営業改革を考える (13) KPIツリーは本質から考えよ

他社事例をそのまま真似ること、典型的BSC構造に無理矢理押し込むこと、KGI/KPIからブレイクダウンすること。KPIツリー図一つとっても、本質的でないやり方に走ることになりがちだ。形から入るのではなく、まずは「そもそも何のため」から考えよう。


以下は最近の営業プロセス改革プロジェクト(以下、PJTと称する)での出来事だ。

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改革後にモニタリングすべきKPIを考えようとなった際に、PJTメンバーの一人が「たたき台」と称して、あるKPIツリー図を作ってきた。それがいわゆる典型的BSCの構造になっており(下から「学習と成長視点」「プロセス視点」「顧客視点」「財務視点」に区分)、いかにもすっきりとしており、しかも営業プロセス改革向けに尤もらしく見えた。

しかし所々今回のPJTでは使っていない用語や概念が入っていたので幾つか突っ込むと、「これはツールベンダーの事例集から戴いてきました」という。

その時にはそれはそれで参考として見る分には構わないと思ったのだが、そうでもなかった。その後、実際にKPIの素案を考える担当に指名されたメンバーは何度か具体案を出してくれるのだが(この会社はレベルが高いので、幾つかのパートでは各メンバーに素案を考えてもらっている)、えらく小手先の手直ししか出ず、皆がピンと来ない。よほど最初に目にしたKPIツリー図のインパクトが強かったのだろう。

そこで一旦、頭の中をリセットしてもらうため、そもそも何のためにKPIを設定するのかから説く資料を作って議論をやり直した。そうした多少の回り道はあれど、最終的には改革ビジョンを整理し、それに基づき議論し、モニタリングすべきKPIのツリー構造も出来上がった。ツールベンダーの挙げた例とは似ても似つかないが、このクライアント独自のKPIツリーが出来上がったのだ。
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大きな改革プロジェクトになればなるほど、少なくない数のKPIを構造的に設定することは必然となると小生は考えているので、ツリー構造を採ること自体に問題がある訳ではない。また、各KPIがいろいろな側面をカバーし全体としてバランスを執るというBSCの基本的考え方も正しいと考えている。

しかしKPIツリーに関連し、多くの営業改革/業務改革プロジェクトで問題だと思えることを三つほど挙げたい。

第一に、上述のプロジェクトのように関連の薄い他社プロジェクトのKPI例を鵜呑みにして似せてしまうのは馬鹿げている。他社は他社、自社は自社だ。

第二に、典型的BSC構造を盲信するのも危険だ。「学習と成長視点」「プロセス視点」「顧客視点」「財務視点」の4区分はかなり汎用的なことは認めるが、必ずしも大半のプロジェクトで通用する訳ではない。

特に営業プロセス改革分野だと、財務視点では「受注/売上拡大」などを謳いたいところだが、それは製品・サービス面での強化充実が同時にないと難しい。つまりプロジェクトのコントロール範囲外なのでKGI/KPIには相応しくないケースが多い。また「学習と成長」の視点というより「学習と定着」の視点といったほうがピンとくることが普通だ。

最後に、他社のプロジェクト事例アウトプットを拝見したとき、KPIツリーの構造とその策定過程に疑問を抱かざるを得ないケースが少なくない。KPIツリーが綺麗過ぎるのだ。

そもそもKGI(最終的なゴール達成の指標)をブレイクダウンすると綺麗に主要KPIになる、などということが実際の業務改革/営業プロセス改革で当てはまることは滅多にない。最終的なゴール達成を示すKGIと、それを達成するためのレバレッジポイントに関するKPIの一部が直接的につながらないことがむしろ普通なのだ。

むしろ最終的なゴールを達成するための改革レバレッジポイントは何で、そのための施策は何で、それがうまくいった状態を表す指標は何、という順でKPIが決まるのが真っ当な考え方だと小生は考えている。それより下のレベルも同様だ。

