アフリカ開発にみる、現地を活かす日本人らしいビジネスの在り方

20日(土)夜にBS朝日『いま、日本は』で放送されたのは「アフリカ開発 日本の“ソフトパワー”」でした。

目覚ましい成長率を示すアフリカは今後の日本経済にとっても重要な存在です。元経済産業省官僚の古賀茂明氏も同行した取材内容は、非常に示唆に富む内容でした。

アフリカの成長は著しい。アンゴラ(11.1%)、ナイジェリア(8.9%)、チャド(7.9%)、など、高いGDP成長率を誇る国がめじろ押しです。 それだけに主要国はアフリカ諸国での開発プロジェクトに熱心で、とりわけ自国の成長に必要な資源獲得に躍起の中国の行動力は目覚ましいものです。

2006年にアフリカ諸国の首脳級48人を北京に招いて開いた「中国アフリカ首脳会議」を皮切りに、アフリカへの大規模な投資、援助を行なっています。2013年の時点で、中国の対アフリカ直接投資残高は約2兆2000億円で、日本の3倍以上です。 しかも中国は来年、この「中国・アフリカ会議」を自国でなく、南アフリカで開く予定です。「アフリカへの影響力を確実なものにしたい」という、習近平政権の並々ならぬ決意の表れでしょう。

日本も対抗するかのように、今1月には安倍首相が日本企業約30社のトップを引き連れ、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの3ヵ国歴訪に出かけたばかりでしたね。また、これまで東京や横浜で主催してきたTICAD(アフリカ開発会議)を、(中国のマネでしょうか)再来年にアフリカの地で開く予定です。

しかし主要国の行動には問題が少なくありません。国際支援の美名の下、資源獲得に奔走し、稼いだ収益は本国に吸い上げ、経済環境が悪くなればさっさと撤退する。その結果、アフリカの人々は豊かになるどころか苦しんできました。かえって貧困と環境汚染が深刻化し、格差は拡大しました。

あからさまに資源獲得やインフラ整備事業の獲得のために現地に進出している中国企業ですら、それまでの欧米先進国企業よりましなほうです。少なくとも現地の人々からは「中国企業は安く、現地人へのペイも(欧米企業より)よい」と評価されています。ただし彼らの仕事には質が伴わないのと、絞れるだけ絞り取って、用済みとなれば欧米企業と同じように現地から逃げ出す可能性が高いことでしょう。

しかしここアフリカに違うストーリーを描き上げた日本人がいます。アフリカで起業し、長年にわたり地元経済に貢献している日本人経営者、佐藤芳之(よしゆき)さん(75歳)です。

74年、佐藤さんはひとりで「ケニアナッツカンパニー」を創業しました。採取したマカデミアナッツやカシューナッツは殻を割って乾燥させ、実を選別するという地道な仕事ですが、こつこつと育て上げ、今ではこのナッツビジネスでたたき出す年商は約50億円。ケニアでは紛れもない大企業です。今ではケニア国内に9000エーカー、東京ドーム約780個分のナッツ果樹園を展開しています。取引先には「ゴディバ」や「ネスレ」など、世界的な食品企業が名を連ねます。おかげで、ケニアは90年代にはナッツ生産量で世界トップ3の一角を占めるまでになったのです。

驚くのはその雇用数です。直接雇用だけで4000人。関連企業や契約農家の雇用を入れれば、1万人を超えます。ケニアでは一人で10人を養うのが普通だということを考えると、佐藤さんの会社は10万人の生活を支えていることになります。 ケニアの人口は約4000万人。そのなかの10万人をたった1社で養っている計算になります。この国に巨大な産業を生み出したと言ってもよい存在です。

佐藤さんの強いこだわり。それは、雇用をひとりでも増やすことです。そのため、この工場ではいまだにナッツの選別や箱詰めは機械ではなく、人力で行なっています。

佐藤さんは次のように語っています。「この会社はみんなが収入を得るため、自立するためにつくったんだ」と説得した、と。「だからこそ、徹底して雇用の確保にこだわりました。ナッツを収める段ボール箱作りも、本来はひとりでやれる工程を6人で分担してやっています。とにかく、社員に自活のための給料を払いたい。貧しいこの国では機械化、省力化は“反社会的行為”なんです」 と。

ケニアナッツカンパニーは健康保険、年金を完備し、医務室も工場に併設しています。エイズ対策、家族計画のためのコンドーム配布も欠かしません。そして収益の多くは、福利厚生に回されているのです。

佐藤さんは、現地スタッフから「メンター」(そばに付き添って指導してくれる人のこと)と呼ばれているそうです。現地の人々は、彼を経営者やボスというより、自立をもたらす指導者として尊敬しているのです。

これこそが日本企業が目指すべき姿です。現地に溶け込み、現地の人に親しまれ、尊敬され、現地の人たちのために役立つことを最優先に考え行動する。目先の利益ではなく、長期的に互いにとって利益となるためにはどうしたらいいかを追求する。日本人だからこそできる行動であり、世界どこでも感謝され、受け入れられる存在理由です。
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