三菱自動車に見る企業体質問題の根深さ

4月20日に発表された三菱自動車の燃費データの不正行為については各方面から怒りと失望、そして「呆れた」としかいいようのない脱力感を引き起こしている。

不正が行われていたのはいずれも軽自動車。平成25年6月以降に生産した三菱自動車の「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車向けの「デイズ」と「デイズルークス」。これらの車種のうち、三菱自動車が販売したのは15万7000台、日産向けに生産したのは46万8000台で、合わせて62万5000台に上る。

三菱自動車によると、これらの車の燃費を5~10%、よく見せていたとのことだ。三菱自動車は、今回の問題を受け、対象となる車の生産と販売は停止したとのことだが、所詮誰も買わなくなるのは間違いない。多分日産も、三菱自に委託していた軽自動車の生産を取りやめるだろう。これにより三菱自の稼働率は大いに下がり、経営的に窮地に追いやられることは火を見るより明らかだ。

そもそも今回、不正は日産側からの指摘を受けて判明した。それは三菱自に自浄作用がないことを裏付けている。

不正を行ったのは、愛知県岡崎市にある三菱自動車工業の技術センターの性能実験部という部署らしい。三菱自動車によると、当時の性能実験部長が「私が指示した」と話しているということだが、事実かどうかは確認中だとしている。

国土交通省は技術センターに立ち入り検査を行うなどして、不正が行われたいきさつなどについて詳しく調査中だとのことだが、併せて第三者調査委員会も立ち上がる模様だ。それにより組織ぐるみだったのかが判明することを期待したい。しかしこの会社はすでに二度、重大な罪を犯した企業なのだ。この企業体質を治す処方箋はないのかも知れない。

三菱自動車は、かつて「リコール隠し」が発覚し、「最後の挑戦」だと会社再建に乗り出したことがある。平成12年、内部告発をきっかけに国の立ち入り検査を受け、その結果、1万件を超えるクレーム情報を隠していたことや、4件のリコールを国に届け出ず、ひそかに車を改修していたことが発覚した。

このため、法人としての会社と、元副社長らが、虚偽の報告をしていたとして、道路運送車両法違反の罪で略式起訴された。会社は、当時の社長が責任を取って辞任したほか、再発防止策をまとめ、その取り組みを監査する第三者委員会を設けるなどした。

ところが、2年後の平成14年、横浜市で大型トレーラーの車輪が突然外れて歩行者を直撃し、親子3人が死傷する事故が起きた(小説「空飛ぶタイヤ」の元ネタ)。この事故の原因の「ハブ」と呼ばれる部品の欠陥について、この会社は、平成16年3月にリコールを届け出るまで、国には「整備上の問題」と説明し、欠陥を隠していたことが後にバレる。当時の副社長など元幹部らが道路運送車両法違反の罪で罰金が確定したうえ、業務上過失致死傷に問われた幹部2人も平成24年に有罪が確定した。

2回目のリコール隠しの直後にも、会社は、社内に品質の管理やリコールの対応を専門に検討する「品質統括本部」を設けるなど、企業体質を転換するための再建計画をまとめている。
三菱自動車の岡崎洋一郎会長は「自動車メーカーとして存続する、これが最後の挑戦であるとの気概をもって今回の再建計画を作った」と強調していた。

つまり今回は三度目。米国市場ならその時点で「スリーストライク、アウト」となって退場を余儀なくされる。日本人だって甘くない。今回はもう見逃せないだろう。

軽自動車市場における燃費競争に、台数の捌けない三菱自がついていけなくなってきていることは知っていたが、その苦境を脱する現場の手段が届け出データをごまかすことだったというのは情けない。そして現場がこうした不正に走るしかないと思い詰める前に、経営陣がやるべきことは、物量以外で勝負する領域に戦線を絞って差別化することだったはずだ(マツダや富士重工を見よ)。

残念ながら、不正によってどれほど塗炭の苦しみを味わうかを管理職がすぐに忘れてしまうほど、この会社の企業文化は腐っており、幹部は社員の危機感を維持できなかったということなのだろう。

不正にかかわっておらず、まじめに仕事をしてきた大半の社員や販売店、そして下請け企業の人々は路頭に迷うことになるかも知れない。実に残念だ。
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