ハイテクと渋滞の国が主導するカーナビの進化

4月25日(木)に放送されたNHK「らいじんぐ産~追跡!にっぽん産業史」の「カーナビ“車の頭脳”へ走り続ける!」はカーナビゲーションシステム(カーナビ)の歴史を辿るものだった。感激したのは、まずカーナビは日本人が発明したこと。そしてその発想は「自動運転」という壮大な夢への第一歩だったこと。

カーナビは昭和56年、ホンダが開発した。「自動運転」実現のための計画案の上で「コース誘導」という要素がカーナビの出発点。透明フィルムに印刷された地図を手差し挿入し、出発地点を指定するものだった。いかにもアナログである。戦車で使われていたジャイロ技術を使い、自分が進んでいる方向を把握できるようにし、車の進むタイヤの回転から出される距離に応じてポイントの光が移動し、自分がどこにいるかを示してくれる。

問題は、知らない土地で現在地が分からなくなってしまった時におもむろに開始しても使えないということ。三菱電機の技術者が軍事技術GPSを導入し、どこにいても自分の位置が分かるようにした現在のカーナビの原型を作った。トンネルなどGPSの電波を受信できない場所では電子コンパスで補う方式だった。そのカーナビが装備された車の価格は何と530万円!今なら1000万円程度に相当するかも知れない。「道は星に聞け」という宣伝コピーは絶妙なものだった。

その後GPS機能は当たり前になり、さらにルート検索の進展も面白い。経路コスト計算法は、途中の交通でどれだけ時間が掛かるかを計算し、複数ルートの中から最も「経路コスト」が小さいものを選ぶもの。これは実際に走って計測したそうだ。次には地図でルートを表示するだけではドライバーの負担が大きいため、映像で曲がる交差点の様子を示したり、音声で指示したりする方式にどんどん改良されていった。「音声案内つきカーナビ」は画期的で、これによってカーナビの普及に弾みがついたという。

本当の最短ルートを実現する試みはその後も進化し、待ち時間を含む交差点を曲がるのに実際どれだけ時間が掛かるのかを考慮に入れるようになった。これは平均的な時間を割り出すため、一つひとつの実際の交差点で何度も実測したそうだ。道幅や信号タイプにより、交差点は3万通りにパターン化されるようになったとのこと。気が遠くなるほどの地道な作業である。

番組の最後では、カーナビが渋滞解消や事故防止に貢献するかも知れない姿を伝えていた。道路の混雑状況を伝えるVICSは幹線道路にしかない。そこで通信機能を持つカーナビから個々の車の走行状況を収集する会員サービスがある。その膨大なデータをVICSからのデータと合わせて分析して、渋滞情報として把握し、会員にフィードバックするのである。また、カーナビが把握している周囲の交通状況を解釈して、運転手が安全に運転できるようにサポートする(一種のAI)システムも紹介されていた。

こうした技術は10年近く前から知っているが、随分洗練され、実用化が進んだと感じる。自動運転が実用化される日もそう遠くないのではないか。ハイテクと渋滞の国・ニッポンには、カーナビで常に主導権を執る十分条件が備わっていると思う。
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