システムエンジニアが再建した名門旅館

地方創生の典型的なテーマが観光だが、結局は旅館やホテルが魅力的でしっかりとしたサービスを提供できないと話にならない。

そんな魅力的旅館の一つが神奈川県鶴巻温泉にある、大正7年創業の人気旅館「元湯陣屋」だ。テレビ東京の「Crossroad」で随分前の10月15日(土)に放送されていた。旅館の代表、宮崎富夫氏(39歳)を採り上げたものだった。 http://www.tv-tokyo.co.jp/crossroad/backnumber/person152.html

この旅館、ウィキペディアに載っているほどの歴史を持つ人気旅館だが、実は先代の時に破たんしかけており、富夫氏が再建したのだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E6%B9%AF%E3%83%BB%E9%99%A3%E5%B1%8B

宮崎駿の親族が女将を務めており、幼少期に宮崎駿がこの旅館で過ごした思い出が「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」に影響を与えたとされているため、ジブリ・ファンが旅館を訪れるというのも再建には好影響を与えたかも知れない。

しかし何といっても本田技術研究所の元エンジニア、富夫氏が自ら開発した様々な自動化システムが効率化・コスト削減や顧客満足アップに大きな力を与えたことは間違いない。番組の中でいろいろと紹介されていた。

例えば:
- 紙ベースだった台帳もすべてエクセルに入力し、部屋の稼働率を分析
- 客室の扉にセンサーを付けて、顧客が部屋を出たらレストランや受付などに発信される(→客がどこに向かうかによっておもてなしを先回りできるようにした)
- 車のナンバーと運転手の名前などをシステムに記憶させ、旅館に到着した車のナンバーからシステムがドアマンに客の名前を教えることで「お待ちしておりました○○様」と名前を呼んで客を迎える(→ホスピタリティの高さを実現)、等々

他の旅館やホテルからも続々と視察が舞い込むだけでなく、このシステムを「陣屋コネクト」と名付けて販売している。大したものだ。
スポンサーサイト

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

新規事業における3つのリスク

「現状維持リスク」「失敗リスク」「副作用リスク」の3つのうち見過ごされやすいのが「現状維持リスク」である。事態が表面化して「予想外だ」と嘆く前に、できることはある。


経営戦略の一環として新規事業を検討する場合、企業は3つの異なるタイプ/レベルのリスクに向き合う必要がある。

一つめは「現状維持リスク」。経営環境や顧客ニーズに大きな変化が起きようとしているのに、特に課題と捉えずに放置しておくことで、競争者の台頭を許し、市場で劣後し、顧客を失ってしまうリスクである。「為さざることのリスク」と言い換えてもよい。

典型的には、外部環境の変化の予兆に気づいた関係者の誰かが警報を発し、それに応じて幾つかの外部環境分析を行った上で、SWOT分析のT(脅威)として具体的に取り上げられるというプロセスの中で、このリスクは明確化される。その際、コインの裏表としてO(機会)が同時に見つかることも少なくない。

二つめは「失敗リスク」で、期待を込めて始めた新規事業が失敗に終わるという事態に陥るリスクである。いろいろと手間をかけて検討し、人・モノ・カネという経営資源を投資した挙句、期待外れに終わるのだから、非常に気になるものだ。通常のリスク分析ではこうした事態に導く成功阻害要因が主対象となる。

このリスクには、そもそも新規事業が成立しないという「実現性」に関わるものと、成立することはするが大して収益が上がらないという「実効性(有効性)」に関わるものがあり、しかも両者は関連することが多いので、リスクの切り分けと正しい分析は意外と厄介だ。

典型的には、事業の企画段階の半ばから後半にかけて、責任者および経営者からの「本当にうまくいくのか?」「どれだけの投資額が必要なのか?それは回収できるのか?」「最悪の場合、どれほどの損失になるのか?」といった質問にさらされることを予期しながら実現性と実効性を検証するプロセスの中で、このリスクはより明確になっていく。

