新入社員諸君よ、ご苦労様

この時期、都内に新入社員が多いため、朝晩の電車が随分混むのと(できれば避けたいが、クライアントの指定で仕方ない時もある)、金曜の夕方になると彼らが連れだって飲みに行く姿が目に付く。

毎年繰り返される光景であるが、後者はいかにも緊張から解放された顔をしており、ちょっと微笑ましいものだ(金曜以外は上司に連れていってもらいなさいね)。

そういえば昨日(4月28日)のフジテレビ系「ユアタイム」で新入社員51人に初任給の使い道を聞いたコーナーがあった。一番多かったのは親へのプレゼント、次に多いのは貯金だった。「貯金」という声に関しては、年金など将来への不安の声も加えて聞かれた。また、奨学金の返済など「借金返済」というのも目立った。

小生が新入社員だった頃なんてあまりに昔過ぎて霞掛かっているが、少なくとも彼らほど殊勝な心掛けではなかった気がする。今の若い人たちはよくできているし、苦労しているんだなぁと感心しきりだった。
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新規事業における素朴な疑問 (9) 複雑な分析ほど有り難がられる

複雑に見える分析を有り難がる人は、個々の要素に対する「吟味の甘さ」に足をとられるリスクがあることに気づかない。


少し前、後輩コンサルタントの頼みで新規事業開発プロジェクトの途中成果をレビューした際のことである(小生はその業界のコンサルティングはしたことがないが、関連業界と先端技術に知見がある。もちろんNDAは交わしているのでご安心を)。「出てくる事業仮説がどうもぱっとしないんですよね」というのが彼の不満だった。

以前、小生のチームで仕事をしていたこともあり、彼は小生のスタイルを踏襲している。それはコンサルタントがすべて分析するのではなく、クライアント企業のメンバーに一部作業を分担してもらい、一緒に考えるというものだ。彼の不満は、クライアント企業のメンバーと自分の部下の協同作業に基づく1次アウトプットの凡庸さに向けられていた。

そこで途中成果物を少しさかのぼってレビューしてみることにした。気になったのは、仮説創出の前提となる事業環境と課題に関する分析の甘さだった。分析はどれも通り一遍の内容で、当該の会社に特有の要素や『洞察』といえるものがほとんど浮かび上がってきていないのだ。

その典型がSWOT分析で、業界内の競合相手を分析したのかと思えるほど一般的な(つまり上っ面な)内容に留まっており、「なるほど、これでは大した洞察は生まれにくいな」と感じさせるものだった。

そこで使われている分析フレームワークは「クロスSWOT分析」と呼ばれるものだった(上または左の図)。この分析フレームワークは通常の「SWOT分析」(下または右の図)と比べて、見かけが少し複雑になっている分だけ恰好よいためか、今やむしろこちらが主流といえるほどポピュラーだと聞く。
Cross SWOT
SWOT.png

しかし「クロスSWOT分析」には明らかなデメリットが存在することを承知して使わないといけない。

それはまず、複雑な分だけ手間が掛かる割に、結局実際に使えるのは「機会」×「強み」の部分だけということが多いことだ。そして手間が掛かる上に戦略の方向性を考えること(クロスSWOT分析では中心部の四象限)に気をとられて、肝心の「機会」「脅威」「強み」「弱み」の各要素(クロスSWOT分析では周辺部のボックス)の洗い出しと重要性の吟味が甘くなりがちだということだ。

こうしたデメリットがあるため、小生自身は必ずしも「クロスSWOT分析」を使わない。ましてや戦略策定の素人であるクライアントのメンバーに分析を分担してもらう場合には、こうしたデメリットの「罠」にはまり易いため、「クロスSWOT分析」を使わせることは危険だといってよい。いったん通常の「SWOT分析」をしっかりと完了してから、「機会」×「強み」を中心に戦略仮説の検討を進めるべきだと考えている。

往々にして「分析好き」な経営コンサルタントや経営企画部門の人たちは、見掛けからして複雑な分析をより有り難がる傾向がある。これは「クロスSWOT分析」に限らない話だ。

しかしその複雑さは「要素の多さ」を意味するため、一つひとつの要素に対する吟味が甘くなりがちだという危険を忘れてはならない。見かけは恰好よくとも個々の要素がいい加減な分析では、総体として使い物にならないことは論を待たない。

上記のケースでは、プロジェクトチームはこの典型的な罠にはまってしまっていたのだ。大切なことは、一つひとつの要素をきちんと吟味して、しかも戦略策定作業全体として整合していることなのだ。

