnbが本来推進しようとする民泊の精神自体はむしろ称賛すべきものであり、(記事の中で述べているように)「ホストが同居するタイプの部屋貸しは補助金を出してでも促進」すべきと考えている。

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使命感の強さを観る、消防隊の残してくれた映像記録

間もなく5年を迎える3.11。あの衝撃の1週間が、今年も近づいて来る。家族でも「あの時は…」といった会話が日本全国で交わされているのだろう。そうして風化を防ぐのだ。少なくとも我々の生きている世代ではそうして伝えていって欲しい。

この時期になると、あの時に衝撃に震えながら観た映像、新たに公開される映像を改めて食い入るように見ている。その時だけは被災者の気持ちに寄り添えるような気になれるから。

3/4(金)に放送された「金曜プレミアム」は『消防隊だけが撮った0311彼らは「命の砦」となった』。大杉漣のナレーションで、震災の最前線で命の危険を顧みず、そして家族や自宅が流されながらも使命を全うした人々の、貴重な未公開映像が明かされた。

東日本大震災で最も多くの死者・行方不明者を出しながらも、被災現場の最前線で戦い続けた、全国から集められた消防隊員。この未公開映像には、命懸けで日本を守り、一人でも多くの命を救おうとした消防員の闘いが映し出されている。

凄惨な体験で心の傷を負ったそれぞれの消防隊員が、5年たった今だからこそ明かす証言とともに、絶望的な状況をどう乗り越えていったのかを伝えてくれた。ここには“人間の勇気と強さ”を観る思いがし、本当に頭が下がる。そして彼らのこれからの人生に幸多かれと祈るのみだ。

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公共・公益機関が率先して労働崩壊を食い止めろ

最近ようやく原稿を書き上げたのが介護施設における労働環境の改善に関する提言だった。そこがちゃんとできていないからこそ、利用高齢者に対する虐待が起きたり、「生活できない」と職場を去る人が続出したりするという事態が相次いでいるのだ。

そうした事態は介護や飲食業だけではなく、様々な公共サービスを担う職場でも広がっているというショッキングな報道番組があった。それが2月22日(月)に放送された「クローズアップ現代」だ。

京都市内にある保育所で30年以上のベテランなど、契約保育士全員が雇い止めを通告されたことを受けての送別会の場面から番組は始まった。利用者である子供たちや母親もストレスを感じているようだったが、何よりも雇止めの後に再就職したベテラン保母さんが、生活が成り立たないほどの低賃金(以前の半分以下!)のところしか見つけられずに苦しんでいる姿に胸が痛んだ。こんな事態が多くの保育の場で起きていることにショックを受けた。

事の発端は、財政削減の一環で京都市が公立病院を独立行政法人にしたこと。それに伴い、病院に併設している保育所も民間に委託された。委託期間は4年。委託先の会社の方針で、保育士は全員、非正規社員となったのだ。彼女たちの給料は2~3割カットと荒っぽい仕業が執られた。

さらに4年の契約満了に伴い改めて競争入札が行われたところ、新たな会社が3割以上安い価格を提示し、委託先に決まったのだという。その結果、元いた契約保育士全員が雇い止めを通告されたという事態に至るのだ。まさに「労働ダンピング」以外の何物でもない。

保育現場というものは効率化とはほとんど無縁の純人的サービスだ。それなりのコストを掛けざるを得ないと利用者および雇用主は覚悟すべきなのだ。それを単純に、3割も安い費用を提示した業者に切り替えるなどというのは、京都市および病院の行為は無見識にもほどがある。

NHKの取材に対し、京都市は「雇用安定などの労働条件については、委託先企業内で決定されるべきもの」としたうえで、実地監査の結果、「委託後も適切な保育が確保されており、今後も毎年度、監査を行い確認していく」と答えているそうだ。全く無責任かつ非人道的なコメントで、それほどコストカットしたいのなら、まずは役人の給与から始めるべきだ。

識者は、2001年以降、国が推し進めてきた構造改革が引き金になったと指摘している。確かに、「小泉構造改革」と称して日本社会の根幹を崩壊させた時代があり、その影響は大きい。経営者の半数くらいが短期的視野しか持たなくなり、人件費を削って利益を出すという行為を破廉恥だと感じなくなってしまった、亡国のリストラ流行の悪夢の時代だ。

