「メード・イン・ジャパン」への回帰の難しさと感激

日本のメーカーが、一部の生産拠点を海外から国内に戻す動きが最近目立つようになってきた。円安や、アジア各地での人件費高騰が主な理由だ。とはいえ、一度離れた技術者や職人を再び確保するのは困難だ。当たり前だが彼らにも生活があり、既に別の職業で生計を立てるようになっているか、引退していることが多い。場合によっては遠い土地に移り住んでしまっていることもある。

10月20日に放送されたガイアの夜明け(TV東京系)では、国内での生産を何とか復活させ、逆に「メード・イン・ジャパン」で打って出ようとする家電ベンチャーと小さな腕時計ブランドの奮闘を採り上げていた。家電も腕時計も、かつては日本のお家芸だったが、海外に生産の比重を移した企業が多い。果たして、小さな企業の"国内回帰"の挑戦は成功するのか。題して「再び"ニッポン製"で攻める!」。

冒頭に映されたのは、東京・二子玉川に今年オープンした蔦屋家電。最新のオシャレ家電と書籍が同じ売り場に並ぶ、ユニークな店づくりで評判だ。その一画に斬新なデザインの加湿器がある。ミストを出す90センチの銀色の筒が印象的で、これまで1万台以上を販売したという。

製造するのはCADO(カドー)、社員20人のベンチャー家電メーカーだ。「他メーカーとは明らかに違うデザインでありながら、機能も追求する」と語るのは社長・古賀宣行さん。かつて大手家電メーカーで商品開発に携わった技術者だ。

その古賀さん、加湿器の生産を、中国から日本に移すことを決断した。ツテを頼りに秋田県の機械メーカー・十和田オーディオに協力を依頼。この機械メーカーは約10年前、大規模リストラを余儀なくされていた。発注元の家電メーカーが中国などへ生産移転したことが理由だ。しかし今度は小さな家電ベンチャーと組んで、「メード・イン・ジャパン」に再び賭けることを決めたのだ。

とはいえ、組み立てコストを中国と同等以下に抑えることは大きなチャレンジだ。中国工場では30~35人のラインで組立て、実際に1台ごとに水を入れて検査し、半日かけて乾かしている。人海戦術そのものだ。それに対し十和田オーディオでは、15人で1日200台を作ることが目標だ。

技術部スタッフは量産のための知恵を絞り、検査を効率よく行うため、水の代わりに空気を使うアイデアを考えた。数日後空気漏れ検査機が完成、その後さらに改良され検査結果が分かりやすくなっていた。さらに手作りの台車を使い、手渡しの時間を削減している。お蔭で初日から目標を達成することができた。

彼らのチャレンジは単に組立だけの問題ではない。特にこの 加湿器の場合、透明のタンクがポイントだ。中国では手作業で磨いているのだが、表面にうねりが残っていた。日本でタンクの製造を請け負った白石工業はうねりをなくすという課題に取り組んだ。調整と失敗の繰り返しで、1ヶ月後納得できるものが完成した。押し出し機から直接、うねりのないタンクが押し出されて出てくる。これで磨く手間が省け、コストが抑えられるのだ。しかも磨くことも不要だから、透明度が高い。さすがニッポンの技術力だ。

2つ目は腕時計。中小の腕時計関連産業は衰退してしまい、腕時計は今や8割が海外からの輸入品だという。

腕時計メーカーKnot。日本で設計・組み立てを行っている。腕時計が1万4000円から、ベルトは2000円からで、自社で直接販売しているので中間マージンがなく、割安な価格に設定できるのだ。パーツもバラ売りされ、時計本体は19種類でベルトは200種類。ネットでも注文でき、発売から1年で4万個を販売するという人気ぶりだ。しかし人気のあまり、生産が追いついていない問題に直面していた。

秋田・仙北市に時計の生産を委託しているセレクトラがある。社長の遠藤さんは工場を訪ね増産を頼んだ。時計作りの作業工程で難しいのが針付けの作業で、これができる工員は2人のみである。そのため増産は難しいとのことだった。

生産工場を探す遠藤さんに、協力してもいいという工場があるとの情報が入る。その南安精工では5年前まで腕時計ムーブメントを月500万個生産していた。しかし10年ほど前から生産の中心が中国へ移り、南安精工は時計製造を止め、精密加工で使う工作機械を製造して、窮地をしのいでいた。しかし南安精工の小林さんは腕時計の生産が無くなっても、修理の仕事だけは続けていた。何とか腕時計の技術を残したかったのだ。

南安精工では製造ラインが完成し、スタッフも揃えた。さらに大手精密機器メーカーに勤務し、海外で腕時計生産の指導をしてきたベテランの長谷川さんを指導役として招いた。さらに小林さんは工作機械のノウハウを生かし、針を正確に取り付けられる機械を作った。この凄い機械により、南安精工では月3000個の生産目標が見えてきた。

しかしそんな中、秒針が外れるというクレームが増えていた。針など一部部品は中国で大量生産され、数百個に1個穴の大きいものが出る可能性があるという(さすが中国製)。かといって一つひとつの部品の穴の大きさをチェックすることは現実的ではない。そこでベテランの長谷川さんは完成された時計に衝撃を与える検査を加えることで、この難題を乗り切ったのだ。さすがだ。

9月19日台北市内のそごう百貨店に遠藤さんがいた。現地の販売代理店からの要望で試験的に販売することになったのだ。京都の組紐で作られたベルトを用意していた。早速1人の女性が興味を示した様子が放映されていた。その後10日間で時計30個、ベルトは33本売れ、台湾の大手販売チェーンで販売することになった。成功への道筋が見えてきたようだ。
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