韓国の浅慮さと中国接近の長期的影響を見極めよ

日本のビジネス界には「政治は政治、経済活動はそれとは関係なく進めるべき」とナイーブに(グローバルな場面で使われる際には「世間知らずにも」という意味で、決して「繊細に」などという褒め言葉ではありません)思い込んでいる人が少なくありません。しかし我々のように大企業の看板を背負わずに国境を越えて仕事をしていると、そんな甘っちょろいことを言っている人間は決して信用できません。

ビジネスはその時々の政治の影響をもろに受け、その時々の政治は国家間の地政学的関係に常に規定されています。したがって、日本を取り囲む地政学的関係を理解し常に警戒していないと海外戦略は立てられません。

ビジネスの場で政治の話をすることは日本では避けられてきましたが、それは戦後復興期から高度成長期にかけて国内政治に関するイデオロギー論争を避ける一種の知恵だったのだろうと思います。グローバル時代になっても同じように国際政治の議論を避けていては、めまぐるしく変わるリスク発生の可能性を先んじて把握し、少しでも避ける手立てを取ることあたわず、と言わざるを得ません。

アジアでの投資に関わる波乱要因の一番の震源地は中国です。彼らの覇権主義的軍事的拡張行動は直接的に各国の脅威となり、その資源獲得のための帝国主義的行動は市場を通じて直接間接的に諸物価を釣り上げ、またその政治的意図(後述)からくる反日宣伝行動は物理的もしくは精神的に日本企業への圧迫となって現れます。これらは何の誇張でもなく、アジアにおける不穏な潮流として理解しておいたほうがよいものです。そしてその中国の反日政策を色々な意味で助けているのが韓国の嫌日政策です。

韓国首脳部が日本を貶めようとするのには2つの動機が考えられます。自らの政治的立場の不安定さ(父親の朴元大統領が日本寄りだったとの野党批判に対抗する必要)を補い、政治的不手際から国民の目を誤魔化すために日本をスケープゴートにしようとするのが第一。韓国の重要産業であるサムスンの電機・電子、ヒュンダイの自動車の2大財閥にとっての直接のライバルにあたる日本製品のブランドイメージを悪くするためには日本人全体の評判を貶めるのが有効だと、どこかで思い定めた(誰かに吹き込まれた)のが、第二の理由です。

朴槿恵大統領とその周辺は、中国と手を結ぶことによって日本を非難する声がより強力で有効になると、単純に考えている節があります。しかしこの近視眼的政策方針は、アジア征服という遠大な野望を持つ中国にとっては、厄介な日米韓の連携関係を崩壊させ、米国をアジアから締め出し日本を孤立させるという中国の最も基本的な対外戦略方針のために絶好の「カモネギ」行動を意味しています。

多くのアジア諸国が今不安げに韓国の情緒不安的な行動を見つめる視線の先には、舌舐めずりする中国の姿が映っていることでしょう。しかし直接に中国と領土問題で争っているフィリピンとベトナムでさえ必要以上に中国を刺激したくないため抑制的にしか中国批判をできないのです。ましてや他のアジア諸国は中国に目をつけられて貿易や経済面で嫌がらせをされたり、ましてや軍事的な標的に加えられたりすることは避けたいため、自らの不利益に関わるか、よほど目に余る状況に直面しない限り、あからさまな中国批判はできません。そうした中での韓国の「日本叩き」は、中国を利する行動として、ある種の違和感をもって注視されているのです。

いわば支配欲の強いガキ大将・中国が暴力的な本性を現しつつあるアジアというクラスで、へたに楯ついて自分が次のイジメのターゲットになることは避けたい、という心理が働いている状況なのです。そのクラスの級長である日本は成績優秀で、困っている子を助けるなど品行方正ではありますが、幼い頃にそのガキ大将の挑発に乗って暴力沙汰を起こしたことを未だにネチネチとガキ大将から攻められる度に黙ってしまう、ちょっと頼りないリーダーなのです。しかも昔その級長の子分だった韓国は今やその過去を逆恨みし、ガキ大将と一緒に級長をつるし上げようとアジテーションをたびたび行うトラブルメーカー、という位置づけなのです。

したがって、アジア・クラスの大半の生徒にとって頼りになるのは、学校全体の生徒会長である米国(実は元々は学校一の「番長」で、本質的には自己の利益を最優先するご都合主義者ですが)しかいません。ところがその番町・米国は別の中東クラスや欧州クラスでのトラブルが頻発する状況に対応するのに精一杯で、悪辣な思惑を修辞的言い回しで誤魔化しながら勢力を拡大することに天才的な中国の本当の意図を見抜くことまで未だ至らず、中国の遠大な(彼らは数十年~百年単位で考えます)膨張方針に対し有効な抑制策を持たず、「仲良くやれよ」という言葉でお茶を濁している状態なのです。