保育分野では「公営保育所の運営費が高い」と指摘され、人件費の抑制を目的とした民営化が加速。株式会社も次々に参入し、民営化や民間委託が進められたのだ。かつて1万2,000以上あった公立の保育所が減り、現在、全体のおよそ6割が私立の保育所となっている。保育士の平均賃金はさらに下がり、およそ21万円。低賃金を理由に、離職する人が後を絶たない。

生活が成り立たない保育士が増え、保育所を増やそうにも人が集まらない、結果として母親の就職ができず、「女性活躍」が絵に描いた餅に終わる。この悪循環に、治世者たちはなぜ気づかないのか。「死ねニッポン」と嘆いたツイッター文が拡散されて物議を醸したが、本質はこういうことを放置している政治と自治体の無策ということだ。

高齢者ばかりが「かわいそう」とされがちだが、本当にかわいそうなのはワーキングプアーの女性・男性たちだ。そしてそのやせ細った腕でしか庇護されない子供たちだ。

せめて自治体自らは労働者を搾取することなく、適切な給与を支払うよう非正規から正規職員への転換を進めて欲しい。そして「公契約条例」のような仕組みの適用領域を拡げることで、発注先にも適正な人件費を計上・支払いしていることを条件づけて欲しい。
最近ようやく原稿を書き上げたのが介護施設における労働環境の改善に関する提言だった。そこがちゃんとできていないからこそ、利用高齢者に対する虐待が起きたり、「生活できない」と職場を去る人が続出したりするという事態が相次いでいるのだ。

そうした事態は介護や飲食業だけではなく、様々な公共サービスを担う職場でも広がっているというショッキングな報道番組があった。それが2月22日(月)に放送された「クローズアップ現代」だ。

京都市内にある保育所で30年以上のベテランなど、契約保育士全員が雇い止めを通告されたことを受けての送別会の場面から番組は始まった。利用者である子供たちや母親もストレスを感じているようだったが、何よりも雇止めの後に再就職したベテラン保母さんが、生活が成り立たないほどの低賃金(以前の半分以下!)のところしか見つけられずに苦しんでいる姿に胸が痛んだ。こんな事態が多くの保育の場で起きていることにショックを受けた。

事の発端は、財政削減の一環で京都市が公立病院を独立行政法人にしたこと。それに伴い、病院に併設している保育所も民間に委託された。委託期間は4年。委託先の会社の方針で、保育士は全員、非正規社員となったのだ。彼女たちの給料は2~3割カットと荒っぽい仕業が執られた。

さらに4年の契約満了に伴い改めて競争入札が行われたところ、新たな会社が3割以上安い価格を提示し、委託先に決まったのだという。その結果、元いた契約保育士全員が雇い止めを通告されたという事態に至るのだ。まさに「労働ダンピング」以外の何物でもない。

保育現場というものは効率化とはほとんど無縁の純人的サービスだ。それなりのコストを掛けざるを得ないと利用者および雇用主は覚悟すべきなのだ。それを単純に、3割も安い費用を提示した業者に切り替えるなどというのは、京都市および病院の行為は無見識にもほどがある。

NHKの取材に対し、京都市は「雇用安定などの労働条件については、委託先企業内で決定されるべきもの」としたうえで、実地監査の結果、「委託後も適切な保育が確保されており、今後も毎年度、監査を行い確認していく」と答えているそうだ。全く無責任かつ非人道的なコメントで、それほどコストカットしたいのなら、まずは役人の給与から始めるべきだ。

識者は、2001年以降、国が推し進めてきた構造改革が引き金になったと指摘している。確かに、「小泉構造改革」と称して日本社会の根幹を崩壊させた時代があり、その影響は大きい。経営者の半数くらいが短期的視野しか持たなくなり、人件費を削って利益を出すという行為を破廉恥だと感じなくなってしまった、亡国のリストラ流行の悪夢の時代だ。