つまり改革のロジックが先にあり、それぞれの出来不出来を表す指標が後でついていく、ということだ。KGI/KPIのブレイクダウンが先にあるという話ではない。

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日工大MOTコースのサバイバル

数年前まで数年間、客員教員をしていた日工大の社会人大学院MOTコースで、同窓会および教員OBの集まりがあったので、久々に訪れた。

施設環境やプログラムがどんなに変わったか(これらはポジティブな話)も紹介されたが、懇親会の際に教えられた「最近の(社会人)生徒は社長が減りました」というのが一番ショッキングだった。中小企業からの派遣が中心だったので、2代目社長などがそれなりにいることがウリだったはずなのに…。

それとやはりここも学生募集には毎度苦労しているようだ。他の社会人向けMOTコースが多く閉鎖・縮小している中、健闘しているほうだとは思うが、世の中のモノづくり系中小企業が保守的になっていることを象徴しているような話だ。

日工大のMOTコースは来期から中小企業診断士コースというのを設け、1次試験に通っている人がこのコースを受けると2次試験を免除されるよう、中小企業庁に申請して許可待ちらしい。中小企業診断士の資格が本当に実務で役立つかは経営コンサルタントの現場に立つ身としては疑問なしとはしないが、世間にアピールする方策としては悪くない。何とか頑張って欲しいものだ。

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中古品業界の戦いは異次元の場で、しかも面白い

最近、人づてに聞いて感心し、かつ不思議に思っていたアプリがある。それがスマホを通して簡単に中古品などを出品、売買ができるフリマアプリ、メルカリ。自分では使っていないが、はまっている人はかなりいるらしい。

そんなメルカリをフィーチャーしたのが、10月10日放送の「ガイアの夜明け」、シリーズ「激闘 シェア争い!」第2弾「"中古品"の覇者 新たな戦い!」だった。

サービス開始からわずか4年で、年間流通額は1000億円超。現在、登録数は国内だけで5000万を超え、脅威の躍進を遂げている。番組でもメルカリにはまって中古品の売却を繰り返している人たちの姿が紹介された。いちいちリサイクルショップに持ち込まなくとも、直接買い手にネットでアピールできて高く売れるという手軽さと効果が大きい。お陰でリユース業界での従来のリアル店の業態は軒並み前年割れだそうだ。

そんな急成長の新覇者が7月に打ち出したのは「メルカリチャンネル」、出品者がライブで動画を配信しながら、商品を紹介できるようにするというアプリ更新だ。今までは、出品する商品の紹介は写真と文章だけだったので、随分リアル感が増したと思える。

さらにその1ヶ月後、今度は新たなアプリ「メルカリ メゾンズ」をリリース。ブランド品の売買に特化したものだ。そこには目利きポイントを順番に示してくれる機能が搭載されていた。なるほどこれなら素人でもブランド品を売ることができるかも知れない。これは確かにブランド品の買い取り業者にとって脅威となろう。

一方、押されるリアル店舗側の代表として、業界大手「ブックオフコーポレーション」の対応も紹介された。売り場面積約900坪、商品約48万点という巨大店舗の展開など、新たな戦略だ。中古品の買い取りにも積極的に動いており、昨年11月には自由が丘駅前店に“総合買取窓口”を設置。ここでは洋服・家電・ブランド品・ジュエリーなど、幅広く買い取る。今やリピート客が後を絶たず、買取額が100万円に達する日もあるという。

その人気の秘密は、佐々木店長の接客にある。一人一人と向き合い丁寧に質問に応じる。これが客との信頼関係を生み、リピーター獲得につながっているという。「ブックオフ」は今後、この“総合買取窓口”をさらに展開していきたいと考えているが、最大の課題は窓口を任せられる人材の育成。簡単ではないが、リアル店ならではの強みを発揮するには必須だ。

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iOS10と「To Doリスト」新アプリに足を引っ張られるこの頃

