日中対立における別の視点

連日、尖閣諸島問題をきっかけとする日中対立が深刻化する様子である。

この結果、中国からの撤退や中国進出の取りやめを検討する日本の中堅・中小企業が増えていると聞かされている。小生の会社にとってはタイ・ベトナムあたりに代わりに進出しようと考える企業が増えるので、目先的にはむしろ「風が吹いてきた」状態である。しかしながら決して嬉しくない。それどころか深刻な懸念が拭えない。

この先、日中の対立が先鋭化し、(今は冷静な)日本側の市民のナショナリズム的感情論が刺激されると、この先どんな地政学的暴発が待っていないとも限らない。次期政権奪取の可能性が高いとされる自民党の総裁にタカ派を気取る安倍元総理が当選したことで、その危惧はより高まっている。

中国政府はまだまだ鉾を納めないだろう。官製デモと日本製品に対する不買運動をそそのかす。日本ツアーの自粛働きかけ、日本製の部材や製品の輸入制限(輸入審査に時間を掛けるという形をとる)とレアアースなどの日本向け輸出の制限など、どうしたら日本の企業や日本人が困るかを考え、仕掛けてくるのは間違いない。彼らは思いつきでやっているのではなく、こうした状況を想定して様々な手段を検討してきたはずなので、網羅的かつ執拗な動きになろう。この辺りが行き当たりばったりの日本政府との違いである。

なぜここまで中国政府はムキになるのか。それは彼らが「日本政府にメンツを潰された」という認識を明確に持っているからである。つまり中国政府は今回の尖閣諸島国有化の経緯を見て、「日本政府は戦略的に中国との友好の限界領域を測ろうとして挑発し、中国の警告を敢えて無視した」と考えているようなのだ。

平和ボケした日本人には理解し難いかも知れないが、中国政府(そして大半の外国政府)は国際関係において常に非常に戦略的に国益第一に考えて動く。それが国際政治だという明確な認識を持っている。そして日本の政治家や外務官僚などもそうした戦略的な発想で行動し発言していると想定している。しかし恐ろしいことに日本政府はそんな戦略的な発想はなく、ほとんど内向きの発想で発言し行動している。この認識ギャップが今回も悲劇を生もうとしている。

そうした日本政府のいい加減な認識は今回の尖閣諸島の国有化のタイミングに現れている。本当に最悪のタイミングである。第1に、中国の政権における権力者チームが交代する、すなわち「今度の国家トップは弱腰だ」などという批判を最もされたくないタイミングである。第2に日中国交回復40周年のタイミングである。第3に、柳条湖事件の9.18直前である。そのタイミングで仕掛けてくる日本政府の意図を深読みするなというほうが無理であろう。

中国政府からすると、石原都知事と日本政府が「やらせ」で挑発していると考えるのが当然である。こうした国際政治センスが日本政府には欠けている。石原都知事を出し抜いて国が購入することに地権者が同意した、地権者の気が変わらないうちに国有化しちゃえ、中国だって分かってくれるだろう、と手前勝手な論理で進めたのが、今回の国有化ドタバタ劇の真相であるようだ。中国の猜疑するような高度な意図など全くないのだが、国際政治的にそんな言い訳は通用しない。

こうしたボタンの掛け違いは過去も度々あったのだが、今回は後戻りできないほどの失態であり、中国リスクは今後より高まることはあっても縮小することはなかろう。ビジネス界はいかに脱中国をスムーズに進めるかに、否応なしに向き合わねばならない事態にあると冷徹に考えるべきだろう。
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