6次産業化とマーケティング

3月5日放送の日経スペシャル「ガイヤの夜明け」(テレビ東京)「甦れ!三陸の水産業~漁師と企業の新たな挑戦~」は全国の農水産業および中小企業の課題を浮き彫りにしていた。それは最終需要者へのマーケティングである。

津波で壊滅的な被害を受けた宮城県女川町を「ガイヤの夜明け」では三度も訪問取材している。今回はカキの養殖地、宮城県・牡鹿半島の狐崎浜(きつねざきまは)。この地のカキ養殖は震災で壊滅的被害を受け、18人の漁師のうち5人が廃業。個人では立ち直れないと考えた漁師8人が集まり、漁協を通さず「漁業の6次化」を目指す株式会社を作った。自分たちでカキを育て(1次)、加工し(2次)、消費者の元へ直接届ける(3次)という仕組みだ。

最初、彼らは「岬焼きかき産直セット」(10数個のカキ詰め合わせ、道具付き、缶ケースを直接火に掛けられる)という産直ギフトを考え出し、通販でヒットさせた。仙台市の杜の市場での牡蠣の実演販売も行い、会社としては上々の船出となる。しかしやがて売れ行きは鈍り、社員の給料さえ支払えない事態となる。

そこでの起死回生策は、従来の養殖業者が面倒で避けていた『耳釣り』。ドリルでカキに穴を空けて紐を通し、2つずつ吊るす方式である。これにより養殖中のカキが密集せずに済み、プランクトンを沢山食べて身が太る。その肉厚カキを消費者に直接売ると同時に、仙台の居酒屋チェーンに売り込みを掛ける…。こうした努力を番組は伝えていた。

ここでの教訓は、震災直後は同情と物珍しさで売れるが、それだけでは関心は長続きしないということである。消費者は飽きっぽく、通販利用者が三陸のカキをシーズン中毎月食べてくれるわけでもない。そもそも味覚的拘りはあまりなく、他の地区のカキとどれほど違って美味しいかなんて実は分からない。だから有名料理家とか有名料理店が使っているといった「お墨付き」が必要なのだ。もちろん、見た目の違いである「肉厚」というのはアピールしやすい。6次化のカギは、いかに「分かりやすく」し、「継続的に買ってもらうか」なのである。

同様の問題は全国の農水産業および中小企業にも共通する。最終需要者へのマーケティング(商品企画~コミュニケーション)が難しいのである。

実は最近、ある中小製造業集積地の世話役的人物と話す機会があった。こうしたメーカーは消費者向け製品の開発・販売に興味を持っているのだが、全くノウハウもルートもない。彼らは技術力・品質には自信があるが、今まで発注者の指示通りに作ればよかったため、そもそもマーケティングという発想・経験は全くない(相談前の仮説として想定していた通りだった)。どう支援できるのか、こちらも悩みそうな話ではある。
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