中古車リサイクルのビジネスモデルをグローバルで成立させた男

9月4日(木)に放送された「カンブリア宮殿」(TV東京系)は「中古車解体業に革命を! “車の後始末”で世界を変える町工場」と題し、会宝産業の社長、近藤典彦がゲストでした。自動車解体でグローバル企業という稀有な存在です。

日本国内で1年間に販売される新車の台数は約530万台。その一方で廃車になる中古車は約340万台に上るそうです。そのほとんどが国内に約2500あるという解体業者によって解体され、鉄くずや使える部品として仕分けられます。その日本の中古部品に注目し仕入れているのが海外の自動車部品バイヤー達です。海外での日本車の人気は高く、新車だけでなく中古車需要も膨らむ中、補修部品の需要も高まっているのです。

そんな自動車部品の取引額で業界最王手の自動車解体業者が、石川県金沢市にある会宝産業です。世界74カ国と取引し、年間1万4000台の自動車を解体しています。実に売上げの75%を海外輸出が占めています。石川の小さな町工場がいかにして世界を股に掛ける企業へと成長をとげたのか。実に興味深い事例です。

その秘密は、他の追随を許さない徹底したIT化です。中古部品全てをバーコードで管理。車の年式や走行距離などのデータを一目で見ることができるのです。さらに品質を保証する独自の規格を作り、客から信頼される商品として提供するようにしたのです。さらに自社の在庫の管理データを海外でも見ることができる独自のシステムを構築。海外のどこからでも部品を購入することが可能になったのです。4ケ国語に対応する体制も築きあげています。凄いグローバル対応力ですし、ITを戦略的に使って競争力を上げています。

番組では、いち早く良い部品を手に入れようと泊まりこみでやってくる海外バイヤーの様子を見せてくれました。バイヤー達は1台の輸送コンテナに出来る限りの部品を詰め込みます。日本からのコンテナが行き着いたのは、ロシアのウラジオストク。街を走る車の9割が日本の中古車です。街には車の中古部品を扱う業者が200近くも点在します。そこでは日本から仕入れた中古部品が仕入れ値の3倍近くの値段で売られており、現地のドライバーは次々と部品を買い求めていました。エンジンを丸ごと積み替えて再利用することも現地では普通なのです。

近藤社長は22歳で同社を設立して以来、裸一貫で町工場をグローバル企業へと成長させました。世間から「解体屋」と冷たい目で見られてきた自動車解体業の悲哀を味わいながら、常に近藤社長の心の中にあったのが「誇りあるサービス業」として解体業を認知させたいという思いだったと言います。『あいさつ日本一、きれいな工場日本一』を掲げ、徹底的に社員教育、工場の掃除に力を注ぎました。業界を底上げするために車の解体技術者の資格を作り、人材育成の研修センターも立ち上げました。一般の人の理解を得るべく、自動車の解体ショーも毎週実施しています。

さらに海外からの幅広いニーズに答えるため、近藤氏の提案で、全国にある20の自動車解体業者が連携、会宝産業と部品の在庫を共有します。茨城の解体業者はこれで約2億円売上げを伸ばしました。協調することで収益を大幅に増加させる仕組みです。そして今や解体業を「静脈産業=エコ活動」として誇り高いビジネスとして考えるよう、業界全体の意識を高めているのです。

輸出だけでなく、自ら海外にも「伝道師」として進出しようとしています。途上国で廃車が不法に山積みにされている現実を知った近藤氏は、日本の進んだ自動車解体技術を途上国に伝えようと考えたのです。アフリカでも最も人口の多い国、ナイジェリア。国を走る約3割の車が中古の日本車です。この国では使われなくなった車の大部分が投棄され、ゴミとして山積みになっています。

しかし日本の優れた解体技術を使えば、それら自動車部品が新たな資源へと生まれ変わることができることを、会宝産業から派遣された社員が現地の解体業者に対し実演していました。日本の解体技術を一から教え、現地に日本からの部品を輸出する同社の取り組みが始まっているのです。素晴らしいニッポンの貢献であり、ビジネスモデルです。
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