主婦パワーを生かすには、社会制度に加えて企業の覚悟と眼力が必要

録画してあったNHK「クローズアップ現代」のシリーズ 主婦パワーを生かすの①②を観ました。①は「“高スキル主婦”が中小企業を救う」、②は「検証 103万円・130万円の“壁”~どう変わる?家計と働き方~」でした。

①の背景としては、景気回復で労働力不足に拍車がかかる中、「出産を機に退職したスキルの高い主婦」に中小企業が人材確保の鍵として期待しているのです。

国は昨年度から「中小企業新戦力発掘プロジェクト」を開始し、全国各地で行われる登録会で、‘中小企業が求める人材’と‘主婦のスキル’をマッチングする試みを始めています。最大3か月の職場実習が可能で、実習の費用はすべて国が負担します。それにより1300人以上の主婦の就職が決まるという成果を上げており、即戦力として中小企業の新規事業の開拓や販路拡大を実現するケースも増えているそうです。番組では幾つかの事例を採り上げていました。

荒川区にある印刷会社で働く、大手アパレルメーカーで17年広報を担当していた女性です。小学生の娘がいるため週3日、1日4時間のパート勤務です。しかし彼女の仕事はPRにとどまりません。商品開発にも積極的にアイデアを出します。

もうひとつは従業員100人のこの金属加工メーカーに派遣された、営業のスペシャリストです。大手の卸売り商社に17年勤務し、営業の戦略を立ててきました。2人の娘を育てるため週4日、1日5時間の勤務で月収は20万円ほどです。営業のリーダーを任され、月に2度、戦略会議を開いています。この人は成果を認められ、4月には短時間勤務の正社員になりました。

また、時間制約のある主婦が力を発揮できるよう、就業規則の抜本的見直しに取り組む企業も紹介されていました。小生が関わった最近のプロジェクトでも出産を機に退職・休職している優秀な女性従業員に在宅で仕事をしてもらう工夫をしました。中小企業の活性化の起爆剤と期待される、家庭に眠る高スキル主婦。その可能性は大きいと思います。

②の背景には「女性の活躍推進」のため、税と社会保障制度の見直しが行われようとしていることがあります。所得税の「配偶者控除」や、保険料を負担しなくても年金が受給できる「第3号被保険者制度」などです。「103万円、130万円の壁」と呼ばれ、「女性の就労拡大を抑制する効果をもたらす」可能性があると言われているのです。

番組ではまず、103万円の壁を意識している人の場合を紹介しました。3人の子どもを育てながら、パートタイムで事務の仕事をしています。1日6時間、週3日から4日働き、年収を100万円程度に抑えています。

この女性の年収が103万円以下なら、夫の所得に配偶者控除が適用されるため所得税が減り、その分この世帯の手取りは7万6,000円増えます。しかし女性の年収が103万円を超えると、その額が徐々に減っていきます。さらに自分の収入にも所得税や住民税がかかるようになり、負担感が増すといいます。

しかし女性が最も気にしているのは、夫の会社から支払われる扶養手当です。自分の収入が増えると、夫の会社の手当が支給されなくなることがあるため、世帯の年収は14万円ほど下がります。こうした負担感のアップを避けようと、自分の働き方に制限を加えてしまうのが103万円の壁の現実なのです。

もう1つの壁、130万円の壁にとどまっている人の場合です。首都圏に住む40代の女性。時給800円で、通販ショップの運営をサポートする仕事をしています。1日6時間働き、年収は110万円ほど。税金の負担はあるものの、より収入を増やそうと、103万円の壁は意識せずに働いています。警備の仕事をしている夫の手取りは月11万円ほど。世帯年収は240万円(年間の所得が200万円台前後の世帯は、今の日本で最も多いグループ)。

年収130万円以上になると、この女性の場合、自分の会社の社会保険に加入しなければなりません。その場合、保険料を年間およそ22万円負担することになります。元の手取り額を実現するには、年収154万円以上働く必要があります。ところが女性の場合、仮に1日8時間フルで働いても、年収は146万円ほど。保険料の負担があるため、かえって家計が悪化するのです。

正社員として働こうにも、資格や年齢に条件を設ける企業が多いため、40代のこの女性には転職は難しいのが現状です。これが130万円の壁の現実なのですね。

女性の前に立ちはだかる103万円と130万円の2つの壁。5月の政府の税制調査会で、配偶者控除について議論が始まりました。控除の見直しは家計への負担が重くなるとして、慎重な議論をすると表明しています。制度の見直しに合わせて政府は、女性が働きやすくなるよう、保育所や学童保育の充実、家事支援サービスの利用促進などの施策を、同時に進めていくことを検討しているそうです。是非そうしていただきたいですね。

ただ、本来的には性別や年齢に関係なく、企業が優秀な人材に適切な年収を支払うようになれば、大半の問題は解決する話です。そこまでの眼力が企業側にない、というのが問題の本質のように小生には思えます。
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