三つめは「副作用リスク」。新規事業自体は成功しても既存事業に対しカンニバリゼーション(共食い)を起こしてしまう恐れや、新規事業を推進することで既存チャネルなどから反発を受ける恐れ、または新規事業における失敗が会社の評判を傷つける恐れなどを指す。往々にして「副次的リスク」とされ、定性的リスクの一部として取り扱われることも多い。

典型的には、事業企画段階の後半から終盤にかけて、責任者および経営者からの「心配な事態」に関する様々な質問にさらされる中で、このリスクは洗い出され/明確化され、真剣に向き合うべきものに関しては手当てされていく。

以上3つのタイプのリスクのうち、最も厄介なものが一つめの「現状維持リスク」である。

他の2つは、新規事業の検討チームから具体的な案が上がってきた段階で、経営に責任のある人物であれば嫌が応でも気になるはずで、「突っ込み」を入れるのが自分の役回りだと意識されている人も少なくなかろう。

しかし「現状維持リスク」というのは、きっかけがないまま見過ごされてしまいかねない類のものだ。なぜなら大多数の人の思考パターンでは、過去から現在にかけての経営環境を前提に、その延長線上で課題を捉え将来像を描きがちだからだ。そのため「このまま同じことをやっていていいのだろうか」という問いを発すること自体に思考が向きにくいのだ。

経営環境は常に変わりうると頭では分かっているのに、そして変化の兆候は既に表れているのに、具体的で顕著な変化が表面化するまでその潮流にほとんどの人が気付かない。そして無視できない結果が現れるとつい口走る、「予想外だ」「想定外だ」と。我々はそうした事態を、東日本大震災の際にも、BREXIT(英国のEU離脱)でもトランプ氏の当選でも繰り返してきた。

この事態は情報過多の現在でさえも生じる、いやかえって頻発するといってよい。なぜならマスコミやネット上で、同じ内容の情報が言い換えられながら繰り返されるため権威づけされ、たとえ現時点では間違っている情報であっても、今も真実だと思い込まされやすいからだ。自分の周囲の人たちや情報源が同質的であるとき、その傾向は余計にひどくなる。

したがって「現状維持リスク」を正しく認識するためには、同質的でない見方をする「よそ者」の要素を経営体制や新規事業プロジェクトの体制には取り込むべきだろう。世間ではガバナンス強化やコンプライアンスばかり強調されるが、これこそが本来は社外取締役の役目ではないか。

そして外部環境の変化がもたらす重要なリスクにいち早く気づくためのシステマティックな方法論も存在する。「シナリオ・プラニング」がその代表的なもので、きちんと行えばという条件付きではあるが、重要なリスクをあぶりだすことは思ったほど難しくない。是非試してみることをお薦めする。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

水産業における新しいトレンド

日本の魚食文化が危機に瀕していることは今や間違いない。世界的な争奪戦で輸入魚の価格は高騰し、買い負けることも頻発している。魚を食べる文化が衰えていることと、後継者不足が表面化し、国内の漁業は縮小の一途を辿っている。

そんな中、これまでの常識を打ち破る手法で各地の漁師と手を結び、今まで知られて来なかったうまい魚を消費者のもとへ届けようという企業が登場している。それを見せてくれたのが、11月15日放送の「ガイアの夜明け」での「"知られざる"うまい魚を届ける! ~漁業を救う新手法~」。

番組で採り挙げられた、新しいタイプの「魚屋」として注目されているのがsakana backa(サカナバッカ)。現在都内に5店舗を展開。この店の外観は、鮮やかな青と白の壁にガラス張りという、まるでオシャレなブティックのような佇まいだ。大きなガラスケースに並ぶのは、全国各地から届いた珍しい魚。店員が対面で販売し、食べ方や調理法まで教えてくれる。比較的近所にもあり、うちのカミさんがとても興味を持っていた。

仕掛けたのは「フーディソン」というベンチャー企業。代表の山本徹さんは「魚ポチ」というECサイトを立ち上げ、朝3時までに飲食店が注文すると、1匹からでも当日の午後までに納品するシステムを作った。流通の過程で多くの中間マージンをとられていること、さらに大手スーパーなどは定番・定量・定時・定価という「四定」を実現できる魚しか買わないことを解決すべき課題だと考えたのだ。