保育分野では「公営保育所の運営費が高い」と指摘され、人件費の抑制を目的とした民営化が加速。株式会社も次々に参入し、民営化や民間委託が進められたのだ。かつて1万2,000以上あった公立の保育所が減り、現在、全体のおよそ6割が私立の保育所となっている。保育士の平均賃金はさらに下がり、およそ21万円。低賃金を理由に、離職する人が後を絶たない。

生活が成り立たない保育士が増え、保育所を増やそうにも人が集まらない、結果として母親の就職ができず、「女性活躍」が絵に描いた餅に終わる。この悪循環に、治世者たちはなぜ気づかないのか。「死ねニッポン」と嘆いたツイッター文が拡散されて物議を醸したが、本質はこういうことを放置している政治と自治体の無策ということだ。

高齢者ばかりが「かわいそう」とされがちだが、本当にかわいそうなのはワーキングプアーの女性・男性たちだ。そしてそのやせ細った腕でしか庇護されない子供たちだ。

せめて自治体自らは労働者を搾取することなく、適切な給与を支払うよう非正規から正規職員への転換を進めて欲しい。そして「公契約条例」のような仕組みの適用領域を拡げることで、発注先にも適正な人件費を計上・支払いしていることを条件づけて欲しい。

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米予備選は恐怖に近づき、日本の期待とは違ってくる

昨日から今日にかけて、米国の大統領選挙予備選のスーパー・チューズディの結果が報じられている。共和党では扇動家&不動産王のドナルド・トランプ、民主党ではヒラリー・クリントンが独走態勢に近づいた日だった。

日本の報道の見方は幾つかの点で偏っているし、日本人記者の理解が及ばない点や日本の読者・視聴者が興味のない点については極端に欠落している傾向が強い。小生は昔からMSNBCなどの米政治番組をpodcastで視聴するのが好きなので、そうした落差を楽しんでいる。

今回のトランプ氏の独走ぶりは米国内でも相当意外だったようだが、スーパー・チューズディの前週にニュージャージー州知事だったChris Christyがエンドースしたことでレースの趣が変わっている。つまりそれまで「いつトランプの勢いが落ちるのか」「誰が止めるのか」という具合に見ていた大多数のマスコミが、「もしかすると保守本流はもう間に合わないのでは」「保守本流の連中も勝ち馬に乗ろうとしている」というふうに見方を変えてきていたのだ。

つまり、トランプ支持の流れは当初の冗談からブルーカラーの反乱に膨れ上がったばかりか、今や没落したミドルクラスや首になった元ホワイトカラー連中までが「世直しにはトランプのような破天荒な人間が必要だ」と考え始めた、イスタブリッシュの連中でさえ「おこぼれをもらうにはそろそろ鞍替えしないと」と迷っているようだ、ということだ。

小生は、毎回そうであるように共和党は「保守本流のタフガイ」に落ち着くだろうと思っていたので、マルコ・ルビオに保守本流が一本化された時点で大きく流れが転換すると考えていたが、このスーパー・チューズディでルビオ候補が獲得できたのはわずか1州。これでは保守の期待を統合するには至らず、このままトランプが勢いを保つ可能性のほうが高くなってきた。

一方、民主党の予備選はどうやら先が見えてきた。白人の若者が熱狂的に指示しているバーニー・サンダースへの支持はそれ以外の層には広がらず、大人たちにとって安心できるヒラリーに落ち着きそうだ。私用メールの使用に関しての証言がブレたことで支持率は落ちたとはいえ、やはり有色人種層や中高年の女性層(彼ら彼女たちは投票率が高い!)からの手堅い支持を固めているヒラリーは強いということだ。

この情勢に何となく日本国民は「高みの見物」気分だ。何となれば「最悪、訳の分からない人物であるトランプが共和党候補としてノミネートされても、ヒラリーが最終的には勝つ、つまり日米関係はそう変わらないはずだ」という読みだろう。

確かにこの2者が対決した場合の予想はヒラリーが有利とされている。しかしここまでトランプに関して予報を外しまくっている米国マスコミの予想などはこの期に及んでは全く当てにならないと考えたほうがよい。勢いに任せてトランプが予備選のみならず11月の本選まで制する可能性は高まっていると言わざるを得ない。怖い話だが。

