アイリスオーヤマを引っ張る大阪弁ワンマン経営者の視線の先には何が

2月24日に放送されたNHK「仕事の流儀 プロフェッショナル」は「歩き続けるかぎり、倒れない
経営者・大山健太郎」と題し、仙台の元気企業、アイリスオーヤマの社長をフィーチャしました。

同社では、新商品の提案はすべて毎週月曜日の“プレゼン会議”で行われます。大山氏はすべての提案を即断即決でさばき、商品化するかどうかの判断を下します。厳しいハードルではありますが、社長が「これはいい商品だ」と納得すれば、その場で商品化が決まるのですから、明確です。大阪あたりの電機メーカーから転職したエンジニアが張り切るのも当然です。

プレゼン会議という公開の場で、わざわざ決裁をする理由を、大山氏はこう語っています。「ほかの会社はね、ハードルがいっぱいあってね、1つオッケーになってもね、じゃあ後でお前大丈夫かと。みんな心配するわけ。失敗を恐れる訳ね。それが開発者にとってはブレーキになるわけね。私の判さえとってしまえば、もう鬼の首をとったのと同じですから、後から文句言う人いないの。その代わり、責任は全部私にあると」。そうですね、とても分かりやすいです。

毎年千以上もの新商品を発売するアイリスオーヤマ。定番の商品に固執するより、時代の変化に対応する方がリスクは少ないという大山氏の考えからだそうです。数々のヒット商品がありますね。まずは透明の衣装ケースです。それに、自家ガーデニング用のプランター。近年ではLED照明です。発売当初は売れ行きが伸び悩んだものの、あの大震災直後、節電需要が生まれると考えた大山氏が増産を指示、やがて会社の看板商品となったのです。一方で、鳴かず飛ばずのまま終わる商品も少なくないといいます。それでも大山氏は新開発の歩みを止めません。新商品の売り上げ高比率は5割といいます(定義にもよりますが、驚きの数字です)。

「バッターボックスでね、空振ったらどうしようなんてことを思ったんでは、ヒットは打てないと思うね。名医って言うのは、ぱっと見たら分かるでしょ。それは経験が多いからですよ。私は名医ではないけれど、30年間こういう仕事をずっとやってますからね、馬鹿でも勘が働きますよね」と、大山氏は言います。いえいえ、この人の選球眼は凄いものですよ。

大山氏は、30代のとき社員の半数を解雇するという痛恨の過去を持つそうです。その経験から生まれたのが、企業理念第一条にある「会社の目的は永遠に存続すること」という信念。いかなる環境下でも潰れない会社。どんなことがあっても社員を守り抜くという意味ですね。その思いから、大山氏は極端な規模拡大は目指さず、“身の丈に合った経営”という姿勢を崩さないといいます。

「大きくなると、重心が高くなってこけやすくなるんですね。すると企業理念第一条に合わなくなる。常に我々はどんな時代がきても、利益出せる仕組み。これは、儲けるための仕事をしてるのではなく、赤字を出さないために仕事しないといけない。赤字を出すとリストラしないといけないし。それだけは避けようと」。大山社長のこの感覚、よく、分かります。

組織のトップとして、どうあるべきか。大山氏は50年間、自問してきたそうです。最も難しいと考えるのは、社員1人1人の力をどこまで発揮させられるかということです。会社が大きくなればなるほど、その壁は高くなると痛感しているそうです。真面目な、よい経営者ですね(多数派ではありません)。

大山氏「社員の心に火をつけないけないんですよね。よし、やろうぞと。ただ言葉では言うのは簡単だけど、そんなんはマッチと同じでついたときにすぐ消えちゃうんですよ。それをやっぱり一緒にやる環境というかね。一体感。一体感出すためには、お互いが共感しなければいけない」と。

長年商品開発を手がけてきた大山氏は、それを生み出す社内環境にも人一倍こだわりがあるそうです。例えば、社員の自席にパソコンを置かないということ。パソコンは共有スペースにだけあり、1回の使用は45分までと決められています。「パソコンからはアイデアは生まれない」というのが大山社長の考えだからです。さらに、社内のいたるところに置いてあるミーティング用の丸いスタンディングテーブル。いちばんの良さは、とにかく距離感が近いということ。さらに上席がないというのもポイントだと。アイデアは皆で頭を突き合わせて出し合うのがいちばん、という大山氏らしさが垣間見えます。

なにかにつけ、この大阪弁の濃い経営者のキャラクターがこの会社の個性を彩っています。この会社の最大のリスクは、この60代後半~70前後(?)と見られる大山氏が倒れたらどうなるのか、後継者はいるのか、即断即決の経営スタイルによる強みは失われてしまうのではないか、といった諸々の不安です。
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