したがって小生は上記に挙げた注意点を伝え、「この会社が持つ特有の要素に注目して個々の環境分析をもう一度見直すこと。それにより、本当の『強み』を磨き上げることで差別化できるレバレッジポイントをもっとクリアに特定できるはず」と助言した。いくつかの「甘い部分」の具体的指摘と共に、周辺業界の動向もヒントとして付け足しておいた。

翌々週に改めて出てきた2次アウトプットは、随分クリアな分析、そしてユニークな仮説に進化していたことは言うまでもない。

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三菱自動車に見る企業体質問題の根深さ

4月20日に発表された三菱自動車の燃費データの不正行為については各方面から怒りと失望、そして「呆れた」としかいいようのない脱力感を引き起こしている。

不正が行われていたのはいずれも軽自動車。平成25年6月以降に生産した三菱自動車の「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車向けの「デイズ」と「デイズルークス」。これらの車種のうち、三菱自動車が販売したのは15万7000台、日産向けに生産したのは46万8000台で、合わせて62万5000台に上る。

三菱自動車によると、これらの車の燃費を5~10%、よく見せていたとのことだ。三菱自動車は、今回の問題を受け、対象となる車の生産と販売は停止したとのことだが、所詮誰も買わなくなるのは間違いない。多分日産も、三菱自に委託していた軽自動車の生産を取りやめるだろう。これにより三菱自の稼働率は大いに下がり、経営的に窮地に追いやられることは火を見るより明らかだ。

そもそも今回、不正は日産側からの指摘を受けて判明した。それは三菱自に自浄作用がないことを裏付けている。

不正を行ったのは、愛知県岡崎市にある三菱自動車工業の技術センターの性能実験部という部署らしい。三菱自動車によると、当時の性能実験部長が「私が指示した」と話しているということだが、事実かどうかは確認中だとしている。

国土交通省は技術センターに立ち入り検査を行うなどして、不正が行われたいきさつなどについて詳しく調査中だとのことだが、併せて第三者調査委員会も立ち上がる模様だ。それにより組織ぐるみだったのかが判明することを期待したい。しかしこの会社はすでに二度、重大な罪を犯した企業なのだ。この企業体質を治す処方箋はないのかも知れない。

三菱自動車は、かつて「リコール隠し」が発覚し、「最後の挑戦」だと会社再建に乗り出したことがある。平成12年、内部告発をきっかけに国の立ち入り検査を受け、その結果、1万件を超えるクレーム情報を隠していたことや、4件のリコールを国に届け出ず、ひそかに車を改修していたことが発覚した。

このため、法人としての会社と、元副社長らが、虚偽の報告をしていたとして、道路運送車両法違反の罪で略式起訴された。会社は、当時の社長が責任を取って辞任したほか、再発防止策をまとめ、その取り組みを監査する第三者委員会を設けるなどした。

ところが、2年後の平成14年、横浜市で大型トレーラーの車輪が突然外れて歩行者を直撃し、親子3人が死傷する事故が起きた(小説「空飛ぶタイヤ」の元ネタ)。この事故の原因の「ハブ」と呼ばれる部品の欠陥について、この会社は、平成16年3月にリコールを届け出るまで、国には「整備上の問題」と説明し、欠陥を隠していたことが後にバレる。当時の副社長など元幹部らが道路運送車両法違反の罪で罰金が確定したうえ、業務上過失致死傷に問われた幹部2人も平成24年に有罪が確定した。

2回目のリコール隠しの直後にも、会社は、社内に品質の管理やリコールの対応を専門に検討する「品質統括本部」を設けるなど、企業体質を転換するための再建計画をまとめている。
三菱自動車の岡崎洋一郎会長は「自動車メーカーとして存続する、これが最後の挑戦であるとの気概をもって今回の再建計画を作った」と強調していた。

つまり今回は三度目。米国市場ならその時点で「スリーストライク、アウト」となって退場を余儀なくされる。日本人だって甘くない。今回はもう見逃せないだろう。

軽自動車市場における燃費競争に、台数の捌けない三菱自がついていけなくなってきていることは知っていたが、その苦境を脱する現場の手段が届け出データをごまかすことだったというのは情けない。そして現場がこうした不正に走るしかないと思い詰める前に、経営陣がやるべきことは、物量以外で勝負する領域に戦線を絞って差別化することだったはずだ(マツダや富士重工を見よ)。