現在では全国40カ所以上の漁協が"売り手"として、5000店の飲食店が"買い手"として「魚ポチ」に登録し利用している。今ではフーディソンに対し全国の漁協から「どうやって販路を広げたらいいのかアドバイスが欲しい」との問い合わせが相次ぐ。

その一つが新潟・村上市・岩船港。港の漁師たちは高齢化が進み、「儲からない」と嘆くばかり。この現状を打開すべく、ここにフーディソンが乗り込み、地元でしか流通していない、魚に賭けることにしたのだ。

もう一つが三重・紀北町。いい魚は獲れるが産地の知名度がないため、漁師たちは苦しんでいた。そこで、フーディソンと手を組み、「紀北もん」という新ブランドの確立を目指すことにした。その顛末が番組で紹介されていた。


もう一つの話題は、くら寿司が全国各地の漁港とも手を結び「漁船まるごと、全量買い取り」という仕入れを実現しようと動き出している試行が紹介されていた。こちらもとても興味深かった。

日本での魚食文化が維持されること願ってやまない。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

ケアマネジャーを介護事業所から分離させよ

利用者の立場で中立公正であるべきケアマネジャーが介護事業所に雇われている。この構図が必然的に不適切なケアプランと不公正なサービス給付を生み、地方財政を脅かす。ならば分離するしかない。


「利用者のためというより会社のために働いているようでやりきれない」「経営者に言われるままに限度いっぱいのサービスを使わせている(ことに罪悪感を覚える)」「自社のサービスを利用させた実績がボーナス評価に反映される」。自分の家族や親しい友人に対しこうした心情や実情を吐露するケアマネジャーの人たちは少なくないという。

同様に、介護用品レンタル会社や訪問看護師など、関連サービスを提供する立場の人たちから見ても不適切なケアプラン(支援計画)が横行していることも指摘されている。自社のサービスを優先させるのは当たり前、会社の都合で不要なサービスを押し付けることもいとわない、と。

ケアマネジャー(正式には介護支援専門員)の仕事とは、介護認定を受けた要介護者やその家族からの相談に応じ自宅や施設で適切なサービスが受けられるようにケアプランを作成し、要介護者の健康状態やサービス状況をモニタリングしたり、関係機関との連絡や調整を行ったりするものだ。とりわけケアプランの作成はケアマネジャーにしか許されておらず、これが最重要の仕事と云ってよいだろう。

その重要な役割を任されているケアマネジャーがなぜ、冒頭のような罪悪感を覚え関係者からの批判を受けるような行動に走るのだろうか。

端的に言って、彼らの大半は介護サービス事業所に所属する「雇われ人」であり、経営者から強く要請されたら言うことを聞かざるを得ないからだ。そしてその介護サービス事業には、「高齢化時代ゆえ確実に成長する産業だ」ということで儲け主義の連中も続々と参入してきた経緯がある。

考えてもみて欲しい。仮に、被災者が家電製品を買い替える場合に購入金額の90%まで国の補助金が出るような制度があり、その際に何を買うのかを助言し補助金申請を行う人が間に立つことが法律で決められているとしよう。もしその助言担当者が家電販売店に所属する人間だったら、限度額いっぱいまで高級品を買わせるよう、家電販売店の経営者は助言担当者の尻を叩くに違いない。今の介護制度というのはそういう歪んだ仕組みなのだ。

実は、自社のサービスを目一杯利用させるケアマネジャーは、利用者家族からの評価が悪いどころか、むしろ「要介護認定度を高めにしてもらい、様々なサービスを利用できるようにしてくれて有難い」と高く評価される傾向すらある。というのも、介護保険で費用の9割が賄われるので、本人・家族の懐は大して痛まないからだ。

しかしその野放図さは、介護費用を直接支払う自治体財政を蝕み、値上がりを続ける地方税と介護保険代を強制的に支払わされる一般市民の懐を薄く広く痛めているのだ。この「利用者と費用負担者が異なる」構図が公的サービスの厄介なところだ。

国は、ケアマネジャーに対し「利用者の立場で、特定の事業者に不当に偏らず公正中立」(居宅介護支援事業所の運営基準)であることを求めているはずだが、実態は全く異なることを知っている。

