連続優勝なしの横綱昇進に伴う嫌らしさと不穏さ

大関・稀勢の里が初場所を14勝1敗で優勝し、23日の横綱審議委員会は横綱推薦を決めた。これで事実上決定らしい。初優勝も横綱昇進も実に目出度い。

しかしながら一つだけ引っ掛かって仕方がない。「2場所連続優勝もしくはそれに準ずる成績」という横綱昇進の内規は片方が準優勝だった場合を指しており、稀勢の里はこれに当てはまらないことは明白だ。しかし横綱審議委の面々は「昨年の年間最多勝+今回の1敗優勝」で「2場所連続優勝」に匹敵すると強弁しているのだ。

しかし、今場所が始まる時点で「もし稀勢の里が優勝したら横綱昇進の可能性がある」などというコメントは全く聞かれなかった。場所途中でも同様だ。優勝が決まったとたんに「横綱へ」という記事見出しが飛び出したことに違和感を持った人も多かろう。

小生は稀勢の里が嫌いではない。というか、むしろ好きな力士だ。そして期待すると「コケてしまう」その過去のパターンに何度も失望を味わってきたからこそ、今回の優勝にはもろ手を挙げて祝福したい。しかし横綱審議委の「原則を捻じ曲げてしまう」ご都合主義には汚いものを感じてしまう。

もし日本人力士・稀勢の里ではなく、外国人力士が同じ条件の成績を上げていて優勝していたらどうだろう。きっと「来場所に期待したい」という話になったのではないか。どうしても日本人横綱を誕生させて相撲人気を煽りたいという、露骨な思惑が今回の推薦決定からは透けて見える。それが「嫌らしさ」を感じさせるのだろう。

今は祝賀ムードに溢れているが、仮に来場所、稀勢の里が不調に終わってしまった場合、このご都合主義的な昇進のせいで彼はひどいバッシングをされかねない。何としてもそうならないよう、稀勢の里関には頑張っていただきたい。
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中国の企業家というハードな生き方

撮り貯めた番組の多くを観る時間がないまま消さざるを得ないことが多い。しかし幾つかは随分遅れてではあるが鑑賞してみると凄い内容に衝撃を受けることがある。昨年撮ったNHK BS1スペシャルの「チャイナ・ブルー~ある企業家の記録~」はまさにそういった番組だった。
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2409226/index.html

中国で大手引っ越し会社「蟻の引越社」を経営する李浪氏。「何も隠さない」と公言する氏の言葉に、中国人の馬ディレクターは、李社長の生活に5年間密着し、普通なら考えられない場面と本音を至近距離から映像に収めてきた。見たことのない赤裸々な映像で現代中国社会の深層に迫る異色のドキュメンタリーといえる。

20年前に妻と2人で始めた会社は急成長、豊かさを手に入れた。しかし李社長の心は満たされず、妻と愛人との間で揺れる二重生活も破綻の危機の中にある。会社をさらに成長させるために地方役人や地方の顔役にキックバックという名の賄賂を渡すことを幹部と大っぴらに話すところまで映像に収めている。実にショッキングな場面の連続だった。

観終わっての感想。中国の実像をまともに観た気がする。こんなに開けっぴろげにして、商売上まずくはないのか、逮捕されたりしないのか、心配になってしまった。言い換えれば、こうしたことをしない限り会社は生き残れないが、一歩間違えれば部下に裏切られて刑務所行きとなる。本当に「中国人でなくてよかった」と心から思う。

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超巨大な合同展示会というものは誰にメリットがあるのか?

久々に東京ビッグサイトに行ってきた。オートモーティブワールドというバカでかい催しの一環で開催されている「自動車部品&加工 EXPO」という展示会に行ったのだ。しかも本当の目的は展示会を観るためではなく、出展者の1社である旧知のエンジニアにヒアリングするためだ。

某プロジェクトのためのヒアリング(&会話)に1時間半ほど費やしたあと、周辺をブラブラして一部だけ色々と「冷やかし」っぽく覗いてきた。しかし会場がとにかくだだっ広く、来場時に随分歩いたせいで足が疲れており、早々に切り上げた。元々こうした展示会というものは人混みだらけで(スムーズに歩けないので)嫌いなのだ。

実は今回のオートモーティブワールドというのは自動車部品&加工 EXPOだけじゃなく、カーエレクトロニクス技術展、EV・HEV駆動システム技術展、クルマの軽量化技術展、コネクティッド・カーEXPという6つの展示会の合同展なのだ。しかも同じ東京ビッグサイトでスマート工場EXPO、ロボデックス(ロボット[開発][活用]展)、ネプコン・ジャパン、ウェアラブル・ジャパンEXPOというちょっとカブる展示会が同時に開催されており、会場がやたらと広い。

「6時までやっています。ごゆっくり観てください」といったアナウンスがずっと流れていたが、こんなに多くの企業や自治体を同じ時にこんな広い会場に集めなければいけない理由はなんだろう。