残念ながら、不正によってどれほど塗炭の苦しみを味わうかを管理職がすぐに忘れてしまうほど、この会社の企業文化は腐っており、幹部は社員の危機感を維持できなかったということなのだろう。

不正にかかわっておらず、まじめに仕事をしてきた大半の社員や販売店、そして下請け企業の人々は路頭に迷うことになるかも知れない。実に残念だ。

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団塊の世代の2割にも“老後破産”が近寄る

このところ、「ゆとり世代」と「団塊の世代」間の論争がネット上で繰り広げられて話題になっているのを知った。おじいちゃんと孫の関係に当たるような離れた世代間で、こうした「あんたらが悪い」「いやお前らが不甲斐ない」といったやり取りは醜悪以外の何物でもないと思っていたが、そもそも前提としての「団塊の世代は恵まれていた」というのが怪しくなっている。

4月17日(日)に放送されたNHKスペシャルのシリーズ「老人漂流社会」だ。タイトルは「団塊世代 しのび寄る“老後破産”」。観る前は意外な感じがしたが、年金収入だけでは暮らしていけない“老後破産”の実態が、日本の屋台骨を支えてきた「団塊世代」にも、そのリスクが忍び寄っていることが明らかになってきたのだ。

「団塊世代」は、1947~51年生まれの戦後世代で(我々の人世代先輩にあたる)、およそ1千万人に上る。終身雇用制で、比較的余裕があると思われてきた世代だが、実はバブル崩壊に直面し、所得や退職金は大幅に減少した経緯がある。今や自ら高齢者となったが、長寿化で彼らの親を介護する負担が重くのしかかっているのだ。

その上、就職氷河期に直面した団塊ジュニアは、不安定就労な割合が高く、自立できずに同居している未婚者だけで300万人に上る。つまり「団塊世代」は、親の介護と同時に、子に未だに脛をかじられているケースが意外と多く、(自らを含む)3世代分を養わなければいけない立場になっているというのだ。

そのため年金だけでは、親の介護や、子の支援がままならず、貯蓄を切り崩して生活している世帯が多いというのがこの番組ではいくつかの事例と共に明らかにされた。民間シンクタンクの分析によれば、年金だけで暮らす団塊世代の預金残高は、年間90万円ほど目減りし続けているとのことだ。

若い世代からすれば「貯金があるだけまし」というかも知れないが、老後になって年金と貯金だけで生活を支えることができないというのは途方もなく不安なはずだ。実際、2割程度はもともと貯金も少なく、やがて底をつくことに戦々恐々としている模様だ。

さらに今回、団塊世代が多く居住している首都圏の団地でアンケート調査を行ったところ、団塊世代の半数以上が「生活のために働いている」と答えていることも分かった。「健康」や「社会とのつながり」のためでなく、「生活のために」というのは老人家庭にとっては辛い事実だ。

本番組は団塊世代が直面している老後破産のリスクを、密着ルポとデータ分析で構造的に明らかにしてくれた。しかし「団塊世代」の老後破産をどう食い止められるのか、という問題提起は、結局は「明確な処方箋なし」といわざるを得ない。

そもそも「団塊世代」はボリュームが大きいので、富める者も多くいれば、貧しい者も多くいる。彼らに社会的救済のターゲットを絞るべきという意見は通りえない。まずは団塊ジュニアを含む若者世代に職を与えることから社会を再建するしかないのではないか。それにより社会保障制度が崩壊することを避けるのが最優先だろう。

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男性の勝手が横行している我がニッポンの情けない実態を見せつけられた

「保育園落ちた、ニッポン死ね」のブログが注目されて以来、シングルマザー世帯の大変さがクローズアップされるようになったことは喜ばしい(たまたま小生が最も関心を持つテーマの一つである)。

そんな中、TBS系のアカデミックバラエティ『直撃!コロシアム!!ズバッと!TV』で4月18日(月) 、「怒れるシングルマザーが集結!現代日本の社会制度に物申す」が放送されたのを観た。なかなか強烈かつ意外な回答もあり、改めてひどい実態にも触れた。

3組に1組の夫婦が離婚している現代ニッポン。増え続けるシングルマザーの数は全国に約108万人と言われている。その平均年間就労収入は「181万円」と、一般的な世帯年収の半分以下。そんな厳しい現実の中で、怒れるシングルマザー50人が集結(芸能人を含む)。辛坊治郎、山里亮太(南海キャンディーズ)、東国原英夫といった男性陣はたじたじだった。