だからこそ2015年の介護制度改定により、『特定事業所集中減算』の集中割合が従来の90%から80%へ引き下げされることになったのだ。どういうことかというと、それまでの制度ではケアマネジャーは利用者の90%までを同じ事業所(にして残りの10%を他の事業所のプラン)にすることができたが、制度改定後は同じ事業所の上限は80%までになったということだ。つまり国は、自社サービスを優先してケアプランに盛り込むことは黙認するが、「ほどほどにしとけよ」と言っているのだ。

ではなぜ国はケアマネジャーが介護事業所に所属することを前提にしているのだろうか。いや、むしろ「推奨している」とさえ云ってよいだろう。

実態としては世の大半のケアマネジャーが介護事業所に所属しており、「独立ケアマネ」と呼ばれる存在は全国的に見て非常に稀だ。それはなぜかと云えば、ケアマネ業務だけでは生活できないからだ。ケアプラン策定やそのあとのモニタリングなどには多大な手間がかかるのに、それぞれの報酬は非常に低く設定されているのが実態だ。

なぜ国はこんな制度設計にしたのだろうか。介護制度ができた2000年当時の事情や、担当役人が考えた理由は我々市民には不明だ。

多分(あくまで推測でしかないが)、不足していたケアマネジャーの頭数を揃えるためには、介護事業所に所属していたベテラン介護士たちにケアマネジャーの資格を取らせるよう働きかけるのが一番手っ取り早かったのだろう。そして、どうせ介護事業所に雇われているのだからと、安易に報酬を低く設定したのではないか。

その後5年に一回の制度改定の際に繰り返し、この問題は指摘されているらしい。それでもあまりに制度の根幹に関わるためなのか、今まで手付かずのままなのだ。高齢者がますます増えて全国自治体の介護保険財政が厳しくなる中、ケアマネジャーの報酬を上げる議論がしにくくなってしまっているのかも知れない。

しかしこの制度の歪みを放置したままでは、冒頭に指摘したような野放図なサービス給付が横行し、介護保険制度を食い物にする連中がますます跋扈するのだ。ケアマネジャーの報酬という小さな部分をケチることで、かえって国全体の介護保険財政を窮地に追いやろうとしている格好だ。

ではどうすべきか。原則としてケアマネジャー業務と介護事業所を分離すべきだ。厚生分野では「医薬分業」(薬の処方と調剤を分離し、病院と薬局という別々の経営主体に分担させること)という実績もある。方向性は2通りあるのではないか。

一つは、ケアマネジャーの報酬を上げ、彼らが独立した事業所を営めるように持っていくことだ。既にケアマネジャーとして資格を持ち、公正な立場で利用者に向き合いたいと考えている地域のケアマネジャーたちが寄り合って独立することを後押しするのだ。課題は、報酬をいくらほど上げるべきか、既に過剰になっている有資格者たちが全員独立したいとなったときに食べさせることができるのか、などが不透明なことだ。

もう一つは、ケアプランの作成やその後のモニタリングといったケアマネジャー業務を、公的な機関である地域包括支援センター(もしくは自治体)に所属する「主任ケアマネジャー」に集約することだ。課題は介護事業所に所属する従来のケアマネジャーの処遇だが、多くは相談員等として介護事業所に残ってもらい、残りの一部は地域包括支援センターに再就職して、増強すべき「主任ケアマネジャー」職に就いてもらうことになろう。

後者については地域包括支援センターにおける雇用増分の予算手当が各自治体には必要となるが、野放図なサービス給付にストップを掛けることができれば数倍から数十倍といった財政改善効果が見込めるので、ずいぶん安い投資だろう。

いずれの方向でもよい。早く制度改定に向かうことが肝心である。そのためにはまず特区でいいので、それぞれの案(別段、上記の2つに限る必要はない)を試してもらいたい。そして混乱や問題の少ない方法に収れんしていけばよい。既に高齢化社会に突入してしまった我々には、もう手をこまぬいている余裕はないのだ。

