“爆食”中国が教えてくれる食糧安全保障の重要性

3月8日(日)に放送されたBiz+サンデーの特集は「日本の“食”をどう確保するか ~食糧争奪 最前線からの報告~」。中国の爆食が日本人の食糧確保に影響をもたらしている現実を浮き彫りにしてくれました。

きっかけは2014年1月、中国政府が表明した食料政策の転換です。人口増加と経済成長による所得水準向上から、牛肉の消費が拡大しました。国内での生産だけでは賄いきれず、輸入拡大に大きく舵を切ったのです。ここまでならどの中進国にもある話なのですが、相手は中国。スケールが違う分、影響の大きさも違います。そしてその結果、もろに影響を受け、世界市場で買い負けているのが日本なのです。

資源・食糧問題研究所代表の柴田明夫さんが「買い負けには3つ種類がある」と解説していました。ひとつは「中国が日本よりも高く買っている」という買い負けです。2番目は、「リクエストが通じなくなる」という買い負けです。日本の1億人の市場はこれまでは優良な市場で、消費者のわがままも聞けたのです。今はこういうぜいたくな願いが、ほとんど通じなくなっています。

3番目は「タイミングを逸してしまう」買い負けです。食品メーカーやスーパーのバイヤーはずっと食料の値段が安いと感じていましたが、今は高くなって、買うのをためらっているうちにもっと高くなってしまうのです。

そして私たちの食生活に欠かせない大豆まで輸入できなくなる可能性も言及されていました。中国は90年代なかばから大豆を輸入し始めていますが、それが累積的に増えているのです。7千万トンですから、世界の大豆の7割近くが中国に行くということなのです。なんとまぁ。中国の沿海部には新鋭の大豆の搾油工場があり、そこが7割から8割稼動するようになると、将来は1億トン近く輸入してくる可能性があるということでした。

アメリカの農務省が2月に発表した、2024年までの長期の需給見通しによると、中国は2022年には大豆の輸入は1億トンを超えるとされています。大豆が輸入できないようになると、豆腐や味噌、調味料など、日本の食卓は成り立たなくなってしまいそうです。

TPPで今後の行方はどう変わるのでしょうか。短期的には関税が大きく下がりますから安くなっていく可能性はありますが、長い目で見たときは不安が大きいようです。

TPPの結果、関税撤廃・大幅引き下げによって畜産農家が将来の希望を失って廃業があいつげば、仮に将来「やはり国内の畜産が重要だ」と見直しが始まった肝心なときには、日本で作っている人がもういないという皮肉な話になりかねません。そのときには海外の売り手の言い値で買わざるを得ません。海外の食糧メジャーはそれを狙っているのです。

“効率がいいか、儲かるか”という二分法には限界があるという資源・食糧問題研究所の柴田代表の指摘はもっともだと思います。まずは、しっかり国内で生産して最低限の食糧を確保できるようにするということが必要です。

小売が消費者に植え付けた『値段が安ければ安いほどいい』という考えが長期的な値下げ競争を呼び、国内の生産者に打撃を与えてきたわけです。もうそろそろ安ければ安いほどいいという考え方を変えて適正価格を見ていくべきだ、という柴田代表の警告を真に受けるときが来ていると思います。
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