『EU離脱』の代償は高くつきそうだ

英国の国民投票の途中情報を昼過ぎに見、「『離脱』ほぼ確定」と聴き、茫然とした。全く予想が外れた。

海外も国内もニュース等では拮抗しており、むしろ最近のコックス議員の暗殺事件で残留派が盛り返したと聞いていたし、ブックメーカーが残留派優勢と見ていたので(実はこの情報が一番有力だった)、なおさらだ。

色々と後講釈はあるが、ここまで英国民の「反移民・反ブリュッセル」感情が強かったのを読み違えたということだ。小生も世間の多くも。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kobayashiginko/20160624-00059221/

どうやら日本の証券関係者や投資家のかなり多くが、今朝一番で株式の「買い」に見切り発車していたらしい。開票が先行していた地域で残留派が優勢で、「もう大丈夫」と考えたのだろうが、ご愁傷さまだ。小生も忙しい中、買い付けの準備をしていたのだから、人のことは笑えない。

それにしても英国民のこの決断の代償はかなり高くつくだろう。ブルーワーカー層はあまり理解しようとしなかったのかも知れないが、間違いなく資本逃避が始まるだろうし、景気は急速に悪化しようし、その一方でポンド安による輸入物価高騰が起きるだろう。製造業が衰退し輸出するモノがあまりない英国としては、ポンド安はあまりメリットがなく、デメリットばかりではないか。

でもそうした短期的な経済的不安要素を感じても、この決断に至ったというのは、それだけ英国民が移民と、ブリュッセルの官僚と規制主義を嫌ったということだろう。こうした「大嫌い」という国民感情が大きな過ちを招くことがあるのは、日本の真珠湾攻撃やイランの米国大使館焼き討ち事件など、歴史には度々生じる事態である。

自分たちでは「英国は再び独立する!」と叫んでいたが、実は中国への従属の長い旅が始まったのかも知れない。米国陣営に所属しながら中国とも等距離を保とうとして、どちらからも見放されつつある韓国と似たような立場になるのかも知れない。

非EUになった英国から逃げ出す外資企業と若者は続出しても、この期に及んで進出してくれるとしたら、「火事場泥棒」的に底値で買い叩こうとする中国人くらいではないか。ギリシャ以上に役に立つ「欧州のポチ」として、中露同盟国に取り込もうとする動きが明白になるだろう。

一方、EU圏だからと英国に進出した日立や日産などの製造業は大きな痛手を被ることになった。従業員教育が満足いくレベルにまで至ったのに、対EU輸出では高い関税を課せられるので、EU内の競合に勝つのは大変になってしまう。この段になっては資産価値が暴落してしまうので、売り払うことも損だし癪だ。

我慢してEU外への輸出拠点としたいが、欧州内はノルウェーやスイスなど人口が少ないところばかりでロシアは中間層に購買力がない。中東も豊かな国は意外と人口が少ないし、道路距離が短い。あとは戦争または内戦中の荒れた国が多い。アフリカはまだ「離陸」していない。

つまり「なんでこんな国に進出したんだっけ?」と首をひねる事態になってしまったということだ。

ただし一部の人たち、たとえばロンドン在住の金融関係者はもしかすると大して困らないかも知れない。むしろExpatsや観光客はポンド安でリッチな滞在を満喫でき、そのおかげで金使いが派手になれば、ロンドンの商店・飲食店は(地元からの買い付けである限り)利幅が増える可能性だってある。

しかし今回の国民投票でLeaveに投票した大多数の人たちは損をするだろう。年金生活の老人たちは極端な物価高に苦しみ、ロンドンの商店主でもなく金融関係者でもない大多数の人たちは不景気にさらされ、職を失い、物価高におびえるだろう。ちょうど彼らが最近まで嘲っていたギリシャ国民のように。自業自得とはいえ皮肉なことになりそうだ。
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