ローカル路線を救うのは知恵と努力と地元愛

2月18日に放送されたガイアの夜明けは「ローカル路線を救う!驚きの手法」でした。赤字に苦しみ廃線となったローカル線は、2000年以降だけで全国で35路線にもなります。過疎化が進んだせいで、多くの地方鉄道はいま存亡の危機に瀕しています。これまで赤字を補てんしてきた地方自治体もまた、財政的に赤字鉄道を支えていくことに限界を迎えているのです。

再建ケースとして最初に紹介されたのは、千葉・外房約27kmを走る第三セクター「いすみ鉄道」。このローカル鉄道再生に挑むのは、2009年一般公募で社長に就任した鳥塚 亮さん(53歳)。元航空会社勤務で、無類の鉄道ファン。これまで独自のアイディアで集客を伸ばしてきました。

応募時の決め手となり、まず手がけたのが、女性客を呼ぶための「ムーミン列車」です。可愛いムーミン一族の絵(知財権所有者が知人なので安く使えるそうです)が車内外に映え、人気を呼びました。3箇所の駅舎に直営のムーミンSHOPを設け、乗車賃だけでなくお土産収益を上げています。

さらに旧国鉄時代のディーゼル車両キハ52(昭和40年)を導入し、鉄道ファンを惹きつけています。鉄道ファン以外を呼び込むため、日曜祝日に都心から団体客を呼び込む仕掛けとして、旧国鉄時代のディーゼル車両を食堂車にして、地元千葉房総の特産物、伊勢えびや新鮮な魚介類をふんだんに使った「ランチクルーズトレイン」を走らせています。

また1口5000円の枕木オーナー制度や1口5万円の車両オーナー制度(オーナーの名前プレートが車内に飾ってあります)、訓練費700万円自己負担での運転手募集など、続々と斬新なアイディアを実行に移しています。この新社長の奮闘に地元の人たちも奮起、ボランティアで駅の清掃や草花の手入れをするなど、地元の鉄道として再生しつつあるようです。

「観光鉄道」としてブランド化し、外からお客を呼ばなければ、これからのローカル線の運営に勝算はない。鳥塚社長はそう断言していますが、それに加えて地元民のこうした「おらが鉄道を守れ」の動きが、長い目で見ての再生には不可欠です。

鉄道だけでなく路線バスの廃止も全国で相次いでいます。2008~2011年の間に廃止された路線バスの廃止距離は何と49,344kim!過疎化が進む日本の現実です。

番組で紹介されたもう一つの再生例は、2012年10月に経営破たんした岡山県笠岡市の井笠バスの再生です。笠岡市を中心に沿線自治体が協議し、岡山市を拠点とする両備グループの小嶋会長(68歳)に再生を依頼しました。同社は路面電車、バス、タクシー、トラック輸送など多角的に展開する運輸事業会社です。(全国的に不振が続く)地方交通を次々と再生し、傘下の56社すべてが黒字経営です。

有名な再生例が和歌山県の「南海鉄道・貴志川線」です。毎年5億円もの赤字を出し続け、一度は廃線が決定していました。両備グループが運営を請負い、「和歌山電鉄貴志川線」として再生させたのです。「(ネコの)タマちゃん駅長」などで人気化させ、今では海外からもお客が訪れます。

さらに財団法人「地域公共交通総合研究所」を立ち上げ、今では全国から寄せられる案件に向き合っています。井笠バスの再生を託された小嶋会長は現場を訪れ、その前途が容易でないことを思い知らされます。通勤・通学時間を過ぎるとバスはガラガラ、バスの整備はいい加減。つまり営業努力も足らないが、社員の士気も最低だったのです。

そこで小嶋会長は矢継ぎ早に手を打ちます。リストラで足らなくなったバス運転手は両備グループから20名ほど補充しました(その何割かは元トラック運転手で、意気に感じてバスに乗り換えて笠岡市に移住)。バス運転手の考え方を変革するため、それまでローテーションにしていたバスと運転手の組み合わせを固定制にしたのです。「相棒」となったバスを運転手は毎日手洗いするようになり、きちんと整備するようになりました。さらには自主的に営業に出掛ける運転手まで出てきました。バスも新型を導入する際には低ステップ型で白い塗装(汚れるとすぐ分かる)です。再生の目も出てきたようです。

ある意味、前の経営陣は一体何をしていたのでしょうか。バスを大事にしない運転手では、乗客も安心できないでしょう。そんな基本的なことをないがしろにしていては、客が必要とすることが見えないのも当たり前です。そうした破たん例が多いことを知っているからこそ、小嶋会長は基本を大事にするのだと思います。
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