小池都知事が変える政治の姿

最近、ほぼ毎日、小池・東京都知事の動向がニュースを賑わしている。豊洲の盛り土問題や、オリンピック施設の整備予算見直しなどである。特に後者については小生も前から指摘していた通り、今までのやり方で行けば都の財政破綻につながりかねないので、小池氏の大胆な見直しには大賛成だ。

そんな大忙しの小池知事がカンブリア宮殿に出演したのには驚いた。昨夜の放送である。
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20160929.html

そういえば小池氏は元々テレビ東京のWBSのキャスターとして活躍し、それが縁で日本新党で参院選に出馬することになったのだと思い出しさせてもらった。その後の環境相でのクールビズなどでのアイディアパーソン振りは注目に値する。

今回の番組で初めて知ったのは、「トルコ風呂」なる奇妙な風俗店の名称を、トルコからの留学生の訴えで「ソープランド」に一斉に変更することになった事件を主導したのが小池氏だったということだ。彼女が青年の訴えを採り上げメディアキャンペーンを起こすとともに、時の厚生大臣・渡部恒三氏に直訴し、渡部氏の業界に対する鶴の一声で物事が一挙に動いたという。小池氏が「ジジ殺し」の別名を持つ所以であろう。

この政治家、とにかく行動力と実行力があることが証明されている。女性政治家の躍進に期待したい。
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NIH症候群を制御せよ

Not Invented Here 症候群(NIH症候群)とは、第三者が生み出した技術や製品もしくはアイディアを「ここで発明したものではない」という理由から無視・軽視または敬遠する症状を指す用語。もちろん、新規事業の開発時にも生じやすい。


新規事業の発案元に関するアンケートに基づく記事を最近見つけた。それによると、新事業の発案者の7割近くは経営者であり、それに次いで事業部門長が半分近くを占めるそうだ(複数回答)。一方、社外の取引先や提携先が締める割合は1割強、顧客からの提案を発祥とするケースは5%弱。外部コンサルからの提案によるものが最下位で、3%にも満たないそうだ。

外部の経営コンサルからの提案によるものが随分少ないと感じるかも知れない。「経営コンサルといえどやはり外部からでは分からないのだろう」もしくは「コンサルの思い付き程度では事業化にまでは至らないのだろう」と考える人が多いだろう。

ある意味その通りであり、さらに隠れた追加的な理由も考えられる。

そもそも外部から新事業を提案される事態というのは多くのビジネスパーソンの感覚からするとあまり尋常ではないだろう。イメージとしては、ある日著名な外資系コンサルタントが乗り込んで来て、経営者に向かって「社長、お宅は是非これこれの事業に乗り出すべきです」と宣告するという次第だ(実際、こういうパターンがバブル経済華やかなりし頃や、その崩壊直後には多かったと聞いている)。

当然、「はいそうですか」と受け入れることは大概の経営者のプライドが許さないだろう。また、コンサルタントの持ち込む提案と似たようなアイディアは社内でもとっくに検討しているということもありそうだ。

それ以上に現実的に多いと思われるのは、新規事業を企画立案するプロジェクトの中でコンサルタントチームが主体となって発案するというパターンだ。これ自体はそれほど特殊な事態ではなく、小生もADL時代によくやっていた。

しかし肝心なことは、コンサルタントが提案したアイディアの場合(いくら良いものでも)、事業化まで至る確率が低いという現実が、先の記事でも浮かび上がるということだ。最初から外部コンサルが新しい事業アイディアを持ち込んだか、新規事業を企画立案するプロジェクトの中でコンサルタントが発案したかは問わない。社内スタッフが発想した事業企画に比べ、最終的に事業化にまで至らずに終わることが少なくないということだ。

なぜか。社内スタッフが中心になって着想した場合と比べ、どうしても愛着が沸きにくいのだ。これはオーナーシップ(「所有者感」とでも云おうか)の問題である。

「これは自分たちが生んだ事業企画だ」と思える場合、その肉付け作業やFSといった地道な作業を経て事業立ち上げまでの面倒かつしんどいプロセスも耐えられる。しかし外部由来のアイディアでは担当責任者にそこまでの思い入れは生じにくく、事業化までのしんどいプロセスに耐えてまで頑張ってくれる人はなかなかいない。

さらに付け加えるなら、その長くしんどいプロセスの間、担当者たちを常に叱咤激励してくれる役員の存在が重要だ。

本当に実現できるか、そして利益を生むか分からない段階から、何人かの人数が関与して検討やヒアリングで多くの時間を費やすため、延べ人数にすると相当な工数となる。それでも新規事業開発が経営の最重要課題の一つだと認識している経営者が大手企業には多い。だから着想者が役員本人の場合はもちろん、社内出自であれば、可愛い部下が考え出したアイディアを実現するために苦労しているチームをサポートしたくない役員は滅多にいない。