当然ながら経済的には困っている家庭が多いのだが、それでも元夫から養育費をもらっていないケースが多いというのは残念だ。DV被害によって別れたケースなど、居所を知られたくないので養育費請求などとんでもないという個別ケースはあるだろうが、その場合でも弁護士を介して裁判所に離婚および養育費請求の申し立てをするなどの手段はあると、番組の中で女性弁護士がアドバイスしていたのがよかった。

それにしても働かない、女房に暴力を振るう、などのダメ亭主が多すぎる。その挙句、離婚成立後も(家庭裁判所の調停や判決が出ても)養育費すら支払わないケースが多いというのはもう犯罪的である。フランスのように国家が強制的に取り立てて、子供を養っているシングルマザーの苦しみを少しでも緩和してあげるのが、まともな先進国のやるべきことだと、腹を立てながら観ていた。

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“チャイナショック”に翻弄される韓国企業の行方は

中国の景気減速による“チャイナショック”が、対中輸出に依存する韓国経済を直撃していることは知っていた。しかも中国市場における現地(中国)資本企業との競争が激しくなっていることも知識としては知っていた。

しかしその実態のすさまじさは、4月10日に放送されたNHKの「ドキュメンタリーWAVE」で観て初めて分かったような気がする。その日の放送タイトルは「“チャイナショック”と闘う~韓国 経営者たちの苦闘~」。生き残りのため新たな市場開拓に奔走する、経営者たちの苦闘に迫っていた。

韓国の輸出額の4分の1が中国向け。それが今年2月には20%近く急落し、多くの企業がリストラや廃業の危機に直面しているとの情報はウェブサイトなどで垣間見ることがある。

番組では、スマートフォンや液晶テレビの電子部品を製造する中小企業に密着取材し、生き残りを図るため、技術開発などで新たな市場開拓に奔走する経営者たちの苦闘の日々を映してくれた。

その中の1社。かつてベンチャー企業の騎士と言われたトレイス・イクァング社長は大手メーカーの下請けとしてスマートフォン部品に付ける特殊な部品を作ってきたが、チャイナショックで売上が最盛期の4割減。予備校・スマートジョンイル学院のオンライン予備校向けにイクァング社長はタブレットを提案。ペン入力システム用にタブレットの線の太さを変えられるオリジナルの技術をもとに、日本・大阪の商社にも提案するなど必死だ。

一方、韓国オリオン・キムセオン社長はテーブルモニターを売り込みに、シンガポールの大型モニター専門の商社を訪れる。ベトナム、香港など6社でトップセールスを行なったが、色よい反応がない。市場の競合と同じ、低価格を追求するのか悩んだ結果、キム社長は「4Kや40本指で同時にタッチできる商品を絶対に完成させる」と高機能路線を徹底することで生き残りを目指す覚悟を社員に宣言した。

従来の韓国企業は日本企業の真似をして、価格競争で日本企業を蹴落として世界市場で成長してきた。しかし今度は中国企業などから追い上げを食う番だ。そのとき、自らのオリジナル技術がどれほど独創的で魅力的なのかが問われる。多くの韓国企業にはそれほど時間が残されてはいない。

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人材サービス会社が仕掛ける「失業創造ビジネス」に加担するな

ここ数年は景気も回復気味だったせいもあり、(シャープや東芝といった特定の企業を除いては)大企業一般ではあまりひどい人事ニュースにはお目に掛からなくなっていた。しかし4月13日(水)に放送されたクローズアップ現代の内容は衝撃的だった。

多分、王子製紙の話だろうとは思うが(NHKゆえ個別企業名は極力出さないようになっている)、大手製紙会社が業績好調なのに、40~50代の社員に退職勧告を繰り返していたというのだ。しかもその背後には人材サービスの暗躍があるようだ。

NHKでは、実際に退職を勧めた人たちの一覧を独自に入手。40代、50代の働き盛りの中高年社員が数多くリストアップされていたこと、その対象が、病気になった人や、性格がおとなしい人、働き方に大きな問題がないと見られる社員も多く含まれていたことを突き止めている。

確かに製紙会社の本業の先行きは安穏としたものではなく、デジタル化による紙離れや、人口減少によって、今後の見通しは容易ではないというのは分かる。しかしこの件の問題はそこにはない。