3日間あるとはいえ一人の人間が観て回れるブースの数はたかが知れている。それがこんなにたくさんのブースがあると、自分が本当に興味のあるコーナーや企業ブースまで辿り着くまでに疲弊して諦めてしまうのではないか。これは主催者側のエゴに過ぎないと感じた。

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防犯ロボットという巨大市場に挑む男

最近、いくつかのプロジェクトのテーマに防犯というものが挙がっている。それだけ世の中が犯罪に巻き込まれることを避けることに高い価値を見出しているのだと思う。日本では犯罪発生率が下がっているのが事実だが、検挙率が大幅に下がっているのと、ストーカーや万引きなど身近な犯罪が増えていることが普通の人にとって「物騒な世の中」という印象を与えているのだと思う。

そんな折り、1月14日(土)にTV東京の「クロスロード」で放送されていたのが防犯のプロという肩書きを持つ山内三郎氏。アースアイズ株式会社の社長だ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/crossroad/backnumber/person163.html

富士通退職後、父親の経営する警備会社で防犯の実態について学んだのち、株式会社リテールサポートを設立し代表取締役に就任。そこで開発したAI搭載の防犯カメラシステム「サブローくん」という商品は、書店やスーパーマーケットなどに導入され話題を呼んだ。

「うろうろする」「店員の動きを見ている」「きょろきょろしている」「立ったり座ったりしている」などの、一般のお客さんとは違った特有の動きをする人間を検知すると、アラームで、店員に知らせるというシステムだ。それをきっかけに不審者に対して声掛けを行い、未然に万引きを抑止することに繋がるという。

今回紹介されていたのはその後継機「アースアイズ」の開発にまつわる話(会社名も商品に合わせて変えたようだ)。映像以外の要素も含む総合防犯ロボットという位置づけらしい。
http://earth-eyes.co.jp/

・「耳・鼻・口・触覚」など人間が持つ5感で情報を受け取り、脳(AI)で分析。匂いを感知するのでガス漏れなども探知できる。
・空き巣、事故、ストーカー、赤ちゃんや、介護の現場での異常も感知。

現在、家庭用と企業向けの2種類が発売されているそうだが、どうやら警備会社との提携も住んでいる模様。本体価格の予定は8万5000円~(予価)で、法人向け月額使用料は2350円、家庭用は810円で販売される予定だという。これは安いのでかなりのインパクトがあろう。

当人いわく「2030年までにGoogleを超えて世界トップの時価総額を目指す」とのこと。この意気、とてもいい。

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「盛り土問題」は他人事ではない Part2

権力者が何の気なしに言った言葉が部下には重要な指示と受け取られて、とんでもなく重大なもしくは滑稽な事態を引き起こすことが往々にしてある。もしかすると豊洲の「盛り土問題」はそのパターンだったのかも知れない。


以前、“「盛り土問題」は他人事ではない”と題したコラム記事にて、マスコミと都議会が論点のズレと優先度の取り違えに明け暮れる状況に対し、企業社会でも珍しいものではないと指摘したことがある。http://www.insightnow.jp/article/9437

しかし小池都知事がその後、矛先をオリンピック会場問題、そして都議選へと変遷させるにつれ、今や「誰が決めたのか?」という犯人探しはすっかり下火になった様相だ。しかし最近、知人がこの騒動の経緯を整理してくれた解説によると、どうやら発端は石原元知事だとのことだ。

関係者の話によると、都幹部との昼食会で石原知事(当時)が「盛り土より安く済む方法をある専門家から聞いたのだが、コンクリートの箱を重ねて埋め込むやり方のほうが工期も短く済むらしいぞ」などと発言したらしい(もちろん、具体的な表現は違うかも知れない)。それを受けて部下の都幹部の人たちがその方式に変更するようにしたのだが、何せ正式な会議で決めたわけではないから、どこの議事録にも意思決定の経緯が載っていない。

「誰がどういうプロセスで決めたのか」と問われても、正直に答えれば「そんないい加減な決め方で決めていいと思ってるの?」と突っ込まれるのが明らかなので、誰も答えようがなかったのだとのことだった。

その知人も当事者じゃなく伝聞なので、どこまで真実かは藪の中だが、いかにも有りそうな話だ。そして企業経営の場でもこうした事態は実は日常茶飯事なのだ。

経営トップが軽い気持ちで「こうしてみたら?」とサジェスチョン(推奨)したつもりの発言が、直属の役員・部下たちにとっては「天の声」として聞こえ、その意を汲んで関係者全員が先回りして万端抜かりなく整える、という状況である。経営トップ自身としては決定・指示したつもりは全くないにもかかわらず、だ。