しかし外部の人間が考えたアイディアの場合(当初は素晴らしいと思われたものでも)、どうしてもその後の扱いが辛口になりがちで、すぐに事業化が難しいとなれば、我慢強くサポートする代わりに引導を渡すことになりがちだろう。

こうしたNIH症候群を非難することはたやすいが、人間心理に根差したものゆえに企業現場から排除することは難しい。現実的なやり方はむしろ「制御する」ことだ。つまりそうした心理が生じやすいことを前提に、いかに実害をなくすかに工夫を凝らすのである。

かなり昔だが小生にもNIH症候群による苦い経験が幾つかある。そうした経験を重ねた結果、弊社では新規事業案を企画するプロジェクトでもコンサルが主導して新事業を着想する方式は執らない。あくまでコンサルはファシリテータとしてプロジェクト参加者の着想やその発展を促す役に徹するようにしている。

もちろん、着想のヒントや他業界の類似ネタを出したり、「例えば…」という形で方向づけをしたりすることはある。その場を経営者の方々が見たら多少まどろっこしい部分もあろうが、結局はそのほうが事業化実現の可能性が高くなると信じているからである。参考にしていただけると幸いである。

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縫製職人を活かす新しい仕組み「nutte」

かつて日本全国にあった縫製工場。今は海外に仕事を奪われ、倒産した工場も多い。職人たちは仕事を失い別の仕事に就くか、個人で縫製の仕事を請け負うなどして生活を続けてきた。しかし個人でアパレルメーカーのサンプルの作成などで得られる収入だけでは生活すら厳しい状況だという。 現在そんな職人が、全国で20万人いるといわれている。

その現状に目をつけたのが昨年創業した「nutte(ヌッテ)」だ。縫製職人と商品を作って欲しいというメーカーをつなぐサービスを提供している。
https://nutte.jp/

仕組みは、まず作ってもらいたい側が予算や納期、デザインを提示する。職人は、予算や納期、仕事内容を見て仕事を受けるか決めるというもの。 職人が個人のため小ロットで出来るのが強みで、規模の小さいアパレルメーカーや子供の学芸会用の衣装など一般人でも利用できるのが特徴だ。

ガイヤの夜明けで9月13日に放送された「消すな職人技!生き残りの秘策」でも紹介されていた。それによると、登録している職人は現在約1000人。年齢層も幅広く、経験も豊富なことからイメージだけ伝えれば商品を作ってくれるという。このサービスは、苦境に喘ぐ繊維業界の救世主となれるかも知れない。期待したい。
http://lovely-lovely.net/business/nutte

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婿社長が体現する“伝統は革新の連続”

伝統的な産業ほど革新を続けて今に至っている。この逆説的だが真を突いた説を改めて思い起こさせる事例に時折出会うことがある。

9月10日に放映されたNHKの経済フロントラインの『未来人のコトバ』は、相模屋食料の社長、鳥越淳司さんをフィーチャーしていた。彼は前社長の娘婿として入社以来社業の改革を続け、2002年の入社当時は28億円だった売り上げを、2015年には7倍を超える200億円超にまで伸ばした凄腕だ。鳥越さんが大事にしているコトバが“伝統は革新の連続”だ。

彼が相模屋食料に入社した14年前には、業界には昔ながらのやり方を変えようという意識は、ほとんどなかったという。そんな中、「変わりようが無いと思っているならば、やればものすごいチャンスなんじゃないかなと思いました」という感想を持ったというのが素晴らしい。

入社してから2年間、毎日午前1時に工場に行き、職人たちと一緒に豆腐を作ったという。「(大事なのは)現場に行くということ、一緒にやるということです。(それで)“あいつの言うことだったら聞いてやろう”という(気になってくれる)」という人の気持ちを理解していたのだ。

鳥越さんは以前、雪印乳業で営業マンをしていたときに乳製品の集団食中毒事件が起きた。被害者の家を訪ね謝罪して周った際に「“何でこうなったんだ”と必ず聞かれるんです。そこで私はまったく答えられないですから、(製造現場を)知らなかったことは、ものすごく罪なことだと思いました。
豆腐の業界に入ったときには、いちばん最初に豆腐作りをやって、身に付けようと思ったんです」という鳥越さん。