この製紙会社に対し、戦力でないと考える社員をリストアップし、退職を勧めるよう提案していたのが大手人材会社だったことだ。ミスマッチ社員やパフォーマンスの低い社員に辞めてもらうことができれば、経営体質を強化できるとアピール。業績が上向いているときこそ退職金を割り増すなどして退職を勧めることが有効だとしていたのだ。

リストアップされた社員は、人材会社が1人当たり60万円で引き受け、職探し支援サービスを提供することにしていた。問題なのは、この時、人材会社に支払われる資金の一部に、国からの助成金が流れ込んでいたことだ。

本来、職探しを支援するはずの人材サービス会社が、逆に社員に退職を勧めるよう提案することに問題はないのか。しかも国の税金を使って失業を生み出し、自分たちのビジネスにしようとするのは「マッチポンプ」と言わざるを得ない。

こんな性悪のビジネスモデルを考えたのはパソナ会長の竹中平蔵氏だという情報がある。そう、あの竹中平蔵氏だ。
http://buzzap.jp/news/20160222-restructuring-business/

裏付け情報がないため真偽のほどは定かではないが、彼は小泉政権時にも首相の信任が厚いことをいいことに売国奴的な所業を繰り返した(そのため長銀や日債銀、その傘下の優良企業が外資に二束三文で売却され、多数の善良なビジネスパーソンとその家族が塗炭の苦しみを味わうことになった)「実績」があるので、可能性は十分と思える。

先月(3月)の時点では、国は人材会社の業界団体に対し、退職者を生み出すような提案をすることは適切ではないと通知を出しているので、こうした悪行が簡単には広がらないとは思う。

しかし油断してはいけない。こうした「自分たちさえ儲かればいい」という行いが日本経済を縮小させ、景気を悪化させ、日本の社会を短期的な儲け主義に走らせたことを忘れてはならない。大企業の責任ある立場の人は是非、良識を持って、立ち止まって考えて欲しい。

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営業改革を考える (7) 営業研修に思想は根付いているか

営業改革の一環として、研修は不可欠である。しかも改革の「思想」と整合した、メリハリのある研修でなければいけない。


営業改革を考える (6) 報酬・インセンティブ変更は熟考せよ~ の続き

ある大手IT企業の営業研修担当者と話したときのことである。

この企業では数年前から営業改革を進めており、その過程で研修体系も相当変わったそうだ。彼は研修メニューの豊富さを半ば誇り、しかし半ば自嘲気味に「でも、多過ぎるくらいなんです」と言い出した。

興味本位でそのリストを見せてもらったが、確かに多い。しかも話法やプレゼンなどのスキル系と、技術や商品知識系の研修が随分多い(後者は業界特有の事情で納得できた)。

何か特別の方針があるのかと尋ねたが、特にないという。営業幹部の人たちの要請を受けて増やしているうちに、ここまで増えてしまったのが現実だというのだ。

そこでリストを再びめくりながら、その企業の営業にとって重要と思われる、「顧客課題の引き出し、理解」や「解決提案力向上」のための研修メニューがどれほど充実しているのかを質問してみた。ところが、「これとこれがそうです」といった特定ができないだけでなく、残念ながらあまり明確な回答は得られなかった。

彼の認識では、「営業改革」においてデザインされた営業プロセスに基づき、全営業マンに対して研修を実施したし、その後も研修メニューの中に残しているので、営業マンならば(途中入社の人を含め)、関連研修を一度は受講しているという。

この研修部門は日々の業務に手を抜いていた訳ではない。むしろ反対だ。

しかし営業改革の過程において「改革思想」がきちんと描かれなかったのか、もしくは徹底されなかったのだろう。研修部門ではいつの間にかその「思想」が薄れ、目先の枝葉的な必要に押され、どんどんメリハリがなくなってしまった、というのが真相のようだ。
その結果は、もしかすると一旦は実現したはずの営業改革が形骸化していることを意味しているのかも知れない。

何度もいうが、営業改革においては「改革思想」を明文化し共有化することが不可欠である。ここでいう「改革思想」とは、「戦略的狙い」に基づいて、営業のあり方をどう変えたいのかという基本的考え方である。

その思想と整合性を保つように研修メニューの構成と中身にも常に目を光らせておく必要がある。特に「改革思想」そのものを伝えることが重要なのはもちろん、それを反映するような基本メニューの重要性はどれほど強調してもし過ぎるということはない。

