タイの都市中間層のユニークなアイデンティティ

8/7(火)に日本アセアンセンターに立ち寄り同センター主催の「企業人・駐在員のためのASEAN各国・民族の歴史」の一つ、「タイの歴史:王室、都市中間層、農民の三角関係の歴史的起源」を拝聴してきた。講師は一橋大学の社会学研究科の浅見教授であった。

トピックスは「タイのテレビドラマに観る国民像の変化」とされ、新旧のテレビドラマやニュース番組なども時折使われて(当然、解説つきで)、全般に非常に面白く、分かりやすかった。

この「三角関係」というのは王室-農民-都市中間層の関係を指す訳だが、元々王室と農民の関係は密接かつ良好で、都市中間層は浮いた存在だと、巷間言われているものと実態とは多々違う側面があるようだ。しかももう一つ、タクシン氏とその一派という要素が大きく絡んでくる。

現国王は米国生まれでスイス育ちという西洋合理主義者だが、王室の存在意義をアピールするため、若いころから地方を巡幸され、農民から慕われているというニュースが常日頃流されていた。しかし実態としては、殆どの農村は国宝の訪問を受けたことはなく、一方でタクシン政権によるバラマキ政策の恩恵に預かってきたために、親タクシン派が多いそうだ。一方、都市中間層はそうしたタクシン派の露骨なやり方に対し自分たちの税金が無駄遣いされていると感じ、反発してきたという構図がある。しかも国王とタクシン氏は個人的に反目し合っている。

つまり「国王-都市中間層」vs「タクシン-農民」という対立構図がベースとしてあるのだ。しかも都市中間層の大半は日本のように農民出身ではなく、華僑などの移民の子孫がかなり多いという。小生の友人たちも大半は、この都市中間層の出身で経済的に成功した連中である(一部、貴族階級出身というややこしいのもいるが)。

浅見教授の解説で分かったのは、彼ら都市中間層のアイデンティティの複雑さである。先祖は華僑として流入しながらも、経済・社会的に主流化し、世界の他地域にあるように一部チャイナタウンに集中せずにタイ社会に同化していったそうだ。そのため農民がタイ語を話せるのに読み書きできないのに対し、都市中間層のタイ語習得は会話はもちろん読み書きに習熟したのである。挙句は彼ら経済実権を握った都市中間層の話すタイ語が、結局は標準語になってしまうという皮肉な現象まで起きたそうだ。

そして彼らは祖先が華僑だということは認識しながらも、自らを一級のタイ人として認識しているという。これは世界的には珍しい現象かと思われる。そして知るに値する情報であった。
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