こうした現場重視の姿勢を持ってまず取り組んだのは、豆腐の作り方を全面的に見直すことだった。11年前につくった第3工場は建設費41億円。年間の売上げを大きく上回る投資。3台のロボットだけで豆腐を全自動でパック詰めしている。従来方式では、蒸した豆腐を水中で冷やしてからパックするのが常識。しかし、豆腐は熱いままのほうが風味を保つことができ、日持ちもする。熱々のままパックする方法を模索し、発想を転換して「パックを上からかぶせる」方式にしたのだ。

おいしさが保たれ、賞味期限も従来の3倍、およそ15日に伸ばすことができた。これにより販路は拡大。売上げを一気に伸ばすことができた。客層を広げるため、彼が次に取り組んだのは若い女性や男性も手に取るような商品の開発。

社長が先頭に立って開発したのが、「ザク豆腐」。「機動戦士ガンダム」に登場するモビルスーツ戦士だそうだ。知らなかったが、面白い。鳥越社長の明るいキャラクターが効果を発揮したのだろう。

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アフガンの砂漠に用水路を建設した日本人医師

先に挙げた『将校は、砂漠に木を植えた~インドに渡った隼戦闘隊員~』と少し似た話だが、現代の尊敬すべき日本人が紹介された番組を続けて観た。

NHK Eテレで9月10日(土)に放送されたETV特集『武器ではなく 命の水を~医師・中村哲とアフガニスタン~』だ。アフガニスタンで干ばつと闘う日本人医師・中村哲(69)氏の話だ。
http://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2016-09-10/31/13076/2259544/

中村氏は100年に1度といわれた大干ばつに苦しむアフガンの人々の窮状を見て、「水路1本が医者何百人分の働きをする」と白衣を脱いで、現地の人々とともに用水路建設に乗り出す。

驚くことに自分で設計図を作り、自分で重機を動かし、自分で住民たちを説得して働き手を組織する。総工費十数億円は寄付でまかなった。驚嘆すべき、そして尊敬できる日本人だ。

用水路完成までの15年に至る貴重な記録番組だ。その間、アフガンは米同時多発テロ事件が起き、その報復でアメリカから攻撃され、タリバン政権が滅ぼされた。同時に、無辜の民までが空爆などで巻き添えになり、大量に殺された。この戦争でおびただしいアフガン難民が生まれた。

中村氏たちも水路建設中に米軍機に機銃掃射されたという。中村氏は、こんな干ばつで苦しむ人々に空爆をかけるとは、現地に身を置く人間として信じられなかったと当時証言している。全くその通りだ。

その後長く続く「対テロ戦争」で、アメリカ軍機が上空を飛ぶ下、中村氏らはひたすら水路を建設し続けた。中村氏らの奮闘ぶりに触発され、そして自分たちの未来を築くため、近隣農民や難民たち、元兵士たちが協力して大地を掘り進む。水を取り込む川の半ばまで堰を築こうとしても土砂が何度も流されてしまうが、やがて中村氏の故郷の知恵が解決策を生む。その悪戦苦闘の過程は実にドラマチックだ。

干ばつと戦火で荒廃していた褐色の土地が、用水路によってやがて豊かな緑地に変わっていく。人々が戻ってきて地域共同体がよみがえっていく。これこそが日本人の欲する平和活動であり、いのちを救う活動なんだと感じた。

15回めの9.11を迎え、報復に狂った米国がまき散らした憎悪がイスラム世界の一部で増幅して世界をさらに苦しめる中、真の問題解決を見た思いがした。

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営業改革を考える (12) 営業日報は本当に必要か?

営業日報を書かせること自体が無駄になっているケースは、実は少なくない。しかし営業日報を廃止して有効な営業指導を機能させるためには、ある高いハードルを越える必要がある。


営業改革における「課題」と「解決法」は基本的には個々の会社で異なるが、営業マンに日報を書かせている会社の場合、それを続けるべきかが論点になることが少なくない。

というのも、営業日報をちゃんと書くには毎日1時間程度(人によっては1時間半以上)の時間を費やす営業マンが多いのだが、大概はその時間に見合うだけの付加価値を生んでいないからである。

特に悩ましいのは、営業日報を書くこと自体が目的化し、詳細な日報を書き上げて「仕事をした」気になってしまうことである。

多くの大手コンサルティング会社の「解決法」は、SFAシステム等の活用により営業日報を効率的に書かせることである。

ちょっと前ならノートPC、今ならスマホかタブレット端末を使って、出先から移動時間や昼休みなどの隙間時間に営業状況を報告させるので、直行直帰もできて効率的。報告の基本パターンもあらかじめ登録しておいてプルダウンメニューで選べるので素早く入力できる。あとは自由記入欄で補足するだけ、と謳う。