テーマ : 社長ブログ
ジャンル : ビジネス

岐路に立つ日本のコメ作り

このところたまたまだが、コメに関するテレビ番組や記事を目にすることが重なった。地方創生に関して気になる点なので、余計に目がいくのかも知れない。

一つはテレビ東京の「ガイアの夜明け」、タイトルは「攻める!日本のコメ」と勇ましいものだった。 http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20161108.html

内容としては、国内でのコメ産地間での戦いが中心的なテーマで、ある意味、前向きなトーンだった。主役は2者。精米機メーカー兼米穀事業も展開する、コメの総合企業の「東洋ライス」。新たに開発したのが、「ロウカット玄米」というコメ(健康に良いとされるが食べにくい玄米を、白米のように美味しく食べられるようにした商品)を、新たに手を組んだ産地(島根県の安来地区)と共にプロモーションしていく話だった。

玄米の表面にある栄養を多く含む糠層は残しつつ、ロウ層のみを取り除くことで、「白米のような食べやすさ・美味しさ」と、「玄米のヘルシーさ」を両立した、この商品は現代的なニーズにマッチしており、人気商品になる可能性を秘めている。

安来というのは「東の魚沼、西の仁多米」と謳われる高級ブランド「仁多米」の産地のすぐ隣だ。ちょうど山の反対側に位置するため仁多米と同じ水や気候条件を兼ね備えた生産地だが、安来のコメは美味しいにもかかわらずブランド力はゼロ、無名の商品だった。この取り組みにより一挙に有名になるかも知れない。

とはいえこの商品制作過程で分かったのは、一般の農家では本当においしいコメを作るためにすべきはずの水温管理さえ従来はしていないということ。酪農家と比べて相当たるんでいるのだなと感じた。

もう一つの番組はNHKのTVシンポジウム「日本のコメをどうする~みずほの国の新たな選択~」。10月18日にイイノホールで開催された「食料フォーラム2016『日本のコメをどうする』」を放映したものらしい。

盛田清秀(東北大学大学院教授)、柴田明夫(資源・食糧問題研究所代表)、藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)、金井健(JA全中常務理事)、八木輝治(鍋八農産代表取締役)、小林政幸(雪ほたか代表取締役)といった論客が日本のコメ作りと農村の未来について話し合ったのだが、なかなか面白かった。

さすがに「無理なら止めてしまえ」「全部政府が買い上げろ」などといった暴論はなかった。どうやって稲作、そして日本の景観の基本である水田を守っていくのか、簡単ではないことを理解しながら意見交換がされた。

ここ50年で消費は半減、価格も大幅に下落。農家の高齢化が進み、その平均年齢は66.3歳に達し、将来の担い手不足も心配されている。

こうした危機的な状況にはあれど、一方で情報通信技術を導入して経営改革に成功した大規模農家や、ブランド米を核にした地域づくりに取り組んでいる中山間地の自治体もあることが分かり、心強い感じもした(これらは「ガイアの夜明け」の内容とも通じるものだった)。

どなたかが言われたことだが、すべての農家が同じ方向に行くのは無理だし、同質的な競争に陥って総討ち死にしかねない。手間をかけて「特A」ブランド化し、そこそこの収穫量でも十分食っていける高価格を狙うもよし。大規模化しコストを下げて、リーズナブルな価格で薄利多売を狙うもよし。多様なやり方があってよい。それで日本の田園風景と食料自給がリーズナブルに維持できるなら。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

トランプ氏当選に思う、変質した「米国民にとってのプライオリティー」

米国の次期大統領にドナルド・トランプ氏が当選した。先ほど、勝利宣言の動画が配信されていた。
https://www.youtube.com/watch?v=BQjDaQLZgPY

知人の誰かがfacebookに書いていた「正気か?米国よ」というのが偽らざる感想だが、英国のEU離脱といい、今年はサプライズが続く。YouTubeコメントにあった”The end of the world”と感じる米国民も多いだろうが、むしろ「大国・米国の終わりの始まり」なのかも知れない。

客観的には先進国の中で米国の状況は最も恵まれている。エネルギー価格が低く、そのために物価も抑えられており、しかも景気はいい。財政赤字も収まっているため、金利は低い水準にコントロールされている。「アメリカを再びグレートな国にする」というトランプの主張は外野的には違和感が強かった。