先のIT企業についていえば、デザインされた営業プロセスそのものの理解と習得、顧客理解と提案力強化のための基本メニューをまず特定し、その基礎の上に諸スキルや技術・商品知識を加える、といった層分けを実施すべきと担当者にはお伝えした。

さて、本気で取り組んでくれるといいのだが。

(本稿は2013年4月のコラム記事に加筆修正したものです)

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中国バブルはすでに崩壊したが、日本の二の舞を避ける努力は続いている

今月のニューズレターでお薦めした番組が「未来世紀ジパング」の4月4日放送の回、「拡大スペシャル 追跡取材!中国バブル崩壊の真相」だった。御覧になった読者も多かったのではないかと思う。減速感が鮮明になる中、番組取材班は"中国バブル"の驚きの現場を再び取材。バブルは崩壊したのか、日本への影響はどこまであるのか、貴重な情報と共に検証してくれた。

番組宣伝にもあるように、20世紀のアメリカ100年分に匹敵する建材をわずか3年間で使い切った中国の巨大開発と建設ラッシュは凄まじかったことが分かる。解き放たれた13億の欲望はさらに、株と不動産そして高利回りの理財商品に殺到し、絵画や宝石からペットに至るまで中国は空前のバブル状態となっていた。いったんはじけたバブル経済が単純に萎まないのが、中国政府のコントロールのうまさであり、中国経済の奥深いところだ。

最初に紹介されたのは中国特有の商品のバブル事情だ。一つ目は「地球上で最も高価な犬」と言われたチベット原産の犬「チベタン・マスティフ」だ。一時は絶滅の危機に瀕し希少性が高いとされ、人気に火が付いた4年前には一匹3億7000万円にまで高騰。しかし今や二束三文に。

同じく4年前、中国各地で人々が熱狂していたのは翡翠。世界でも極端に中国人だけが偏愛するため、80万円がわずか2年で1300万円に値上がりした“翡翠バブル”もまた暴落。香港で開かれた世界最大の宝石見本市ではむしろ日本の真珠に人気が集中する始末。

番組が3年ほど前に取材した中国の巨大開発計画の鬼城=ゴーストタウンを追跡取してくれたが、不思議な実態が改めて印象づけられた。
① 世界一の高層ビル計画
ドバイを超える高さ838メートル、220階建て3万人収容のビル建設予定地には何もなく、広大な池に鴨の養殖場という驚きの光景。計画をぶち上げた「世界最速建設」を標榜する建築会社はいまだに計画放棄を公にしていない…。さすが見栄とハッタリの国・中国だ。
② 未来型の巨大工業団地
中国が威信をかけて9兆円を費やす計画。3年前にはすでに多くの工事がストップし、ゴーストタウンになっていた現場を再び訪ねると、新たな大規模建設の最中。工業都市を諦め方針転換した町の姿とは大学を中心とする研究都市。さすがそう簡単にはあきらめないタフネスぶりで、むしろ感心した。
③ ゴーストショッピングモール
計画では世界一の規模を誇った巨大ショッピングモールだったが、3年前の取材時にはか99%の店舗がすでに撤退していた「閑古鳥」状態。その後、莫大な資金が追加投入されリニューアルに成功したと報じられていた。しかし現場に客の姿はなく、開店休業状態。プロジェクト失敗を告げると不動産会社が借金を返せずに倒産するため、無理やり続けているのだそうだ。いつまで続くはずはない、不思議な状況だ。

急な景気減速で広がりつつある節約志向にマッチしたのが、「外食」から「内食」への転換だ。これを追い風に「中国の人民食」を目指し、日本のカレールーの普及にメーカーのハウス食品が攻勢に出ている。各地の社員食堂や5000人のチベット僧に提供した試食会も大成功。スーパーの売り場もジャックし、売り上げは急拡大中。しかし番組が見せた中国の家庭で食されるカレーは日本のカレーとは似ても似つかわない料理に変貌していたため、ハウスは「正しいカレーの料理法」を指導しようとしていた。そんなことしなくてもいいのにと小生には思えた。

日本人には不思議な「ヤマシタ」ブーム。中国の若者に絶大な人気を誇る山下智博さんは、日本では全く無名だがサイン会は3時間待ち。街を歩けば写真をせがまれ、感動して泣き出す人まで。テレビでは連日、日中戦争を舞台にした「抗日ドラマ」が放送されて親の世代、50代以上が独占する。そのため若者たちはネット上で生の日本に関する情報を求めていたためという。そんな“ヤマシタブーム”に注目した日本企業と、彼は商品の共同開発を進めていた。中国にしばらくいると商売がうまくなるのかも知れない。