確かに従前よりは効率的になるが、本質的解決からはほど遠いと思う。

そもそも営業マンに日報を書かせる目的は何だろう。こう尋ねると、「営業マンの行動や案件の状況を上司やその上の幹部が把握するために決まっているだろう」とお叱りを受けそうだ。

しかし営業幹部が個々の営業マンの日報に目を通している会社は稀である。直属の上司でさえ毎日は目を通せず、週に1~2回に分けているという例が圧倒的に多い(実は、全部に目を通すだけでもマシなほうである)。

それでも毎日書かせるのは、「上司が読んでいる」というプレッシャーを与えることで営業マンにサボらせないため、というのが多くの営業組織の本音であろう。

しかし本当に「サボり癖」のついた営業マンは、辻褄を合わせるためにさらに時間を使って営業日報を作り上げてしまうので、上司は文章を読むだけでは見抜けない。サボらずに真面目にやっている営業マンは、その日報を書いたからといって行動や顧客への提案内容が変わるわけではない。

つまり、確実に営業マンの時間を消費しながら本来の役割は果たせず、何の付加価値も生み出していないのだ。

特にサービス残業が常態化しているような忙しい営業組織の場合、いっそのこと日報を廃止してしまうと、意外と簡単に余裕時間を捻出できてしまう。もちろん単に日報を廃止するだけでは、上司も営業状況を全く把握できず、何より会社として不安だろう。そこでどうするかは個別の解決策を考える必要がある。

小生の経験では、日報を廃止する代わりに営業マネージャーが面談で状況を把握し、直接に助言・指示をすることを基本にすることが有効なケースが少なくない(もちろん、具体的なやり方は個々のケースで異なる)。

観察しながら適切な質問をぶつけることができるので、営業マンがサボっている場合にはすぐに見抜けるし、状況急転の兆候に気づけずに手遅れになることもほぼなくなる。

ただし、このやり方が機能する条件が一つある。営業マネージャーに経験と時間があることである。

マネージャーになっている人は営業で実績を上げて出世したというのが普通なので、経験のほうは大概問題ない。では時間のほうはどうか。残念ながら、営業ノルマを持つプレイングマネージャーの場合には、部下に対し丁寧な指導をすることは現実的には難しい。どうしても自分のノルマを果たしてからでないと、そんな余裕は生まれないからだ。

したがってこのやり方を採用するためには、基本的に営業マネージャーからノルマを取り除き、営業チームのマネジメントに集中させるという大きな方針転換が必要になる。実はここが一番高いハードルなのである。

(本稿は2013年6月のコラム記事に加筆修正したものです)

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インド緑化に半生を捧げた男・杉山龍丸の生き様

この夏はオリンピックと共に、様々な終戦前後や戦後の秘話に基づくドキュメンタリーもしくはドキュメンタリードラマが放送された。忙しさのため録画されたものをなかなか観ることができなかったが、少しずつ追いついている。特に人間性そのものに迫る良質な作品が多い。

その一つがNHK BS1で7月23日(土)に再放送された『将校は、砂漠に木を植えた~インドに渡った隼戦闘隊員~』というドキュメンタリーだ。
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2420449/

戦前、戦中、戦後にかけて、ある一人の人物の生き様を追う。主人公は、比島作戦に参加した陸軍飛行第31戦隊の整備隊長だった故・杉山龍丸氏。祖父は政財界のフィクサーともいわれた杉山茂丸、父は作家の夢野久作である。

名家に生まれた彼は、戦前、陸軍士官学校から陸軍航空技術学校へ転科となり、そこで軍人でありながら戦争中止を訴え、画策する。しかし、その行動が上部に嫌われフィリピンの最前線へと送られた。

レイテ戦において最後まで戦闘機を保持した部隊。日米航空機の生産技術の違い、司令部の目論見の甘さ、様々な不条理の中で、彼は日本の大義を冷静に見つめ闘い抜く。しかし昭和20年3月末、突然フィリピンからの脱出命令が下る。これに従い部下を残して帰国したことが後に、彼に深い悔恨を残す。

戦後、杉山龍丸氏はインドの砂漠緑化にその生涯をかけた。先祖伝来の農園を全て売り払ってまでも。インドの政府や個人の協力を得て、インドの各地にあった砂漠地帯や土砂崩壊の地域を緑化したが、日本の政府や企業などからは理解や協力が得られず、日本ではあまり知られていない。インド、パンジャブからパキスタンまでの国際道路のユーカリ並木とその周辺の耕地は杉山の功績であるとされている。凄い人物だ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E5%B1%B1%E9%BE%8D%E4%B8%B8