確かにテロの問題はときに噴出するが、欧州やロシア、中東・アフリカと比べたらずっと安全だ。トラブルによって他人に銃で撃たれる危険は大きいが、それはこの国の人間が自ら選んだ道だ。

これで「職や安全が脅かされている」と、現状を不満に思う人たちが多いというのは客観的には贅沢に過ぎない。

大幅な減税を行うというのが彼の唯一の政策だが、それが実施されることで最も潤うのは富裕層だ。大幅な赤字を生むことは明白だから、やがて強烈なインフレに見舞われるか、トランプ後の政権は増税に戻さざるを得ないだろう。

TPPは批准されないだろうし、NAFTAの再交渉など、反グローバリズムを推進することで確かに米国企業の行動様式は変わるかも知れない。しかしメキシコや中国に移した製造拠点を戻すには、米国のスキルや産業集積は既に失われ過ぎているのではないか。結局、関税分と競争が減る分だけ高い買い物をするのは米国の消費者たちだ。

直近では、トランプ氏の当選により株式市場が相当混乱している。これによりちょっとしたリセッションが来るかも知れない。

そうした問題からのツケを払うのは米国の底辺層の人たちだ。つまり今回トランプ氏に投票した可能性が高い人たちだ。この構図もBrexit(英国のEU離脱)と同様だ。

政治的経験がなく、生まれた時からの大富豪で、人気テレビ番組の司会者として知られていたトランプ氏。しかしヒラリーとの討論会では敗色濃厚だった上に、戦没者遺族への侮辱発言や女性へのわいせつ発言等で、多くの人々から反発を食らった。致命的な痛手を被ったはずなのに、なぜかそのたびに支持率は復活した。

大統領の資質が欠如しているという指摘は妥当なものに思えたが、米国民の半分以上はそんなのOKと考えたのだ。いやもしかすると、今の米国民が考える「大統領の資質」というもの、そして彼らが大統領選で重要視したプライオリティーが全く変質していたのかも知れない。

ここで考えるべきは、白人底辺層だけでなく、「隠れトランプ」と呼ばれる、それなりに教育がありながらもトランプを支持した人たちが予想以上に多かったということだ。彼らは必ずしも職を脅かされている訳ではなく、むしろ米国社会の現状に「これではいけない」と危機感を抱えているということだ。

つまりオバマ政権の8年間を完全な失敗だったと総括しており、ヒラリー・クリントンではその継続でしかないと否定したということだ。8年前に熱狂下で誕生したオバマ政権への不信任投票がトランプを当選させたといってよいのではないか。この構図は、カーター政権に失望した世論がドナルド・レーガンに圧勝させた時の選挙を彷彿とさせる。

確かにこの数年、政治的にはきな臭いものが感じられたのは事実だ。特に銃規制や中絶問題、またはLGBTに関するイシューなどでは両極端に世論が分かれて議論にならない傾向が強くなっている。つまり保守派とリベラル派の対立が抜き差しならなくなっており、中道派がどんどん減ってきたのだ。

穏健なリベラル思想や世界との協調ではなく、マイノリティへの共感でもなく、過激な「外国人が悪だ」「米国の利益が第一だ」といったアジテーションが「(政治的イスタブリッシュメントではない)奴は何かを変えてくれる」という期待を生む。

欧州と同様、米国もまた不寛容な社会にとっくに先祖帰りしていたのは間違いない。そしてヒラリー・クリントン=「失われた」オバマ政権時代の継続を拒否したのだ。

テーマ : 社長ブログ
ジャンル : ビジネス

ベトナムにおける日本企業の活躍の場はさらに広がる

なかなか驚きの情報だが、ベトナムで日本語がなんと第1外国語に採用されるそうだ。すべての小学校で3年生から学ぶ予定だという。

そんな情報に関連して、今のベトナムでの日本熱の高まりについてテレビ東京の「未来世紀ジパング」が「ベトナムと日本!セカンドステージで沸騰」という回を放送していた。
http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/backnumber/20161031/