最近、あまりに忙しくてブログ更新をサボっていたことを反省。せめて週2回ペース程度には戻したいと考えている。

先日、続けざまに最終報告を迎えるプロジェクトが続いた。これで少しは時間が空き、以前からの懸案事項に取り掛かることができるわいと考えていたが、その直前に緊急的に頼まれたプロジェクトが入ってしまった。有難いことではあるが、悩ましい状況でもある。

そのため、あと1ケ月くらいは休日返上の日々が続く。その間、懸案事項も頭の隅に置きながら少しずつ考えを進めたい。とはいえ、一つひとつのプロジェクトに取り掛かっている時間の間はその仕事に集中する必要がある。「ながら仕事」では質も落ちるし、実は余計に時間が掛かってしまうという研究結果もある。

そのために小生が重宝してきたのが「To Doリスト」のスマホアプリだ。その日にやるべき仕事をリストアップするだけの機能だが、うっかり忘れを防いでくれる。

そのTo Doリストで今まで使い慣れていたアプリがiOS10から使えなくなってしまった。仕方ないので別のアプリを探し、評判のよいものに切り替えた。しかし慣れていないこともあり、使い勝手が悪くて仕方ない。

いや、無駄に機能が多いのに、基本機能が使いにくいのだ。従来使い慣れていたアプリは日時とタスクを入れるだけのシンプルなものだった。iOS10そのものも非常に使い勝手が悪くなり、Appleには余計なことをしてくれるな、と言いたい。

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地域に根差す企業こそ持続的に発展できる

地域に根差す企業こそ持続的に発展できる。そう信じさせてくれる例を最近幾つも観る機会があった。テレビ番組にもそうした例が出ていた。その一つが人気番組「カンブリア宮殿」の10月5日 放送、「行列のできる地方銘菓スペシャル①地元愛と親子の絆が生んだ感動の菓子メーカー」(ホリ ホールディングス社長堀 昭(ほり あきら)氏をフィーチャ)だった。

全国各地の百貨店で開かれる物産展で必ず大行列を生み出す菓子メーカー・ホリのことは最近知った。熱烈なファンを生んだのは、魚介の旨みが染み込んだ「北海道開拓おかき」(これが一番有名か)や濃厚なシュークリームなどに代表される、北海道の素材の味を存分に生かしたお菓子。おかきに使うのは、えりも町の昆布に、増毛町の甘エビ、枝幸町のホタテなど、道内を探し歩いて発掘した、おかきの食感や風味を最高に引き立てる素材ばかり。牛乳や米はもちろん、リンゴだって可能な限り北海道産。

ホリは人口1万7000人の田舎町・砂川市に根差し、北海道に9店舗構えるだけなのに年商100億円にまで成長を続けてきた。その裏には、徹底的に北海道産の原料にこだわり抜くこうした戦略があったことがよく分かった。

苦労して炭鉱夫に手作り菓子を売っていた堀氏の父は、「息子たちに辛い思いをさせたくない」と、堀氏を薬科大学に行かせ、大手薬品メーカーに就職させた。しかし地元の炭坑が相次ぎ閉鎖し父の会社が経営難に陥るや、堀氏は会社を辞め、兄と共に家業を継ぐ。そして親子で北海道中をトラックで回り、懸命にお菓子を売り歩いた。商売が行き詰まる逆境の中で、堀一家が目を付けたのは、売れ始めていた夕張メロン。兄は農家へ仕入れ交渉に通い、父が試作、堀氏が生産設備設計。親子3人で必死に商品開発を続け、メロンの果肉をそのまま生かした「夕張メロンピュアゼリー」を完成、成功させたのだ。

ホリは菓子で稼いだ資金を、ビジネスで支えてくれた地元・北海道に様々な形で還元している。夕張市で減少するメロン農家を支援。砂川市では、発売したお菓子がヒットするたびに砂川市内に工場を建設し、地元の雇用も創出。さらに高齢者でも長く働けるようにと、重労働のロボット化も進めている。とても従業員を大切にしていることが伝わってきた。そして地元愛も。

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