戦地で書かれた整備日誌、戦後書かれた手記や書簡をもとに、彼の行動の背景にあった思いに迫った良質の番組だった。

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砂利は今や貴重な資源

建設用資材の運搬がメイン事業である運輸会社を親族が経営していたため、建設・物流関係の情報には割と身近である。東日本大震災と東京五輪のダブル需要で、この数年間の資材高騰と人手不足は高度成長期よりも酷いらしい。

そんな中、さもありなんという情報に出会った。NHK総合「所さん大変ですよ」の9/8(木)に放送していた『ミステリー 一夜にして裏山が消えた!?』である。何とも怪しげなタイトルだが、実は大真面目そのものだ。

とある民家の裏山が一夜にして消えた。そして南の太平洋では、次々と島が消えているという…。そんなマジックのような事態が、あちらこちらで起きている。その裏側でうごめいていたのは、“資源”である砂利を巡る争奪戦だった。

いまや貴重品となった砂利は、日本じゅうで良質の採掘場が掘り尽くされつつあり、違法な採掘のやり方も横行しているのだ。例えば裏山を完全に削り取ってしまい、それだけでは飽き足らず境界線ぎりぎりまで山肌を削り取ってしまったため、隣接する住宅地の家屋が傾いてしまうほどに…。

しかも地元の行政官から注意を受けながら、「防災工事」と称して採掘を強行していたというから恐ろしい。お陰で隣接する民家の家族は離れた市内に引っ越しを余儀なくされたという。とんでもない話だが、実は日本じゅうに似たような話はあるらしい。

海外ではそのあくどさはさらに凄まじく、番組ではインドネシアの取材事例を放送していた。特殊な船を使い、浅瀬の海底から砂を大量に吸い上げる。そのためやがて小さな島が次々に消失しているという。もちろん違法採掘だ。

その砂利はどこに行くのか。今はインドネシア国内もインフラ建設需要が大きく、砂利の輸出は禁止されているそうだが、実際にはシンガポールの建築業者が高値で買い取るものだから、今でもインドネシアから密輸されているという。多分、中国やラオスの内地からも大量に輸出されているのだろう。

日本では今、ヘドロや産業廃棄物から建設資材を再生するプロジェクトが盛んに研究されており、これが実用化されて世界じゅうで安価に提供されると一石二鳥となると期待されている。ニッポンの有望技術の出番が待ち遠しい。

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ステータスの異なる3つの事業

この夏はたまたまだが、3つの全くステータスの異なる事業の戦略を策定する仕事に平行して携わってきた。

一つめは既存事業の見直し。本来の競争力からすればもっと高い収益を得てもおかしくないのにブレイクできない状況のままだった。シナジー効果の高い外部ビジネスとの提携関係を新たに模索し、さらに収益モデルにも多少手を入れることにはなりそうだが、最も期待効果の高い改革としては顧客アプローチを変えるという相対的に地道な取り組みを進めることになった。

二つめは既に立ち上がった新規事業の戦略構築。方向性のコンセプトだけ掲げられて担当者たちが推進に取り組んでいたのだが、戦略の肉付けがなかったために具体的にどこをどう押せばいいのかはっきりせずに暗中模索していた状況だった。ビジョンとその実現シナリオおよび各段階における事業関係者の役割を特定し、当面誰にどういったことを働きかけるべきかを明確化し、まずは動き出せるようになった。

三つめは全く新しいサービスの立ち上げ検討。本当にニーズがあるのか、そのために誰がどれだけ払ってくれるのか、などを明確にしながら、新たなビジネスモデルを構築するプロジェクトだ。ユーザーの価値の置き方や規制面などの制約が明確になるとビジネス実現のスキームが変わり、それによってビジネスモデルの諸要素の設計が変わる、すると事業収益性が変わるといった具合に、連立×次方程式を解くような作業を繰り返してきた。こちらはあとしばらく、もがき続ける必要がありそうだ。

結論からすると、一つめより二つめ、二つめより三つめ、という順で困難度が格段に上がる。プロジェクトメンバーとして携わっている事業担当者が顧客や市場から吸収してきた情報の蓄積が全く違うため、1次仮説の精度が相当異なることと、検証方法の困難さとスピードにも格段の差があるためだ。

それにしても、位置づけも分野も異なる事業の戦略策定を同時に進めるというのは、ちょうど別のスポーツに平行して取り組むようなものだと感じた。勝つためのポイントも強化すべき筋肉も異なる。しかし基礎体力の強化や戦略性がどのスポーツにも効果的なように、底流にある戦略的な発想の重要性や目のつけどころのパターンには意外と共通している部分があることも事実だ。

経営者の皆さんは日々、こうして鍛えられていくのだなと思った。

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