例えば、CEOが軽いジョークのつもりで「明日のゴルフの前にゴルフ場近くの店を現場視察するかな?」と発言したがために、該当する店が休日の早朝にスタッフ全員呼び出されて直前まで大掃除させられた(でも結局、経営トップは来なかった)という例もある。禁煙家の社長が「ウチの煙草好きの連中は本当に仕事をしているのか?」と言ったために、彼らをさらし者にするような喫煙ハウスが社屋隣に建設された例もある。

経営トップが独裁的か高圧的で、そのせいで「腰巾着」的取り巻きが本質的なことを考えない連中ばかりであればあるほど、こうした滑稽な事態が繰り返される。

心ある部下は既に遠ざけられているため、「そんなアホなことは止めてください」と直言する声は聞こえず、経営トップは自らの指示の結果とすら気づかずに、その結末だけを見て、改めて「またウチの連中は無駄なことをやっておるわい。どうしてワシの気苦労を分かってくれんのか」と嘆くのだ。したがってその経営トップが引退するまでこうした悲喜劇は繰り返される。

ちなみに冒頭の石原元知事の話に戻るが、盛り土をしない決定の経緯はどうだったのかを問われて「何も知らない、僕は騙されていた」などと発言していることで、氏は知らぬ振りをしたとか責任逃れなどと非難されていた。しかし我が母校の大先輩の唯我独尊の性格からして責任逃れをすることは考えにくい。もし本当に自分が決定したという認識と記憶があれば、どんなに非難されようと「俺が指示したんだ。それが悪いか?」と開き直るはずだ。

現実には、そもそも自分が実質的に決定し指示したという認識が元々ないか(この可能性が一番高い)、(残念ながら既に耄碌されているとしたら)実際の経緯を忘れて被害者意識のみ強くなってしまっているかのどちらかだろう。

もう一つの「ちなみに」だが、「盛り土」の代わりにコンクリート壁の空間を作るというのはむしろ合理的なやり方であったという指摘を幾つか目にした。よくなかったのは、公明性大な意思決定がなされなかった上に、その経緯を正直に言えないがために誤魔化していることではないかと思う。

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創業直前の人たちと過ごした半日を終えて

本日は恒例の浦安市の創業支援セミナー(商工会議所主催)での講義(マーケティング/戦略)だった。半日を費やすのに報酬はボランティアといってよいレベルだが、創業直前の人たちを相手に議論できるので、普段と違う目線を持てるというメリットのために続けている。

今回はいつもより人数が多く、そのためワークショップのグループ数が多かった。それだけ景気が巡行速度に入っており悪くないため起業する人が若干増えているのだろう。良い傾向だ。ただ、ワークショップでの出来具合は毎年とほぼ変わらない。そもそものターゲット顧客層やそのニーズが曖昧なまま起業しようとする人が相変わらず多いため、何が顧客価値になり何が差別化点になるのかがあやふやなチームが多い。

やはり日常から戦略的に考えていないと難しいのだろう。小生が昔起業した際や、ネットエイジなどでの仲間、もしくはベンチャー事業を幾つか起こさせたケースではきりきり頭を絞っていたが、一般の起業者は少し緩いのかも知れない。それでも最終的に起業という踏切を超える勇気があるのならやはり彼らを讃えたい。日本にはそのエネルギーが絶対的に足らないのだから。

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人工知能ベンチャーは何を目指すのか

年末年始に撮り貯めた番組を少しずつ観ている(一部は観ないまま消しているが)と、新しい年を展望したものの中には、改めて気づきをもたらしてくれるものがある。

そんな一つが12月25日に放映されたNHKの「サキどりさん」という番組で、「新ビジネスのサキどりさん それからスペシャル」だった。新ビジネスに挑んだ若者の紹介だ。

その一つは以前から注目している「人工知能ビジネス」で大企業から頼りにされるベンチャー企業、プリファードネットワークス。その創業者の二人、社長と副社長。2人は東京大学1年時に出会い、大学院に進学してから会社を設立。トヨタとも提携した。

追跡取材は前回から9か月後に行われた。東京・大手町にオフィスを移し、社員数も約30名から60名近くと倍増している。

同社は人工知能で産業用ロボットの分野に挑戦。ドイツのライプチヒで行われた「アマゾン・ピッキング・チャレンジ」に出場、ロボットでかごからものを取り出す技術を競った。かごの中に置かれた物体をアームでつかんで移すなど、人工知能を搭載して学習させることで複雑な操作を自動化できることで注目された。結果は16チームの中で競技別の世界最高得点を獲得、上位入賞。

次はさらなる新分野・医療に挑戦中だという。国立がん研究センターでの会見では、人工知能を活用したがん医療での協力が発表された。他に産業技術総合研究所とも連携して開発を目指す。東京大学での研究では、治療方法の判断や薬づくりなどの分野に人工知能を活用。5年後をめどに実用化を目指すという。

2人の今後の展望では、人工知能を活用して世の中の未解決問題に挑戦したい、人の生活を変えるような成果を作りたいとことだ。決して夢ではなく、手の届く未来だ。そして多分、医療はその一部だ。

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