そしてそうした中国の戦略が実現した暁には、当然ながら韓国にとっては、米国陣営からの離脱、中国による庇護下での生き残りを余儀なくされることを意味します。しかしそうした中長期的なリスクを冷静に鑑みるほどの余裕がないのが、経済窮状に晒されている今の韓国なのです。

アベノミクスに伴い生じた、行き過ぎた円高の是正が意味したのは、相対的な韓国・ウォン高であり、国際市場で韓国製品・サービスの売れ行きが鈍化または急減したことです(正確に言えば、過度の円高・ウォン安に乗じて日本企業から奪っていた市場の一部が日本企業に取り返されているか、中国企業などに奪われているだけですが)。その同じタイミングで、ごまかし続けていた韓国製品や技術の問題が露呈しています。例えばヒュンダイは公表燃費を長年にわたり誤魔化して水増ししていたことが露呈しましたし、LG電子は技術情報を中途採用者に盗ませようとしたことで東芝から訴訟を起こされています。唯一好調だったサムスンでさえ基礎技術が浅いため次の柱を見つけられず、スマホの売れ行きが鈍化しただけで増益基調が崩れています。

こうした経済的に追い詰められ始めている韓国経済は、次の稼ぎどころを懸命に探してきました。一時は日本企業が次に狙う製品や市場をまた真似をして追いかけようとした動きもありましたが、日本企業が対中韓での技術漏えいに警戒心を高める一方で、基礎技術に投資をしない韓国企業には自力で研究開発することで打開できる領域は非常に限られています。そのため最近では韓国のユニークなコンテンツ(韓流ドラマやKポップなど)を世界に売り出すことや、世界トップクラスの美容整形技術を売りだそうと躍起になっているのです。こうした方向自体は正しいのですが、その売り先として最も有望視されているのは中国市場なのです。韓国経済が中国市場に食い込めば食い込む程、韓国全体が中国政府の意向に逆らえない構造が強固になっていくのです。

韓国は既に中国の属国化(朝鮮の歴史では何度も繰り返されているデジャブーです)の一歩を踏み出していますが、それでもまだ十分戻れる位置にいます。自分たちが危険な方向に進んでいることを、いつどれだけの人たちが気づくか、また危険でありながらも魅力的な大国・中国との距離感をどう維持するか、韓国国内でもっと議論されてしかるべきでしょう。やっかみや嫉みから日本を非難することに躍起になっていては、そうした肝心な議論をすることに人々の関心も時間も注げず、韓国自身の運命をどんどん危険にさらします。

こうした、正しい政治的議論を引っ張るような勇気ある人物は韓国内にはまだ現れていません。仮にそうしたまっとうな意見を表明すれば、「親日的、だから売国奴だ」と非難されるか、無視されるか、いずれにせよ政治的に得をすることがないからです。日本政府関係者や第三者的日本人がいくら客観的立場でアドバイスしても、聞く耳を持つとは考えにくい状況です。

最も有効なのは、米国政府が強くいさめることですが、残念ながらそれもあまり期待できません。米国のオバマ政権は日本ほどではありませんがやはりお人好しの外交オンチの傾向があるため、中国の恐ろしい(しかし超軍事大国ならば必ず持つ)意図を十分に把握してはいないようです。元々、そうした東アジアの地政学的な理解とバランス感覚を米・民主党政権は歴史的に持っておりません。だから政治的な議論の方向を修正するように韓国政府に強要するほどの覚悟があるとも、そもそも必要性を理解しているとさえ思えません。この点、国内政治的には極端に保守主義に偏っている共和党のほうが、外交的には正しい歴史認識とバランス感覚があるという皮肉があるのです。

今回のオバマ大統領の韓国訪問時には、本来ならば「日本に言いがかりをつけて自分達の嫉妬心をいやそうとするのはもう止めなさい」「中国を利する行動は反日的だけではなく米国にとっても不利でもあるという覚悟をもっているのか、それとも中国に取り込まれたいのか」などといった強い調子で近年の韓国の行動をいさめることで、アジアの安定を導き出すことができる機会でした。しかしフェリー事故のせいでそうした強いメッセージを伝えることはオバマ大統領にはできないでしょう。これも歴史の中でのタイミングの「綾」です。それでも、少なくとも日本は米国に対しそうした行動を促すよう、今後も粘り強く何度も説得しなければいけません。
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