最後に中国政府による“ゾンビ企業”対策が語られる。ゾンビ企業とは、経営が破綻しているのに政府や銀行の支援を受けて存続している企業。政府が作成したリストから漏れた企業では銀行からの融資がストップし倒産する。さらに経済を牽引してきた製造業では大量リストラが進んでいた。結局、中国政府はソフトランディングしようとしてきたが、さすがにそれは無理なことが分かってきたので、ハードランディングからクラッシュという事態を避けることができるのだったら、多少荒っぽくとも、もしくは何度もアップ&ダウンを繰り返しても「着地」させる決意は強いのだと感じた。

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介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(後編2)

「介護離職ゼロ」に不可欠な介護施設増のためには介護スタッフの人手不足の解消が欠かせない。「介護職の処遇改善」に並ぶ、そのためのボトルネック解消策として「業務の改善」と「職場の人間関係改善」を挙げたい。


『介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(前編)』および『介護スタッフの処遇と業務の改善こそが人手不足解消の鍵(後編1)』より続く

ボトルネック解消策の第2ブロック「業務の改善」は、介護の生産性を大幅に上げるための、担い手の役割分担の見直しと業務の効率化である。決して流れ作業の強化などではない。

幾つかの研究で既に明らかになっているが、介護においては被介護者との信頼感を高めるためのアイコンタクトやソフトタッチなどの人間的触れ合いこそが重要であり、効率化すべきはそれ以外の部分だ。介護サービスは「接客業」であることを肝に銘ずべきなのだ。

関係者の方々はそうしたことを前提に、以下の業務改善方策例を読んで欲しい。いずれもどこかの事業所で取り組んで効果を上げているものなので、積極的に検討いただきたい。

一つ目は、労働環境上一番大きな「夜勤問題」の解決である。「下の世話」などと違って、夜勤が勤務シフトに混じることで引き起こされる体調の崩れや疲労蓄積は、慣れや当人の工夫で何とかなる問題ではない。特に少人数の施設では夜勤の頻度が高く、しかも一人夜勤といった実態が往々にしてあり、やりがいに燃えて就労したスタッフをも挫けさせるキツさなのである。

最も効果的な解決法は、一部のスタッフを夜勤専門とし、残りのスタッフを日中だけの勤務とすることだ。日勤専門になる大半のスタッフからは、一番の悩みがなくなると大歓迎されよう。

夜勤専門のスタッフには高めの給与を支払う必要があり、複数夜勤体制を確立するためには人数を増やす必要が出てくる施設も少なからずあろう。やはりこの体制整備を条件に、介護報酬の水準を底上げすべきだ。

夜勤専門のスタッフを見つけるのが難しい?一人は必ずしも介護士資格がなくても構わないと割り切れば選択肢は広がる。小生のお薦めはシングルマザー家族の住込み採用だ。お子さんが眠っている間に夜勤をこなし、お子さんが学校に出掛けてからぐっすりお休みいただくのだ。お年寄りたちも子供たちと一緒に住むことで元気をもらえる。

二つ目の業務改善はパートタイム・スタッフの積極採用・活用だ。「手離れ組」のかなりの割合は「パートタイムならばやってみてもいい」と考えている可能性が高い。介護事業者は頭を切り替えて、フルタイムと細切れパートタイムの混合シフトにトライして欲しい。

従来の紙ベースのやり方ではシフトを組むのが面倒になるが、今では非常に安価または無料ながら高品質のシフト作成・管理アプリが幾つも出回っている。

三つ目の改善は地域ボランティアの積極募集だ。掃除・修繕・話し相手等々、素人でもできる仕事は少なくない。それらを地域ボランティアにやってもらうことで、介護スタッフは本来の介護業務に専念でき、長時間労働を解消できる。

介護施設は地域社会に溶け込むためにも、チラシを撒くなどして地域の家庭に積極的に協力を呼び掛けて欲しい。定年後に暇を持て余しているダンナを「将来の参考よ」とかいって連れ出してくれるよう、奥さんたちに訴えるのだ。

また、「育児の悩み事を人生の先輩に相談できます」と称して、孤立しがちな子育てママたちを子供ごと受け入れるのもよい。ママたちはノイローゼにならずに済み、お年寄りも若い世代のために役立てることで張り合いが生まれよう。