【コクヨ】2005年にベトナムに工場を建設、当初は日本向けの工場として設立したが、2010年からベトナム国内でも販売を開始。Campusノートは現地で販売されている一般的なノートよりも約3割高い。しかしながら、学生からCampusノートは非常に人気で年間2,000万冊を売り上げている。日本語の第1外国語採用に伴い、日本語を練習するための画期的なノートを開発、売り込んでいた。
【バニラエア】LCCの同社は日本とベトナムを結ぶ路線を初就航。片道1万50円という破格の安さだ。こうした格安航空券によって、よりベトナムを、そしてより日本を身近に感じてもらえるようにしている。
【Pizza 4P’s】商社からサイバーエージェントに転職し、ベトナムでの現地法人の駐在員として赴任していた益子陽介氏が2011年にベトナムのホーチミンで立ち上げたピザのファストフード店である。こだわりのピザが凄い人気ぶりで、なかなか予約が取れない状態だという。
【市川環境エンジニアリング】従業員450名の廃棄物処理やリサイクル事業を行う日本企業がある。ベトナムにあるイオンより依頼を受けてイオンモール内で発生するゴミの分別コンサルティングを行っている。当初、分別はなかなかうまくいかず苦労したらしいが、粘り強くゴミの分別を教えることで、今ではキレイにゴミの分別ができるようになったという。ゴミをRPFという廃棄物固形燃料にする技術を持っており、製紙工場に対しボイラーでの燃料に活用できないかと売り込みに行っている。

この国は今、本当に飛躍の時を迎えているのだと思う。

【後記】ベトナムが日本やロシアの支援で計画している初の原発建設について、ベトナム共産党が10月、政府の財政状況から「現時点で多額の投資は非常に困難」として延期の方向で見直すよう政府当局に指示したことが最近判明したそうだ。典型的な発展途上国であり、非資本主義国であるゆえに、こうしたいったん契約したはずのことがご破算になることは稀にある。国家としてはかなり恥ずかしい事態だが、これもこの国のリスクである。これに懲りて今後の対応に及び腰になると、途端に韓国・中国の両国が間隙を縫おうとしてくるのは間違いない。ここは油断してはならないしくれぐれも、羹に懲りてあえ物を吹く事態になってもいけない。

テーマ : 社長ブログ
ジャンル : ビジネス

フリーランスの女性クリエイター集団が生み出す新しい価値

「働き方改革」とか「長時間労働をやめよう」というスローガンに加え、「女性が働きやすい環境」などという言い回しが最近目につく。女性にとって働きやすい職場が少ないことの裏返しなのだろう。そのために自ら起業する女性も少なくないと聞く。

その一つとして面白い集団の話を聞いた。その名をコトリスラボという。子連れで利用できる女性起業家のためのシェアオフィスだ。代表の寺田望さんが率いる集団で、ママデザイナーや女性料理人、カメラマン、翻訳家、各種士業など、様々なスキルを持った60名以上のフリーランスの女性クリエイターたちと地域企業を結んで仕事をこなしている。
http://www.bizhope2012.net/cotorislabo/

そのコトリスラボがテレビ東京の「ガイアの夜明け」で取り上げられていた。
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20161101.html

番組では、創業52年の自動車部品の下請け工場から新たな依頼が舞い込んだところから始まった。3年前に父親からこの(株)三光ダイカスト工業所を受け継いだ三宅ゆかり社長が依頼者だ。主力商品であるアルミ製の自動車部品の売り上げは半減した同社は、下請けでなく、新たに消費者向けにオリジナル商品を作りたいというのだ。実際には簡単ではないが、世の中には最近こうした話が多いと聞く。

初顔合わせの席でコトリスラボのチームが提案したのは、驚きのアイデア。「スチームパンク」、株式会社三光ダイカスト工業所の職人たちは初めて聞く単語に戸惑いを隠せない。産業革命時代の古い機械をモチーフにしたSFの世界のことらしい(小生も知らなかった)。

どんなものかを見せてもらっても職人たちの戸惑いは増すばかり。しかし第二回のミーティングでメンバーの一人が描いてきたイラストが配られ、これまで捨てていたものや使わなくなった部品を組み合わせればアクセサリーができると提案された。これをじっと聞いていた萩野稔工場長はその気になったようだった。