それにそもそもなぜ日本人と日本のマスコミの多くが「ヒラリー大統領だったら安心だ」と考えるのか。ここには大した根拠はないだろう。オバマ大統領もいい加減な政策と議会への向き合い方だったが、ヒラリーだって共和党優位の議会を動かせる技量を持っている証明はされたことがないのだ。その結果、オバマと同じく「動かない米政治」がまた4年間延長されるのかも知れないのだ。

それに日本人が最も期待する外交政策については、民主党政権は伝統的に根拠なしの中国寄りなのだということを、あまりに多くの日本人・日本マスメディアは知らない。つまり大していいことは期待できないのだ。たまたま今は中国がオバマ政権のレームダック振りに調子に乗って強硬策を繰り返してきたため、国防省などが中心となって日米同盟を強化しなければいけないと強い主張を繰り返してきたため、振り子が少し日本寄りになっているだけだ。

もしヒラリー政権が成立したら、相変わらず「歴史の長い中国のほうが尊敬すべき対象だ」という不可思議な民主党の日和見政策が復活する可能性は高いのだ。これはヒラリー個人の問題というより、民主党の性格・思想なのだから始末が悪い。

それよりは強面で「米国に対抗しようとする意図を露出している中国は徹底的に叩く、そのために日本と仲良くすべきだ」という単純明快・二元論的な、共和党の考えのほうが日本にとっては都合がよい。この大きな世界戦略の下では日本を叩こうとはならず、中国包囲網をいかに形成するかに腐心するからだ。そしてその政策を押し進めてくれるのは今残っている3候補のうち、マルコ・ルビオしかいない。彼は明確な日本寄り、中国警戒派だ。

一方、トランプは日本も中国も区別がついておらず、対外排除的な発想が強い。非常に危険な政治家だ。テッド・クルーズはそこまで極端ではないが、世界戦略自体が薄いのはトランプと同様で、外交政策はどう転ぶか不透明だ。彼が共和党候補となる可能性は低いため、あまり心配する必要はないが、トランプは十分過ぎるほど可能性が高いことは今では明白だ。事態は風雲急を告げている。

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食品廃棄物を減らす取り組みを応援したい

少し前、農業や水産業と市場を結び付けるための仕組み作りのプロジェクトに参画したことがある。既存勢力の邪魔や市場関係者の慣性がことのほか強いのが日本の実情だ。その際にも気になったのが、規格外の食物に対する取扱いの理不尽さと、その結果捨てられる食品廃棄物の多さだ。

そんな中、WBSの昨日の放送で採り上げられた「もったいナイ魚」の取り組みはとてもいいと思った。先日のイオンなどの小売スーパー側の取り組みと相まって、日本での食品廃棄量が半減することを願いたい。

「大地を守る会」は、自社の飲食店で「もったいナイ魚」を使ったランチ・ディナーの提供を始めるという。「もったいナイ魚」とは、これまで価値がないと思われて捨てられたり、家畜の飼料などにされたりしてきた魚のこと。

「大地を守る会」で扱う「もったいナイ魚」は110種類ほどに増え、売り上げは2010年度に比べおよそ3倍になった。2014年からは野菜や果物でも「もったいない」シリーズの販売を始め、「もったいないシリーズ」の売り上げは現在、1億円を突破しているとのこと。消費者の意識も少しは変わってきているのだと思う。

また通販サイト「KURADASHI.jp」では、鍋のだしなど季節外れの商品や賞味期限の近い食品を最大9割引で販売している。
https://www.kuradashi.jp/

メーカーからこうした商品をまとめて引き受け、値引き販売し。売り上げの一部を環境保護団体などに寄付しているのだ。現在、200以上の企業と取引し、サイトを利用する会員は2万人を超えたとのこと。

「3分の1ルール」などというふざけた習慣が業界にあることも初めて知ったが、それにしても消費者の極端な「新鮮さ」絶対主義を正すことなく、むしろそれに乗ろうとして仕入れ先を叩くことしかやってこなかった小売の罪状は大きい。その結末がこうした格安直販サイトの勃興だ。小売にとっては自業自得といえる事態ではないか。

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