できれば、前稿の追記で提案した生涯ポイント制の対象にこうした地域ボランティアも含めて欲しい。この介護ポイントを直接の目当てにボランティアに参加する人が増えるとは必ずしも思わないが、こうしたことが自分や家族に対し参加する踏ん切りを正当化し、それをきっかけに積極的に参加する人たちもいるのではないか。

四つ目の業務改善はツールの活用だ。特に無線インカムは、手が離せないときに介護スタッフ同士が連絡を取って助け合うことができて実に有用だ。利用者を待たせずに済み、スタッフのストレスも下がり、長時間勤務の解消にもなるので、離職防止効果もある。トータルで見て安い投資だ。

他にも「見守り」カメラやセンサー、徘徊対策のGPS発信機付の靴や足リング、ロボットスーツ等々のハイテクツールも今後普及しコストも低減するので、費用次第で検討に値しよう。

次に、ボトルネック解消策の第3ブロック、「職場の人間関係改善」の方策を考えたい。「処遇改善」と「業務改善」の努力をした上での話だが、少なくともスタッフの悩みやストレスを把握するため、上司定期面談くらいはどこの職場でも実施して欲しい。

しかし何より急務なのは腐ったリンゴを取り除くことだ。すなわち、他のスタッフや利用者から総スカンを食いながらも「頭数が必要」という理由で居座ることを許されてきた悪質なスタッフに対し、強烈な自省と改善を求め、それで直らない場合にはすっぱり辞めさせることだ。採用必要数が増えるので勇気が要るのは理解できるが、他のスタッフの離職を食い止めるためには急がねばならない。

最後に働く側への提言をしたい。強いプレッシャーを与えないと、悪質または凡庸な経営者は自ら仕組みを変えようとはしない。皆さん自身がその原動力となることが不可欠だ。それには口コミサイトやSNSの積極的利用が最も効果的だと小生は考える。

介護業界で働いている人たちが自らの経験に基づいてブラックな職場実態を告発し、就職・転職検討者たちがその情報を基に判断するようになれば、事態は大きく動く。

改善が進む職場には人が集まり、できない事業所は人手不足が加速して退出を余儀なくされるのだ。是非、冷静かつアクティブに動いて欲しい。

(本稿は、雑誌「公明」2016年4月号の特集「長寿社会を支えるために」の記事『深刻な介護の人手不足』解決の可能性を探る)をベースに追記等を行ったものです)

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椿本チエインの「挑戦し続ける」企業文化は創業者譲り

少し前にロジ関連の仕事が集中していた時期があり、その際にいくつかのマテハンや倉庫関係の注目すべきシステムとそのメーカーを調査したことがある。そこには確かにこの企業も含まれていた。

カンブリア宮殿で3月31日に放送されたのは『万物を動かすチェーンを極めて100年!
世界NO.1の強さを生む挑戦&突破力!』、フィーチャーされたのは、産業用チェーンの世界トップメーカーである椿本チエインだ。

会長の長勇(おさ いさむ)氏がスタジオに持ち込んだのは多種多様なチェーンだったが、それでも全製品2万種の1%にも満たないものだという。

特に興味深かったのは、2本のチェーンをジッパーのように噛み合わせ、硬い1本の棒状になる「ジップチェーン」。自動車工場やコンサート会場などで、重量物の昇降機や押し出し機として広く使われるようになっているそうだ。全然知らなかった。

1年間に長さ2万5000キロも製造し、国内で生産される自動車の10台中7台が、その
エンジンに椿本チエインのチェーン製品を使用しているという。椿本の強さはその品質と耐久性。同社のチェーン製品はたるみができにくく(内部構造に独自形状の油だまりを持つ)、競合する中国製などと比べ数割程度の価格差があっても、故障せずメンテナンスしやすい同社の製品が結局は選ばれるという。

こんな競争力のある製品を常に開発してきた原動力は、業界トップに甘んじることなく、10年ごとに基本商品であるローラーチェーンを進化させ続けるプロジェクトを実施してきたからである。そうした、新市場に果敢に挑む挑戦心は創業以来の企業文化であるという。

これは創業者・椿本説三が創業事業である自転車用チェーンを創業わずか11年で撤退し、将来性が見込める産業用チェーンにビジネスを転換したことに始まるという。さらにその8年後にはチェーン技術を足がかりに、大規模な工場用コンベアプラントの分野に挑戦、現在の搬送システム事業の礎を築いたのだ。なんとも素晴らしい企業文化だと感心した。

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