しかし大番頭の今井輝雄取締役は大反対。幹部たちの集まる前に呼び出された寺田さん。一時間ほど話し合いを続けるが、説得には至らず。それでも10月に東京で開かれるスチームパンクのイベントに出展することは認めてもらった。そこでアクセサリーなどを試験的に販売しようというのだ。

イベントまでの準備は順調だったようだ。職人たちがイラストを見て触発されて、廃材で作ったアクセサリー。イベントの時に着るコスチューム。ママさんたちの評価は高かった。コトリスラボの他のメンバーもそれぞれの特技を生かし、PRビデオやオリジナルのロゴ、そしてホームページを作った。

10月8日、新宿歌舞伎町で今年5回目を迎えるスチームパンクのイベントが開かれ(来場者は2万人を超える日本最大のイベントらしい)、そこに三光ダイカスト工業所もブースを設けて職人が自ら作ったアクセサリーを販売。飛ぶように売れていた。

あんなに反対していた今井取締役も現場を観に来ており、合流した。その人気ぶりを見て、新事業にも納得したようだ。先行きが楽しみだ。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

「隠れブラック企業」の実態が暴露される

電通における、過労とパワハラから生じたとみられる自殺事件が波紋を呼んでいる。この人気企業が「隠れブラック企業」だったのではと指摘されているのだ。去年4月に発足した労働局の「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)が臨検監督という抜き打ち調査に入っているそうだ。

この「隠れブラック企業」と「かとく」についてNHKの「クローズアップ現代」が11月2日(水)に詳しく報道していた。

それによると、通称「かとく」は東京と大阪に置かれ、大企業をターゲットにしている。去年4月に発足してから、これまでに大手企業など、5社を摘発してきている。例えば、飲食大手のサトレストランシステムズに強制捜査に入り、今年(2016年)9月、会社と店長ら5人を労働基準法違反の疑いで書類送検した。電通にも最近捜査に入っている。

その調査は徹底している。勤務記録やタイムカードを調べるのは当たり前。怪しいと思えば手書きの残業時間の報告書や、当事者の交通電子カードでのゲート通過時間まで調べる(番組での内容)。

世間的にはホワイトだけれども実態はブラックに近いという企業を「おしろい企業」ということも知った。このサトレストランシステムズや電通がまさにそうだ。制度を整えて、おしろいで厚塗りするようなことをやっていた。

電通も長時間労働の是正に向けて、夜10時以降の残業を原則禁止にしたという。しかしそれだけでは、自宅に仕事を持ち帰る人間が続出するだけに終わるだろう。番組でも大和ハウス工業の過去の同様の問題事例が紹介されていた。

これではだめで、企業の生産性や創造性は地に落ちる。現場でマネジメントや業務を改善する、働く人の意識も変えることをやっていかないと、この問題は解決しない。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

AIに代替されない能力とは

総務省が今年行った「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」において興味深い調査結果が出ている。

人工知能(AI)の活用が一般化する時代に求められる能力として、特に重要だと考えるものは何かを有識者に対して尋ねたところ、次の通りだった。
1位 「チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質」
2位 「企画発想力や創造性」
3位 「コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力」
4位 「情報収集能力や課題解決能力、論理的思考などの業務遂行能力」
5位 「語学力や理解力、表現力などの基礎的素養」

基礎的素養や業務遂行能力といったIQ的能力はAIに代替され得るとされて優先順位が下がり、代わりに人間的資質、企画発想力や創造性、対人関係能力といったEQ的能力の重要性が顕著に出る結果となった。

最近の弊社が関与するプロジェクトではAIをいかにサービスや製品に取り込むべきかを考えることが多いが、ビジネスパーソンが能力発揮すべき方向性にも軌道修正が求められるということだろう。皆さんの仕事においては如何だろうか。

テーマ : 経営コンサルタント
ジャンル : ビジネス

最新記事
月別アーカイブ
プロフィール

austintex

Author:austintex
FC2ブログへようこそ!

カテゴリ
最新トラックバック
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR