リピートされない観光地に輝く将来はない

小京都といわれる有名観光都市、K。一般人が勝手に持つ優良な観光地イメージと違って、実際に最近行ってみたばかりの若者の評判は芳しくないようだ。リピータのない観光地に輝く将来はない。

小生の娘は旅行好きの大学生だ。つい先日も友人と一緒に2泊3日でKを旅行してきた。帰京日に羽田空港に迎えに行った(何と甘い親でしょう)帰り路の車中で、楽しかった珍道中の出来事をあれこれと語ってくれた。

機関銃のように次から次へ出るエピソードが一息ついたところで、小生が運転しながら「そうか、そんなに楽しかったのなら、また行きたいだろう、今度は蟹が美味しい冬がいいぞ」と水を向けると、娘は即座に「もう行かない。あそこは一度行けば十分」と言うのだ。

意外な反応に驚いて理由を問うと、娘は幾つかKの良かった点(施設、ホテルと民宿での対応など)を挙げたうえで、「実は色々とがっかりした」ことを次々に列挙し始めた。

いの一番に挙げたのが、彼女たちが乗った市バス(正確には私鉄バス)運転手の態度の悪さだ。

当地のバスは、後方のドアから乗り込んで整理券を取り、前方のドアから降りる際に近くに掲示されている料金表を見て対応する料金を支払う方式だったようだ。乗り込み時に定額料金を払う市バスしか知らなかった娘たちは、当初はどういう料金方式になっているのか分からず戸惑ったそうだ。

同じように他の観光客らしき人が何人も、料金の支払い時に戸惑ってもたついていたそうだ。しかしその度に、バスの運転手は「頭を使え」などという悪態をつき、その声がマイク越しに車内に聞こえたというのだ。

彼女たちも最初は耳を疑ったそうだし、小生も信じられない気分だったが、彼女たちの思い違いではなく、何人もの人があからさまに馬鹿にされていたというのだ。

もちろんバスの運行が遅れることで利用者や会社から文句を言われるのだろうが、お客さんに対して使う言葉としてはあり得ず、無礼な態度以外の何物でもない。娘と友人は最初あっけに取られ、やがて非常に腹が立ったそうだ(ごもっとも)。

ちなみに、地元の人たちが文句を言っているコメントもネット上で数多く見つけたので、必ずしも例外的場面でもないのだろう。

その光景を話す娘はその時の怒りを段々思い出してきたのか、返す刀で地元の乗客にも非難の刃を向ける。「乗り合わせた大人たちは誰もその運転手をたしなめたりしないんだよ、ひどいよ」と。

小生は心配になり、つい「お前が運転手に文句を言ったんじゃないだろうね」と尋ねた。娘いわく、「ちょっと考えたけど、バスが混んでて、私たちは(バスの)後ろのほうにいたからね」。ちょっと残念そうだった(前にいたらやったんかい、うーむやっぱり親子だ)。

さらに地元の乗客を非難する娘の言葉は続く。「大体、地元の人は要領を分かっているんだから、教えてあげればいいんだよ。でも誰一人としてそんな親切な人はいなかったよ。冷たいよね」。

小生、なるほどと思いながらも、「Kくらいになると少し都会になってしまうので、他人に無関心なのかな」とKを弁護してみた。すると娘いわく、「でも東京でも横浜でも、あんなときには親切な人が一人や二人はいるもんだよ。こないだ行った台北だって、親切な人が一杯いたじゃない。京都や大阪でも、そんな場面が幾つかあったもの」と、自分の地元や少し前に行った有名観光地と比べる。

娘がさらに指摘したのは、Kの小売店や飲食店での愛想のなさだ。通り一遍の対応ばかりで全く心がこもっていない店ばかりだったそうだ(小生も以前に何度かKを訪れたが、地方都市なんてそんなものと思っていたので、感受性の違いは認めざるを得ない)。「じゃあ京都はどうだった?」と小生が尋ねると、「京都人はプロ。観光客への応対に抜かりはないよ」と褒める。

だから娘は将来も、京都や大阪は時々訪れたいと言う。でもKはもう結構だというのだ。若いリピータが来ない観光地、それは開設当初しか客を呼べない施設と同様、将来に暗雲が漂う。

そして娘は最近習ったばかりの用語も織り交ぜながら、Kという観光都市の問題点を鋭く突き始めた。「あの街は、観光地としての自覚と成熟度が足らないと思う。京都人は性格的に問題あるとかよく言われてるけど、観光地としての自覚があって、観光客には街じゅうで親切にするもん。肚の中で何を思っていても笑顔で丁寧な対応をしてくれれば、観光客は満足だよ」と(なるほど、成長したなぁ)。

結局、Kという地方都市はハード面では悪くないけど、ソフト面ではかなり見劣りし未成熟だということのようだ。バスの運転手については当りが悪かったとしか言いようがないが、その場に居合わせたバスの乗客の態度については弁護しづらいものがある。

小生はクライアントと実施した最近のプロジェクトで地方創生に取り組む事例について調べており、多くの地域で関係者が観光に力を入れて頑張っている姿を教えられた。しかしいくらホテルや役所が懸命に観光客を呼ぶ努力をしても、商店街の人々や交通機関関係者、そして一般市民におもてなし精神が欠如していては、観光客には不満が残り、リピータは増えない。

今回は娘が行ったばかりのKを例に挙げたが、実は小生も他の地方都市で似たような光景を幾つも見ている。観光関係者は地域ぐるみの対応を改めて考える必要があろう。
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