中国を「植民地主義」と非難したナイジェリア中銀総裁の冷静な見方

今月の1~3日の3日間、横浜で開催されたアフリカ開発会議では、一つには最後のフロンティアであるアフリカが持つポテンシャルの高さと現実の間のギャップ、もう一つには胎動を始めたアフリカ経済の開発に積極的に関わり先行する中国企業と慎重な日本企業のギャップの、両方が注目された。

後者については、資源獲得に目の色を変えている中国は政府主導で、しかも現地の政治体制に問題があろうと割り切って開発援助をするし、政府の後ろ盾を得た国営企業が積極的にインフラ整備を主導する。日本企業はというと、投資対象としては身近なアジアを優先する心理が強い上に、民主化の動きを見せない限り、そして安全が確保できない限り、二の足を踏む。差が開くのはある意味当然かも知れない。

閉会にあたって安倍首相は、日本の対アフリカ支援について「雇用をつくり、アフリカの人々を豊かにする」という視点を掲げた。中国の投資態度と違う、日本らしいアプローチを伝えるという意味で重要だと思う(少しオブラートに包んだ表現だったためにインパクトは不足気味だが)。

実は、今回のアフリカ開発会議に先立つ3月12日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)にナイジェリア中央銀行のサヌシ総裁が寄稿し、中国のアフリカ向けアプローチを「植民地主義」と批判したことで、同国の中でも国際的にも議論を呼んだ経緯があるので、余計に注目されていたのである。

サヌシ氏の主張のポイントは次の通りである。中国は石油や石炭などをアフリカ諸国で採掘しているが、中国本国の機材や労働力を使っているため、技術がアフリカ側に移転されない。中国はアフリカから一次産品を獲得し、工業製品を売る。「これは植民地主義のエッセンスだ」と痛烈に批判したのである。

事実はどうか。中国は昨年までの12年間で、アフリカ諸国との貿易額を20倍にまで増やした。その結果、確かにアフリカ経済は成長したが、アフリカのGDPに占める工業割合は低下を続けており、地元の産業は育っていない。

アフリカの多くの政府および経済界では中国の投資を歓迎する声が元々強く、地元ナイジェリアの新聞はサヌシ総裁の批判を逆批判している。「サヌシ総裁の言論は中国側の注目と反論を集め、両国関係を損なう可能性がある。このような中国に対する挑発的な視点はナイジェリア国内で反発を招くことになった」と。要は中国を怒らせるなということである。実際、中国政府は強烈に反発したようである。

しかしながら、サヌシ氏の指摘は鋭く、正しい。中国は国際政治における味方作り、資源獲得、中国企業にとってのビジネス機会という一石三鳥を狙っているからこそ、国を挙げてここまで積極的に投資をしているのである(欧州の旧宗主国以上である)。アフリカ諸国に同情や共感を寄せて投資をしている訳ではない。だからアフリカに進出した中国企業の行動は苛烈であり、地元に付加価値を残す発想はないし、地元経済を発展させようとか人材を育てようなどという気持ちは全くない。

それに対し「地元の役に立つ企業活動」に拘る日本企業の動きはどうか。実は、支援や資源・エネルギー権益獲得以外に、住友化学(蚊帳のBOPビジネス)の成功例に続こうという動きが出始めているようだ(エーザイや味の素、徳洲会など)。日本の大手企業は動き出すのは遅いが、一旦動き出せば継続を期待できる。あとはアフリカの人たちがどう評価し判断するかである。
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