IoTが変える産業構造

弊社の主サービスの一つは新規事業の開発・推進の支援ですが、この数年間のプロジェクトを振り返ってみると、その多くがIoTと強い関連があることに今さらながら驚かされます。

M2M (Machine to machine)とビッグデータ解析を主要素とするIoTについては、最近のビジネス雑誌やネット上の記事などでは「外出先から冷蔵庫の中身を確認できる」とか「自動運転の車が実現する」という類のB2C(消費者向け)に関する議論が氾濫していますが、どうしても表層的に感じられます。

実際には、IoTに代表される「第4の産業革命」はまずB2B(産業向け)および公共分野から起きようとしており、大半は普通の市民には見えない形で進行すると考えられます。端的に言って、製造ではマス・カスタマイゼーション(個別量産)、流通ではサプライチェーン全般が連携されたVMI(ベンダー・マネッジド・インベントリ)、アフターサービスでは遠隔診断・故障予防などが一つのゴールになると言われています。さらに進めば「製品」の在り方そのもの、そして「プロダクト・ライフサイクル」や「サプライチェーン」の考え方は根本的に変わらざるを得なくなるでしょう。

さらに一足先に取り組み始めたドイツや米国、そして代表企業であるシーメンスやGEなどがどんな取り組みをして何を狙っているのかを調べると、戦慄を覚えずにはいられません。彼らは戦略的かつ具体的です。
http://www.acatech.de/fileadmin/user_upload/Baumstruktur_nach_Website/Acatech/root/de/Material_fuer_Sonderseiten/Industrie_4.0/Final_report__Industrie_4.0_accessible.pdf

ちょうど私自身が米国留学していた80年代の終盤、日本のモノづくりの底力に脅威を感じた米国が威信を掲げてハイテク・IT産業での覇権を握ろうと進めていた国家プロジェクトの雰囲気を感じます。

日本の製造業や流通・物流業が日々取り組んでいる、現状のサプライチェーンや設計・開発の仕組みを漸進的に進歩させようとする努力の成果や、日本企業の持つ強みが一挙にひっくり返されるかもしれないという危機感を覚えるのは私一人ではないでしょう。でも今なら十分取り返せるビハインドです。ニッポン産業の懸命の巻き返しを応援したいと思います。

(追記です)

ドイツ政府の"Industrie 4.0"戦略に関する勧告文書には世界的な競争相手としては米国と中国しか明記されていません。言及されている各国・各地の記述としても日本は除外されています。つまり「日本は次の産業革命のメイン・プレイヤーではない」と見做されたということで、実に嘆かわしいし、腹立たしい限りです。確かに日本のIT産業のレベルは米国に比べ劣りますが、ドイツや中国だって同じです。違いは産業界と政府の一致団結振りと産業政策における戦略性の違いということかも知れません。このままぼけっとしていたら、このドイツの軽視が正しかったことになってしまいます。発奮せよ、ニッポン産業!
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