本心から従業員に感謝する経営トップが日高屋を一大チェーンへ押し上げた

9月25日(木)の「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)で紹介されたのは中華チェーン「日高屋」を経営するハイデイ日高の神田正(かんだ ただし)会長でした。題して「5坪のラーメン屋から一大チェーンへ!客も従業員も幸せにする男の波乱万丈人生」。とにかく素晴らしい経営者です。

都心の駅前に必ず見かけるラーメン店、「熱烈中華食堂日高屋」。中華そば390円、餃子210円。野菜炒めやレバニラなどの定食も600円前後と割安です。昼間の店には老若男女、時間帯を問わずに客が入っています。夜になるとサラリーマンであふれています。その秘密は、生ビール310円を筆頭に、安くて種類が豊富な飲み物です。一皿200円程度のおつまみも充実し、仕事帰りに“ちょいと一杯”やっていく店として定着しているのですね。

このラーメンチェーンを一代で築き上げたのが神田正会長、御歳73歳です。創業者・神田氏の昼食は、毎日決まって「日高屋」だそうです。上場企業のオーナー経営者が、です。店の様子を自ら確認しながら、従業員がやりがいを持って働いているか、困りごとがないか、相談を受けるためです。本人いわく、「普通の味。10人中7人がうまいと言ってくれればいい」。際だった味のラーメンではなく、毎日食べても飽きない味なのだそうです。

彼が描いた日高屋のイメージは、一昔前まで駅前に必ずあった“屋台のラーメン屋”なのだそうです。そして新店舗の場所探しは今でも神田会長の仕事です。いわく、「失敗したら責任が大きい。社員にさせるのは可哀そう」。乗降客などのデータは参考にしますが、結局信じるのは40年間培った己の勘だそうです。

店舗展開の戦略はシンプルです。①3万人以上の乗降客がいる駅前を狙って出店、②営業時間は深夜まで、③ラーメン店でありながら酒やつまみを充実させる(もちろん〆のラーメンも充実)。普通の中華店のアルコール比率は3%程度ですが、日高屋は15%と格段に高く、これが低価格と駅前一等地での出店拡大を支えているのです。平成の世に再現した“屋台のラーメン屋”戦略ですね。

神田氏は埼玉県の日高で育ちました(これが店名の由来なのですね)。父親が戦争で負傷して働けず、母と共に中学時代からアルバイトをして家計を支えました。村一番の貧乏家だったそうです。中学を卒業後すぐに就職しましたが、飽きっぽい性格だったため15もの職を転々としたそうです。パチプロをやっていた頃、友人から中華料理店を紹介されます。その場ですぐに代金がもらえる“現金商売”に魅力を感じた神田氏はその店で懸命に働いたそうです。その後独立し、1973年に大宮駅前に「日高屋」の前身である「来来軒」を開店。わずか5坪の店だったのですが、駅前の立地と、当時珍しかった深夜営業がウケて大繁盛し、「これだ」と確信したそうです。この頃すでに「駅前チェーン展開」の構想が浮かんでいたといいます。当時は郊外型のファミレスが主流でしたが、神田氏は都心の駅前一等地への出店にこだわって展開していきます。

その根拠は駅で見たサラリーマンの姿。「以前は弁当を手に持って出勤していたが、今は雑誌を持つようになった。この人たちは必ず外でご飯を食べるはず」と察知したのだそうです。その炯眼に基づく戦略で駅前出店を続けて急成長してきたのです。今では首都圏を中心に約320店舗。40年で一大チェーンにまで成長しました。外食不況が続く中、11期連続の増収増益を達成しています。

日高屋の特長は店以上に、経営者と従業員の信頼感のようです。「従業員が働いてくれるからこそ、会社が成り立つ」と話す神田氏の考え方がそこかしこに現れています。氏は毎日のように店を訪れ、休みは取れているのか?子供は何歳になったか?などと話しながら従業員を気に掛けているのですが、その気持ちが伝わりますね。

“フレンド社員”と呼ぶパート・アルバイトに感謝する催し会が定期的に開かれています。会社の利益が予想を超えた時は必ず従業員に還元する仕組みがあります。フレンド社員にもボーナスを出します。すき屋とは大違いですね。フレンド社員の「よしやるぞ、という気になる」という声が紹介されていましたが、人は信頼され、大切にされると、それに応えようと、やる気になるのです。さらに最近は、従業員が身体に負担をかけずに60歳以上になっても働けるようにと「焼き鳥店」を出店中です。“働く人も幸せにするラーメン屋”の姿です。

スタジオで語る神田会長の言葉は、スタジオ内にいる全員、そして小生を感動させていました。東証1部、年商300億円企業のトップとなった神田氏ですが、贅沢はしたくなく、「お金の使い途がわからない」そうです。お昼も自社の店で済ませ、店舗視察や物件探しのための移動も電車という、その質素さに皆が驚かされます。社用車はなく、上場時にもこの収録時にも地下鉄で来たのです。「運転手付きのハイヤーを使うくらいなら、その分、従業員の給与を上げます」と。こんな経営者ばかりならニッポンは世界一素晴らしい社会になれるのに、と思いましたが、稀だからこそ感激するのですね。
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